2009年06月21日

◆ 情報センター長の能天気

 感染症情報センター長(岡部信彦)が、豚インフルエンザへの対策を自画自賛している。そのお気楽さには、呆れるほかない。
 今のままでは、次の冬には(政府方針ゆえに)、大量の患者が殺される。 ──

 感染症情報センター長(岡部信彦)が、インタビューの形で、豚インフルエンザへの対策を自画自賛している。
   → goo ニュース
    ( * リンク切れのあとは 検索

 その言葉を読むと、彼のお気楽さには呆れるほかない。反省は皆無で、自己賛美ばかり。

 ──

 そもそも、彼はずっと、「一斉休校しろ」「厳密な検疫を」などと、強力な対処を主張していた。その馬鹿らしさが判明したあとでも、いまだに反省しないで、自己賛美している。
 さらには、政府の方針転換のあとでは、自説をコロリと転換した。それでいて、自説を転換した理由を、ちっとも説明しない。

 ま、自分の態度方針についてなら、説明しなくてもいいだろう。個人的なことだからだ。
 しかし、政府が方針転換したことについて、何一つ説明しない。これは、重大な責務違反だ。
 これについて、以下に示す。

 政策決定の透明化

 そもそも、政府は今回、方針を 180度 転換した。にもかかわらず、その転換の理由を、一切説明していない。
( ※ 新方針の理由は、PDFで説明されているが、転換の理由は、どこにも説明されていない。)

 政府(厚労省)は、いったん「発熱外来の充実を」と唱えておきながら、その翌日には「発熱外来には行かないでください」と唱える始末だ。
 そういうふうに、舌の根も乾かないうちに方針転換をしながら、その理由(方針転換の理由)を、全然説明していない。そもそも、方針転換に至るまでの、議論の過程がまったく示されていない。
 通常、どのような政府の方針転換であれ、方針が変わるときには、議論の過程が詳細に公表されるものだ。なのに、ある日突然、政府の重大な方針が 180度 転換するとしたら、これはもう、民主主義ではない。ただの天下り的な専制政治だ。あまりにも密室主義だ。

 実を言うと、方針転換に至るまで、「検疫はダメだ」と主張したのは、私と木村もりよなど、少数の人々にすぎなかった。また、「一斉休校はダメだ」「発熱外来はダメだ」と主張したのは、私ぐらいしかいなかった。
( ※ もし他にもいたら、教えてほしい。私の知る限りは、小児科学会ぐらいしかない。これも、私の見解の出たあとだ。)
 
 私の見解が出たあとで、それを聞いた人もいるだろうが、だとしたら、そういう議論の過程を、きちんと明示するべきだ。「誰がどういう意見を出して、どういうふうに合意が得られたか」ということを。
 なのに、それを一切 明らかにしないで、いきなり頭ごなしの形で、6月19日に政府の方針が 180度 ひっくりかえる。そして、それと同時に、世間もマスコミも、一斉にその方針にひれ伏す。
 これはもう、専制政治と同じであろう。今回は、たまたま私の見解の通りになったが、その逆だったら、どうする? 
 「初めは、何もしないで放置していたが、あるとき突然、厳密な対処が必要となる。人々は発熱外来に行くことを強制され、また、感染が発病したら、こぞって強制的に収容される」
 ここで、「強制収容所」というものができて、感染者は一斉に豚小屋に閉じ込められるかもしれない。
 そういうことが、ある日、突然起こるかもしれないのだ。そして、その方針転換については、何も情報公開がなされず、一方的に天下り的に決められてしまう。……そして、最後に、感染症情報センター長が、「すべては最高に素晴らしく行きました」と自画自賛する。
 滅茶苦茶の極みだ。

 つまり、いかに正しい政策を取るにしても、その政策決定の過程は、透明化されなくてはならない。密室でなさず、白日の下に照らさねばならない。なのに、そのことを、政府はやっていない。また、感染症情報センター長も、それをやっていない。「感染症情報センター」という、情報公開の役割を職務としているのに。
(ひどいものだ。)

