2009年06月25日

◆ コメからガソリン

 米(コメ)からガソリンを作る事業を農協が始めるそうだ。エコ運動の一環だが、究極の無駄だろう。 ──
  ( ※ 本項の実際の掲載日は 2009-06-29 です。)

 米(コメ)からガソリンを作るという話を、読売新聞が夕刊トップで大々的に報じている。
 《 コメからバイオ混合燃料 》
 コメから作るバイオエタノールをガソリンに混ぜて市販する国内初の事業を、全国農業協同組合連合会(JA全農)と新潟県などが7月中旬から始める。
 生産調整(減反)で主食米の栽培ができない休耕田で原料のコメを育て、環境に配慮した「グリーンガソリン」として売り出す。
 価格はレギュラーガソリンと同じ水準。
( → 読売新聞 2009-06-29
 これは、読売だけが大騒ぎしている。他社は、馬鹿馬鹿しいと思ったらしく、そんなことはしていない。
 ま、エコ狂想曲の一つだ。検証してみよう。

 ──

 そもそも、「価格はレギュラーガソリンと同じ水準」というが、採算が合うわけではない。もともと休耕田として、補助金が入っている。「何も作らない」ということを前提として、補助金をもらっている。
 だから、採算に合うとか何とかは、意味がない。コストには補助金の分が加算されるからだ。

 で、その補助金は、どのくらいか? ネットでなく紙の新聞の記事によると、ガソリン原料としての米の買い取り価格は、コシヒカリを作った場合の 20分の1以下だという。
 とすると、おおざっぱに言って、次のようになるだろう。
  ・ ガソリンの原料米 …… ガソリン1リットルあたり  50円
  ・ 食用コシヒカリ   …… ガソリン1リットルあたり 1000円

 これだと、20倍になる。つまり、1000円分の米を作って、それをたったの 50円でガソリン用に売却する。(その差額は補助金として国民が支払う。)

 結局、農家としては、通常の通りに米を作って、それをガソリン原料にするのだが、そこに補助金が入るので、激安価格でガソリン用の米として提供される。それでようやく、市販品のガソリンと競争できる。差額の莫大な金は、国民の負担となる。

 ──

 コストの 20倍もの補助金! これぞ、究極の無駄だろう。

 例として、太陽光発電の場合、1キロワット時あたりで、売電価格が 23円で、発電価格が 46円。そこで、補助金を 23円投入する。……この場合はコストと補助金の割合が同じだから、補助金の倍率は(コストに比して)1倍である。
 ところが、米からつくるガソリンでは、補助金の倍率は(コストに比して) 20倍である。

 太陽光発電の 20倍もの無駄をする究極の無駄。
 こんなことが国家規模でなされたら、どうなるか? 日本人は、米由来のガソリンを作ることだけで、国力を使い果たしてしまうだろう。コンピュータも自動車も、あらゆるハイテク製品を作る労力はすべて失われ、米を作ることだけに熱中するしかない。そのことで、自動車を稼働させる。

 結局、日本は米でガソリンをつくる途上国(農業国家)となり、先進国からコンピュータや自動車を買うハメになりましたとさ。
( ※ だったら最初から途上国をめざせばいいのに。エコがそんなに好きならば、農業国家になればいいんですよ。)

 


 [ 付記 ]
 そもそも、コストが 20倍にもなるほどにも金をかけてまで、ガソリンを使う必要があるのか? 単純に電気自動車を使う方が、よほど利口であろう。
 エコにとらわれると、自分が何をやっているのか、わけがわからなく連中が多すぎる。彼らの目的は、「エコ運動」そのものとなってしまっている。かくて、莫大な無駄をしてまで、エコに邁進する。
 「省エネ運動のために、莫大な金とエネルギーを浪費しましょう!」


 考えてみれば、レジ袋有料化も エコキャップも含めて、みんなこうだ。

 [ 注記 ]
 エネルギー収支についての細かな話。(読まなくてもよい。)

