2009年05月10日

◆ 強制的な隔離は必要か?

 現在、豚インフルエンザの感染者が海外から国内に流入した。感染容疑者は強制的に隔離される。では、その必要性はあるか? (短期的な対策について論じる。) ──

 感染者が病院に隔離される形で治療を受けるだけでなく、感染容疑者(感染者のそばにいた人)まで、強制的に隔離される。感染の事実が認められていないし、結果的には 99%まで「感染せず」になるだろうが、それでも多数の人々が強制的に隔離される。
  ・ 十日間、ホテルの個室に閉じ込められる。
  ・ 勝手に外出した場合、処罰。(懲役1年以下 or 罰金百万円以下)

 このような強制措置は必要だろうか?
 「否」というのが、私の判断だ。このようなことは、必要でないばかりか、かえって有害であり、結果的には、社会に大きな害悪をもたらすだろう。

 ──

 (1) 必要ない

 まず、必要性はない。つまり、隔離することのメリットはない。
 ただし、ここで言うのは、「上記のように大々的に隔離する必要はない」ということであり、「まったく隔離する必要がない」ということではない。隔離するとしても、小規模でいい。
 第1に、10日間も隔離する必要はない。潜伏期は3〜7日間なのだから、長くても7日間の隔離でいい。
 第2に、タミフルを飲めば、期間を短縮できる。この点を論じよう。

 一般的には、国民全員が予防的にタミフルを飲むことは、とても推奨されない。
 だが、今回のように感染の容疑の高い人だけが予防的にタミフルを飲むことは、それなりに合理的だ。(タミフルは予防薬の効能がある。 → Wikipedia )
 とすれば、そうすることは選択肢に入っていていい。保険は利かないが、国家が費用を負担すればいい。

 現状では、十日間のホテル代や諸経費をすべて国家が負担しているが、時間的にも金銭的にも馬鹿げている。本人としても、十日間も人生の時間を奪われるのは、きつい。今回の高校生の場合、これが理由で大学受験に失敗する可能性もある。もし「タミフルを飲めば期間を短縮していい」という選択肢が与えられれば、その選択肢を取る人も多いはずだ。
 特に、「タミフルを飲まなければ、発症の危険性がある」のであれば、なおさらだ。(タミフルをワクチンか血清のようなものだと考えればいい。それを注射すれば、蛇の毒物を解毒できるのであれば、蛇に噛まれたあとは、それを注射するのが妥当だ。)
 そもそもタミフルは、発症の初期ほど有効だ。ウイルスが増殖してからタミフルで治療するよりは、ウイルスが感染した初期のうちに治療する方が、治療日数は短縮できるはずだ。発症してから飲むのでは五日間の服用が必要だが、発症する前に飲むのであれば、三日間程度で済むはずだ。その点でも、早期のタミフル服用が合理的だと思える。
 私としては、次のことをガイドラインとしたい。
 「隔離は三日間。四日目と五日目は、タミフルを服用しながら、自宅静養で、外出はしない。六日目以降は、外出してもよい」

 とにかく、大々的な隔離は、まったく必要ない。そのくせ、タミフル服用という予防措置は取られていないらしい。だから十日間も隔離するハメになる。馬鹿馬鹿しい。

 【 追記 】
 上記の記述は、若干、不正確なところがあった。
 実は、「タミフルを服用する」という選択肢は、感染容疑者に与えられている。( → 読売・朝刊・社会面 2009-05-10 )
 ただし、それを服用しても、どっちみち 10日間の隔離を強制される。それゆえ、「副作用のある薬は飲みたくない」ということになるそうだ。
 本項の趣旨は、「タミフルを飲んで期間短縮」だが、「タミフルを飲んでも期間短縮なし」という変な方針が現実には採られている。


 (2) 有害である

 強制的に長期間の隔離をすることは、メリットがないだけでなく、デメリットがある。つまり、有害だ。どういうふうに有害であるかというと、「社会に過剰反応を引き起こして、パニックをもたらしがちになる」ということだ。
 今回の例でも、新聞は一面で大々的に報道している。( → あらたにす の各紙報道 )
 こんな扱いは、馬鹿げている。まるでペストか何かに反応するかのようだ。豚インフルエンザは、ありふれたインフルエンザの一種であり、ペストなんかではないのだが。
 豚インフルエンザは、遅かれ早かれ、いつかは世界中に流行する。そして、そうなっても、どうってことはない。従来のソ連風邪というインフルエンザが流行するのと、ほとんど同じだ。

