CIS太陽電池は、シリコンを使わない太陽電池。高価なシリコンのかわりに、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を材料として使う、化合物系の太陽電池。
次の解説もある。
CIGS太陽電池の大きな特徴は2つある。──
1つは,発電層の厚さを数μmと薄くできること。これにより,材料コストを低く抑えることができるほか,製造時の投入エネルギーも節約できる。発電層を薄くできるのは,CIGS系材料の光吸収率が極めて高いことに加え,発電層を蒸着やスパッタなどの積層法で形成できるためだ。
もう1つの特徴は,理論的な発電効率が25〜30%と高く,単結晶Siを上回ることである。CIGS系半導体には,厚み方向で組成を変えることで,吸収波長域を制御できる性質がある。組成を工夫して吸収波長域を広げることで,発電効率を高めることができる。
( → 日経 )
これについて、日立と昭和シェルが提携するというニュースがあった。
→ 日立と昭シェルと提携
また、帝人と産総研も研究している。
→ フレキシブルなCIGS太陽電池で効率17.7%を達成
すぐ上のリンクには詳しい情報があるが、かなり有望な技術であるようだ。シリコンを使わないことから、将来的にはシリコン系をしのいで、低コスト化されるだろう。
また、製造のための投入エネルギーも低く、多結晶シリコン系に比べて半分で済むという。単結晶系に比べればさらに低いのかもしれない。……とすると、「省エネ」「エコ」という点では、現在のシリコン系の太陽電池よりもずっと優れていることになる。
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こうしてみると、私が先に述べたことが、現実化しそうだ。
→ 太陽電池はゴミになる
つまり、技術革新が進んで、次世代の太陽電池が開発される。その結果、現在主流の太陽電池(シリコン型の太陽電池)は、時代遅れのものとなる。結果的に、せっせと作った太陽電池の工場は、みんなゴミとなる。
政府が「太陽光発電を普及させるために、せっせと補助金を出して、シリコン型の太陽電池の工場を造ろう」としても、結果的には、ゴミとなる工場を建設するだけとなる。
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本サイトでは何度も主張したが、国の補助金は、大量生産のために使うべきではなく、研究開発のために使うべきなのだ。なぜなら、現代は技術開発が袖激に進んでいるときだからだ。
そして、次世代の太陽電池としては、有機薄膜型や、CIS 型など、いろいろとある。たくさんの種類がある。いずれもまったく別系統のものだ。
→ Wikipedia
こういうふうに、次世代のものがどれかわかっていない状況で、現在普及している「シリコン型」ばかりに補助金を出すのは、あまりにも馬鹿げていることだ。
だから、補助金は、「普及のため」に使うのではなく、「研究開発のため」に使うべきなのだ。
にもかかわらず、「シリコン型」ばかりに補助金を出せば、「ゴミを作るために補助金を出す」ことになる。それこそ最も省エネに反する。シャープが莫大な金をかけて太陽電池工場を造っても、そのすべてはゴミになりかねない。政府がやっているのは、シャープを倒産のリスクに追い込むようなものだ。あまりにも馬鹿げている。
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ともあれ、結論は、すでに何度も述べたとおり。そして、本項では、かねて述べたいたことが、いよいよ現実化しかけていることが、ニュースの形で指摘されたわけだ。
【 関連項目 】
→ CIGS太陽電池 (2011年09月20日)
※ 本項の続編
但し、既存のシリコン型のものは耐久性が高いので、何十年も実際に使われています。工場のラインがゴミになっても、製品は時代遅れになるだけでゴミにはなりません。買換えせずに使えます。
最近は(シリコン型も含め)薄膜化がトレンドですが、耐久性についての情報が無いです。耐久性が低いと、それこそゴミに...
またコストの増加は技術的な問題ではなく、Si供給不足という事情があります。
事実、Si製造時のエネルギーをあわせても1年程度で創エネとトントンになります。
あとは買占めですね。Gaも普及したら起こりかねない問題です。
Gaはまだ存在量は多いほうですが、セレンに関しては少ない部類になります。
革新的な技術が今の太陽電池に大きく必要なのは事実ですが、私は100年たってもシリコン系太陽電池はなくならないと考えます(薄膜型含む)
そこのネックを解消しない限り難しいでしょう
酸化鉄を用いたものが将来的に普及すると思います。赤外線を取り込み曇り、雨、夜間でも発電可能で製造コストは30分の1というような太陽光発電が主流になるんじゃないですかね
まあシリコン系が将来主流になることは絶対ないと思います。
発電効率は単結晶と同じくらいと言うが、一枚のモジュールの最高発電量が140Wしかないのは比にならない。
ちなみに単結晶の他メーカーの最高発電量が215W
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(1) http://eco.nikkeibp.co.jp/article/news/20110629/106772/
2011年6月29日
日本政策投資銀行は、昭和シェル石油の100%子会社で太陽電池製造・販売のソーラーフロンティアを通じて展開する太陽電池事業に対し、総額100億円のシンジケートローン(協調融資)を組成した。
昭和シェル石油は新たなエネルギー事業として太陽電池事業に力を注いでいる。CIS太陽電池と呼ぶ次世代型太陽電池をソーラーフロンティアが宮崎県の工場で生産し、世界シェア10%を目標に掲げて世界各地で販売している。2月に稼働を始めた宮崎県の第3工場(国富工場)は年産900MWの生産能力があり、フル生産体制になると同県内の2工場と合わせ、世界最大規模の年産1000MW(1GW)に拡大する。
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(2) http://www.ecool.jp/press/2011/06/solarfro11-0628.html
2011/06/28
ソーラーフロンティア株式会社(社長:亀田繁明、本社:東京都港区台場2-3-2、以下:ソーラーフロンティア)は、米国北東部の公益企業が運営する太陽光発電プロジェクトに、3.8メガワットの太陽電池を、ユービーソーラー社(juwi solar Inc.)を通じて供給することが決定しましたので、お知らせします。2011年末に稼働を開始する予定の本プロジェクトは、米国北東部における最大級の太陽光発電プロジェクトで、ソーラーフロンティアにとっては北米最大の供給規模となります。
有難う御座いました。
<m(__)m>