しかし、その陰では、福祉の費用が減額され、困窮者が続出している。エコばかりが重視されて、人間の生命が軽視されている。 ──
「エコを推進することは絶対に大切だ」
という主張のもとで、多額の金を投入しようという世論がある。たとえば、
「太陽光発電のために莫大な金を投入しよう」
「ハイブリッドや燃料電池車のために莫大な金を投入しよう」
という動きだ。
しかしながら、その一方では、生活困窮者のための金はどんどん削られている。
以下、列挙する。
(1) 生活保護
景気悪化ともなって、生活保護を受ける困窮者が増えている、という報道。
12月から1月にかけて生活保護の申請数は全国平均で32%増えている。トヨタ自動車など自動車関連産業が多く立地する愛知県では、1月の申請が1649件と、前月比で72%増えた。全国で116万8305世帯と、前月より約8700世帯増えて過去最多。朝日新聞社の集計で明らかになった。6〜7割の増加はざらにあるようだ。(地域差があるが。)
( → 朝日新聞 2009-03-08 )
このまますれば、さらに増えて、年内には 10割の増加(倍増)になりそうだ。(不況が悪化するので。)
しかしながら、自治体には、生活保護のための予算がない。ない袖は振れない? となると、貧者が路頭に迷うことにもなりかねない。
(2) 炊き出し
貧者が路頭に迷っても、民間で救援の手を差し向けることもある。慈善団体の「炊き出し」だ。ホームレスでも、段ボールで生きることはできるが、それでも食事だけは必要だ。そのために、炊き出しがある。しかしながら、それが中止になるという。
不況の深刻化とともに、路上生活者のための炊き出しに並ぶ行列が伸びている。そんな中、隅田川にかかる駒形橋(東京都墨田区、台東区)では、近隣住民からの苦情を受けて3月末で炊き出しが中止になる。炊き出しを必要とする人は増えているが、逆に、炊き出しを受けられる人は減っている。大量の餓死者の出現?
路上生活を送るこの男性は「ここがなくなれば木曜は腹をすかしたまま寝てしのぐしかない」と肩を落とす。
隅田川沿いや近くの上野公園は段ボールやテントで野宿する人が多く、簡易宿所の集まる山谷からも近い。昨秋から不況が深刻化した影響か、この1年で炊き出しに並ぶ人は200人から500人に増えた。
( → 朝日新聞 2009-03-13 )
実際には、医学的に、次のようになるはずだ。
「栄養の不足にともなって、免疫力が低下する。それによって、風邪などの病気を引いて、あっさり病死する」
この場合は、餓死者にはならず、病死者となる。これによって、行政の無策は隠蔽される。かくて、死者の増加は野放し。
意図的な殺人政策。
(3) 授産施設
実は、失業者は、まだ恵まれている方だ。努力次第では、何とか生きるすべを得られることが多いからだ。一方、努力でもどうしようもない人々がいる。それは、障害者だ。
障害者のために、授産施設というものがある。(障害者の職業訓練。)……これは福祉の一環だ。ところが、これを有料化して、障害者から金を取ろう、という政策がひろまった。
( → 朝日新聞・朝刊・特集面 2009-03-08 。ネットにはない。)
最も底辺にいる障害者から、なけなしの金をふんだくって、生きるために必要な食費さえも奪う、という政策。
( ※ これも、太陽電池のために回す金が必要だから。)
(4) 救急医療
障害者と聞いて、「自分は違うから、知ったこっちゃない」と思うエゴイストもいるだろう。しかし、人は誰しも、障害者と似たような立場になりうる。それは、病気を引いて、病人になったときだ。
ここで、福祉のための金が削られれば、医療のための金も削られるようになる。すると、次のようになる。救急医療の崩壊。
鳥取大医学部付属病院の救命救急センターに勤務する救急医4人全員が3月末で辞職する。教授らは「地方の救急医療の現場は体力的にも精神的にも限界」と訴えている。ここでは、「金の不足が原因だ」ということが、はっきりと明示されている。金さえあれば、問題は解決するのだ。それなりの高報酬で医師を招くこともできるからだ。