 強いて違いがあるとすれば、次の点だ。
 「流行の初期は、病原性が強く、病状が重くなる。下痢などの重い症状を起こしがちだ」

 最初の一年ぐらいは、この問題があるだろう。とはいえ、翌年以降では、病状も軽くなり、ただのインフルエンザになるはずだ。そんなものを、ペストかなんかのごとく大々的に扱うのは、とんでもない間違いだ。

 「それでもおおげさに危険を警告した方がいい」
 という発想もあるかもしれない。だが、危険でもないものを危険扱いして狼狽すれば、狼狽ゆえの問題(パニック)がいろいろと起こるだろう。
 特に問題なのは、今秋以降だ。今は特定の患者(少数)が感染しているだけだから、世間の人々は他人事ふうに感じている。しかし、今秋以降では、豚インフルエンザは世界中で流行していくだろうし、日本でもやがては流行して、多数が感染するはずだ。── そのとき、「豚インフルエンザが大流行した、大変だ」などと大騒ぎすれば、社会はパニック状態になる。

 たとえば、「感染者を全員隔離せよ」というような方針が取られたら、隔離しきれない患者が続出するし、そのせいで、感染していない人々は怯えてしまう。
 「人々がどんどんゾンビになっていく! 自分もゾンビになる!」
 と思って大騒ぎするようなものだ。とにかく、「あっちもこっちも豚インフルエンザの患者だらけ」という状況になるのは不可避なのに、それで大騒ぎするとしたら、社会は大混乱に陥るだろう。あまりにも馬鹿げている。

 だから、大切なのは、豚インフルエンザの感染を阻止することではなくて、豚インフルエンザによるパニックを避けることなのだ。まるで「そんなの関係ねえ」というかのごとく、「大したことねえ」と腹を据えることなのだ。
 しかるに、現状では、マスコミはその正反対のことをやっている。「感染者が出た」と大騒ぎしている。「感染者が出たことなどどうってことはない」と教えるべきなのに、「感染者が出たことは大変だ」と騒いでいる。
 これではあえてパニックを引き起こすことになる。社会的な自殺行為だ。マスコミが社会を破滅させる。……豚インフルエンザよりも危険なのは、マスコミに煽動された過剰反応によるパニックなのだ。

( ※ これは自殺行為みたいなもの。医学的には自己免疫に似ている。ウイルスのせいで病気になるのではなく、自分自身の過剰反応のせいで病気になる。 → Wikipedia
( ※ こういう知識を持たない阿呆が、「危険への過剰反応はすべて素晴らしい」「免疫はすべて素晴らしい」とか、単純に素人判断して、自殺行為に至る。)

 ──

 結論。

 今は世間は、感染者が出たということで、大騒ぎしている。しかし、こんなことだと、今秋以降、感染者が続出したときに、パニックになりかねない。
 その意味でも、今のうちに、パニックの予防措置を取るべきだ。つまり、「こんなふうに大騒ぎする必要はない」ということを、周知徹底するべきだ。国としては水際での阻止という行政措置を取るべきだが、一般人はそんなことに一喜一憂するべきではない。むしろ肝っ玉を太くする訓練をするべきだ。将来のために。
 にもかかわらず、現実は、それとは正反対である。これはパニックをめざす道だ。地獄への道だ。この現状を認識して、この現状を正す必要がある。

 ──

 肝心のことは、すでに論じた。ついでに一言。
 今は五月であるし、本日 10日から、気温が急にポカポカして、夏みたいになった。これを書いている私は、半袖・半ズボンだ。 (^^);
 こうなると、二次感染の危険性はさらに低くなるし、インフルエンザの流行の危険性は激減する。この温暖湿潤な気候まで考えると、大騒ぎする必要性はもはやほとんどないと言えるだろう。
( ※ ただし、北日本の寒冷地域の場合を除く。そこはポカポカではあるまい。)
( ※ 今回のカナダは、時期的にも地理的にもちょっとだけ寒かったから、もともと感染のリスクはあった。何もこんなときにカナダの空港を通らなくても……と思いたくなるね。せめてずっとマスクをし続けていればよかったのに。)
 