 米からガソリンを作る際、エネルギーは二通りにかかる。
 (1) その米を作るためのエネルギー。(耕耘機や肥料や運搬費)
 (2) 補助金の富を生み出すためのエネルギー。(全産業の生産エネルギー)

 補助金なしならば、(1)のエネルギー収支だけ見れば、かろうじてエネルギーは黒字になるかもしれない。(ほぼトントンかもしれない。)
 だが、補助金の分を考えると、エネルギー収支は大赤字だ。50円のガソリンを生み出すために、950円の補助金が必要だが、950円の富を生み出すには、石油や電力を大量に必要とする。
 米からガソリンを作ると、生産されるガソリンよりも、消費される石油や電力の方が、圧倒的に多くなるだろう。やればやるほど、エネルギーの浪費。
posted by 管理人 at 19:44 | Comment(6) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 管理人 at 2009年06月29日 22:35
休田で補償金をもらうより、減反+転作の方が多くお金をもらえるようです(転作奨励金+売り上げ)。
たぶん、ガソリン原料米とやらも植えたら転作奨励金がかなりの額をもらえるのではないでしょうか。しかし、普通に考えたら最初から食べられるお米を植えたいですよね。。
Posted by shino at 2009年06月30日 01:08
新聞に「変なこと」が書いてあると、いつも何かないかとここへ来るのですが、コメからガソリンは、やっぱりやばいですね。新聞やら環境団体系やらある種の学者というは、なぜか、ちょっと頭を働かせばわかるような、原価に対する想像力を持たない、あるいは、わざと避けているのか。
省エネ、CO2削減、温暖化などについての見解では、相当勉強させてもらっておりますので、今後とも馬鹿国家の切り方を、ご呈示ください。
Posted by masahiro at 2009年07月02日 06:10
流行の米粉もそうですが飼料米というのもありますし、減反政策で米が作れないところでなんとか米を作ろうというのが第一目標で、そのためなら作れそうなものはとにかく何でもやってみるという意識もありそうです。実際お米しか作っていない農家は転作など別の栽培技術が必要になる面倒なことには手を出し渋るけど補助金がつくとなると飛びつきやすい、なんてイメージもあったり。
エコなんてのはもちろん名前だけで、エネルギーの採算がとれなさそうなんてのは誰でも分かることです。そうまでしてでも米を作りたがっているところに今の農業政策の異常を感じます。
燃料でいうなら菜種油をしぼってバイオディーゼルを作るならエネルギー収支的にはプラスになりうるということも聞いたことがありますが、米の場合は既存の生産設備が有効利用できるのでとっつきやすいのでしょう。バイオエタノール生産技術の発展のための機会提供と考えることもできますし。
>こんなことが国家規模でなされたら、どうなるか? 日本人は、米由来のガソリンを作ることだけで、国力を使い果たしてしまうだろう。コンピュータも自動車も、あらゆるハイテク製品を作る労力はすべて失われ、米を作ることだけに熱中するしかない。そのことで、自動車を稼働させる。
エコの問題だと考えるからこういうとんちんかんな結論になってしまいます。まあ農業問題はかなり奥が深いです。難しいですね。
とにかくなんでもかんでもエコだエコだと騒ぐのはいい加減やめてほしいです。
Posted by 半農家 at 2009年07月03日 06:23
作った米を人間が食べたないのだったら、家畜の鳥や牛、豚に食べさせたらいいんでないの。
アメリカから買うトウモロコシの代金を補助金に当てれば国外に出るお金も減らせるし。記憶があやふやだが、1年間の飼料の輸入代金が4000億だか6000億円だと聞いたことがある。
Posted by aa at 2009年07月08日 21:49
お金を捨てることが目的じゃなくて、一応、「エコのため」という名分があるんです。(実質はお金を捨てることであっても。)
 お金の捨て方を 新たに考える必要はありません。
Posted by 管理人 at 2009年07月08日 23:09
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