院長は「04年の国立大学法人化以降、補助金が5年で計約 10億円減額された。設備の更新もままならず、民間病院のように高報酬で医師を招くこともできない」と話す。
( → 朝日新聞・夕刊 2009-03-14 )
医師の数は、絶対的に不足しているというほどではない。産休でやめたまま復帰しない女性医師はたくさんいる。そういう女性たちを訓練後に呼び戻せば、医師の不足は大幅に緩和するはずだ。
ただし、何事も、先立つものは金である。その金がない。金はみんな、太陽電池などのエコのために行ってしまう。その分、社会福祉の金は、どんどん削られる。すぐ上で「補助金が5年で計約 10億円減額された」というとおり。
こういうわけで、救急医療は崩壊する。
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以上の (1)〜(4) の例を示した。そのいずれも、こうだ。
「金がないせいで、福祉の金が削られる。そのせいで、失業者、困窮者、障害者、病人など、社会で最も困っている人々に回す金がなくなり、死者がどんどん続出する。金持ちの道楽みたいな太陽電池ごっこをするために、莫大な金が回されるから、その分、弱者に回す金がなくなる」
比喩的に言えば、こうなる。
「マリー・アントワネットが道楽でケーキを食べる金が必要だ。そこで最も困っている病人の薬代を奪う。病人をどんどん殺して、ケーキを増やす」
( ケーキ ≒ 太陽電池 )
──
これが今のエコ推進政策だ。では、その核心は、何か? こうだ。
「エコはすばらしい、というエコ教(という宗教)を信じているせいで、最も本質的なことを見失ってしまった」
ここで、本質とは、こうだ。
「人間にとって最も大切なのは、人間の生命である」
そうだ。人間の生命こそ、最も大切だ。これが真実だ。にもかかわらず、人々は、そのことを見失っている。人間の生命よりも、炭酸ガスを減らすことばかり、考えている。ほとんど狂信的だ。
「炭酸ガスの濃度を、現状の 0.037% から、0.002% ほど引き下げましょう。0.002 % ほど 引き下げるために、人間を何十万人も殺しましょう」
という政策。狂気の政策。
これに比べれば、まだしも、次の政策の方がマシである。
「お犬様を殺した人間は、打ち首。生類憐れみの令」
これを聞いて、現代人は「馬鹿馬鹿しい」と笑う。だが、江戸時代の人間が聞いたら、逆に現代人を笑うだろう。次のように。
「犬には命があるが、炭酸ガスには命なんかない。なのに、炭酸ガスを、人間の命よりも大切にする? 頭が狂っているんじゃないの?」
──
現代のエコ政策は、狂気の政策だ。太陽光発電という光の裏には、陰がある。その陰を、はっきりと理解することが必要だ。
「太陽光発電はエコで素敵だな。太陽光発電で明るい未来」
なんて思う発想は、あまりにも能天気なのである。頭がお天気。
[ 付記 ]
エコのために、多大な無駄金が支出されている。では、どんな? 三つ列挙しよう。
(A)太陽光発電
太陽光発電のために、金が支出される。
ただし政府はこれを隠蔽するために、「税金を投入する」という形にはせずに、「電気料金の値上げ」という形を取る。
朝日新聞はこれを推奨する。「これならば政府の金を支出しないから善である」という立場。
しかし、政治経済的に言えば、これは阿呆の発想だ。なぜか? 次の二点による。
(i) どっちみち国民全体が負担するから、国民負担は同じことだ。単に国民負担を隠蔽しているだけにすぎない。(詐欺的な手法。)
(ii) 国民負担は、かえって不公正になる。政府の金ならば、ほぼ所得比例になり、金持ちの負担が多くなる。しかし、電気代の負担では、金持ちの負担が増えることもなく、ほぼ均等になる。これでは、社会的にかえって不公正だ。
(B)ハイブリッド車
ハイブリッド車を特に優遇しても、意味はない。燃費性能の悪いハイブリッド車もたくさんあるからだ。この件は、前述。
→ ハイブリッド減税は?