 ────────────

 【 後日記 】 ( 2009-05-14 )
 政府は、隔離日数を 10日間から7日間に短縮した。(13日発表)
 これは潜伏期間が最大でも7日間だという米国の調査を受けてのもの。
 ( ※ ただし、私見では、薬剤を服用すれば もっと短縮できるはずだ。
     リレンザの服用日数は5日間だから、ガイドラインはこうだ。
       ・ 発症後なら、5日間。
       ・ 発症前なら、3〜4日間。
     このくらい服用すればいい。隔離日数もそれだけでいいだろう。)
 ( ※ なお、このガイドラインは、上の本文で示したガイドラインと、
     ちょっとだけ違う。どっちがいいかは、判断しだいとなる。)



  ※ 以下は細かな話。読まなくてもよい。

 [ 付記1 ]
 今回の件では、感染容疑者の一人がすでに感染したと判明した。先に判明した高校生の同乗者。
  → 日経ネット
 感染が確認された3人と一緒に渡航していた高校生1人も新型に感染していることを確認した。男子高校生は、3人から感染した可能性がある「濃厚接触者」として9日に検疫法に基づき、一般の乗客と離して足止めさせる「停留措置」となっていたが、体調不良を訴えていた。男子高校生は最初に感染が疑われた男子高校生とすぐ近くの席に座っていたが、機内で感染したかは不明。
 こういう話を読んで、パニックにならないようにしよう。
 第1に、私の案でも、最初の数日間は隔離されることになっている。どっちみち発見されるはずだ。
 第2に、(潜伏期間からして)この新たな感染者は、海外で感染した可能性が高い。機内で感染したとは言えないだろう。もし機内で感染したのなら、もっと多数が感染していたはずだ。それより、最初の高校生一人だけが感染した、という方が、不自然だ。団体行動を取っているのだから、最初から複数の感染者が出現した、と考える方が妥当だろう。

 というわけで、たいして騒ぐほどのことではない。機内で流行が起こったのではなく、カナダの空港あたりにウイルスがたくさんあった、と考える方が合理的だ。

 [ 付記2 ]
 注意点を一つ。
 一般に、飛行機の機内というのは、気圧が低く、湿度も低い。湿度が低いのは、ウイルスの繁殖を高める効果がある。航空機会社は、機内の温度と湿度を高める措置を取った方がいいだろう。いくらかコストがかかるだろうが、それを宣伝ポイントにすれば、かえって集客効果が見込める。
 「安全のために、他社ではなく当社の飛行機に乗りましょう」
 というキャンペーン。これは、有益ですね。マスコミの馬鹿らしいキャンペーンと違って。
 
 《 参考 》
 http://rupanyoshi.exblog.jp/2770871/
 (飛行機では喉が渇く、という話。)
 http://www.mcfh.net/travel/trip/post_38.html
 ("Water please" と頼めば、すぐに持ってきてくれます。)
 http://hang-out.eigoya.net/pronounce/central.html
 ( Water は ワラ と発音する。)

 ***** 出典不明の私の覚え書き *****
 ( Waterを日本人が聞くと Water と聞こえるが、日本人が ワラ と発音しても米国人には通じない。両者は似て非なる発音だ。似ていることは似ているが。最善の策は、水を飲むジェスチャーをしながら  と言うことだ。 Waterを W と書けば通じるか? まさか。2ちゃんねる じゃないし。笑。)
posted by 管理人 at 23:58| Comment(2) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
真ん中へんに 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年05月10日 19:12
感染者に対する「濃厚接触者」という用語に関して。

 オバマがクリントンについて語ったジョーク。
 "The second she got back from Mexico, she pulled me into a hug and gave me a big kiss and told me I better get down there myself."

http://www.nydailynews.com/news/politics/2009/05/10/2009-05-10_barack_makes_dc_jollies_keeps_em_laughing_at_first_white_house_press_dinner.html
Posted by 管理人 at 2009年05月10日 23:30
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