2009年06月14日

◆ 48時間以内で 効果?

 「タミフルは、発症後 48時間以内に飲むまないと、効果がない」
 という話を聞く。しかしこれは間違いだ。
 「効果がない」のではなく、「意味がない」のだ。(効果はある。) ──

 「タミフルは発症後、48時間以内に飲まないと、効果がない」
 という話をしばしば聞く。

 その延長上に、次の話も聞く。
 「タミフルは発症後、48時間以内に飲まないと、効果がない。ゆえに、重症者にタミフルを与えるとしても、48時間以内に飲むのでなければ駄目だ。48時間以後にタミフルを飲んでも、無駄である」
 しかし、これはまるきりの嘘である。

 ──

 たとえ話。
 豚インフルエンザの感染者が、タミフルを飲んだ。すると、熱が下がった。
 その後、健康な人がタミフルを飲んだ。しかし、変化は何もなかった。そこで、彼は結論した。「タミフルは何も薬効がない」「ゆえに、豚インフルエンザにかかっても、タミフルを飲むのはやめよう」
 
 馬鹿げている? はい、馬鹿げています。しかし、それと同じことを主張しているのが、冒頭の話だ。
 「 48時間以後にタミフルを飲んでも、無駄である」
 というのは、すぐ前のたとえ話のような、滅茶苦茶な理屈なのである。

 ──

 正しく言おう。次の通り。
 「インフルエンザは、発症後、24時間ぐらいでピークに達する。48時間目には、もはや免疫のおかげで、解熱しつつある。つまり、治りかけている。治りかけてから、薬を与えても、意味がない。……だから、薬を飲むならば、なるべく早く飲むべきだ」


 だから、どうせ類似の表現で語るなら、次のように修正するべきだ。
 「タミフルは発症後、48時間以内に飲まないと、意味がない」

 ここでは、「効果がない」のではなく、「意味がない」のである。

 ──

 上記のことを理解することは、重要だ。というのは、次の誤解が生じかねないからだ。
 「タミフルは 48時間目以降に飲んでも、有効ではないんだ。そうか。じゃ、これまで二日間はタミフルを飲んだけど、三日目以降は、タミフルを飲むのはやーめた」

 
 これは誤解だ。こういうことをしてはいけない。そのことは、「薬剤の飲み方」というような案内書にも書いてあるとおり。
 もし途中で飲むのをやめると、ウイルスがぶり返して、ふたたび発症しかねない。そうならなくとも、ウイルスがいつまでも停留しているので、周囲の人々にウイルスをまき散らしかねない。(自力の免疫で治したわけではないから、その危険がある。)

 だから、上記のような誤解を防ぐためにも、
 「『タミフルは発症後、48時間以内に飲まないと、効果がない』というのは、間違いだ」

 とはっきり周知徹底させた方がいい。

 正しくは、次の二点
 「タミフルは発症後、48時間以内に飲むと、効果が大きい」
 「タミフルは発症後、48時間以降にも、飲み続ける必要がある」




 [ 付記 ]
 別の点でも、本項のことは重要だ。
 重症者の場合には、次のように言える。
 「重症者では、発症後、48時間目にぐらいなっても、まだまだ治りかけていない。この場合には、薬は有効である」
 「重症者か否かを判定するのは、48 〜 72時間目ぐらいでいい。この時点で治りかけていないとしたら、明白に重症者なので、その時点で薬を与えるのでも、別に遅くはない」

( ※ ただし、健康者なら遅めに飲んでも問題はないが、高齢者や幼児や慢性病患者などは事情が異なる。)



 【 参考サイト 】 
  → MSN相談箱 インフルエンザ 48時間を越えると?
 


 【 追記 】
 本項で述べたことは、医学的な公式見解だと考えていい。

 一方、私個人としては、後日、別の見解を出した。下記。
  → タミフルの短期利用
 ここでは、「二日間だけの利用」をお勧めしている。では、その意味は?

 この方法を取ると、「それによって症状がぶり返す」という危険はある。その意味で、患者個人にとっては、不利益が生じる。ただしその不利益は小さい。(すでに免疫機能が発揮されているからだ。直る時間が1日ぐらい増える程度のことにすぎない。)
 一方で、国民全体では、大きな効果が得られる。それは「耐性ウイルスが生じにくくなる」という効果だ。これは、患者個人の医学的な利益ではなく、国全体における公衆衛生的な利益だ。
 いわば、「各人が小さな損をこうむることで、全員が大きな利益を得る」ということだ。このことは、一人だけがやれば損するだけだが、国全体でやれば全員が大きな利益を得る。
 ただし、こういう公衆衛生的な発想は、患者一人を治すことを目的とする医学の世界では受け入れがたい。医者の目的は目前の一人の命を救うことであり、国全体の百人の命を救うことではないからだ。「一人の命を救うために百人の命を犠牲にする」という手段を示せば、たいていの医者はその手段を取るだろう。患者もまた同じ。自分さえ良ければ、他人がいくら死んでも構わない、というのが、普通の発想である。
 その意味では、「タミフルの短期利用」という方針は、国民的には受け入れがたいだろう。そのせいで、自分で自分の首を絞めることになるとしても。
posted by 管理人 at 17:58| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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