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( ※ 本項の実際の公開日は 2009-08-08 です。)
本項で提唱するものを簡単に言えば、こうだ。
「無人戦闘機のシステム」
これは多数(百以上)の無人戦闘機を共同で結ぶシステムである。比喩的に言うと、普通の戦闘機はタカであり、ステルス機は(闇夜の)フクロウであり、無人戦闘機は蜂の集団である。そういうイメージで理解してほしい。
その特徴は、以下の通り。
・ 無人戦闘機の大部分はダミーとする。ステルス性は不要。
・ 大部分はダミーなので、超安価にシステムを構築できる。
・ ダミーが多数あることで、敵機からの攻撃を免れる。(飽和防御)
・ ステルス機を発見するために、バイスタティック・レーダーを搭載する。
このシステムの核心は、次の点にある。
「超安価にシステムを構築できて、敵のステルス戦闘機を容易に撃墜できる。ただし軍事的には、防御専用であり、侵略能力をもたない」
以下では、詳しく説明しよう。
(1) 特徴1
先に述べたように、次の特徴がある。
・ 無人戦闘機の大部分はダミーとする。ステルス性は不要。
・ 大部分はダミーなので、超安価にシステムを構築できる。
・ ダミーが多数あることで、敵機からの攻撃を免れる。(飽和防御)
ここでは、無人戦闘機というのは、ただ一通りではない。そのうちの多くは、ラジコン機みたいなオモチャふうのもの(ダミー)でいい。それらを空中に浮かせておくことで、敵機からは「多数の攻撃目標」と思わせる。これは、ステルス性とは反対で、「姿を隠す」のではなく、「姿を実際以上に多く見せかける」ことだ。つまり、「分身の術」だ。
「本物」(対空ミサイルを積んでいる高性能のもの)は少数だけあり、他のほとんどは「分身」(オモチャみたいなもの)である。ただし、敵機からは、どれが本物で、どれが分身であるかは、わからない。仕方なく敵機が分身を一つずつ攻撃していると、そのうち、敵機はタマが切れてしまう。
F-22 は F-15 との空中戦で、圧倒的勝利を得たということだが、F-15 が 10機ぐらいだったからだろう。仮に F-15 が百機以上あれば、F-22 はタマ切れになるので、もはや何の攻撃力もなくなるので、飛んで火に入る夏の虫にすぎない。
( ※ このような防御方法は、「飽和攻撃」に似ているので「飽和防御」と呼ぶことにする。)
(2) 特徴2
先に述べたように、次の特徴がある。
・ ステルス機を発見するために、バイスタティック・レーダーを搭載する。
ステルス機は「レーダーで発見されない」と言われるが、それは正しくない。「普通のレーダーでは発見されにくい」というだけだ。実は、バイスタティック・レーダーを使えば、ステルス機は発見されてしまう。
バイスタティック・レーダーとは何かというと、Wikipedia の記事に詳しいが、要するに、電波の発信点と受信点とが異なるものだ。ここでは、受信点がたくさんあることが必要となる。
そこで、上記の無人戦闘機システムのなかに、電波発信機と電波受信機とをたくさん搭載しておけばいい。(1機にたくさんではなくて、1機に1つでいい。ただし、機数はたくさん。)
すると、どうなるか? ステルス機は、東から来た電波を東に反射しないで別方向に逸らす。反射波を別方向に逸らすことで、東のレーダーには見つからないようになる。「これで東のレーダーには見つからなかったぞ」と安心する。ところが、別方向にずらした反射波は、別の電波受信機(無人戦闘機にある)に受信されてしまう。すると、逸らした電波を検出されることで、ステルス機はもはや丸裸となる。
かくて、そのあとは、ミサイルで撃墜される。
(3) 防御のみ
「無人戦闘機システム」という方法は、良いことずくめのように見えるかもしれないが、実は、そうでもない。「防御専用」という限定が付く。敵の戦闘機が来たら、その戦闘機を無力化することはできるが、それだけだ。敵国の領土を攻撃する能力はもたない。
ただし、その点は、ステルス爆撃機を使えばいい。
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結論。
ステルス戦闘機なんてものは、もはや時代遅れなのである。F-22 はすばらしい、と主張する人が多いが、あんなものは、冷戦期の異物にすぎない。ドッグ・ファイトなんて、時代遅れなのだ。
そして、新たな時代には、「無人戦闘機システム」というものが有効性を持つ。これこそが、ステルス戦闘機を無力化する、新時代の最新兵器だ。
( ※ ただし、新時代の最新兵器と言っても、攻撃するための兵器ではなく、敵の攻撃能力を無力化するための兵器だ。平和的な武器。)
[ 付記1 ]
無人戦闘機としては、それ自体で高度な攻撃能力(特に対地攻撃能力)を持つものが実用化されている。アフガニスタンでは米軍が用いており、8月8日には無人戦闘機が対地ミサイルでタリバーンの司令官を殺害したという。こういう無人戦闘機は、かなり高度なものだろう。
一方、本項で述べたものは、こういう「人殺しの道具」とはかなり意味が異なる。人を殺すための道具というよりは、ステルス戦闘機を撃墜するためのものだ。
[ 付記2 ]
無人戦闘機システムは、防御専用であり、敵国領土への攻撃能力をもたない。だから、敵国の領土を攻撃するためには、他の手段が必要である。具体的には、次のいずれかだろう。
・ 対地攻撃用の無人戦闘機 (すぐ上で述べたもの)
・ ステルス爆撃機 (私が何度も述べたもの)
アフガニスタンが相手ならば、前者で十分だ。タリバーンはレーダーを持たないからだ。(レーダーがあればすぐに破壊される。)
