2009年05月09日

◆ 豚インフルエンザの流行予測

 豚インフルエンザは、今後どうなるか? 「秋以降の流行」を予測しておこう。 ──

 豚インフルエンザは、それ自体は、特に大きな病気ではない。致死率は低い。
 とはいえ、下痢という症状は大きいし、下痢を放置すれば、死に至ることもある。甘い病気でもない。
 ただ、今後はいっそう弱体化するだろう、と予想されるので、できることならあと一年ぐらいは、水際で阻止したい。少なくとも、日本は。……なぜなら、最初の1年ぐらいは、被害が大きくなるだろうから。(ただし、それを過ごせば、普通のインフルエンザ並みに弱体化するだろう。 → 前々項  [ 注記4 ])

 では、水際の阻止は可能か? それが本項のテーマだ。

 ──

 結論を述べれば、「水際の阻止はたぶん不可能だろう」となる。
 実際、すでに感染者が出ている。国内への侵入。( → 本日のニュース

 この感染者は、小規模の例外に留まるわけではなく、将来はさらに大幅に増えるだろう。理由は下記。
  ・ 5月なのに、感染者は米国で急増。一日で倍増。( → zakzak
  ・ とすれば、秋冬には、世界中でもっともっと感染者が出るだろう。
  ・ 世界中で感染者が出れば、日本だけが完全阻止するのは困難。
  ・ 昔に比べて、海外との交通量は圧倒的に多い。
  ・ 潜伏期にすり抜けてしまう感染者が多く出現する。
  ・ その潜伏期間者を阻止する措置が取られない。


 このうち、最後の点が問題だ。
 現在では、「感染の疑いのある人を、ホテルに隔離する」という方法を取っている。これ自体は悪くはないが、これしかやらないのでは、とうてい不足する。
 そもそも、この方法では、感染の疑いのある人が増えたとき、どうしようもない。ソ連型のインフルエンザ患者は大量に出現するのだから、その航空便の同乗者や同席者を隔離するとしたら、日本に来る海外旅行者の全員をホテルに隔離する必要がある。そのための施設もない。とうてい、無理。
 
 ──

 だから、感染者の大量流入を、水際で阻止することはできない。できることは何かと言えば、完全阻止ではなく、「少しでも規模を縮小し、少しでも時期を遅らせる」ということだけだ。つまり、不完全阻止
 具体的には、完全流行を1年遅らせることが当面の目標となる。その意味は、「1年間のうちにウイルスが弱毒化することを期待する」ということだ。それ以上ではない。数年後の完全流行を阻止することはまず不可能。(前出項目を参照。)
 というわけで、完全阻止のかわりに、不完全阻止(縮小・遅延)が目的となる。

 では、そのためには? 望ましい策は、次のことだ。
 「海外からの帰国者は、三日間ぐらい、自宅で静養して、自宅から出ない。海外からの外人旅行者は、初めの三日間ぐらい、ホテルでカンヅメにされる。また、感染の有無にかかわらず、海外からの空港から自宅・ホテルまでの間は、ずっとマスクをしている」


 こうすることが大切だ。
 ま、現実問題としては、海外からの外人旅行者をカンヅメにするのは、困難だろう。とはいえ、次のことは可能だ。
 「半日間だけカンヅメにする。夕方にホテルに到着させ、翌朝まではホテルから出さない」
 以上は外人向けの策。
 一方、外国人はともかく、日本人だけなら、「自宅で三日間静養」というのは十分可能だ。こうにするべきだろう。( → 潜伏期と保菌者 で述べたとおり。)
( ※ なお、空港からの移動中には、マスクをしてもらう。)

 ──

 だから、「やるべきことはやる」という立場ならば、上記のようにするべきだ。つまり、「潜伏期の大量の感染容疑者を、自発的に静養させる」という方針が必要だ。
 しかしながら、現実にはそういう政策は取られない。大半の企業は「帰国したらすぐに出社しろ!」と言うだろうし、政府はそれを黙認する。

 となると、豚インフルエンザが秋以降に流行するのは、避けられないだろう。ザルから水が漏れるようなものだ。「やるべきことをやる」ということすらできないのだから、水は漏れ漏れだ。
 「馬鹿はインフルエンザにかかり、利口はインフルエンザにかからない、ということが、国レベルで成立する」と先に述べた。( → 前々項  [ 注記4 ] )
 そのことがまさしく成立するだろう。昔のオーストラリアは利口だったから対処できたが、今の日本は馬鹿だから対処できない。馬鹿な国である日本では豚インフルエンザが流行するだろう。……そう予測しておこう。



 [ 付記1 ]
 実を言うと、賢明な企業も少なからずある。私が言うまでもなく、上記のことを実施している企業は、少なからず存在する。(1億人もいるんだしね。)
 朝日新聞(朝刊・2面 2009-05-08 )の報道では、次の通り。
  • 三菱重工業 …… メキシコから帰国した社員を研修施設に隔離。84人。個室で十日間。24時間外出禁止。
  • 電通 …… 旅行・出張のあとの海外からの帰国者を5日間、自宅待機。
  • NTTコミュニケーションズ。海外からの帰国者にマスクを付けて出勤させる。38度以上あれば出勤させない。
  • 三菱自動車 …… 海外旅行者で微熱のある場合は出勤させない。
  • 某電気メーカー …… 37度以上は出社禁止。
 これを読んで、「ほう、立派なものだ」と私は賛美したくなった。ところが、例によって、記事がお馬鹿だ。記事はこれを
   「過剰と受け取られかねない対応ぶり」

