2009年05月11日

◆ 医者のストは許されるか?

 前項の続き。 医者のストライキは許されるか? もちろん、許されない。
 しかし黄金週間には、医者は実質的にストライキをしているも同然だ。
 しかも将来、豚インフルエンザが流行した時期にも、医者のストライキが起こりそうだ。「診察拒否」という形で。 ──

 医者のストライキは許されるか? ── これは、本項のテーマではない。テーマではなくて、話の取っかかりだ。三題噺に似ているが、
  ・ 医者のストライキ
  ・ 黄金週間の一斉休診
  ・ 豚インフルエンザの診察拒否

 を三つ並べて、論じたい。

  ────────────

 (1) 医者のストライキ

 医者のストライキは、許されるか? これは、倫理的にも法律的にも、許されないだろう。
 倫理的に言えば、「ヒポクラテスの誓い」というものがある。当然ながら、医者には診療義務がある。正確には、応召義務だ。( → Wikipedia
 もうちょっと細かく論じたこともある。下記項目。
   → 医師三原則
 ここには、次のことが核心として示してある。
 「第2条  [本質] 医師は患者の要望を受けて、治療しなければならない。ただし、治療内容については患者の命令を受けない。」


 ま、この件は、本項の話題ではないので、これ以上は言及しないでおく。ともあれ、根拠は何であれ、結論としては、
 「医者にストライキは許されない」

 と言えるわけだ。

 (2) 黄金週間の一斉休診

 連休中には、多くの病院や診療所が一斉休診の状態になった。これはもはや全員でのストライキ(同盟罷業)に近い。特定の病院だけでストをするのならともかく、業種の全員でストをするような事態だ。
 これを見ればわかるとおり、「医者にストライキは許されない」という原則は、現実的には踏みにじられている。そういう現実がある。
( ※ この件は、話が込み入るので、翌日の項目で詳しく解説する。)

 (3) 豚インフルエンザの診察拒否

 いよいよ本題だ。
  「医者にストライキは許されない」
 という原則は、黄金週間で踏みにじられているだけではない。豚インフルエンザの事例でも、踏みにじられるだろう。将来的に。
 その根拠は? 先日にも述べたが、「医師の診察拒否」だ。
   → パニックの弊害1
 ここでは現実に、医師の診察拒否が起こっている。これが問題だ。

 ただし、医師の診察拒否という現実があっても、私の意図は、医師を強く批判することではない。医師もまた無知ゆえに、怯えて、怖がっているのだろう。その無知の度合いは、医師もマスコミも政府も同罪だ。
 とすれば、私としては、無知であることを強く非難するつもりはない。(馬鹿を非難しても仕方ない、ということ。頭が悪いという理由で、馬鹿を非難するつもりはありません。)

 ──

 では、何が問題か? 間違いをしたことではなく、間違いを認めずに自己正当化をすることだ。馬鹿が失敗をするのは仕方ないが、馬鹿が馬鹿を正当化することは許されない。特に、それが人を殺すようなことであれば。(たとえ未必の故意であっても。)

 この問題は、「ネット上における医師の自己正当化」という形で見られる。診察拒否という事例があったとき、「それはけしからん」「そんなことをするやつは馬鹿だ」と呆れるかわりに、「それは当然だ」と正当化する。のみならず、「それは正当だから、自分もまた診察拒否します」と明言する。── こうして、法律違反と殺人とを正当化する。
 このように犯罪を擁護する風潮がネット上にひろがっているのだ。「診察拒否は当然のことだ」という正当化によって。(違法行為と殺人の正当化。)

 ──

 では、どうしてこういうことが起こるのか? 彼らが「診療拒否」という犯罪をする根拠は? こうだ。
 「厚労省の指導するとおりの形(完璧な形)では、診察できません」


 しかし、これは、理屈になっていない。ここから得られる結論は、次のことだ。
 「厚労省の指導するとは異なる形(現実的な形)で、自分の適切と考える方法と範囲で、診察します」


 ところが、そういうふうには語らず、次のように主張する。
 「一切の診察を拒否します」

 ここには、とんでもない論理の飛躍がある。

 彼らは、次のように弁明する。
 「豚インフルエンザの患者を、厚労省の指針の通りに診ることはとても不可能だ」

 何を言っているんですか? 医者は厚労省の職員か? 厚労省から月給をもらっているサラリーマンで、厚労省に唯々諾々と従うことが仕事なのか? 違うでしょう。
 医者の仕事は、医療をして、患者を救うことだ。そして、そのためには、厚労省の指針はあくまでガイドラインにすぎない。ガイドラインに従わなかったからといって、厚労省からクビにされるわけじゃない。
 医者は、厚労省の指針の通りに診ることはできなければ、できる範囲内で、なすべきことをなせばいいのだ。厚労省に言われたことをすればいいのではなく、できる範囲で最善のことをすればいいのだ。そんなことは、大学で学ばなかったのか? なのに、
 「完璧なことができないから、診察拒否します」
 「政府の指針の通りにできないから、診察拒否します」
 「診察拒否するのが、医者として最も正当なことなのです」
 こんなことを言っている。こんな医者は、どうかしている。あげく、あろうことか、それを指摘する私に向かって、「素人が何を言うか」というようなことを言い出す。

