2009年05月07日

◆ 過去のパンデミック

 豚インフルエンザと比較して、過去のパンデミック大流行と比較してみよう。比較することで、いっそうよく事実がわかる。 ──

 過去には、次のものがあった。
  ソ連風邪、香港風邪、アジア風邪、スペイン風邪

 また、鳥インフルエンザも、何度か流行しかけたことがあった。ただ、鳥の間で大流行することはあっても、人間にまで大流行することは、ほとんどなかったようだ。(鳥に感染するインフルエンザは、人間には感染する力が弱いせいらしい。生物種が全然違うので。)
 これらのインフルエンザについて、表の形でまとめてみよう。

 \  ソ連風邪  香港風邪  アジア風邪 スペイン風邪鳥インフル
時期 1977〜1978  1968〜1969  1957〜1958  1918〜1920  将来?
 型   H1N1   H3N2   H2N2   H1N1  H5,H7 
毒性  弱毒   弱毒   弱毒  弱毒? 強毒?   強毒
死者 10万人(?)  50万人(?)  200万人(?)  5000万人(?)  多数
参照  Wikipedia   Wikipedia   Wikipedia  WikipediaWikipedia

 死者数は、推定である。出典によっては、別の数字が出ている。かなり幅があるので、概数だと思ってほしい。
 それでも死者数を見ると、スペイン風邪が非常に多数の死者をもたらしたのがわかる。ただ、理由はよくわかっていないらしい。スペイン風邪が感染力の強いタイプだったらしいことは、感染者数が多いことを説明する。しかし、死者数が多かったことは、感染者数が多いことだけでは説明が付かず、何らかの毒性があったらしい。しかしその毒性については、推定はされているが、まだはっきりとは判明していないようだ。( Wikipedia 参照。)

 ソ連風邪香港風邪はどうか? というと、これらがどんなにひどい風邪であったとしても、今さら大騒ぎするほどのことはない。というのは、初めて出現したときこそ、大きな被害をもたらしたが、以後はありふれた「季節性インフルエンザ」になってしまったからだ。
 実は、「季節性インフルエンザ」と今日呼ばれているものは、ソ連風邪と香港風邪(の変種・子孫)にすぎない。つまりは、ただの「インフルエンザ」である。ここ数年、いつものように、冬には流行しているものだ。だから、どうせ騒ぐなら、毎年毎年、騒いでいればいい。  (^^);

 ──

 結論。

 以上のことから、次のように結論を出せる。
 (1) 真に危険なパンデミックと言えるのは、(H5 または H7 系の)鳥インフルエンザだけである。ただし感染力は弱いらしいので、本当にパンデミックになるかどうかはわからない。
 (2) ソ連風邪や香港風邪は、弱毒性だし、もはやありふれたものとなってしまっているので、大騒ぎするほどのことはない。騒いだのは、出現の初期だけで、今は誰も騒がない。
 (3) 豚インフルエンザも、ソ連風邪や香港風邪と同様だ。最初こそ、感染で死者数も増えそうだが、やがては落ち着くだろう。また、いくら感染を防いだとしても、どうせいつかは流行するだろう。(大流行の時期を1年〜数年遅らせる、ということぐらいしか、努力の効果はない。)
 (4) 弱毒性のインフルエンザが、スペイン風邪のように、大きな被害をもたらすように変異する可能性は、ある。ただしそれは、豚インフルエンザに限らず、ソ連風邪や香港風邪も同様だ。
 (5) 豚インフルエンザ、ソ連風邪、香港風邪のうち、それが大被害を起こすタイプに変異したとして、人類が阻止できるのは、豚インフルエンザと香港風邪である。豚インフルエンザと香港風邪は、ウイルスにタミフルへの耐性を持たないからだ。(今のところは。) 一方、ソ連風邪が危険なものに変異した場合、それを阻止するすべはない。ソ連風邪は、タミフルへの耐性を持つからだ。
 
