「電球形蛍光灯よりは LED の方がいい」と前に述べたことがある。
これに類する話題が、朝日の記事に出た。しかし…… ──
朝日の記事を紹介しよう。(夕刊 2009-04-23 )
全体の趣旨は、
「LED は、省エネで素晴らしいが、値段が高い」
というもの。この趣旨のもとで、LED について次のように記述する。
・ 屋外灯のCO2排出量は従来の照明に比べて 8割減。
・ 明るさの効率は蛍光灯よりも劣る。
・ 蛍光灯を大きく越える効率の LED が開発されている。
・ それは 2012年〜2014年に製品化の見込み。
・ それによって価格も大幅下落し、 LED照明が普及するだろう。
・ 値段は電球形蛍光灯と比べて6倍。
・ 参考。政府は 2012年までの白熱電球廃止を業界に要請した。
よくもまあ、口から出任せを次々と並べ立てたものだ、と感心する。最初に、
「LED は、省エネで素晴らしいが、値段が高い」
という結論を勝手に取る。その結論に合わせて、自分の都合にいいように、事実を歪めて報道する。呆れはててしまう。
──
正しくは、以下の通り。
(1)
「屋外灯の CO2排出量は従来の照明に比べて 8割減」ということと、「明るさの効率は蛍光灯よりも劣る」ということは、同時成立しない。蛍光灯よりも効率が劣るのであれば、 CO2排出量は従来の照明に比べて、減るどころか増える。当り前でしょうが。……仮に「減る」としたら、従来の照明というのが(低効率の)白熱灯である場合だが、しかし、屋外灯は原則として水銀灯か蛍光ランプだから、8割減になるわけがない。(参考データ。 → 水銀ランプの効率と蛍光灯の効率 )
(2)
「蛍光灯を大きく越える効率の白色 LED が開発されている」というが、とんでもない。白熱電球に比べれば、11倍も上回るので、それならば「大きく越える」と言える。だが、蛍光灯に比べれば、1.7倍ぐらいにしかならない。たいしたことはない。それだったら、白熱電球を蛍光灯に交換する方が、よほど効率改善になる。(参考データ。 → ネット検索 )
(3)
「値段は電球形蛍光灯と比べて6倍」というが、普通の蛍光灯に比べれば 100倍ぐらいになるだろう。そっちの記述の方が大切だ。電球形蛍光灯なんて、例外的なものなんだから、それと比べてもあまり意味がない。ただし、あくまで「電球形蛍光灯に対するライバル」として記述するのであれば、意味はある。しかし、それならそれで、「ライバルは電球形蛍光灯」と記述するべきだ。
──
評価。
記事は基礎データがデタラメすぎるので、まったく信用ができない。データの捏造ばかりをして、「 LEDはすばらしい」と称賛しているだけだ。嘘記事。
そこで、正しく書き直して、私が示そう。下記。
──
正しい情報。
LED は、蛍光灯よりも効率が高く、将来的にはとても有望な技術である。ただし、現段階では、技術開発の途上であり、研究がまだまだ必要だ。(夢見るのは勝手だが、嘘を書くべきではない。今のところ必要なのは、夢ではなく、技術開発だ。)
近い将来では、まだまだコストが高くて、普及する見込みはない。「ちょっとだけ省エネだから」という理由で、滅茶苦茶に高い LED を使うべきではない。そんなのは馬鹿げた浪費にすぎない。(省エネ趣味という趣味のために大金を無駄にするわけ。エコではなくて、エコ趣味という道楽。)
それでも、「電球形蛍光灯」という馬鹿げた代替策に比べれば、かなりの競争力を持つ。「馬鹿に対する馬鹿」という意味での競争力ならばある。近い将来では、「電球形蛍光灯よりは LED を使おう」という方針もあっていい。……そして、そうとすれば、「白熱電球を廃止して、電球形蛍光灯を普及させよう」という朝日の過去のキャンペーンは、まるきりの間違いだったことになる。(こういうふうに朝日が自己批判すれば良かったのだが、記事にはまるきり抜けている。過去への反省がゼロ。)