 いったい、どっちが素人だか。医者は、医学のことは知っていても、社会医療政策については素人なのだ。医療については医学知識があればいいとだけ思っていて、もっと大切な「人の生命を救う」という真の目的を忘れてしまっているのだ。
 そういう医者が多すぎる。頭でっかちで、人間よりも知識を重視する医者が。
( ※ この件は、社会医療政策の問題として、次項で述べる。)



 [ 付記 ]
 もう少し、細かな話を続ける。
 毎日新聞(および他のマスコミ)で、診察拒否の問題が報道された。これに対して、ネット上で、医者による批判が出た。その批判は、二通りある。
  ・ 診察拒否自体を肯定する。
  ・ 毎日新聞の報道を否定する。


 前者は、厚労省の方針について、「そのとおりにはできない」といちゃもんをつける。すでに上記で述べたとおり。
 後者は、マスコミの報道に対して、「根拠不足だ」といちゃもんをつける。報道について、事実確認のあやふやさを問い詰める。

 この両者がある。そして、それぞれの立場から、私のサイトのコメント欄で文句を言ったりする。
 ただし、よく考えると、この両者は私を批判するよりも、それぞれたがいに相手を批判するべきなのだ。特に、次のようにするべきだ。
 「 後者ならば、前者を批判するべきだ」
 理由は、次の通り。

 後者は、マスコミの報道を批判する。「マスコミの報道には根拠がない」という主張。
 しかし、前者(診察拒否の正当化)を見るがいい。マスコミの報道には根拠がある、とわかる。なぜなら、前者の見解があるから。
 前者の医者たちは、「診察拒否をするのは当然だ」と主張している。とすれば、マスコミの主張には、十分に根拠があるのだ。「診察拒否をしたがる医者はたくさんいる」ということが明白にネット上で示されているのだから。
 ゆえに、マスコミの報道は、十分に信頼性がある。決して例外ではなく、それを補強する犯罪的な医者がたくさんいるからだ。

 両者は、本来、たがいに相手を非難するべきだ。なのに、この両者は、たがいに、つるんでいる。不可侵条約を結んでいるかのごとく、おたがいに批判し合わない。
 そして、かわりに、私のサイトに来て、私に文句を言ってくる。私ばかりが文句を言われる。ま、私が両方をまとめて非難しているせいでもあるが。
 しかし、それぞれ、批判するべき相手を間違えないでほしいね。両者はたがいに矛盾しているのだ。とすれば、両者は、勝手にいがみ合っていればいいのだ。私のサイトには来ないでほしいね。   (^^);

 【 追記 】
 医者の診察拒否は、犯罪である。それは、「応召義務に反する」という形式的な犯罪だけでなく、「殺人」「傷害」という実質的な犯罪性をも意味する。
 ただし、こう言うと、医者は反発するだろう。
 「何もしないということが、どうして犯罪なのか? 積極的に何かをするわけではなく、ただ何もしないでいるということが、どうして犯罪なのか?」

 それは反語のつもりなのだろうが、むしろ自分自身で、疑問に回答を与えればいい。それができなければ、私が教えよう。こうだ。
 「医者は何もしないというが、素人が何もしないのとは違う。医者は病院で『診療します』という看板を掲げている。その看板を掲げているから、患者は訪れるのだ。何もしないのであれば、その看板を下ろすべき。つまり、病院を閉鎖するべき」

 つまり、「病院を閉鎖する」という前提でのみ、「何もしない」ということは許容されるようになる。医者が廃業して、医者であることをやめたなら、何もしないことは許容される。
 しかし、医者が医者の看板を掲げて、病院が病院の看板を掲げている限りは、「何もしないこと」は、「放置すること」を意味するから、犯罪なのだ。
 だから、「何もしない」ということを正当化したければ、「何もしない」ということを正式に決めればいい。つまり、医師免許を返上して、廃業すればいい。(病院ならば閉鎖する。)
 そして、それができないのであれば、ただのご都合主義にすぎないのだ。
 「こちらの人については、医者になります」
 「こちらの人については、医者でないフリをします。死んだふり」
 死んだフリをしたけりゃ、ずっと死んだフリをしていろ、生き返るな、というのが、私の言い分だ。   (^^);
( ※ 私は別に、医者を殺したいわけじゃない。しかし、「おまえなんか死んでしまえ」と言われれば、医者は怒るだろう。……その意味で、医者もまた、「死んでしまえ」と言われた患者の気持ちを、理解してほしいものだ。)