  ────────────

 《 予想と対策 》

 予想と対策を述べよう。
 ( ※ 以後は、やや面倒な話。特に読まなくてもいい。)

 予想としては、将来的に、豚インフルエンザが流行することは不可避だろう。ソ連風邪が毎年流行するのを阻止できないように、豚インフルエンザが流行することも阻止できないだろう。(今は夏なので阻止できているが、秋冬になれば、北半球で流行するだろう。遅くとも数年以内に。)
 そのあとは、ありふれたインフルエンザとなる。人々は豚インフルエンザに慣れてしまうに違いない。そのあとは「豚インフルエンザ」を「季節性インフルエンザ」と呼ぶことになるだろう。

 なお、ここ数年だけは、豚インフルエンザの封じ込め政策で、感染の拡散をゆるやかにすることは可能だろう。が、そうだとしても、少し遅らせるだけで、たいして意味はない。また、感染がひろがったとしても、たいして意味はない。ソ連風邪・香港風邪から豚インフルエンザへと、季節性インフルエンザのタイプが交替するだけのことだ。
 ソ連風邪・香港風邪と豚インフルエンザのどれが多く流行するかは、感染力しだいだ。ま、どれが増えても、結果は大差はあるまい。

 一方、鳥インフルエンザ(H5,H7 系)も考えられる。こちらは、強毒型で、強い被害をもたらしそうだ。とはいえ、感染力は弱そうなので、封じ込めが可能だろう。過去の例では、感染した鳥を大量処分することで、感染の拡大を防いだ。今後もまた、同様の方法で済むだろう。

 スペイン風邪が再来することはあるか? ソ連風邪と豚インフルエンザのどちらが、スペイン風邪のように変異することも考えられる。だが、その変異は、ソ連風邪と豚インフルエンザの違いに由来するとは思えない。別の点における変異だろう。
 とすれば、ソ連風邪とか豚インフルエンザとかにこだわることは意味がない。危険な変異は、たぶん偶然に由来するので、「神の御心のまま」と思って、なすすべもなく受け入れるしかあるまい。そして、それが生じたときに、対策をすればいい。

 ただ、人類においては、来るべき「スペイン風邪ふうのもの」に対処する策は取れる。それは、タミフル耐性のあるタイプを、流行させないことだ。つまり、タミフル耐性のないタイプを、流行させることだ。
 その意味で、現在のソ連風邪(タミフル耐性あり)が流行していることは大変まずい。一方、豚インフルエンザ(タミフル耐性なし)がもし流行すれば、好ましい。
 ソ連風邪のまま、スペイン風邪のように変異すれば、それは(阻止する手段がないので)パンデミックとなるだろう。一方、豚インフルエンザがもし流行すれば、(阻止する手段があるので)パンデミックとならないだろう。

 人類が備蓄している対抗手段は、タミフルだけである。この状況では、ソ連風邪(タミフル耐性あり)が、スペイン風邪のように変異することは、パンデミックによる莫大な被害を意味する。このことに留意するべきだ。
 マスコミの多くは、警告を鳴らすつもりで、「豚インフルエンザは危険なタイプに変異するかもしれない」と騒いでいる。しかし、たとえそうなっても、豚インフルエンザには(当面は)タミフルが効くのだから、大騒ぎすることはないのだ。
 逆に、大騒ぎして、タミフルを乱用していれば、豚インフルエンザはそのうちタミフル耐性を獲得するだろう。そのせいで、人類は、豚インフルエンザの変異したパンデミックに対抗する手段を失うだろう。……そして、現在の路線は、まさしくその路線だ。人類は、最善の路線を取ろうとして、最悪の路線を取りつつある。
 その意味で、本サイトは警告しているのだが、しかし、それを理解できる人は、あまりに少ない。

( ※ 「タミフルは 10代の子供に危険だ」と本サイトが警告をならしたときも、それを受け入れる医者は少なく、それに反発する医者が多かった。人類はそれほどにも愚かなのである。大被害が出るまで、予防措置を取れないのだ。常に「後の祭り」というのが、人類の歴史だ。