 と表現している。あげく、これを「感染者出したら信用失う」というふうに恐れてのことで、パニック的行動だと評価している。
 なるほど、企業は「風評被害を恐れて」という面もあるだろう。しかし、企業がこういうことをするのは、パニック的なことではなく、十分に合理的なことなのだ。企業は、笑われることをしているのではなく、やって当然のことをしているのだ。理由は、下記。

 [ 付記2 ]
 感染者を隔離することは、過剰反応のように見えるが、合理的である。

  ・ 感染の疑いがある人を数日間休ませても、損失 or コストは軽微。
   (有休扱いにすればいいだけのこと。病欠でも、当人分だけ。)
  ・ 感染者を出せば、自社内にも感染者が出て、多大な被害が出る。
   (病欠者が数十人も出れば、被害は多大だ。)


 感染した場合の損失と、予防のための費用。……これを考えれば、休ませるぐらいは、どうってことないはずだ。出張からの帰国者は、疲れもあるだろうから、休みも必要だろうし。休みはそれ以後の仕事能率アップにつながるから、無駄にはならない。
 また、自宅でも(レポートなどの)仕事はできるから、自宅静養でもまるきり無駄になるわけでもない。今はIT時代なのだから、自宅にいたからといって特に能率が落ちるわけでもない。

 さらに言おう。その企業だけの損得でなく、社会的な損得を考えれば、いくらか過剰気味の予防措置の方が合理的である。
  ・ 企業の払う予防措置の費用。
  ・ 社会のこうむる被害の総額。

 それぞれに、確率をかけて期待値を得れば、後者の期待値の方がずっと大きい。つまり、予防にかける費用の期待値よりも、感染による損失の期待値の方が、はるかに大きい。(可能性は低くても、社会的に巨額になれば、期待値は多大になるからだ。)

 結局、企業は、(自分のためであれ社会のためであれ)ちゃんと合理的な行動を取っている。全部ではないにせよ、そういうことをする企業はかなりある。
 なのに、その行動を、称賛するかわりに馬鹿にしているのが、朝日のようなマスコミのやることだ。
 感染してもいない帰国者を大々的に「危険だ」と過剰に報道して、その一方、万一感染した場合の予防措置を取る企業を馬鹿にして報道する。こういうマスコミ連中こそ、日本の病巣であろう。

 [ 付記3 ]
 少々補足しておこう。細かな話。
 厳密に言えば、企業の行動は過剰反応と言えなくもない。特に「個室で十日間」というのは、潜伏期間を考えても過剰気味だろう。とはいえ、過剰で困ることはない。逆に、不足した場合には、ひどい被害が出る危険性がある。だから、過剰気味の方がいいのだ。ただ、「十日間」という例はともかく、他の企業の行動は、特に過剰ではない。
 十日間でなく数日間の隔離であれば、過剰とは言えない。将来的にはこれが標準的なガイドラインとなっていい。なのに、それを馬鹿にするマスコミがあるのは、困ったことだ。

 [ 付記4 ]
 企業の態度については、次のコメントが寄せられた。(前日分で)
 「病院や企業は豚インフルエンザの危険性を重視しているのではないと思います。恐らく、『日本第1号』をおそれているのだと思います。マスコミのおかげであっという間に風評被害が出ることは必至なので、一時的な汚名を着ても、長期的な風評被害を避けたいのだと思います。」

 これは、ごもっとも。朝日の記事にも、似た趣旨のことが書かれてあったし、おおむね妥当だろう。
 ただ、理由がそうとしても、「潜伏期を考慮した対処」を取ることは、「潜伏期を無視した対処」よりは、はるかにマシだ。
 動機が何であれ、企業が正しいことをするのは、好ましい。また、いったんそういう癖が付けば、「日本第1号」以降が次々と発見されたあとでも、「日本第 100号」になるのを避ける努力を続けてくれるだろう。それはそれで好ましいことだ。
 現実には政府には、「感染したあとで発見」という措置だけがあり、「感染する前の潜伏期の段階で予防する」という発想はない。マスコミも同様。だから、そういうまともなことを実際に取る企業が、嘲笑される。



 [ 余談 ]
 オマケを少々。
 本文の結論では、「日本では今秋以降にインフルエンザが流行するだろう」と予想した。
 ただし、そうなることは、さして悪いことではあるまい。(逆説的だが。)……なぜなら、先に「豚インフルエンザを促進せよ」と述べたが、そのことがまさしく実現するからだ。(時期は予定よりは早すぎるが。)
 豚インフルエンザが流行するということは、季節性インフルエンザが流行するよりは、ずっとマシだ。なぜなら、タミフルが効くからだ。(高齢者や幼児は死を免れる可能性が高まる。)

 ただし、である。豚インフルエンザにかかった普通の人々が、我先にタミフルを利用すれば、タミフル乱用により、やがてタミフル耐性ができる。そうなれば、元の木阿弥になりそうだ。……これは最悪。
 結果がどうなるかは、あくまで人々の賢明さに依存する。現実には、賢明な策は取られまい。
 そこで私の将来予想としては、「本サイトの警告はまるきり無視されるだろう」と見通しておこう。私が何を言っても、馬の耳に念仏。あるいは、豚に真珠。   (^^);
posted by 管理人 at 19:58| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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