  ※ 以下は読む必要がありません。

 [ 蛇足 ]
 ついでに、イヤミふうの話。
 すぐ上で述べたように、前者と後者は、なれ合っている。いがみあって当然なのに、なれあっている。それは、どうしてか? 
 これは不思議に思える。そこで、私は推察しておこう。こうだ。
 「彼らには共通性がある。それは、オタク医者だということだ」
 つまり、どちらもオタクだから、オタク同士ではつるんで、喧嘩をしないようにしているわけ。── そういうことだろう。たぶん。   (^^);
 ちなみに、こういう連中にはオタクが多い、という傾向は、ネット上でかなり見られる。
 たとえば、あるトンデモマニアの医者は、自分のブログで「メガネっ娘萌え」の話を大々的に書いている。というか、人々に「メガネっ娘萌え」を推奨している。恥ずかしげもなく。そんなことを告白して書けば、常識的な人々から「キモイ」と思われるのだが、そんなことすら理解できないわけ。社会的常識の欠落。しかも、それを読んで喜んでいる読者も多いらしい。医者のくせに。
 こういうふうに世間常識を欠いた医者たちがつるんでいる。だから、「診察拒否」という異常行為が医者の間ではびこっても、オタクっぽい医者たちは、その異常さにちっとも気づかないのだろう。常識から届く声を聞く耳も もたずに。

 はっきり言って、「メガネっ娘萌え」なんてのを告白するのは、「女装趣味」を告白するのと同じぐらい、恥ずかしいことだ。ロリコンと同じ。大のおとなが やることじゃない。精神が病んでいるね。
 現代社会の病理は、医者をも覆い尽くしている、というわけ。そして、その被害が、「診察拒否」という形で、社会に覆いかぶさるわけだ。

(注。「メガネっ娘萌え」が悪いのは、メガネが悪いんじゃない。念のため。……異常なのは、「メガネ」でなく「萌え」である。特に、そんなことを恥ずかしげもなく公言することである。……ま、ローゼン閣下の精神が歪んでいるのと同じ。)

 《 余談 》

 私は医者の悪口ばかり言っているようだが、医者が嫌いなわけじゃない。むしろその逆だ。私の身近には医者がいっぱいいるし、聖人のように立派な医者もいる。
 そういう立派な医者に比べると、診察拒否をする医者は、あまりにも情けない。こういう医者のせいで、医者全体が白い目を向けられるようになると思うと、いたたまれない。
 そういうわけで、情けない医者を見ると、腹が立って仕方なくなるわけだ。(私は人格者じゃないな。)
posted by 管理人 at 19:40| Comment(7) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
取り敢えず「医療ミス(院内感染の責任)」で逮捕してしまう様な警察が居る間は改善されないでしょうね。
「大騒ぎするような事でない」とアピールすべき医療関係者が周囲の騒動に乗って自己防衛に走るのは情け無いとも言えるし、やはりマスコミが正常に機能するどころか大いに有害に機能していることが原因とも言えるし、困ったものです。
Posted by yochi at 2009年05月11日 23:19
後半に 【 追記 】 を加筆しました。
 最後に 《 余談 》 を加筆しました。

 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年05月12日 00:00
医者に関して言えば、偏差値エリートの比重が高まるにつれて人間的には劣化していますね。昔は医者の馬鹿息子ってありましたが、馬鹿でも、親の背中を見て育った二世医者はそれなりに尊敬できる面もありました。

医者なんて職業は偏差値が60あれば十分勤まるもので、それ以上に人格的な比重が大きい。ところが、最近は、医療分野以外の研究者は(マスコミの悲観報道によって)夢を奪われ、結果的に理系志望者が医学部に集中し偏差値が70以上ないと庶民は医者になれなくなった。

偏差値70以上の理系なんて大半が対人面よりも機械いじりが好きな狂人なんですが、こういうのばかり医者になってもらっては困ります。
Posted by タカダ at 2009年05月12日 01:40
お医者さんもストライキが出来ないのは重々承知していると思います。
病院に勤務している医師に出来ることは職場を去ることだけです。
そうやって、医師がどんどん病院からいなくなって不幸になるのは利用者の私たちではないでしょうか?
Posted by ムネアキ at 2009年05月13日 00:09
ムネアキさんへ。

それが「医者はいっぱい働け」という意見への反論であれば、そのとおりですし、私も同じことを何度も書いていますよ。(泉の波立ちで。)

