2009年04月06日

◆ 太陽光発電の支援とコスト

 太陽光発電の電力を、倍の値段で購入する制度が始まる。
 その一方で、太陽電池のコストが半減する見通しだという。 ──

 電力購入価格と発電コスト

 太陽光発電の電力購入価格と発電コストについて、二つの記事があるので、紹介しよう。それぞれ反対方向を示している。(矛盾のようなもの。)

 (1) 倍の価格で購入

 太陽光発電の電力を、倍の値段で購入する制度が始まる。これは2月に発表された。
 《 太陽光発電、家庭からの購入価格2倍に 経産省が新制度 》
 経済産業相は記者会見で、太陽光発電の普及を促すための新制度を導入すると発表した。家庭や企業が太陽光で発電した電力を、電力会社が約10年の間、当初は従来の2倍程度の1キロワット時あたり50円弱で買い取る仕組み。新法に盛り込み、今国会に提出する方針だ。2010年にも実施する。
 新制度は家庭など電力利用者が太陽光でつくった電力について、自宅などで消費する以外の余剰分を電力会社に買い取ってもらう内容。既に発電装置を設置している利用者と制度開始から3−5年に設置する利用者が対象。買い取り価格は太陽光発電の普及に合わせて、年度ごとに下がる。
( → 日経 2009-02-24
 こういう制度は、ドイツが実施しており、「ドイツを見習え」と朝日がやたらとキャンペーンしている。( 2009-04-04 もまた同種の記事。)
 いくらドイツがやっているとしても、大々的にやっているのはドイツだけであるし、ドイツがやっているのは政治的に特別な事情にあるからなのだが、お構いなし。
( ※ ドイツでは左右の政党のキャスティングボートを握っている緑の党が要求したから、当時の与党がやむなくその制度を導入した。また、ドイツの場合、原発の電力をフランスから購入しているという事情もある。)

 (2) 太陽電池のコスト半減

 太陽電池のコストが半減する見通しだという。
 《 シャープ、低価格の太陽電池量産へ 》
 シャープが、家庭の電気料金並みのコストで発電できる太陽光発電システムを2010年度に実用化し、日米欧で量産する方針を固めたことが2日、わかった。
 現在の平均的な太陽光発電システムの設置費用は、耐用年数20年として補修費を含め1キロ・ワット時当たり49円(07年)。発電効率を高めることでシステムの設置費用を家庭用の電気料金(1キロ・ワット時当たり23円)並みに引き下げる。
( → 読売新聞 2009-04-03
 このようなことが起こるだろう、ということは、私が前から唱えていた。「起こるだろう」というよりは、「起こさせる」というべきだが。つまり、「技術の革新」だ。
 といっても、実現はまだまだ先だと思っていたが、案外、早く実現することになりそうだ。

( ※ なお、コスト低下はこれでおしまいではない。この先、技術革新が進むに連れて、さらにどんどんコスト低下が起こる見込み。23円どころか、もっともっと価格は下がる見込み。)

 問題点

 以上の (1)(2) を見ると、問題点がわかる。
  ・ 購入価格は 50円弱。
  ・ 発電コストは 23円。

 つまり、23円でつくったものを 50円弱で売る。その差額は、丸々のボロ儲け。そして、その差益は、自分が優秀だから得るのではなくて、他人の富を奪うことによって得る。(電力料金への上乗せという形。)
 これではまったくの泥棒みたいなものだ。つまり、国が推進しているのは、天下公認の泥棒制度である。しかも、それが、10年間も継続するのだ。

 それでも言い訳は成立するかもしれない。上記の記事には、こうある。
 「買い取り価格は太陽光発電の普及に合わせて、年度ごとに下がる。」 (*
 これをもって「だから大丈夫」と言うのかもしれない。しかし、最初に導入した人々は、その時点ではボロ儲けできる。つまりは、
 「先着順での泥棒」
 ができるということだ。そして、(*)のことは、「泥棒が莫大な数になるのを防ぎます」ということを言っているだけであって「泥棒を誕生させるのをやめます」とは言っていないのだ。
 比喩的に言えば、次と同じ。
 「泥棒を許容するのは先着1万人に限定するので、大丈夫です」
 「殺人を許容するのは先着1万人に限定するので、大丈夫です」
 これではもはや犯罪国家だろう。そして、そういう犯罪国家を構築しようと言うのが、政府や朝日の狙いだ。
 「エコならばなんでも善だ」
 という発想のもとで、
 「エコ泥棒を推進しよう」
 というわけ。

 解決策

 では、どうすればいいか? 
 その答えは、前に何度も述べたとおり。「金を使うのならば、普及のために使うのでなく、技術革新のために使え」ということだ。
 つまり、「低性能のゴミを大量生産するために金を使うのでなく、高性能の製品を作れる能力を生み出すために金を使え」ということだ。
 直感的に言えば、「手をたくさん動かすために金を使うのでなく、頭のために金を使え」ということだ。(……こういうことは、馬鹿に言っても、馬の耳に念仏だろうが。)

 なお、どうしても支援策を採りたいのであれば、次のようにするべきだ。
 「10年間の固定買い取りは、やらない。かわりに、現在の販売価格への補助のみをする」
 たとえば、200万円の太陽電池があるとするなら、その太陽電池に対して補助金を出して、50万円を補助すればいい。(本当はこれもまた駄目だが。)
 ひるがえって、「毎年毎年 補助金を出す」なんて、あまりにも馬鹿げている。10年間の垂れ流し。すでに時代遅れになった低性能発電のゴミを維持するために金を出すわけ。(それくらいだったら高性能の新型電池を購入する方がマシだろう。)