 抗ウイルス薬の可否

 政策決定の透明化は、必要だ。なぜか? それは、政策決定が間違うことがあるからだ。間違っても、天下り的な決定であれば、誰も是正できなくなる。間違いが間違いのまま続いてしまう。
 実際、今回の政府決定には、難点がいくつかある。

 第1に、重要な点が抜けている。

  ・ 軽症者には、薬剤の処方が不要なこと。
  ・ 虚弱者にも、PCR 検査は不要なこと。

 この二点については、先に述べたとおり。( → 政府の方針転換

 第2に、間違った方針を示している。
このことを、本項で新たに示そう。
 間違った方針とは、次のことだ。
 (感染者のうち)基礎疾患を有する者等に対しては、早期から抗インフルエンザウイルス薬の投与を行う。そのうち、重症化するおそれがある者については優先的にPCR検査を実施し、必要に応じ入院治療を行う。
( → 出典
 これは、間違いだ。正しくは、次の通り。

 (1) PCR検査をするまでは、豚インフルエンザか否かは判明しない。

 ( ※ 「豚インフルエンザだとわかってから、そのあとでPCR検査をする」というのは、話が逆順である。本末転倒。そもそも、豚インフルエンザだとわかっているのであれば、PCR検査をする必要さえない。)

 (2) 豚インフルエンザだとわかるまでは、むやみに抗ウイルス薬を投与してはならない。特に、タミフルを投与してはならない。(重要!)

( ※ 豚インフルエンザだとわかっていれば、タミフルを投与してもいい。しかし、豚インフルエンザだとわかっていなければ、季節性インフルエンザの可能性がある。その場合は、タミフルを投与しても無効だし、無効な薬剤をわざわざ投与するべきではない。)
 
 このうち、(2) の点が重要だ。
 豚インフルエンザだとわかっていなければ、季節性インフルエンザかもしれない。それなら、投与するのは、リレンザでなくてはならない。ここでは、「リレンザ限定」という言葉が絶対に必要だ。
 なのに、政府の方針は、「抗ウイルス薬の投与」である。それを聞けば、たいていの医者は、タミフルを投与しようと思うだろう。「抗ウイルス薬を投与しろというのか。じゃ、タミフルを投与しよう」と思って。
 しかし、それではいけないのだ。
  正 : 有効な抗ウイルス薬(リレンザ)を投与する
  誤 : 無効な抗ウイルス薬(タミフル)を投与する

 この二つは、まったく別のことだ。なのに、政府は、その二つを混同している。というか、あえて無効な抗ウイルス薬(タミフル)を投与するように仕向けている。(だからこそ大量にタミフルを備蓄したりする。)

 はっきり言って、政府の方針は、「ヤブ医者の方針」である。医者全員に向かって、「ヤブ医者になれ」と命じているようなものだ。(有効な薬も 無効な薬も 区別しないで、単に投与する、という方針。まさしくヤブ医者。)
 それほどにも、今回の政府の新方針は、間違っている。しかも誰も、それを指摘しない。そもそも、指摘を受け付けるシステムすらない。すべては密室で決められている。マスコミすら、その密室の決定を頭ごなしに受け入れるだけだ。

 これが専制政治の害悪だ。医療で専制的な決定がなされると、すべては秘密裏に決められ、そのせいで、国民の生命は大量に奪われる。……たとえば、季節性インフルエンザの重症者に、タミフルを投与する、というような形で。
 あるいは、大量の重症者・虚弱者に対して、「PCR検査を受けてください」と無理なことを注文して、リレンザの処方を受けなくさせる(治療を受けなくさせる)、という形で。

 ──

 結論。

 今の政府は、国民を殺そうという政策を取っている。自らの愚かさゆえに。そして、それを秘密裏に決定する専制政治ゆえに。
 そして、その専制政治に対して、マスコミは、「はいはい」と受け入れるだけで、秘密裏の決定を明らかにしようとはしない。
 こうして、馬鹿な政府とマスコミのせいで、次の冬には、大量の患者が殺されることになる。

