2009年06月08日

◆ タミフルの備蓄を増やすな

 多くの県が、タミフルの備蓄を増やそうとしている。だが、無意味だ。タミフルは、豚インフルエンザにしか使えないからだ。
 タミフルを処方するなら、豚インフルエンザであることを確認するため、いちいち検査する必要があるが、それは(数的に)不可能だ。 ──

 タミフルの備蓄を増やす県が多い。
  → タミフルを追加備蓄 新たに7万4000人分 /長野
  → タミフル購入前倒し 県、備蓄分で検討 福井
  → タミフル備蓄などインフル対策に13億円 /兵庫

 以上は6月中の記事だが、5月20日ごろの記事では、多くの県が同様であると報道された。
  → 20府県が備蓄前倒し=タミフルなど

( ※ 一部ではリレンザも少し含まれているが、大部分はタミフルである。)

 ──

 しかしながら、タミフルは、季節性インフルエンザには有効ではない。(耐性ウイルスのせいで。)
 タミフルが有効なのは、豚インフルエンザだけだ。とすれば、事前に、「豚インフルエンザであること」を確認することが必要だ。それには、「インフルエンザの遺伝子の検査」が必要となる。
 しかるに、そのような検査は、少数ならばともかく、多数になると困難だ。また、コストがかかる。現在、新しい検査法が開発中だが、それでも、現状の2〜6倍程度の向上にしかならない。焼け石に水だ。
  → 新・簡易検査キット

 私の推測では、次の秋冬には、インフルエンザの感染者総数は 1500万人。そのうち、豚インフルエンザの数が 千万人程度。(かなりおおまか。)
 一方、検査能力は、どのくらいか? 大阪では、半月間に豚インフルエンザ 200人ほどになっただけで、パンク寸前になった。(次項参照。)
 処理能力は、半月に 200人。1月に 400人。3カ月で1200人。一方、大阪の人口は 900万人弱。……つまり、人口の 1万分の1(0.01%)程度で、検査能力はパンクする。
 今後、新しい検査法ができても、せいぜい5倍で、0.05% だろう。この 0.05% から考えるに、(今後の機器の増設などで)多めに見積もっても、0.1% が処理能力だ。
 大阪府のような(機器のそろった)医療先進県でさえ、たかだか 0.1% しか検査できない。まして、(機器のない)地方では、もっと大幅に少なくて、0.01% 程度だろう。……それが、検査できる能力の上限であり、つまり、タミフルを処方できる上限だ。いずれにせよ、スズメの涙。焼け石に水。

 とすれば、検査能力がないまま、タミフルばかりを大量に備蓄しても、何の意味もないのだ。備蓄は備蓄のまま、無駄に山積みされる。(ブタ積みとも言う。)
 その結果は? 次の通り。

 患者 「インフルエンザの薬を下さい」
 医者 「駄目です」
 患者 「だって、あそこにあんなに薬があるでしょ。薬が山積みじゃないですか。あんなにいっぱいあるんだから、くれたっていいでしょ」
 医者 「あなたまだ、検査が済んでいないでしょ。検査を受けるまでは、処方できません」
 患者 「じゃ、検査してよ」 
 医者 「駄目です」
 患者 「どうして検査してくれないの?」 
 医者 「薬は 4000万人分。患者は 1000万人。だけど検査薬は、たったの1万人分」
 患者 「するとどうなるの?」 
 医者 「 1000万人の患者のうち、薬を処方できるのは1万人だけです。千分の1だけ」
 患者 「だったら何のために、使えない薬を 4000万人分も備蓄したの?」
 医者 「製薬会社を儲からせるためです」

 


 [ 付記 ]
 読売新聞に、豚インフルエンザの特集記事がある。
  → 読売新聞 2009-06-08
 ここに、次の記述がある。
 期待がかかるのが、理化学研究所などが先月下旬に開発に着手した新型ウイルスの簡易検査法だ。特殊な酵素を使ってウイルスの遺伝子を増やす。遅くても半年後には試薬が完成する見通しだ。30分〜1時間で結果が出るため、約6時間かかる現在のPCR法よりも大幅に検査時間を短縮できるという。
 しかし、これは無意味だ。本項ですでに記した通り。なるほど、効果はあるにはあるのだが、処理能力が何倍かに増えても、しょせんは「焼け石に水」「スズメの涙」「多勢に無勢」でしかない。( 0.1%ぐらいにしかならないので、無意味。)
 
( ※ 「じゃ、機械を増やせ」という声も上がるかもしれない。だが、検査すること自体に、意味がない。検査して、季節性インフルエンザだと判明しても、豚インフルエンザだと判明しても、何の意味もないからだ。 → 前項



 【 関連項目 】

  → タミフルよりはリレンザ
 
   ※ どうせ備蓄するなら、タミフルでなくリレンザを備蓄すればいい。
posted by 管理人 at 19:08| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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