2009年06月21日

◆ 夏季でも終息しない

 豚インフルエンザの感染者は、最近でも次々と新たに出現する。やむことがない。
 なぜか? 実は、それが当り前だからだ。インフルエンザは、もともと終息するはずがないのだ。いつまでも。 ──

 ひところ、「インフルエンザの終息宣言」が話題になった。
 しかし、毎日毎日、新たな感染者が出現する。季節が温暖化しても、梅雨入りしても、それでもまだ次々と続出する。( → Google 検索
 なぜか? なぜ終息しないで、次から次へと感染者が現れるのか? 不思議に思えるかもしれない。だが、実は、それが当り前なのだ。インフルエンザは、終息しない。(だから、「終息する」と思う方がおかしい。)

 この件は、前にも言及した。
  → 終息? 収束?

 これを書いたときは、感染者が消えることも可能性としては少しは考えられたので、「感染者が続出するだろう」とはっきり書いていたわけではない。とはいえ、
 「収束することはあっても、終息することはあってない」
 と記しておいた。要するに、
 「(多くの人々が感染するという)流行は終わるが、(少数の人々が感染することもあるという)収束状態は続く」

 ということだ。

 収束状態において、収束値が 0(ゼロ) であるか、 「数人/ 日」 ぐらいであるかは、たいして問題ではない。どっちみち、「根絶する」ということは、非常に難しい。
 また、たとえ日本で根絶しても、海外からの流入は続く。その意味で、「根絶」ないし「終息」は、原理的にありえないのだ。
 考えてみれば、それが当然だろう。その意味で、今日でも次々と感染者が出て、止まらないのは、少しも不思議ではない。

 ──

 また、国内の二次感染に限っても、「終息」というのは起こりにくい。というのは、1億人もいれば、そのなかで保菌者(保ウイルス者)は多数いるはずだ。そのうちの何人かは、症状が発現して「感染者」となる。
 逆に言えば、感染者数がごく一時的にゼロになったとしても、ウイルスをもつ保菌者はまだまだたくさんいるのだ。とすれば、感染者数がゼロになることと根絶状態(終息状態)とは、異なるのだ。
 とにかく、インフルエンザのウイルスは、発現しない潜伏状態も含めて、かなり広範囲に長期に続く。見かけよりもずっと広範に分布しているのだ。
 その意味で、「終息」なんてことを考えること自体が、もともとおかしい。

 ──

 ちなみに、「夏風邪」というのは、昔から結構ある。これはインフルエンザとは限らないが、夏になってもインフルエンザの症状を呈する例は、昔からかなりあった。「夏にはインフルエンザが根絶する」と思う人がいたら、その人はインフルエンザのことをよく知っていないだけだ。

 仮に、「夏にはインフルエンザが根絶する」ということが実現するとしたら、「鎖国していれば、その国では冬にはインフルエンザが再発しない」ということになる。しかし、そんなことはありえない。江戸時代だって、鎖国していても、毎年、インフルエンザは流行した。
 インフルエンザが終息するというのは、原理的にありえないことなのだ。

( ※ 実を言うと、一定数で収束するどころか、もっと増えても不思議ではない。実際、アメリカでは、どんどん増えているようだ。2万人を越えるほど増えている。夏なのに。……ま、それでもパニックにならないのは、日本よりもまとも。どうせ次の冬には、千万人を超える人数が感染するのだから、1万人程度で騒ぐほどのことはない。)



 [ 付記1 ]
 夏にインフルエンザにかかった人の体験記
  → 2008年夏のブログ

 [ 付記2 ]
 そもそも、インフルエンザは、「暑い気候では絶滅する」ということはない。熱帯では一年中、インフルエンザが延々と続く。下記のサイトに記されているように。
  → okwave

 温帯の国々で、冬季にインフルエンザが大流行するのは、その時期に喉の免疫力が低下しているからだ。これは、免疫力との相対関係から起こるだけのことだ。
 夏にも免疫力の下がっている人は結構いるから、それらの人々の体を借りて、ウイルスが存続することは、十分に起こりうる。

 [ 付記3 ]
 国内の感染者数の推移は、下記のグラフから。
  → 日ごとの感染者数



 ※ 以下、細かな話なので、読む必要はない。

 [ 補足1 ]
 すぐ上のグラフを含めて、統計における感染者数というのは、あまり当てにならない数値だ。これはあくまで「報告された分」の数値にすぎないのだ。
 一方、報告されなかった分の患者は、水面下で、多数存在するはずだ。つまり、実際の感染者は、もっと多いはずだ。……その裏付けを示そう。 