( ※ 現在、タミフルばかりを大量備蓄しているが、リレンザの備蓄は不足している。冬になってから、軽症者がリレンザを使い果たしたあとで、重症者・虚弱者に回すリレンザがなくなってしまう。かくて、大量の死者が発生する。……「タミフルを用意しておけばいいさ」と 泥舟ばかりを用意しているから、いざ大雨になれば、泥舟もろとも沈んでしまうわけだ。)



 [ 付記 ]
 じゃ、政府は、何をしているのか? 国民を救おうとするかわりに、国民をパニックに駆り立てることに熱中している。次のように。
 「この豚インフルエンザは、強毒性になり、恐ろしいパンデミックになるかもしれません。スペイン風邪の再来になるかもしれません。それほどにもこの豚インフルエンザは怖いんですよ」
 冒頭の人物(岡部)は、こう語って、国民をパニックに駆り立てようとしている。その一方で、真実の危険を隠蔽する。本当に怖いものは、豚インフルエンザの強毒化でなく、別のところにあるのだが。
  → 豚インフルエンザの強毒化 (?)



 【 補説 】

 「政策決定の透明化」
 というのは、ちょっと建前ばかりが出すぎたかもしれない。抽象的すぎて、その実質的に意味することが、抜けていた。そこで、実質を明らかにしよう。
 「政策決定の透明化をせよ」
 というのは、次のことを意味する。
 「方針転換の理由を説明する。すなわち、これまでの方針が間違っていたことをはっきり認める」


 要するに、これまでの方針への批判者(木村もりよ みたいな人物)を登場させて、「この方針は間違いだ! 是正せよ!」という主張を示すべきだ。そして、その主張に対する反対者(たとえば岡部)をも登場させるべきだ。そのあとで、議論が集約されて、これまでの方針が否定され、新たな方針が賛同を得る……という過程を示すべきだ。

 現実に岡部がやっていることは、正反対だ。自分の方針でもない方針を、自分の方針であるかのごとく吹聴する。そして、いったん否定された過去の方針を、「素晴らしい方針」と自己賛美する。
 そこには、これまでの過ちへの反省がまったく欠落している。あまりにもお気楽すぎる。
 こういう人物が「長」の座を占めていると、日本はひどいことになりそうだ。たとえば、10万人の死者が出たとしても、「死者はたったの 10万人で済みました。千万人以上の感染者が出たのに、これだけの死者で済んだんです。素晴らしい成果です。これも私たちが有能だったからです」と自慢するだろう。
 反省能力のない人物というのは、常に自己賛美をするものだ。

    → 参考画像 (猿)

 なお、彼はいまだに「当初の検疫は有効だった」と思っているようだが、検疫はほとんど意味がなかった、と認めるべきだ。理由は、下記。
  → 検疫の効果(検証)

 現状を見るがいい。現在でも毎日のように、感染者は発生している。
  → 夏季でも終息しない

 このことからして、「検疫によって感染者を封じ込める」という政策は、結局は無駄に終わったのだ。そもそも、「感染者を阻止するが、保菌者(潜伏期患者)を素通りさせる」という方式は無効である、ということは、WHO が示したとおりだ。
 「 WHO が無効だと提言したこと(検疫の実施)をやったのは間違いでした」
 とはっきり認めるべきだ。今からでも遅くはないから、反省するべきだ。(無効だったことを「有効だった」と賛美することは、虚偽を語ることだから、やってはならないことだ。そもそも、WHO や医学常識に反する。)

 ついでに言えば、感染者を 強制入院 させた措置(このインフルエンザを感染症予防法の対象としたこと)は、ハンセン氏病患者に対するのと同様で、人権侵害だった、と認めるべきだ。また、政府の方針転換があまりにも遅れすぎたことについても、はっきり誤りを認めるべきだ。
( ※ だいたい、「入院」というのが、方向性が狂っている。どうしても隔離したい場合であっても、「ホテルにカンヅメ」であろう。この件は、別項
( ※ 「おれが決めたんじゃないぞ」と言うかもしれないが、たとえそうだとしても、政府の誤りを指摘することは可能だろう。……ま、自分の仕事について他人のフリをして指摘するというのも、ちょっと変だが。)
( ※ 間違いがはっきりと指摘されていないから、政府の方針転換後も、いまだに半強制的な入院措置を取る地方がある。 → 長野市の例 。しかもこれは、前日に決めた方針転換に、自己矛盾する。)