この話題は、全然別の話題です。次項で述べたとおりです。そちらを読んでください。

(つまり、休日の日数は同じで、日をずらすことだけ。日をずらして高給をもらうのがいやだから、医者をやめる、なんてありえない。)
Posted by 管理人 at 2009年05月13日 00:21
こんばんわ。はじめまして。ちょっとお邪魔させていただきます。
自分は勤務医であります。
ブログ拝見させていただきました。

あなたのおっしゃる、医師のストライキが許されないのはあくまで「倫理的な問題」であって、多分法律では禁じられてはいなかったと思います。(勉強不足で申し訳ございません)
医師3原則第2条で禁じられていると、あなたは論じておりますが、あくまで、これは「原則」であります。これに反してもおそらくは罰則はなかったと思います。罰則のない原則など無きに等しいですからね。

自分はもちろん医師のストライキには賛成する立場ではありませんが、あまり理不尽な医療費削減などが起きれば将来的にはストライキなどが日本でも起きるかもしれません。海外では医師がストライキを起こした例があるようです。

ちなみに、今言った「理不尽」というのは、例えば、普通、レストランがメニューの値段を決めるのは、例えばその時の野菜や肉の値段が反映されますし、消費税率などが反映されて、メニューの値段が決められるわけです。しかしながら、医療では、消費税率が上がろうが、使用する医療機器の道具の値段が上がろうが、治療する病名で国から医療機関に支払われる医療費が決まるわけです。レストランで言うとメニューの値段が勝手に国で決められてしまうのと一緒です。

こんな馬鹿げた、国が勝手に値段を決めれてしまうものはほかにあるでしょうか?医療費削減の名もと、このようなことがまかり通り、医療スタッフが雇えず、その結果医療スタッフが不足して、色々な診療にしわ寄せがきているのが現状と思います。

それと、全然関係ない話かもしれませんが、日本の医療は他国に比べるとはるかに恵まれています。よく米国の医療が称賛されていますが、米国では医療を受けるのに多額の医療費を患者が負担しているのです。日本人の多くはそれをみて米国の医療を羨ましがっているのです。ちなみに日本の医療費は米国よりはるかに、不当なくらい安いです。悪い表現をすると、日本人はエコノミークラスの料金しか払っていないのに、ビジネスクラスのサービスを要求しているのです。日本人はビジネスクラスの料金を支払ってビジネスクラスのサービスを受けている米国人を羨ましがっているのです。医師が高給取りであることを批判する意見が良く言われますが、命に対して責任ある医師が他の職種より高給取りであることは当然と思いますし、これでも米国医師よりもはるかに安い給料なのであります。この米国に比べて安い給料で働いているからこそ、安い医療費で受診できるのが日本では可能なのです。

医師に対する批判が色々とあるのは当然ですし、批判されてもしょうがない医師もいるのは現実であります。ただ、大多数の医師が使命感を持って頑張っていると思います。ただ、その他国医師から比べるとあまり高くもない給料で働いてきた日本の医師の使命感をくじいてきたのは、今まで見られてきたようなマスコミによる過剰な医師叩きでした。医師叩きもほどほどにしないと、今後、日本の医療が立ち行かなくなるかもしれません。何故なら自分たちはストライキは起こさないかもしれませんが、リスクのある現場から「立ち去る」事は可能ですので。現にリスクの伴う症例に対して、批判を恐れて治療がなされていない現実があります。いわゆる委縮医療ですね。

ちなみに、自分は循環器の分野で一生懸命日夜頑張っているものです。世界に誇れる日本の医療が、今後とも持続可能なものになっていくように願っております。

長々とありがとうございました。
Posted by 通りすがりの者 at 2013年02月08日 19:29
ご意見はごもっともですが、そのような方針は本サイトの方針でもあります。近いうち、「少子化対策で産科医のの待遇を改善せよ」という趣旨の話も書くつもり。
 本サイトは原則的に激務の医師の味方です。ご指摘の件は本サイトでも何度か書いています。たとえばここ。
  → http://openblog.meblog.biz/article/11280576.html


 本項では例外的に医師に厳しく書いていますが、それは、本項の話題が「医師による診療拒否」という方針を、医師の側が示したからです。「そんな馬鹿な」と思うかもしれないが、日付を見てください。2009年05月11日です。つまり、豚インフルエンザパニックが起こったときです。「豚インフルエンザに感染するのが怖いから、豚インフルエンザの患者を診療するのはお断り」と医師が言い出したときです。その事例は前項に記してあるから、前項を読んでください。
 本項は前項の続きです。
Posted by 管理人 at 2013年02月08日 22:39
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