北朝鮮が相手ならば、後者(ステルス爆撃機)が必要だろう。仮に、無人戦闘機を飛ばせば、遠隔操作のための電波を検出されるので、極秘任務ができない。また、精度の高い攻撃もやりにくい。
[ 付記3 ]
で、結局、何が言いたいか? ま、私の気持ちとしては、「ステルス戦闘機なんて時代遅れだよ」と言いたい。
とにかく、「見つからない工夫」(ステルス)よりも、「見つかりすぎる工夫」(飽和防御)の方が、利口なのである。「忍者に学び、分身の術を使え」と言いたい。
ついでに言えば、「 F-22 は素敵だ」なんて言う軍事オタクの主張には、うんざりだ。1機 200億円ぐらいしそうな戦闘機よりは、激安のラジコン機でも使え、と言いたいわけ。 (^^);
→ ラジコン機の動画 ジェット機 ,大型機の曲芸
( ※ 世界最強と言われる F-22 には、その優秀な戦闘能力を駆使して、ただのラジコン機を撃墜してもらいましょう。宝の持ち腐れにしてやるわけ。……腕力の強い奴に勝つには、知恵を使えばいい。)
( ※ 実を言うと、「面白いことを言いたい」というのが、私の立場。オタク的な細かい話は、したくない。)
[ 参考 ]
アメリカの無人戦闘機はこれ。
→ UCAV ,X-47 (航空機)
戦闘機というよりは、戦闘攻撃機ないし爆撃機であり、ステルス爆撃機 F-117 を無人化したものに近い。(速度は遅くて、航続距離が長い。)
日本は、F-22 や F-35 なんかより、こっちを買った方がいいですね。(売ってくれないかもしれないが。それなら自主開発。)
Wikipedia によれば、「兵器のトリガーは地上の人間が握っており、制御ループ内に人間も入る」ということだから、まさしくラジコン機ですね。
……また面白いことを言えた。 (^^)v
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ただし、米軍の無人戦闘機の使用には、次の批判がある。
無人機は今年に入って、従来の武装ヘリや戦闘機に代わって投入されるようになり、多数の市民が空爆に巻き込まれているという。攻撃で家族や家屋を失い、カブールに避難してきた人々は「ゲーム感覚で人殺しが続いている」と憤った。武器というものは一般に、それを使用する際に相手にもたらす痛みを理解しなくてはならない。それを知らずに「攻撃力が高ければいい」と思い込むようなオタクになっては困りものだ。
長男(5)と長女(4)は空爆で倒壊した家屋の下敷きになり、まもなく息を引き取った。
「米国はなぜ我が子を殺したのか。タリバンだと言うのか」
( → ゲーム感覚で人殺し )
武器の目的は、「使わない」ことにある。(抑止力。)……米軍みたいに武器の使い放題(一般市民の殺し放題)にしたら、それはもはや悪魔の領域に入ってしまう。
※ このあとは特に読む必要はありません。
《 Q&A 》
「一機の価格はいくらぐらいですか?」
ほとんどはダミーなので、ダミーの仕様しだいです。高級ラジコン機なので、1億円以下であるのは確実。(それより高ければダミーの意味がない。)
なお、すべて同じ仕様である必要はなく、百万円ぐらいの安物もまぜておいていい。1万円ぐらいの金属製グライダーも混ぜておいていい。どうせ F-22 のレーダーには、みんな馬鹿でかく映るから、どれが本物かはわかりっこない。
「無人機は何十億円もしますが」
何十億円もするのは、1対1で戦うための無人戦闘機。
一方、無人戦闘機システムは、システムが生き残ればいいのであって、一つ一つの無人戦闘機は半分以上が撃墜されてしまって構いません。こちらが半分撃墜されて、相手を全滅させれば、それでOK。
「具体的な例は?」
ホンダジェットを改造したもの、とでも思ってください。それがミサイルを1発か2発積んでいる。一方、そのまわりには、高級ラジコン機が蚊のようにぶんぶん飛んでいる。
そこへ F-22 が飛んできたら、どれがどれだかわからないので、高級ラジコン機を撃墜していく。そのうち、ホンダジェットみたいな奴が F-22 を探知するので、F-22 は赤外線探知ミサイルで撃墜される。
《 注記 》
言わずもがなのことだが、誤読している人がいるようなので、注記しておく。
本項の趣旨は、次のことではない。
「最高の性能を持つ無人戦闘機をたくさん配備せよ」
この発想はオタクの発想だが、そんなことは言っていない。逆に、次のことを言っている。
「最低の性能を持つ無人戦闘機をたくさん配備せよ」
ここでは、「最低の性能を持つ無人戦闘機」が使われるが、そういうものが「たくさん配備される」ことで、「最高の性能を持つ F-22 を上回るシステムとなる」ということだ。
( ※ 比喩的に言えば、グリッド・コンピュータのようなものだ。安価なパソコンをたくさん連携させることで、高性能のスパコン1台を上回る性能を発揮する。)
これが「飽和防御」の原理だ。
→ http://gigazine.net/news/20170627-future-human-drone-fighter/
※ この無人機はたったの2〜3億円。激安なので、本項の提案に近い。
なお、本サイトの別項も参照。
→ http://openblog.seesaa.net/article/438235413.html
(有人機と無人機の組み合わせ)
→ http://openblog.seesaa.net/article/438235798.html
(無人機のかわりにミサイル)
→ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190627/k10011969561000.html