2009年05月15日

◆ 過剰対応とパニック

 豚インフルエンザに対して過剰に対応することは、かえってパニックを引き起こす。パニックを避けようとする措置が、めぐりめぐって、かえってパニックを招く。 ──

 医師の診察拒否については、すでに先の項目で批判した。
   → パニックの弊害1医者のストは許されるか?

 ところが、本日( 15日)の新聞によると、医者は「診療拒否は当然だ」という声を上げているという。理由は、
 「自分が感染したら、自分も感染容疑者として隔離されてしまい、病院・診療所を 10日間も閉鎖される。その間、収入を失うが、所得補償をしてくれるのか?」
 というもの。(朝日・社会面 2009-05-15 )

 これはこれで、一理ある。感染容疑者(濃厚接触者)と見なされそうな医者が、そういう心配をするのも、当然かもしれない。

 ──

 しかし、よく考えると、そんな言い分は滅茶苦茶だとわかる。医者の屁理屈。
 そもそも、「感染症を治療する医者が感染容疑者とされる」という発想が変だ。そんなことを言い出せば、医者はあらゆる感染症患者の治療が不可能になる。特に、法定伝染病の患者の治療ができなくなる。
 一般に、感染症が出たときに、医者が感染症の患者を放置すれば、感染症はかえって拡大する。だから、医者は感染症を放置するべきではない。これが原則だ。( → パニックの弊害1
 だいたい、「感染症を治療する医者が感染容疑者とされる」のであれば、現在の豚インフルエンザの治療関係者はすべて感染容疑者とされてしまうだろう。現在でも医療関係者が患者を治療しているが、治療している医者が感染容疑者になるはずがない。そんなことを想定するのは馬鹿げている。「警官が銃をもっていると危険だから警官を逮捕する」という発想に似ている。(ありえないというより、あってはならない。社会的に。)
 
 ──

 では、ここでは、何が問題か?
 そもそも、「医者を隔離してしまう」というような発想は、普通は成立しないものだ。なのに、医者がそういう奇妙な心配をしているとしたら、それは、医者がパニック症状になっていることを意味する。
 とすれば、そういうふうにパニック症状になった医者の心(心配性の心)をケアするべきだ。感染者の体をケアするだけでなく、パニック症となった医者の心もケアするべきだ。
 つまり、パニックのときには、医者もまた(神経症的な)患者となるのである。そして、そういう神経症的な医者の心をケアする措置が必要だ。
( ※ 医者に注射する必要はないが、精神科医が緩和措置を取ってあげるといい。場合によっては精神安定剤を処方してあげるといい。   (^^)v )

 ──

 その意味では、「隔離されたら所得補償をしてくれ」というふうにパニック状態になった医者に対して、ちゃんと政府がそのことを保証してあげてもいいかもしれない。
 とにかく、どんな形であれ、パニック症状になった医者の心をケアするべきだ。(具体的な措置は関係者に任せる。所得補償でもいいし、代替医師の派遣でもいいし、病院は閉鎖しないという保証でもいい。……ただし、後述の案もある。)

 ──

 だが、それより前に、もっと大事なことがある。それは、政府そのものがパニック症状から脱することだ。
 前にも述べたように、「 10日間の隔離」は必要ない。これは、その後、「7日間の隔離」に変更されたが、これでもまだ長すぎる。もっと短くていい。
( ※ 詳しくは → 強制的な隔離は必要か? [後日記]

 政府の対応は、過剰すぎる。政府はもっと穏やかなガイドラインを出すべきだ。では、どんなふうに? 
 一般的に言えば、次のようにするといいだろう。
 「豚インフルエンザの感染容疑者を診る前に、医者はあらかじめ予防のためにリレンザを服用するべきだ。そのことで(万一感染した場合の)体内のウイルス増殖を防ぐ」


 これだけでいい。これで特に問題ないはずだ。医者は「所得補償をしてくれ」なんて大騒ぎするより、「リレンザの予防的服用」という医学措置を取るべきなのだ。
 そして、政府としては、「リレンザの予防的服用」という医学措置を取った医者には、所得補償でも何でもしてあげればいい。
 とはいえ、私の案では、(予防服用した感染容疑者には)隔離日数は3日間でしかないから、もともと所得補償の必要はないだろう。3日間ぐらい、臨時休業したって、どうってことはない。どうせ黄金週間には4日間も一斉休診するのだから。
( ※ 実を言えば、予防服用した医者は、隔離する必要すらない、と私は考えたい。)

 ──

 とにかく、医者であれ政府であれ、パニック症状になるべきではない。パニック症状になれば、真に大切な措置がとれなくなる。
 特に、政府が過剰な対応を取ると、医者が「閉鎖される」と怯えたあげく、診察拒否をするようになる。政府のパニック的な過剰対応が、医者のパニック的な過剰対応(診療拒否)を引き起こし、それがさらに社会の大々的なパニックを引き起こす。……つまり、パニックを避けようという政府の行動が、かえって社会にパニックを引き起こす。それもこれも、最初に政府の対応が過剰であったのが原因だ。

