2009年05月18日

◆ 病気よりもパニックの拡大(一斉休校)

 豚インフルエンザの患者がすでに 100人を越えている。
 同時に、休校する学校は 1000校を大幅に越えている。
 インフルエンザよりも、パニックの方が拡大している。皮肉。

   ※ 最後に 【 追記1 】【 追記2 】 あり。
 ──

 豚インフルエンザの患者がすでに 100人を越えている。130人という数字が報道されたが、刻々と増えている状態なので、うなぎのぼりだろう。(医学検査なしの)未確認患者を数えれば、 数万人を突破するのも、時間の問題だろう。

 とはいえ、騒ぐ必要は全然ない。季節性インフルエンザの感染者なら、数千万人になる。100人とか千人とか1万人とかなんて、全然問題にならない少なさだ。
 さらに言えば、半年もたてば、数百万人に昇るのは確実だ。今のうちの 100人か千人ぐらいで大騒ぎする必要は全然ない。

 ──

 騒ぐ必要はないのだが、現実には騒ぎはひろがっている。大阪の休校は 1400校を越えているという。しかも、政府は「過剰反応をやめよ」と戒めるどころか、逆に、「どんどん休校せよ」と騒ぎをあおっている。

  → 厚生労働省が府全域での休業を要請
  → 大阪・兵庫の一斉休校、知事ら厚労省の要請受け決断
  → 休校1400校超す (読売)
  → 近畿、休校1000超す 新型インフル (日経

 日経の記事の写真では、1週間の休校らしい。これは、馬鹿げている。1週間休校しても、1週間後にはもっと感染者は増えている。
 かといって、感染者がいるからといって、いちいち休校していたら、長期間の休校とせざるを得まい。下手をすると、無期限休校。
 休校など、無意味なことだ。それで、「社会に感染者を増やさない」という結果が得られるなら、まだわかる。現実には、全校が休校しても、それでも感染者は大幅に出現する。
 なのに、そのことを理解できない人が多すぎる。
 橋下知事は「一番重要なのは7日間一斉休校し、(感染を)ばしっと止めて通常のインフルエンザ対応にかじを切ること。……」と述べた。
( → 朝日新聞 2009-05-18
 できもしないことを狙っても、意味がない。人間は天候を左右することもできないし、台風を左右することもできない。同様に、インフルエンザをを左右することもできない。世間は必ず、豚インフルエンザだらけになる。それは不可避なのだ。
 7日間一斉休校しても、意味はまったくない。感染者は学校以外にもたくさんいるからだ。(比喩。ザルの水漏れがあるときに、一番大きな穴を防ぐことで、水漏れの速度を遅くすることはできるが、しょせんは、ザルはザルなのだから、水漏れを防ぐことはできない。)
 知事は毅然とした態度を示しているように見えるが、しょせんは知事の政治アピールにすぎない。7日後に真相は判明する。というか、翌日にはすでに判明するだろう。今日、明日、明後日、と、ほとんど倍増ゲームで感染者は増大していくはずだ。それを止めることはできない。台風を止めることができないのと同用に。

 ──
 
 休校が意味することは、「感染速度を少し遅らせる」ということだけだ。そんなことにはたいして意味がない。そんなことのために、生徒の教育を受ける権利を奪うべきではない。7日間だけ奪っても、感染を止めることはできず、感染は拡大する。かといって、1年間も休校して、教育の権利を1年間も奪うべきではない。(現実にはすでに1カ月間の出席停止者もいる。例の感染容疑者・濃厚接触者。この生徒たちが大学に合格できる可能性は、かなり下がったはずだ。)

 休校をすると、どうなるか? 感染した人々は、免疫を受ける。彼らは、もう感染しない。感染した生徒は、数日間の自宅静養のあと、ずっと教育を受けることができる。とすれば、その権利を奪う必要はない。
 また、「生徒から社会への感染を防ぐため」であれば、先のザルの比喩が成立する。

 ──

 だいたい、「感染を防ぐために休校」そんなことを言い出したら、季節性インフルエンザが起こるたびに、全校休校が必要となる。それでは、日本の冬季には、誰も教育を受けられないことになる。(たとえ免疫を受けたゆえに感染の危険がなくても。)
 また、馬鹿の上塗りで言えば、「水虫が流行っているから、全校休校する」という愚も考えられる。
 とにかく、ペストじゃないんだから、インフルエンザや水虫の流行なんてものは、あったとしても、いちいち休校の必要などはない。そもそも、休校しても、意味がない。

