2009年04月21日

◆ LED と蛍光灯

 「電球形蛍光灯よりは LED の方がいい」とに述べたことがある。
 これに類する話題が、朝日の記事に出た。しかし…… ──

 朝日の記事を紹介しよう。(夕刊 2009-04-23 )
 全体の趣旨は、
 「LED は、省エネで素晴らしいが、値段が高い」

 というもの。この趣旨のもとで、LED について次のように記述する。

  ・ 屋外灯のCO2排出量は従来の照明に比べて 8割減。
  ・ 明るさの効率は蛍光灯よりも劣る。
  ・ 蛍光灯を大きく越える効率の LED が開発されている。
  ・ それは 2012年〜2014年に製品化の見込み。
  ・ それによって価格も大幅下落し、 LED照明が普及するだろう。
  ・ 値段は電球形蛍光灯と比べて6倍。
  ・ 参考。政府は 2012年までの白熱電球廃止を業界に要請した。

 よくもまあ、口から出任せを次々と並べ立てたものだ、と感心する。最初に、
 「LED は、省エネで素晴らしいが、値段が高い」
 という結論を勝手に取る。その結論に合わせて、自分の都合にいいように、事実を歪めて報道する。呆れはててしまう。

 ──

 正しくは、以下の通り。
 (1)
 「屋外灯の CO2排出量は従来の照明に比べて 8割減」ということと、「明るさの効率は蛍光灯よりも劣る」ということは、同時成立しない。蛍光灯よりも効率が劣るのであれば、 CO2排出量は従来の照明に比べて、減るどころか増える。当り前でしょうが。……仮に「減る」としたら、従来の照明というのが(低効率の)白熱灯である場合だが、しかし、屋外灯は原則として水銀灯か蛍光ランプだから、8割減になるわけがない。(参考データ。 → 水銀ランプの効率と蛍光灯の効率
 (2)
 「蛍光灯を大きく越える効率の白色 LED が開発されている」というが、とんでもない。白熱電球に比べれば、11倍も上回るので、それならば「大きく越える」と言える。だが、蛍光灯に比べれば、1.7倍ぐらいにしかならない。たいしたことはない。それだったら、白熱電球を蛍光灯に交換する方が、よほど効率改善になる。(参考データ。 → ネット検索
 (3)
 「値段は電球形蛍光灯と比べて6倍」というが、普通の蛍光灯に比べれば 100倍ぐらいになるだろう。そっちの記述の方が大切だ。電球形蛍光灯なんて、例外的なものなんだから、それと比べてもあまり意味がない。ただし、あくまで「電球形蛍光灯に対するライバル」として記述するのであれば、意味はある。しかし、それならそれで、「ライバルは電球形蛍光灯」と記述するべきだ。

 ──

 評価。

 記事は基礎データがデタラメすぎるので、まったく信用ができない。データの捏造ばかりをして、「 LEDはすばらしい」と称賛しているだけだ。嘘記事。
 そこで、正しく書き直して、私が示そう。下記。

 ──

 正しい情報。

 LED は、蛍光灯よりも効率が高く、将来的にはとても有望な技術である。ただし、現段階では、技術開発の途上であり、研究がまだまだ必要だ。(夢見るのは勝手だが、嘘を書くべきではない。今のところ必要なのは、夢ではなく、技術開発だ。)
 近い将来では、まだまだコストが高くて、普及する見込みはない。「ちょっとだけ省エネだから」という理由で、滅茶苦茶に高い LED を使うべきではない。そんなのは馬鹿げた浪費にすぎない。(省エネ趣味という趣味のために大金を無駄にするわけ。エコではなくて、エコ趣味という道楽。)
 それでも、「電球形蛍光灯」という馬鹿げた代替策に比べれば、かなりの競争力を持つ。「馬鹿に対する馬鹿」という意味での競争力ならばある。近い将来では、「電球形蛍光灯よりは LED を使おう」という方針もあっていい。……そして、そうとすれば、「白熱電球を廃止して、電球形蛍光灯を普及させよう」という朝日の過去のキャンペーンは、まるきりの間違いだったことになる。(こういうふうに朝日が自己批判すれば良かったのだが、記事にはまるきり抜けている。過去への反省がゼロ。)
 とはいえ、「馬鹿に対する馬鹿」という競争も、意味がない。競争するならば、(電球形でない)一般の蛍光灯との競争だ。そして、それは、コストの点で、当面は全然勝ち目がない。また、効率アップも、大したことはない。費用対効果の面で、蛍光灯に勝てるのは、かなり先のことになりそうだ。
 とすれば、大幅なコストダウンが起こるまでの間は、「電球形蛍光灯に比べればマシ」という位置を維持することになる。それまで、蛍光灯には勝ち目がないし、(トイレなどの短時間利用の)白熱電球にも勝ち目がない。勝ち目があるとしたら、「ランプの交換にとても人件費がかかる」というような場合だけだろう。