とはいえ、「馬鹿に対する馬鹿」という競争も、意味がない。競争するならば、(電球形でない)一般の蛍光灯との競争だ。そして、それは、コストの点で、当面は全然勝ち目がない。また、効率アップも、大したことはない。費用対効果の面で、蛍光灯に勝てるのは、かなり先のことになりそうだ。
とすれば、大幅なコストダウンが起こるまでの間は、「電球形蛍光灯に比べればマシ」という位置を維持することになる。それまで、蛍光灯には勝ち目がないし、(トイレなどの短時間利用の)白熱電球にも勝ち目がない。勝ち目があるとしたら、「ランプの交換にとても人件費がかかる」というような場合だけだろう。
結論。
LED は有望な技術だが、普及するのはまだまだずっと先だ。ただし、価格の低下にともなって、使用される領域が少しずつ増えていくだろう。
そして、それは、ニッチの話だから、新聞がいちいち騒ぐようなことじゃない。産業用や業務用のニッチ市場で、高価な LED がだんだん普及したあとで、ようやく、家庭において LED が普及することが可能になる。
結局、記事はあまりにも先走りすぎている。
比喩的に言うと、業務用の大型コンピュータやミニコンが普及してきた時代において、「個人もパソコンでインターネットがもうすぐですよ」と先走った記事を書くようなものだ。そんな記事を読んでも、実現するには、20〜30年ぐらいかかるから、嘘も同然だ。
新聞というのは、できもしない夢物語や、遠い将来の話を、今すぐできることのように吹聴することではない。バラ色の嘘を書くことではない。真実を書くことだ。
朝日は省エネにとらわれるあまり、嘘ばかりを書いている。
「省エネ、省エネ、バラ色よ。ラララ ♪♪♪」
と嘘ばかり振りまく。朝日の嘘にだまされないようにしよう。
[ 付記 ]
朝日の嘘記事は、これまでも何度もあった。
・ 燃料電池
・ 太陽光電池
・ 風力発電
いずれも嘘ばっか。これらの技術を、「素晴らしいエコ技術」と吹聴して、さんざんキャンペーン(煽動記事)を書いて、政府の金を莫大に浪費させた。
今回の LED の記事は、「莫大な補助金を出せ」というキャンペーンをしないだけ、泥棒的でないが、そのうち、「 LED のために莫大な補助金を出せ」というキャンペーンをしそうな気がする。要注意。
省エネの狂信者は、実に危険なものだ。自分で善をなしているつもりで、国家の金を莫大に捨てさせる。そこらの泥棒に比べて、圧倒的にひどい悪だ。天使の顔をした悪魔。
【 関連項目 】
→ 電球形蛍光灯の各項
→ 有機EL照明
LED のほかに「有機EL」という選択肢もあるのだ。
《 参考サイト 》
→ 白熱灯がLEDに、蛍光灯が有機ELに変わる
2009年04月21日
過去ログ

LEDに興味があり、ぶらぶらしてるうちに来ちゃいました。
この内容、このページに止めておくのは、もったいないですね。
もっともっと、広げていきたいな。
LEDで、熱帯魚のライトを作りたいと思ってたんだけど、先延ばしにした方がよいのかな・・・
まさにその通りです。世の中というか
某経済大新聞の関連記事などもまさに
ウソばかり。そういえば先日NHKも
朝のニュースでわざわざ東京の某照明
展示会で出展されていたLED照明を
紹介しましたっけ。
大手が動かないのが正論ですよね。
もう一つLEDダメだなと言う事実があります。
それは、半導体ゆえに静電気に弱い事です。
電源にサージキャンセラーが付いていても、
近くに落ちればアウトだそうです。
一発落ちただけで被害額が莫大。
そんな照明要らないと思いました。
ありがとうございます。
仕事でLEDの知識を集めていたら
辿り着きました。
値段が高いのを「寿命が長い」で
カバーしようとしていますが、
その寿命もちょっと怪しいです。
蛍光灯よりずっと持たない場合もあります…。
蛍光灯からの移行です。
3つあれば十分明るいですよ。
1つあたりの消費電力が6Wで
18Wで稼動中です。
蛍光灯は
84Wでしたので
4倍程度は消費電力が下がりました。
電気代が1万超えなくなった。