 [ 付記1 ]
 前項では「豚インフルエンザを促進せよ」という話を書いた。ここで、「タミフル耐性インフルエンザを避けるために、別のインフルエンザを促進する」というふうに提案した。
 その目的のためには、ソ連風邪でないインフルエンザを使えばいいのだが、次の案もある。
 「豚インフルエンザのかわりに、香港風邪を促進する」
 しかし、この案は駄目だ。というのは、(タミフル耐性のある)ソ連風邪を減らすという目的自体はいいのだが、その目的のために、豚インフルエンザは有効だが、香港風邪は有効でないからだ。
 理由は、型が違うからだ。ソ連風邪と豚インフルエンザは、型が同じ。一方、香港風邪は型が違う。だから、ソ連風邪を増やしても、ソ連風邪を抑止する力は弱い。下手をすると、両方が流行する。ダブルパンチ。最悪だ。
 その点、豚インフルエンザを増やせば、ソ連風邪を抑制する効果がある。その分、将来の危険なパンデミックの流行を阻止できる可能性が高まる。(タミフルという対抗手段が有効になるので。)
 
 [ 付記2 ]
 前項の[ 注記4 ]では、「スペイン風邪は時間がたつにつれて病原性を弱めた」という趣旨のことを述べた。
 ここで、「病原性を弱めた」というのは、「感染力を弱めた」ということよりは、「毒性を弱めた」ということかもしれない。
 というのは、スペイン風邪と同じH1N1型は、その後も消滅せずに生き残っているからだ。ソ連風邪もそうだし、豚インフルエンザもそうだ。
 とすれば、豚インフルエンザは、スペイン風邪の子孫かもしれないのだ。
 ( ※ 後でこの推察に、裏付けが得られた。 → 参考サイト

 H1N1型は、歴史上で何度も姿を変えて、スペイン風邪になったり、ソ連風邪になったり、豚インフルエンザ(メキシコ風邪)になったりするのかもしれない。
 そうとすれば、インフルエンザに対して一番大切なことは、「そのインフルエンザを撲滅しよう」と望むことではなくて、「次々と変異するインフルエンザ・ウイルスが出現するのは仕方ない」と諦めた上で、「当初における病原性の強い時期をうまく乗り切ろう」とすることだけかもしれない。

( ※ その際、まだ薬剤耐性のない段階で、うまく対処することが必要となる。)
( ※ だが、薬剤耐性を阻止しようという問題は、人々にはなかなか理解されないようだ。人々は常に我先に、「おれがタミフルをほしい」と奪い合うものだ。そのあげく、耐性ウイルスを出現させてしまう。……とすれば、豚インフルエンザの対策で一番重要なのは、この愚かさを治すことかもしれない。)
 
 [ 付記3 ]
 ウイルスがしだいに病原性を弱めるのは、なぜか? それは「ウイルスが進化するからだ」と考えるとわかりやすい。
 一般に、病原性が強いものよりは、病原性が弱いものの方が、優勝劣敗で増えやすい。それは次のことからわかる。
  ・ 病原性が強いと、患者は寝込む。  → あまり増えない。
  ・ 病原性が弱いと、患者は動き回る。 → どんどん増える。

 このような優勝劣敗は、別種(別タイプ)のウイルスについては成立しないが、同種(同タイプ)のウイルスについては成立する。同じスペイン風邪のなかで、病原性(毒性)の強いものと弱いものがあれば、弱いものの方がどんどん増える。……こうして、ウイルスは病原性が弱いものに「進化」するのだ。
 だから、時間を経ると、ウイルスは病原性(毒性)を弱め、数を増やす。
 現時点では、最も進化した H1N1型は、ソ連風邪の子孫だろう。最も病原性が弱いがゆえに、最も広範に感染する。……豚インフルエンザも、似たような経過をたどるはずだ。
posted by 管理人 at 19:20| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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最後に [ 付記2 ] [ 付記3 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年05月07日 22:37
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