 結論。

 LED は有望な技術だが、普及するのはまだまだずっと先だ。ただし、価格の低下にともなって、使用される領域が少しずつ増えていくだろう。
 そして、それは、ニッチの話だから、新聞がいちいち騒ぐようなことじゃない。産業用や業務用のニッチ市場で、高価な LED がだんだん普及したあとで、ようやく、家庭において LED が普及することが可能になる。

 結局、記事はあまりにも先走りすぎている。
 比喩的に言うと、業務用の大型コンピュータやミニコンが普及してきた時代において、「個人もパソコンでインターネットがもうすぐですよ」と先走った記事を書くようなものだ。そんな記事を読んでも、実現するには、20〜30年ぐらいかかるから、嘘も同然だ。
 新聞というのは、できもしない夢物語や、遠い将来の話を、今すぐできることのように吹聴することではない。バラ色の嘘を書くことではない。真実を書くことだ。
 朝日は省エネにとらわれるあまり、嘘ばかりを書いている。
 「省エネ、省エネ、バラ色よ。ラララ ♪♪♪」
 と嘘ばかり振りまく。朝日の嘘にだまされないようにしよう。
 


 [ 付記 ]
 朝日の嘘記事は、これまでも何度もあった。
  ・ 燃料電池
  ・ 太陽光電池
  ・ 風力発電

 いずれも嘘ばっか。これらの技術を、「素晴らしいエコ技術」と吹聴して、さんざんキャンペーン(煽動記事)を書いて、政府の金を莫大に浪費させた。
 今回の LED の記事は、「莫大な補助金を出せ」というキャンペーンをしないだけ、泥棒的でないが、そのうち、「 LED のために莫大な補助金を出せ」というキャンペーンをしそうな気がする。要注意。
 省エネの狂信者は、実に危険なものだ。自分で善をなしているつもりで、国家の金を莫大に捨てさせる。そこらの泥棒に比べて、圧倒的にひどい悪だ。天使の顔をした悪魔。



 【 関連項目 】
  → 電球形蛍光灯の各項

  → 有機EL照明
     LED のほかに「有機EL」という選択肢もあるのだ。

 《 参考サイト 》

   → 白熱灯がLEDに、蛍光灯が有機ELに変わる
posted by 管理人 at 18:55 | Comment(5) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
LEDに興味があり、ぶらぶらしてるうちに来ちゃいました。
この内容、このページに止めておくのは、もったいないですね。
もっともっと、広げていきたいな。
LEDで、熱帯魚のライトを作りたいと思ってたんだけど、先延ばしにした方がよいのかな・・・
Posted by 通りすがり at 2009年06月03日 17:28
LED蛍光灯を仕事で扱っていますが
まさにその通りです。世の中というか
某経済大新聞の関連記事などもまさに
ウソばかり。そういえば先日NHKも
朝のニュースでわざわざ東京の某照明
展示会で出展されていたLED照明を
紹介しましたっけ。

大手が動かないのが正論ですよね。
Posted by 過路人 at 2009年06月19日 00:19
良い記事をありがとうございます。
もう一つLEDダメだなと言う事実があります。
それは、半導体ゆえに静電気に弱い事です。
電源にサージキャンセラーが付いていても、
近くに落ちればアウトだそうです。

一発落ちただけで被害額が莫大。
そんな照明要らないと思いました。

ありがとうございます。
Posted by うろつき猫 at 2009年07月02日 05:08
初めまして、こんにちは。
仕事でLEDの知識を集めていたら
辿り着きました。


値段が高いのを「寿命が長い」で
カバーしようとしていますが、
その寿命もちょっと怪しいです。
蛍光灯よりずっと持たない場合もあります…。
Posted by ポチョ at 2009年07月03日 15:42
800円 * 3 = 2400円でやってます。

蛍光灯からの移行です。
3つあれば十分明るいですよ。
1つあたりの消費電力が6Wで

18Wで稼動中です。

蛍光灯は

84Wでしたので

4倍程度は消費電力が下がりました。
電気代が1万超えなくなった。
Posted by e26ソケット3口の led 電球 at 2011年07月02日 20:53
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