(C)高速道路無料化
景気対策のためと称して、「高速道路無料化」という政策がある。これは最悪だ。「エコのための補助金」ではなくて、「反エコのための補助金」だからだ。比喩的に言えば、「善を推進するための補助金」ではなく、「悪を推進するための補助金」である。エコ推進よりもはるかに悪い。
レジ袋有料化だの、太陽光発電の推進だの、そんなことをいくらやっても、あっさり無効になる。なぜならば、自動車の燃料消費は、はるかに多大な量の炭酸ガスを排出するからだ。ちょっとドライブしただけでも、レジ袋の何千枚分のガソリンを食う。太陽電池で言えば、1日か数日分の発電に相当する量を、ドライブで排出してしまう。
しかも、である。通常の自動車運転は、社会的に何らかの必要性があるのだが、遊びのためのドライブというにのは、何ら必要性がない。とすれば、この分のガソリン浪費は、完全に無駄な浪費なのだ! (本来ならば遊びのドライブなどは皆無にするのが好ましい。)
ところが、エコ教の信者たちは、これを批判しない。彼らは、太陽光発電を推進することばかりに熱中して、ドライブによる莫大な浪費のことなど、ちっとも考えない。自分が(他人の金を奪って)エコごっこをしていればそれで満足して、家族が莫大な石油浪費をしても知らぬ顔の半兵衛。
このことからして、エコ推進運動というものが、いかに非科学的で非合理的であるかがわかるだろう。
[ 補足 ]
ついでに、経済学的な説明を補足しておこう。
政府は、「高速道路の無料化を推進する」ことの理由として、「景気対策のため」と説明する。しかしこれは、経済学的に正しくない。(つまり、嘘八百である。)
なぜか? 景気対策のためであるなら、経済学的には、次のことが必要だ。
消費 → 売上げ → 所得 → 消費 → ……
これは最初と最後に「消費」があることからわかるように、循環的な過程である。いわゆる「経済波及効果」ないし「スパイラル」効果だ。
このことは、一般的には、成立するはずだ。一定額の支出があったときに、その2倍ぐらいの経済波及効果があるので、3倍ぐらいの生産拡大をもたらすずだ。
ところが、である。高速道路の無料化では、これが成立しない。なぜか? ガソリンは輸入品であるからだ。
たとえば、国民が 1万円でガソリンを買ったとしよう。その1万円は、どこに行くか? 国内に留まっていれば、最終的に3倍ぐらいの生産拡大をもたらす。しかし実際には、金の大部分は、産油国に行ってしまう。とすると、生産拡大効果は、ほとんどない。それによって景気回復するのは、日本経済ではなくて、産油国経済なのだ!