 政府がなすべきことは、もっと冷静になることだ。そのためには、「豚インフルエンザはすごく危険だ」という基本姿勢そのものを改めることが必要だ。
 危険でないものを危険視すれば、人々は過剰反応をして、神経症的な状態となり、正しい措置をとれなくなる。その結果、危険でないものから、危険な状況が発生してしまう。(ひょうたんから駒、みたいなものだ。)

 ──

 豚インフルエンザは、そもそも、「新型インフルエンザ」と呼ぶようなものではない。毎年のソ連風邪の亜型であるにすぎない。症状も大差ない。しかも、薬剤耐性がない分、通常の季節性インフルエンザよりもずっと対処しやすい。(タチがいいわけだ。悪性腫瘍でなく良性腫瘍だった、というようなもの。)
 ここでは、「危険なインフルエンザが出現した」と思うよりは、「制御しやすい好都合なインフルエンザが出現した」と思うべきだ。「おのれの愚かさのせいで、ウイルスがタミフル耐性をもってしまったのに、それを帳消しにしてくれるように、ふたたびタミフルの効く新ウイルスが出現してくれた。ありがたい」と思うべきだ。
(エラーをしてチームを敗戦に導きかけた駄目選手が、エラーを帳消しにする偶然の幸運に感謝するべき、というようなもの。)

 注目するべき点を間違えてはいけない。本当に問題なのは何か? そのウイルスが薬剤耐性を持つか否かだ。なのに、その点を見失い、「新型だから怖い、怖い」と騒いでいるのが現状だ。危険である(薬剤耐性がある)ものんを恐れず、危険のないものを恐れる。単に「新しいから」という理由で。
 とすれば、そういう白痴的な愚劣さを治療するのが先決だろう。新型インフルエンザよりよりも もっと怖いのは、愚劣さだ。そいつも伝染しやすいが、伝染させてはならない。(マスコミが伝染させるが。)

 ──

 ここで重要なことを述べよう。結論ふうに。
 豚インフルエンザについて大騒ぎするべきではない。なぜなら、もともと対処する必要がないからだ。
 なるほど、全然対処しなくていいということはないし、ちょっとは対処した方がいい。ただしここでは、対処の目的を間違えてはならない。
 対処の目的は、感染を絶対阻止することではない。感染いくらかを遅らせることだ。それだけだ。

 豚インフルエンザは、遅かれ早かれ、必ず流行する。その流行を少しだけ遅らせること。それが対処の目的だ。そして、その対処から漏れる形で、感染者が出たからといって、騒ぐ必要は全然ない。── 医師が感染しても構わない。一般市民が感染しても構わない。いくら感染者が出ても構わない。豚インフルエンザはペストではないのだ。感染者が市中に出回っても、死者は増えないし、それどころか、死者はかえって減るだろう。将来的に。(薬剤が効くので。)
 豚インフルエンザについては、感染者がどんどん出てもまったく問題ないのだ。これをペストのように誤解してはならない。やたらと危険視するのは誤解であるし、そういう誤解こそが危険だ。この誤解こそが、豚インフルエンザそのものよりも危険だ。

 しかし現実には、医師も政府もマスコミも世間も、誰もがこの誤解に感染している。妄想の感染。
 そして、このような妄想は、将来的に、ひどい結果をもたらすだろう。具体的には、パンデミックの被害という形で、人類に多大な死者をもたらすだろう。もはや、ただの混乱でなく、多大な人命の損失という形で、妄想のツケ払いを迫られるだろう。……この件は、次々項(次のパンデミックの予想)で述べる。

( ※ だからこそ、「豚インフルエンザは危険だ」という妄想をひろげてはならない、というのが結論となる。)
 


 【 参考 】

 マスコミの馬鹿騒ぎの例。
  → ZAKZAK「まるで犯罪者みたいな扱い」
 
 投機筋の馬鹿騒ぎの例
  → ZAKZAK「タミフル材料の価格高騰」
     材料の価格高騰だけでなく、タミフルの在庫が品切れに。
     タミフルは、季節性インフルエンザには無効だから、やがて
     余剰になるのだが、あせって高値づかみをする連中がいる。
     このサイトも、「今後の価格高騰は確実だ」と嘘を書く。
 
  → まのえり
     馬鹿騒ぎで辟易した気分のための 解毒剤。  (^^)
posted by 管理人 at 18:53| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
神戸市はもう万歳しました。
発熱外来に押し寄せる人が多すぎて、PCR検査ができないのです。新型インフルエンザの患者数の報道は全く無意味になりました。
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-844.html

今後関東で大騒ぎになるとおもいますが、新型に限らずインフルエンザ患者がかけるマスクはもうありません。

インフルエンザ以前に大人の百日咳が流行していますが、大人向け百日咳のワクチンはなんと日本では認可されていないそうです。
百日咳の死亡率は1〜2%で新型インフルの比ではありません。

これが茶番じゃなくてなんでしょうか?
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/whoop1.html
Posted by sugichan at 2009年05月21日 09:06
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