 また、(10年間の垂れ流しという)馬鹿らしさを隠蔽するために、「国税で補助金を出さずに、電力料金でまかなう」というのは、ほとんど詐欺的な隠蔽行為だ。やるなら正々堂々と補助金でやるべきなのに、隠蔽するために電力料金でまかなって、それでいて「補助金はかかりません」という知らぬ顔の半兵衛をするのは、詐欺そのものだろう。
 それとも、頭が馬鹿なのだろうか? 「電力料金でまかなうから、税負担はかかりません。だからコストは全然かからないんだ。すばらしい!」と思っているわけ。朝日はどうも、こう思っているフシがある。

( ※ この件、政府がやるとしたら、責任転嫁のためであり、詐欺の発想であろう。一方、朝日の方は、数字の帳尻ができないだけで、馬鹿そのものなのだろう。)
 


 [ 付記 ]
 コスト低下については、「さらにどんどんコスト低下が起こる見込み」と述べた。
 では、これで「万々歳」と大喜びできるか? いや、そうはならない。
 この件については、また別項で述べる。(たぶん次項。)
posted by 管理人 at 09:04| Comment(5) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
何故ぼろ儲けになるのでしょうか? その差額で、自分の初期コストを償却するので、その初期コストを回収しきってから儲けになるはずです。
更に言えば、必ず儲かるとも限りませんので、その初期コストを負担した人はリスクを負っているとも考えられます。
ちょっと短絡的な考え方と思います。
あと、解決策にあるような将来の高効率機器を買う方がましという考え方だと、いつになっても買い時は来ません。ご存知かと思いますが、PCでも同様です。
Posted by ん at 2009年04月24日 00:17
> その初期コストを回収しきってから儲けになるはずです。更に言えば、必ず儲かるとも限りませんので、その初期コストを負担した人はリスクを負っているとも考えられます。

 政府の長期固定価格買い取り制度による。

> あと、解決策にあるような将来の高効率機器を買う方がましという考え方だと、いつになっても買い時は来ません。ご存知かと思いますが、PCでも同様です。

PCならば費用対効能。PCの有無。
電力ならば、二つの発電方法の競争。AかBか。

なお、PCだって、価格が急激に低下する時期には、大急ぎで買う必要はないんです。初期は16ビットで百万円以上したが、数年待てば 20万円まで大幅に下がる。なのに、「大急ぎで購入するために莫大な補助金を出せ」というのは馬鹿げているでしょう?

 ※ とにかく、他の項目もいっしょに読んでください。
   基本的に、私の話の主旨を理解していません。
   話の主旨とは違うところで、細部で揚げ足取りしているだけ。
   相手の話を理解しようとしないと、誤解だらけになります。要注意。
Posted by 管理人 at 2009年04月24日 19:05
上のコメントが答えになっていません。他の記事も大体読みましたが・・・ちょっと理解できませんでした。済みません。
数年待って20万円になったら、買うのでしょうか? そのときは、更に数年待ったら10万円になるかもしれません。ゼロ円に近似するまで待てばいいのでしょうか? 多分答えは、PCとPVを一緒にするな、だと思いますが。その点、仰る通りかもしれません。
とはいえ、仰るような高性能品もいつかは低性能品になって『ゴミ』化します。どうしたら良いのでしょう? 高性能品って何なんでしょう?
Posted by ん at 2009年04月24日 23:44
しょうがないですね。教えてあげます。

 「自分のことは自分で決めろ。政府の金や他人の力を当てにするな」
 です。

 何でも人に頼らないで、自分の頭で考えてください。PCでも、太陽電池でも、コメントでも。
Posted by 管理人 at 2009年04月24日 23:48
家庭用太陽電池は、今のところシステムの寿命10年、償却期間25年で、まったく駄目ですね。これでも助成(税金)が入っています。
これに更に大きな助成が入ったとしても償却期間が寿命を上回ります。
それに、最近は、住宅ローン苦で日中は空っぽの家が多く、こんな家では太陽電池による発電は売電での収入に寄与するだけです。この場合、償却期間は数十年になります。そして、逆潮させるための電力設備が増えるために、ますます周辺電力機器が増え、価格が高くなり、システムの寿命が短くなります。

そもそも、小規模の太陽電池や風力による売電は、政府に支援された迷惑行為以外の何ものでもありません。

一般家庭で太陽エネルギーを使うなら、太陽熱蓄熱器に勝る物は存在しません。

太陽熱蓄熱器は、フィルター(1万円くらい)を前段に入れて、異物の混入を防ぎ、丁寧に使えば20年以上ノーメンテに近い状態を維持でき、しかも安価なために償却期間は3〜5年程度です。これは、税金による助成が無いのに達成されている数値です。

太陽熱蓄熱器が使えない場合は、ゆうゆうレンタルなどで夜間蓄熱器を設置するのがよく、これも5年で元が取れます。夜間は余る原子の力と石炭の力は偉大です。

エコキュートは夜間蓄熱器に比べるとかなり劣ります。償却期間は10年、寿命15年ですが、オーバーホールの為に大きな費用が予想され、何とか元が取れるというか、やや赤ですね。私は勧めません。

太陽電池は、使い道の無い広大な面積且つ、メンテナンス(掃除)がしやすいところや、配電網が届かないところの独立電源としては意味がありますが、原子力や石炭火力を置き換えるためには、軌道発電所にするしか無いでしょうね。寿命の問題はありますが、核融合発電よりは現実味があり、月面開発とセットで来世紀には実現しているかもしれませんね。

家庭や事業所に太陽電池を押しつける位なら、高速道路や鉄道の南向きの防音壁を全部太陽電池にした方がマシでしょう。
Posted by 番場蛮 at 2009年05月04日 16:32
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