2009年05月14日

◆ 耐性ウイルスの抑止

 タミフルであれ、リレンザであれ、いずれよ薬剤にも耐性ウイルスは出現するだろう。では、耐性ウイルスの出現を抑止するには、どうすればいいか? ──

 インフルエンザ・ウイルスには、「耐性ができる」という問題がある。ソ連風邪のウイルスでは、すでに耐性ができている。豚インフルエンザのウイルスでは、耐性はまだだが、「タミフルの大量使用」という方針が推進されれば、遠からず耐性ウイルスは出現するだろう。

 これに対して、問題を緩和するために、私としては次の方針を出した。
  ・ 当面、タミフルよりは リレンザを使う。
  ・ 高齢者・幼児および重症者を除いて、どちらの薬も使わない。


 しかし、これも抜本的な対策とはならない。耐性ウイルスの出現を遅らせることができるだろうが、やがていつかは耐性ウイルスが出現しそうだ。
 では、抜本的な対策としては、どうすればいいか? 

 ──

 耐性の問題に対する有効な策としては、次の方法が知られている。
 「作用機序の異なる複数の薬を併用する」

 これはかなり有効だ。(どうして有効かは、ここでは説明しない。)
 では、この方法は、今回も有効か? 

 実は、タミフルとリレンザは、作用機序が同じである。とすれば、上記の方法は、使えない。ま、やらないよりはやった方がいいかもしれないが、あまり大きな効果は期待できそうにない。
 というわけで、上記の方法は、今のところは駄目だ。では、かわりに、どうすればいいか? 

 ──

 実は、タミフルとリレンザでないインフルエンザ薬(第3の薬)が、開発されている。
 特に有望なのは、次のものだ。
  → 富山化学工業 「T-705」
 これは、タミフルやリレンザとは、作用機序が異なる。また、鳥インフルエンザにも有効である。とすれば、これを利用することで、上記の方針をとれるはずだ。つまり、万々歳。

 なお、注意。「万々歳」というのは、「タミフルのかわりに T-705 を使え」ということではない。「作用機序の異なる薬ができるから、それを併用せよ」ということだ。勘違いしないでほしい。 
 とはいえ、現実には、その勘違いの方針が取られそうだ。つまり、「タミフルが効かない」という状況のもとで、「タミフルのかわりに新薬を使う」という方針が取られそうだ。(これと同じことは、すでにリレンザでなされている。)
 しかし、それでは駄目だ、というのが、本項の趣旨だ。「AのかわりにB」という方針では駄目なのだ。それではいたちごっこだ。
   A → B → C → ……
 ということを繰り返していけば、いつかは新薬が種切れになる。それではまずい。むしろ、最初から「多剤併用」をするべきなのだ。そうすれば、薬剤耐性ウイルスの出現は起こりにくい。
( ※ 1剤耐性ウイルスの出現は起こりやすいが、多剤耐性ウイルスの出現は起こりにくいからだ。)

 ────────────

 では、この薬は、実用化されるか? 
 2008年現在、臨床試験中ということだ。だが、2000年のプレスリリースのあとで、もう9年もたっている。何とか急げないものか。
 一般に、時間を節約するには、金をかけて(臨床試験の)サンプル数を増やせばいい。しかるに、その金をかけるのが、小さな一企業に任せられているから、社会全体が大損をするハメになる。情けない話。

 社会厚生の問題を、市場原理で一企業に任せることで解決しようというわけ。発想が根本的に狂っている。
 社会は頭を、もっとまともな方向に使ってもらいたいものだ。豚インフルエンザに怯えて大騒ぎするんじゃなくて、有益な薬の開発援助のために大騒ぎしてもらいたいものだ。



 [ 付記1 ]
 どうするべきかは、わかった。ただ、わかっても、それが実現するのは、容易ではないようだ。9年かけてもできないことが、今すぐ急にできるとは思えない。
 人類はタミフルとリレンザで、「耐性ウイルスによってその薬を無効にする」という愚を繰り返しつつある。そして、同じ愚を二度も繰り返すのであれば、「二度あることは三度ある」となり、新薬もまた耐性ウイルスによって無効化されるだろう。
 一番大切なのは、耐性をもたらさないようにすることだ。そのためには、二つ。
  ・ 多剤併用により、耐性ウイルスの出現を抑止する。
  ・ 乱用しない。
 この二点が大切だ。そして、乱用しないのであれば、(多剤併用なしで)リレンザだけでもそこそこ足りそうだ。
 とにかく、新薬開発よりももっと大切なのは、「乱用しない」という知恵を人類が持つことだ。その知恵がない限り、いくら新薬開発をしても、やがてはウイルスによって無効化される。
 人類よりも、ウイルスの方が賢いのかも。  (^^);

 [ 付記2 ]
 特に問題なのは、パンデミック対策だろう。新薬の開発は、次のパンデミックに間に合うか? 
 間に合うかもしれないが、間に合わない可能性もある。また、たとえ間に合ったとしても、今度は時期が早すぎるかもしれない。その新薬が出現したあと、新薬がしばらく(1剤だけ)乱用されていれば、その新薬にも耐性ウイルスができて、その新薬が無効化する。そうなると、新薬はパンデミックに対しても無効となってしまう。
 うまく行くとしたら、新薬が発売されたあと、新薬への耐性ウイルスが出現する前に、ちょうど端境期に、次のパンデミックが襲来する場合だ。── しかし、そううまく行くとも思えない。人間の都合に合わせて、ウイルスが人間のために配慮してくれるとは思えない。
 結局、耐性ウイルスの問題について解決するには、「多剤併用」と「乱用の停止」が必要だ。
 なお、「乱用の停止」という件は、翌日の分(次々項)も参照。



  【 関連項目 】
 タミフルやリレンザにかわる新薬については、前にも述べたことがある。
  → タミフル / ワクチン (インフルエンザ)
  → パンデミック・ワクチン
posted by 管理人 at 19:14| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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