2009年06月18日

◆ 発熱外来は廃止へ

 発熱外来は廃止されることになるそうだ。政府の方針転換。(新聞記事の紹介) ──

 政府は従来の「発熱外来で受診」という方針を 180度ひっくり返して、「発熱外来以外で受診」という方針に変えるそうだ。これは、小児科学会の方針と同じであり、また、私の提言と同じである。
 つまり、政府もようやく、頭がパニックから抜け出しつつあるようだ。ともあれ、記事を紹介しよう。
 《 発熱外来の原則廃止を検討、検疫態勢縮小へ 厚労省 》
 今秋にも予想される新型の豚インフルエンザ大流行の「第2波」に備え、厚生労働省が、医療対策や検疫態勢の見直しを検討していることが分かった。
 発熱など感染が疑われる症状がある人を最初に診る「発熱外来」を原則、廃止し、検疫態勢を縮小する方向だ。患者の増加で特定の医療機関に診療が集中し医療態勢が崩壊することを避け、重症者に力点を注ぐ対策に切り替えるのがねらいだ。今週中にも方針を決める。
 発熱外来は、新型インフルに感染した人と、それ以外の人とに振り分けるための外来専門の医療施設。新型インフルの疑いがあれば、軽症でも入院させるなどの役割を担っている。
 しかし、5月に国内で初めて患者が確認された神戸市では一時期、発熱外来に患者が殺到し、医療機関がパンクしかけた。
 患者の受診を発熱外来に限定していると、重症患者が軽症患者に紛れてしまい、適切な治療を早くできず、救えない可能性もある。
 このため、検討案では、発熱外来にこだわらず、原則的に広くすべての医療機関で患者が診察を受けられるようにしている。
 特定の施設に集中することなく、患者の分散が期待できる。重症患者は必要があれば入院できるが、軽症患者は入院させず、自宅療養させることを基本にする見込み。
 ただ、重症化しやすい基礎疾患のある患者は、初期症状が軽くても入院を検討することにした。「重症患者の救命を最優先とする医療提供態勢」が必要だとの考えが下地になっている。
 現行では、感染の疑いのある人全員に遺伝子検査を実施しているが、こうした確定診断は、発生動向を追いかけるのには有効だが、感染が広がってしまうと、必要性は薄れる。このため、遺伝子検査は一部に限り、患者の集団発生の早期確認に重点を置いた態勢への切り替えも検討する。
( → 朝日・朝刊 2009-06-18
 同趣旨の話は日テレのサイトにもあり、それによると、「19日にも発表される見通し」とのことだ。

 ──

 記事の各ポイントについて、個別に説明しよう。
 そのことをなすべき理由は、私が前に書いたとおり。

 (1) 発熱外来の廃止

  → 発熱外来で診察可能か?   ……  《 重要 》
  → 発熱外来は使うな

 (2) 自宅療養させる

  → 感染者を入院させるな

 (3) 遺伝子検査は一部に限る (全数検査をやめる)

  → 新・簡易検査キット
 これから一部引用しよう。
 次のことは、絶対に必要ない。
  ・ 豚インフルエンザか否かを、全数検査する。
 こんなことはまったく必要ない。金がかかるだけで、ただの無駄。いや、無駄であるだけでなく、患者の病状を悪化させる。だから、必要ないだけでなく、やってはいけないことだ。
 ──

 政府はまともになったようだが、私の提言と比べると、まだ難点が二つある。

 (i)ダメな点

 今秋と言わず、今すぐ実施するべきだ。特に、「自宅療養」という点はそうだ。
 と思ったのだが、実を言うと、これはすでに実現しつつあるのでした。私が「感染者を入院させるな」を書いたあと、その数日後には、強制入院させられた感染者が自宅に戻されつつある。各地でそうなっているというニュースがある。
 この方針転換は、特に大々的には報じられていないが、事実としてそうなっているし、小さな記事がある。(ネット上で確認可能のはず。)

 (ii)抜けている点

 政府の方針転換には、抜けている点がある。やるべきことを、やっていない。それは、
 「タミフルやリレンザをなるべく使ってはならない」
 「タミフルの備蓄を増やすな」
 という二点だ。
 第1に、タミフルやリレンザは重症者や虚弱者に限るべきで、軽症者には使うべきではない。(オーストラリアはその方針を取っている。)
 第2に、タミフルの備蓄は無意味だから、タミフルでなくてリレンザの備蓄を増やすべきだ。

 理由は、すでに述べたとおり。前者は、薬剤耐性の阻止。後者は、季節性インフルエンザのウイルスが薬剤耐性を持っていること。
 あちこちで理由を書いたから、ここでは特に再論しない。

 ──

 結論。

 政府は方針を改めつつある。だが、イカレた方針は、いくらかは直ったが、まだ十分に直っていない。もっと態勢を直すべし。
 政府が態勢を直さないと、ウイルスに耐性が付いて、患者が治らない。
 ( ※ ちょっとしたダジャレです。  (^^); )



 [ 付記1 ]
 マスコミの報道には問題がある。政府は方針転換をなしつつあるが、その理由をちゃんと説明していない。とすれば、マスコミは、その背景を報じるべきだ。
 マスコミは、政府の大げさな処置については大々的に何度も報道したくせに、その解除については、理由さえも説明しようとしない。
 ま、医学知識が欠落しているからだろうが、だとしたら、専門家の見識を伺えばいい。なのに、そうしようとしないで、騒ぐことばかりに熱中する。単に騒ぐだけ。……マスコミ全体が2ちゃんねる化している。ひどいものだ。
( ※ 少なくともネットを見れば、私のサイトに詳しい解説があるのだが、それさえも調べることができない。情けない。)

 [ 付記2 ]
 マスコミは、政府の方針転換を理解できないから、従来の方針に従って、「発熱外来が大切だ」というふうに、いまだに報じている。次の新聞記事を参照。

  → 発熱外来増設へ 「冷静な対応を」 /茨城
  → 発熱外来1カ月、対応病院に格差/横浜
  → 県職員が発熱外来ではなく一般の医療機関の受診を指示していた

( ※ つまり、いずれも「発熱外来が大切だ」という趣旨。馬鹿のサンプル。馬鹿馬鹿しい記事なので、いちいち読むほどの価値はない。)
posted by 管理人 at 19:44| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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