 ──

 結論。

 豚インフルエンザが拡大しているが、それよりひどいのは、パニックの拡大だ。政府もマスコミも、
 「豚インフルエンザの拡大を絶対阻止せよ」
 という(無意味な)方針を、さっさと改めるべきだ。そのかわりに、
 「豚インフルエンザにかかっても、大したことはない」
 というキャンペーンをひろげるべきだろう。真に守るべきは、高齢者や幼児や虚弱者だけだ。それ以外の普通の人は、いちいちパニックになるべきではない。
 「インフルエンザの拡大よりも、パニックの拡大が怖い」

 ということを、はっきりと明示するべきだ。下手をすると、パニックに1億人が感染する。
 


 [ 付記1 ]
 政府や知事やマスコミの一部は、世間に向けて、「冷静に」と呼びかけている。呆れた。
 「おまえだろ!」
 と言い返してやりたいね。つまり、「おまえが冷静になれ!」と。一斉休校なんかをやっている張本人が、何を言っているんだか。

 [ 付記2 ]
 修学旅行に向かった生徒が、一斉休校のあおりを受けて、旅行中止になった。以下、記事の引用。
 「皆さんにお知らせしなくてはならないことがあります。残念ですが、このまま引き返します」
 「絶対うそやー」「いややっ」。目を潤ませる生徒もいた。「ディズニーランドは初めてやったからショックすぎる。修学旅行は中学生活の一番の楽しみ。行かれへんとかありえへん」。
( → 朝日新聞 2009-05-18
 大阪の生徒の修学旅行が中止になったわけだ。  もうやだ〜(悲しい顔)
 実は、これには、いくらか意義はある。大阪から首都圏へのウイルス伝播を抑制するだろう。休校に比べれば、ずっとまともな策だ。(比較論で。)
 しかし、である。いくら生徒を足止めしても、大人を足止めすることはできない。(足止めすれば社会が麻痺するからだ。)とすれば、生徒でなく大人を通じて、大阪から首都圏へのウイルス伝播は起こる。また、それを止めても、海外から首都圏へのウイルス流入は起こる。
 つまり、大阪の知事がいくら生徒を足止めしても、ほとんど意義はない。効果は皆無だとはいわないが、せいぜい数日間かそこら、伝播を送らせるだけの効果だ。
 無意味なことに向かってしきりに努力すれば、その努力が無駄になったと判明したときに、大きなショックを受けるだろう。馬鹿げた夢をめざして大風呂敷をひろげる(そして後でショックを与える)べきではない。
 「一番重要なのは7日間一斉休校し、(感染を)ばしっと止めて」
 などと府知事が述べるのは、最悪だ。できもしないことを主張して、パニックを招くような真似は、謹んでもらいたい。
 今なすべきことは、必ず来る将来を見通して、その将来を告知することだ。
 「豚インフルエンザは、何をしようが、必ず流行する」
 と。そして、その上で、
 「だからといって、騒ぐほどのことじゃない」
 と告げればいい。

 [ 付記3 ]
 報道によると、一斉休校なんかをやっているのは、世界中で日本だけだということだ。
 米国では感染者が続出しているが、感染者が自宅静養するだけだ。ただし例外的に、感染者と欠席者が大量になって、休校している学校も少しは出始めた。とはいえ、それは、季節性インフルエンザの場合と同様である。あくまで例外的な少数だ。
 日本みたいに 1400校も一斉休校するなんていうパニック状態になっている国は、世界中でどこにもない。大量の感染者が出ているアメリカでさえ、そんな馬鹿げたことはしない。
  → NY 市全体への感染拡大は防げない

 [ 付記4 ]
 本項の話は、「パニックの弊害」などのテーマで、何度も述べたとおり。二番煎じで、ごめんなさい。
 しかし、現状の政府やマスコミは、ひどいものだ。騒がなくてもいいことに騒ぎすぎている。
( ※ そのせいで、最も騒ぐべきことについて騒がない。(この件は、翌日の項目「次のパンデミックの予想」で。)
 


 【 追記1 】 ( 18日・夜 )
 上記の話を書き終えたあとで、状況に変更があった。最新ニュースを紹介する。
 政府はようやく、方針を転換しはじめた。以下、引用。
 舛添厚生労働相は……強毒性の鳥インフルエンザを想定した現在の政府のインフルエンザ対策を緩める方向で切り替えを進める考えを明らかにした。
 重症者のために専門の入院機関を確保する必要から、「疑いのある方や軽症の方は在宅での療養に本格的に切り替えることも検討したい」と語った。
 舛添氏は「今回の新型インフルエンザは総じて言えば季節性のインフルエンザと変わらない」とする専門家の見解を紹介。そのうえで「大阪府と兵庫県では、潜伏期間が7日間であることを勘案し、高校と中学校の休校などの対応がとられたが、政府としてはこの1週間の間に対策の切り替えを検討して参りたい」と語った。
( → 朝日新聞
 驚いた。私が本項の本文を書いたあと、ネットでニュース検索をしたら、その方針がひっくりかえっている。
 しかし、何これ? 朝令暮改の典型じゃないか! あまりにも朝令暮改。こんなに簡単に切り替えるとしたら、「全校の一斉休校」という措置は何なんだ!
 方向転換をすること自体は正しいが、一日前の思慮の浅はかさを示すだけだ。そもそも、「これから検討する」なんて言わずに、さっさと転換しなさい。この期に及んで、何をぐずっているのか。

