2009年05月13日

◆ 豚インフルエンザとリレンザ

 豚インフルエンザに有効な薬は、タミフルだけなく、リレンザもある。
 当面、タミフルより、リレンザを使う方が好ましい。 ──

 日本では報道されていないようだが、豚インフルエンザには(タミフルでなく)リレンザも有効である。このことは、ネットを検索すれば、容易にわかる。
  → 検索 「swine-flu relenza」

 そこから該当ページをいくつか列挙しよう。
  → ページ 1ページ 2ページ 3
 
 それぞれのページで、「relenza」という語を検索すれば、すぐにわかる。タミフルとリレンザは、ともに豚インフルエンザに有効である。

 ──

 ここから得られる結論は、次のことだ。
 「豚インフルエンザの治療・予防のためには、タミフルとリレンザのどちらを使ってもいい」

 これは、不思議ではない。タミフルとリレンザとは、作用機序は同じであるからだ。両者はほとんど兄弟と言ってもいいくらい似ている。あるいは、二卵性双生児みたいなものだ。あるいは、一卵性双生児が別の環境で育ったようなものだ。
 ほとんど同じ薬なのだから、ほとんど同じように有効であっても不思議ではない。

 ──

 医者としては、そのどちらを使ってもいい、と考えるだろう。ただし現実には、「タミフルの方がいい」と思いがちだ。というのは、タミフルの方が飲みやすいからだ。
 確かに、薬としては、リレンザよりもタミフルの方が便利だろう。
 しかし、である。その便利さゆえ、「今はタミフルよりもリレンザの方を使うべきだ」と私は考える。

 なぜか? それは、「おいしいものはあとに残した方がいい」という発想だ。
 そして、それがどこから来るかというと、次のことから来る。
 「将来的には、豚インフルエンザの大流行が起こる。とすれば、そのときまで、タミフルは温存しておいた方がいい」

 
 一般に、一番大切なものは、早出ししない方がいい。野球だって、一番優秀なクローザーは最後に出す。最初からクローザーを出すようなことはしない。そんなことをすれば、無駄になりかねず、もったいない。
 インフルエンザの治療薬も同様だ。一番便利なものは、一番最後まで取っておいた方がいい。……これは、目先の患者の医療のためではなく、社会のための政策だ。(医者の発想ではなく、社会厚生の発想。)

 ──

 今秋以降、豚インフルエンザの大流行が予想される。それにともなって、次のことが問題となる。
  ・ タミフルを使いすぎると、耐性ウイルスが出る。
  ・ 耐性ウイルスが出ると、タミフルは使えなくなる。
  ・ タミフルが使えなくなると、高齢者や幼児にとっては不便だ。


 この問題を解決するには、次のようにすればいい。
  ・ 当面は、青壮年が多く感染しているから、リレンザを処方する。
  ・ そのことで、タミフル耐性ウイルスの出現を遅らせる。
  ・ 今秋以降も、青壮年には、原則、リレンザを処方する。
  ・ 季節性インフルエンザの場合、タミフルは無効だろうから、
   その場合も、リレンザを処方するのが妥当だ。
  ・ リレンザを処方するのであれば、インフルエンザのタイプを
   検査で決定する手間が省ける。(どっちも有効だから。)
  ・ 高齢者や幼児の場合のみ、タミフルを処方する。


 以上で問題ないはずだ。
 逆に、以上のようにしない場合、次のことが予想される。
 「タミフルを大量に使用しすぎたあげく、タミフル耐性ウイルスが出現する。その時点で、リレンザに交替しようとするが、リレンザの備蓄は十分ではなく、備蓄不足に陥る。その一方で、タミフルの備蓄は大量にある。役立たずの備蓄は山のようにあり、必要なリレンザはまったく不足する」

 これは困る。だから、こういう事態を避けるべきだ。

 ──

 以上に述べたことの意義は、次のようになる。解説ふうに示す。
  • 流行しかけた初期は、備蓄の少ない方(つまりリレンザ)で済ませる。
  • リレンザを使っているうちに、リレンザ耐性ウイルスが出現するだろう。そうなったら、タミフルに切り替えればいい。
  • ちょうどそのころ、インフルエンザの流行は大規模になり、治療薬が大幅に必要になるだろう。その時点では、大量に備蓄されたタミフルを使えばいい。
 つまり、どの時期にどの薬を使うかは、備蓄の量に左右される。備蓄の少ないものは、流行前に。備蓄の多いものは、流行中に。そういうふうに使い分ける。
 以上が本項の提案だ。



 [ 付記 ]
 本項では、社会的な備蓄の観点から、「リレンザの方がいい」と結論する。
 一方、一人一人の便益の観点からも、「リレンザの方がいい」と結論できる。この点は、次項 で述べる。
posted by 管理人 at 19:20| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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