 (1) 大阪府の感染者数
  地域別の感染者数
 これは 6月18日の分だが、過去の履歴をたどると、大阪府では感染者がほとんど発生していない、ということがわかる。(数値上は。)
 しかし、そんなことはありえない。あれほど感染者が多発した地域で、感染者が消えることなどはありえない。……そう推定できる。

 (2) 大阪滞在者の感染
 大阪に二日間滞在した人(宮崎県)が、感染した。
   → 宮崎でも新型インフル感染者
 このことからわかるように、大阪にはウイルスがウヨウヨしている。感染者もいっぱいいる。
 ただ、感染しても、人々は届け出ないのだろう。「隔離されたら困る」「大騒ぎになると困る」ということが身にしみているから、受診せずに、自宅でじっくり静養しているのだろう。(そもそも、それが政府の新たな方針だ。いちいち病院で受診する必要はない。)
 そして、受診しない限りは、感染者として認知されないから、「感染者ゼロ」という状況が毎日続くわけだ。

 結論。

 報告された感染者数というのは、全然当てにならない。水面下の感染者が多数いるのだ。数値の大小で、いちいち騒ぐほどのことはない。1億人のうちで、数十人規模の感染者が出たか出ないかということは、いちいち考慮するほどのことはない。
 大事なのは、「感染者は根絶できない」ということだ。また、「たとえ根絶しても、国外からどんどん流入するから、(国内での)根絶などはもともと意味がない」ということだ。
 どうせ秋冬になれば、莫大な感染者があふれる。数百万、数千万、になるだろう。そして、それを阻止するすべは、何もない。……とすれば、今ごろ、数十人規模で「増えたの減ったの」を騒いでも、何の意味もない。
 そもそも、感染者の増減など、ほとんど意味はない。大事なのは、「死者が出るかどうか」だけだ。そして、死者の増減について大事なことは、次のことだ。
 「死者の増減は、単純に確率的に(ランダムに)生じるのではない。高齢者や虚弱者だけが狙い撃ちにされる。健康者が死ぬことは、まずありえない。そして、高齢者や虚弱者が死ぬかどうかは、われわれの対処いかんによる」
 普通の人々が「大変だ、大変だ」と騒げば騒ぐほど、高齢者や虚弱者が死ぬ可能性はどんどん高まる。……そのことを理解しないで、「健康な人々の感染者が増えたから大変だ」と騒ぐ連中が多すぎる。
 こういう連中は、「騒ぐことでかえって死者を増やすことになるのだ」と理解するべきだ。

( ※ 騒ぐとどうして死者が増えるか……という話は、他の項目でいろいろと記してある。パニック批判という形で。)

 [ 補足2 ]
 事情は、世界でも同様である。たとえば、世界の感染者数は、現在、5万人を越えている。( → 日経 2009-06-21
 しかし、国別の感染者数を見ればわかるように、感染者は一部の先進国に集中している。これはつまり、「検査装置のある国だけで感染が発覚する」ということだ。
 面白いのは、上の表には、ドイツの数字がないことだ。念のために調べたら、ドイツの感染者総数(6月19日)は 238人で、そのうち 日本人学校の生徒や家族(6月16日)だけで 75人になるという。
 さあ。これはどうしてでしょうか? わかりますね。参考記事は下記。
  → ドイツでは、インフルエンザの話は出てなかった

 [ 補足3 ]
 米国では、州ごとの感染者数の数字も得られる。
  → CDC
 Wisconsin 州の数値が目立つが、その理由は? 「寒いせいだろう」と推定したが、まさしくその通り。Wikipedia から引用すると、下記。
 「夏は過ごしやすい日が多いが、寒暖の差が激しく、米国内ではミネソタと並び寒い州として有名である」
 ウィスコンシン州は、こういう気候だから、夏でもインフルエンザの患者が多いのだろう。(たぶん夜中の寝冷えが原因。)
 それに比べれば、モンスーン気候の日本は、雲泥の差だ。北海道ですら、今はかなり温暖で、寒くはない。( → 札幌の気温
posted by 管理人 at 17:18| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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