 さらにもう一つ。大阪府の「一斉休校」についての失態もある。17日に、橋下が政府に「一斉休校を命じてくれ」と要請して、政府がその要請に応じたあとで、次のドタバタが起こった。

  ・  18日未明 …… 橋下が「一斉休校を実施する」と発表する
  ・  18日午前 …… 政府が「一斉休校の実施すべし」と発表する

  ・  18日午後 …… 橋下が「一斉休校を緩和して」と政府に頼む
  ・  18日午後 …… 政府が「一斉休校を緩和する」と発表する

  ・  18日〜24日 …… 大阪府は一斉休校を実施する。(1週間)


 もう、滅茶苦茶の極みだ。「やる → やらない → やる」というふうに、二度もひっくり返している。たったの一日で。
 ひどい滅茶苦茶だ。これについて反省する必要があるのに、岡部も、はたまた橋下も舛添も、全員が知らんぷり。健忘症か。

( ※ 特に 18日は、ひどかった。橋下は未明に「一斉休校」を決めたから、18日の朝に登校した生徒たちは、登校後に「えー!」と驚いて呆れた。 → 朝日読売 )( 泥縄ふうの政策の被害。)
( ※ 24日には、期限切れになって失効したことを、「解除」と呼ぶ、という嘘をついた。最後まで嘘つき。 → 該当項目



 【 追記 】
 情報センター長の語っていることの、最大の問題を示す。それは、基本方針だ。「これからは医療の出番だ」と述べているが、それがまったくの間違いだ。
 多くの患者さんの外来診療を行い、重症患者さんの入院治療を行う。これは正に医療の出番であり、医療が果たすべき役割であると思います。多くの人がかかる病気なだけに、たとえ全体像としては軽いとしても、ある程度の重症者や死亡者は出てしまうでしょう。ただ、その数を人の努力で減らせるなら、努力した方が良い。医療資源が限られている中で、症状の軽い患者さんを効率よくかつきちんと診る一方、重症者の症状がより重くならないよう適切な治療ができるか、医療と医療行政が問われるところと思います。
( ※ 出典は上記と同じ )
 このうち、「重症者を治療する」というのはいいが、「軽い患者さんを効率よくかつきちんと診る」というのは間違いだ。医療資源は限られているのだから、両立はしがたい。そもそも、インフルエンザの流行していない時期でさえ、病院はパンクしかけているのだ。
 だから、正しくは、こうだ。
 「重症者を治療するが、軽症者を治療しない

 軽症者には、タミフルもリレンザも与えないでいい。さっさと帰宅させればいい。病院がなすべきことは、「何もしないで金だけ取る」ことだ。( → 医者は何もするな )

 要するに、「これからは医療の出番だ」などと語ってはならない。そんなことをすれば、医療がパンクして、重症者が治療を受けられなくなる。
 彼がなすべきことは、「軽症者は医療を受けなくていい」「医療は軽症者には不要だ」と語ることだ。やるべきことが、正反対だ。……彼のやっていることは、人々をパニックに陥れて、医療をパンクさせることだ。



 【 関連項目 】
 
  → マスコミの無反省

   ※ 感染症情報センターの岡部所長へのインタビュー記事についての
     コメント。彼は、過去の過剰な対策(検疫など)を、是認している。




 ( ※ 本項では、敬称を略しています。本項に限ったわけではないが。)
posted by 管理人 at 19:38| Comment(1) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
薬害エイズ問題では、アメリカで使われなくなった非加熱製剤が日本で使われ続けましたが、インフルエンザでも、時代遅れになりつつあるタミフルを買わされていると言うことはないのでしょうか?
Posted by のび at 2009年06月22日 09:14
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