2009年05月03日

◆ 豚インフルエンザのワクチン

 豚インフルエンザのワクチンを作ろう、という動きがある。しかしその生産量には限界があり、大幅に不足する。
 その一方、ワクチン不足を解決する方法もあるが、日本では認可されない ──

 豚インフルエンザのワクチンを作ろう、という動きがある。(各紙報道)
 しかし、その生産量には限界があり、大幅に不足する。そこで、「普通の季節性インフルエンザのワクチンか、豚インフルエンザのワクチンか、どちらかに決める必要がある」という。「AかBか」という二者択一。

 舛添厚労相は一時、「豚インフルエンザの方を優先する」という意向を示した。( → 毎日新聞 2009-04-27 )
 しかしこれには、専門家からの批判が多く寄せられた。「季節性インフルエンザでも死者が多数出ているのに、そっちのワクチンをなくせば、かえって死者がたくさん出るかもしれない。それじゃ解決になっていない」と。

 ここでは根源的に、ワクチンの生産能力不足がある。これは、日本に限ったことではなく、世界全体でもそうだ。「現在の生産能力に基づくと、年間で製造可能な量は約10─20億人分という」情報がある。( → ロイター 2009-05-03

 ──

 ワクチンの生産能力不足という状況がある。すると、踏んだり蹴ったりと思えるかもしれないが、実は、うまい方法がある。次のことだ。
 「アジュバント(免疫増強剤)を使って、ワクチンの効果を増大する」

 
 増強剤で効果を増大させれば、同じ量のワクチンで、多数の人を救うことができる。ワクチン用の卵の量(および原液の量)は同じでも、一定量で救える人の数が増える。こうしてワクチン不足の問題は解決するはずだ。
 つまり、技術はちゃんとできているのだから、それを利用するだけの裁量があればいい。

 ──

 ところが、この裁量が欠けている。日本では、アジュバント(免疫増強剤)が認可されないのだ。
 その一方で、諸外国ではどんどん認可されて導入されている。( → メーカーのプレスリリース

 グラクソ社のアジュバント(免疫増強剤)が有効だ、ということは、本サイトでも以前述べた。( → 該当項目
 しかし、そこで示したように、日本ではなかなか認可されない。上記のプレスリリースからわかる話でも、2009年1月の時点で、いまだ認可待ち(か何か)みたいな宙ぶらりん状態であるようだ。

 その一方で、豚インフルエンザのワクチンは、まだ安全性も確認されていないうちに、大幅に大量生産される見込みだ。(製品化の前に安全チェックはなされるが、生産の時点では見込み生産となる。)

 ──

 結論。

 私としては、次のように提言したい。
 「グラクソ社のアジュバント(免疫増強剤)を使って、ワクチンを大量生産せよ。季節性インフルエンザのワクチンと、豚インフルエンザのワクチンとの、双方を生産して、双方を接種させよ」


 ただし残念ながら、現実にはそうならないだろう。むしろ、次のことが予想される。
 「季節性インフルエンザのワクチンと、豚インフルエンザのワクチンとの、ワクチン生産量の少ない方のインフルエンザが多大に流行する」(皮肉?)
 「かといって、両方を半々で生産すれば、両方がともに流行する」


 つまり、Aの対策をすれば、Bにしてやられる。Bの対策をすれば、Aにしてやられる。どっちを半々にしても、してやられる。人間よりも、ウイルスの方が賢い?   (^^);
 まるで「マーフィーの法則」みたいだが、別に、不思議でも何でもない。ダーウィン説の「適者生存」の発想に従えば、ワクチンを用意していない方が流行するのは、ごくごく当り前のことだ。



 [ 付記1 ]
 私の提案は、「アジュバント(免疫増強剤)を使え」(双方のワクチンを作れ)だ。
 ただし、仮に、どちらか一方を作るなら、季節性インフルエンザの方だけにして、豚インフルエンザのワクチンを作るのはやめたい。
 なぜか? いくら豚インフルエンザのワクチンをつくっても、撲滅はできないからだ。撲滅できない以上は、「ある程度の流行は仕方ない」と腹をくくるしかない。患者の総数から見れば、季節性インフルエンザのワクチンの方が患者数は(たぶん)多いはずだ。ならば、「患者の総数を減らす」という意味で、季節性インフルエンザへの対策を優先したい。
 つまり、予想感染者数が、
  ・ 季節性インフルエンザ …… 3000万人
  ・   豚 インフルエンザ …… 1000万人

 であれば、後者の発生を「やむなし」と諦めて、前者への対策を優先する。前者が 3000万人から 1000万人に減るなら、「それでいい」と考える。一方、後者をいくら減らそうとしても、1000万人から 300万人に減らすことができる程度だろうから、効率の面で、そちらは「やむをえない」と諦める。

 ま、トリアージュ(トリアージ)の発想ですね。被災者数が、救命能力を上回るときには、「被害の最小化」を念頭に、選別の必要がある。「すべてを残さず救おう」とすると、かえって被害の規模が膨らんでしまう。
 舛添厚労相の方針は、それだろう。また、大衆の方針も、それかもしれない。(マスコミも?)  
 【 修正 】( 2009-06-05 )
 上記の見解は、新たな事情がわかったので、修正したい。
 上記では、「どちらか一方を作るなら」という前提のもとで、「季節性インフルエンザだけ」と主張した。しかし、改めて考えるに、両方を半々ぐらいの割合でやるのがベストだ、という気がする。(上記の話が間違っているというよりは、「どちらか一方にする」という前提を捨てる。)
 最近の北半球の情報によると、豚インフルエンザの方が季節性インフルエンザよりも猛威をふるっているようだ。南半球での情報はよくわからないのだが、それでも、豚インフルエンザはけっこう猛威をふるっているらしい。「季節性インフルエンザの方が多い」とは一概に言えないようだ。
 となると、両方を半々ぐらいにしてもいいだろう。どっちみち、ワクチンの優先者は、虚弱者(高齢者・慢性疾患患者など)だ。彼らが複数のワクチンを接種すればいい。
 政府方針は、「豚インフルエンザ用のワクチンを 2000万人分。季節性インフルエンザ用のワクチンを 3000万〜4000万人分」とのことだ。( → ニュース 2009-06-05
 ま、これはこれで、妥当だろう。
 私が先に書いたときは、「季節性インフルエンザ用と豚インフルエンザ用のどちらか一方を、人々が接種する」という発想をしたが、「虚弱者だけが双方を接種する」というのであれば、それに依存はない。
 また、豚インフルエンザの感染者が、思ったよりも多くなりそうなので、その意味でも、豚インフルエンザ用のワクチンを増やした方がいいかもしれない。……ただ、そのころには、豚インフルエンザが変異しているかもしれないので、ワクチンは半分無効化しているかも。  (^^);
 どうも、「これが最善だ」という方策は、簡単には決まらないようだ。「この問題はなかなか難しい」という記述が妥当かも。
 [ 付記2 ]
 薬剤耐性の面でも、同様の発想が必要だ。
 「高齢者と幼児の死者数を減らす。そのために、軽度の罹患となる大人の罹患については諦める」
 このことで、重症者の生命を救える。感染者の最小化を図るのではなく、死者の最小化を図る。
 これが妥当であろう。しかしながら現実には、その策は取られていない。
posted by 管理人 at 15:43| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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