つまり、高速道路の無料化というのは、たしかに景気回復効果はあるのだが、それによって景気回復するのは、日本ではなく、産油国なのである。だから、それは日本にとっては、全然、景気対策にはなっていない。
むしろ、日本にとっては、逆効果がある。ガソリン購入のために1万円を使えば、その分、他の商品の売上げは減るからだ。
つまり、高速道路の無料化をやればやるほど、国産品の購入に向ける金は減ってしまって、景気はかえって悪化する。
結語。
現在の日本のやっている政策は、次の二つだ。
・ エコを重視して、国民を死なせる。
・ ガソリン浪費 (エコに反し、かつ、景気悪化をもたらす。)
これほどの自殺政策を取る国には、他にはほとんどあるまい。日本は自分で自分の首を絞めている。
[ 余談 ]
本項の趣旨は、「エコのために金を出すな」ではない。「エコのために金を出すのはいいが、その前にもっと優先するべきことがある」ということだ。
金持ちならば、金持ちの道楽で、太陽電池でも何でも、好き勝手に買うがいい。しかし、食費もなく、医療費もなく、路頭に迷って死んでしまいかねないというような貧困者( ≒ 貧困国)が、太陽電池という道楽をするのは、順序が違うだろう。……そう言いたいわけだ。
それが「人間の生命が最も大切だ」という発想だ。
比喩的に言おう。あなたの家族が、「太陽電池を買うので 300万円を使います」と主張する。そして、そのせいで、医療費と食費を削って、病死または餓死してしまう。
あなたの家族がそうしようとしたら、あなたはどう言うか? 「立派ですね。エコのために頑張ってください」と推奨するか? ……そういう問題だ。
ここでは、「家族の狂気を止める」ということの是非が問われている。
( ※ なお、朝日新聞の責任は、とりわけ重い。「太陽光発電の推進のために電力料金に上乗せ」という政策を、朝日が何度もキャンペーンするから、政治家も官僚も、それに洗脳されて、その政策がとうとう実現してしまった。阿呆が煽動するから、人々が狂気に洗脳される。……そして、そのしわ寄せで、貧者が困窮する。読売は「医療崩壊を防げ」というキャンペーンをたまにやることがあるが、朝日はそういうキャンペーンをやったことはほとんどない。朝日が日本を崩壊させている。……よく考えてみれば、朝日の社旗は、太陽だ。だから、自社の宣伝で、太陽光発電に熱中しているのかも。太陽教か? ) (^^);

このような考えがまかり通っている
日本国民、行政には悲しい思いがします。
一番大事なことに気づいてほしいですが・・・
景気の回復のためにはどうしても生活必需品以外の物を国民に買ってもらう必要があります。貯金の多い高年齢層にお金を使ってもらいたいという事もあるので、旅行の人気は減っていますが旅行の推進が有効なのではないでしょうか。
もちろん、お金を全て国内消費に回せた方が良いので、そのような方法があればそちらにすべきだと思います。
旅行の推進による景気刺激というのも一理あるとは思いますが、オカネを持っておられるのは高齢者です。高速道路の逆走(朝日新聞3/13日)などの問題も解決を見ておらず、高齢者(に限らず)の旅行には電車・バスを使用する様キャンペーンを打つのが良いのではないでしょうか。
そもそも高山アルペンルートなどの観光地はマイカーの排ガスを嫌ってそのようになっていると思います。
しかも無料化の財源が税金となれば、マイカーを利用しない人からも等しく税を取り立てることになり不公平と思いますし。
フェリー会社を倒産させるために税金を投入する。倒産させたら再生するために税金を投入する。無限循環で、金だけがどんどん消えていく。
> その1万円は、どこに行くか?
> 国内に留まっていれば、最終的に3倍ぐらいの生産拡大をもたらす。
現在のガソリン税は1リットルあたり53.8円。
現時点では、110円程度だから、半額は税金と言うわけになる。
全額が産油国に行かず、半分は日本に残るわけだから、
それでも1.5倍は生産拡大をもたらすと見て良い訳だ。ほとんど無いことではなさそうだ。
そこそこ良いんじゃないでしょうか? まぁ弱いでしょうけど。
税金に入ったお金は、消費に回されないので、「需要と供給の無限循環」(経済波及効果)からははずれて、国庫に回収されます。
ま、すべてが産油国に行くわけではない、という指摘は正しいですね。ただし、効果は 1.5倍にはなりません。半分が国庫に回収されて、他の大部分は産油国に行って、残りは石油会社やガソリンスタンドの利益の分だけなので、ごくわずかな額でしょう。
> 「需要と供給の無限循環」(経済波及効果)からははずれて、
> 国庫に回収されます。
おお、なるほど!
ご指摘、ありがとうございます。
「道路公団」は民営化され筈。
だからと云って民間会社になったのだから好きに通行料は変更できないが、今回は民間会社の意向が全く表に出ていない。未だに民営ではないのだ。差額が補填されるから文句は無いだろうが、スジを通して貰いたい。
これから土日は渋滞だらけの道路をドライバは苛々しながらCO2をまき散らす事になる。