 なお、休校の必要性がないことの根拠を、示しておこう。それは、次の諸点だ。
 「たとえ休校にしても、この一週間の間に感染者は急増する」
 「たとえ急増しても、社会全体に対する比率はとても小さい」(メキシコだって、すでにピークを越えており、社会全体に対する比率は小さい。)
 「日本ではもう温暖である。大感染のおそれはない」
 「たとえ感染者が増えても、彼らは免疫力を得る。すると、今秋以降の大感染の時期にはかえって有利」

 とにかく、10 → 100 → 1000 → 10000 というように急増はするだろうが、その程度はどうってことはないのだ。「千倍に増えた」と聞くと、人は大騒ぎしがちだが、やがては頭打ちになる。また、千倍に増えても、どうってことはない。騒ぐだけ無駄。



 【 追記2 】 ( 18日・深夜 )
 事態の推移は、予想以上に早い。
 「休校をしても無意味だ。学校以外の感染者が、明日以降続出するだろう」
 という趣旨の話をすでに述べたが、そう言った舌の根も乾かないうちに、新たなニュースが出現した。休校となる年齢以外でも、新たな感染者が次々と出てしまった。
 神戸市では5歳男児から60歳男性まで年齢層が広がっている。
( → 毎日新聞

 これまで高校生が中心だったが、感染者が多い高校と接点が見当たらない人も相次いで判明し、社会活動への影響も広がっている。
 社会人の感染者も明らかになった。 (以下略)
( → 朝日新聞


posted by 管理人 at 19:34| Comment(8) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に【 追記1 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年05月18日 21:00
今なら豚インフルエンザに感染すると隔離されるかも知れないけど、手厚く看護して貰えそうですよね。但し、かわいい看護婦さんではないでしょうが。でも、派遣切りなどで生活の苦しい方々は(特にホームレスの方々は)感染して、しばらく暖かい布団で寝たくなりそうな気が....
国の経済政策の失敗が豚インフルエンザを蔓延させるのは間違え無し!
(風吹けば桶屋が儲かります)
Posted by yochi at 2009年05月18日 22:34
メイドさんみたいな看護婦さんを期待するのは間違っていないかも。  (^^);

だけど、入院生活を期待するのは、もう手遅れです。下記のニュース。
──
神戸市は18日、発熱外来のある市立中央市民病院など3施設の患者の受け入れ能力が限界にあるとして、重症者だけを入院させ、軽症者を自宅療養させる方針を決めた。

http://mainichi.jp/life/health/news/20090519k0000m040076000c.html?link_id=RLH03
Posted by 管理人 at 2009年05月18日 23:28
既に手遅れでしたか...
それにしてもパニック状態は酷いですね。
保育所や老人ホームの休業により共働きの方々が影響を受けることになりますし、最悪の場合は弱毒性インフルエンザの恐怖に脅えすぎたために、感染してない老人が孤独死するなんてニュースが流れる日も近いかも...
もしくは共働きの人が職を失って、生活苦を理由に自殺!?
Posted by yochi at 2009年05月18日 23:44
最後に【 追記2 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年05月18日 23:50
精神衛生のため、物事のポジティブな面をできるだけ捉えるようにしています。
今度のことは、本当のパンデミックが発生したときの良いシュミレーションになったのではないでしょうか?
水際阻止の難しさとか、病院の対応の難しさとか、学べるたことはたくさんあって、この経験を今後のパンデミック対策に生かせるはずです。
Posted by T.M. at 2009年05月19日 11:34
自分は精神衛生のため、お役所とマスコミは信じないことにしています。信じていると大半裏切られると思うからです。
この世に真の正確な情報はないのかも知れませんね。
そういう意味で、今回のパニックを最悪の見方をすると、強毒性インフルエンザ(もしくは他の感染症)で同様の事が発生した場合、「2009年時は慌てすぎた。今回は静観しよう。」と考え、取るべき対策を何もしないかも知れませんね。
取る必要のない対策を無意味に行ってしまったツケは大変そうです。
Posted by yochi at 2009年05月19日 21:19
大阪府八尾市では保健所が新型インフルを診療した医師に脅しをかけ休業に追い込んでいます。

大阪府八尾保健所が診察の医師に休業求めるhttp://sankei.jp.msn.com/life/body/090520/bdy0905200112002-n1.htm
Posted by 智 at 2009年05月20日 11:33
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