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地球温暖化の原因として、「緑の減少」を私は指摘した。これはまた「環境破壊」の問題でもある。
「緑の減少」は、「森林の減少」などの形で示されるが、特に、「開墾」という形の「森林の減少」もある。
この件は、前項で読者のコメントで指摘された。そこで改めて調べると、結構ひどい状況であることがわかった。
開墾による森林消失として、具体的な例は、北海道とオーストラリアで見られる。
衛星写真
衛星写真を見ると、開墾による森林消失がはっきりとわかる。地形的な形で森林が存在しないのではなく、一定領域の森林がごっそり消失していることがわかる。(拡大するとよくわかる。)→ 北海道
→ オーストラリア
北海道の東部および南東部では、人為的な形で一定領域の森林がごっそり消失している。(森林領域と開墾領域とが、はっきりと区別される。)
オーストラリアではもっとひどく、森林領域がわずかに残っているだけだ。わずかな森林領域を残して、まわりからどんどん侵食し尽くしてしまった、という形になっている。
歴史
開墾の歴史は、ネット上に情報が見出される。(1) 北海道
北海道の開拓とは、森林破壊のこと。森を切り開き、畑に換えていったんです。明治20年(1887年)の北海道の人口は32万人程度。昭和2年(1927年)には247万人へ。3万ヘクタールの農地が79万ヘクタールへと拡大したんです。それだけ森が無くなったんです。(2) オーストラリア
( → http://www.kikori.org/ken-betu/hokkaido/p-hokkaido.htm )
西オーストラリアは、ヨーロッパ人が移住する以前に存在していた森林の90%をすでに失いました。現在、残されているオールドグロス林のうち、国立公園や保護地域の指定を受けているのは、わずか6%だけ。
ヨーロッパ人が移住してきた1829年以降、元々存在していた森林の約40%が農場や市街地、道路に姿を変えました。その他の50%は伐採が行われ、わずか10%のみがオールドグロス林として残っています。
( → http://www.jca.apc.org/jatan/woodchip-j/wa.html )
世界自然保護基金(World Wildlife Fund、WWF)は7日、オーストラリア北東部での低木伐採が原因で、コアラ数千頭が死に、鳥類やは虫類数万匹が死んだと発表した。WWFは、伐採を直ちに中止しなければ、いくつかの種は、絶滅の危機に瀕すると警告している。
クイーンズランド(Queensland)州は前週、年次報告書を発表し、2005-06年で37万5000ヘクタールの低木地が伐採されたことを明らかにした。WWFによると、これにより、ほ乳類200万頭が死んだという。
放牧地にするためには野生の低木をまずブルドーザーで伐採し、その後農家らが火を放って不要物を燃やすが、この際に放たれた火で多くの動物も死んでしまう。
伐採で最も多く数を減らしたのはカメやトカゲなどのは虫類だったが、WWFオーストラリアのニック・ヒース(Nick Heath)広報によると、生息地を奪われた結果、コアラも約9000頭が死んだという。
( → AFP通信 )
アマゾンと全世界
北海道とオーストラリア以外では、どうだろうか? ネット上を調べたら、次の情報が見つかった。(1) アマゾン
アマゾンもひどい状況にある。引用しよう。
森林消失した53万 km2 のうち、現在農地や牧草地として利用されているのは半分に過ぎない。農地が12万 km2 、牧草地が14万 km2 で、残りの26万 km2 はすべて農地・牧草地の跡地であり、放棄された荒廃地となっている。アマゾンで荒廃地の回復が重要な課題とされる所以だ。ここでは、森林消失したのが 53万 km2 と記されている。ちなみに、日本の国土の面積は 38万km2 弱である。
( → JBN news )
画像を示すと、次の通り。
→ アマゾンの衛星写真
右下の森林領域と、左上の開墾領域とが、きれいに二分されるのがわかる。
( ※ ここが開墾領域だということは、すぐ下の二つの地図からわかる。)
(2) 全世界
全世界についても、次の情報を見出せた。
→ 原生林は8000年前と比較して8割が消滅 (地図)
ここでは、「昔の森林」と「現在の原生林」が示されている。
一方、「現在の森林(人工林を含む)」との比較は、次の二つの地図の通り。(GFWより転載。)
* 8000年前

* 現在

ともあれ、全世界でいかに森林が減少したかがわかる。(特に中国。)
( ※ なお、森林消失の大部分は、この 100年のことだろう。それはちょうど、温暖化が急速に進んだ時期に一致する。)
( ※ この 100年というのは、人類の人口が急激に増えた時期に一致する。それがそのまま、居住地や耕作地の拡大を意味するはずだ。)
( ※ この 100年の人口増加は → 図 ,図の解説 )
結論
以上のことから、結論が得られる。それは、すでに冒頭に述べたとおり。つまり、森林の消失という問題こそが重要であり、それこそが環境問題で何よりも意識するべきことなのだ。
なのに、温暖化論者は、そういうことを無視して、炭酸ガスのことばかりを論じる。あまりにも見当違いだ。
たとえば、次のようなことを論じる。
「二酸化炭素の吸収量は、森林と草地ではどちらが多いか?」
こんなことを論じても仕方ない。なぜなら、その回答は、こうだからだ。
「どちらも同じ。森林と草地は、そこで二酸化炭素を吸収しても、そのあと燃えたりするときに二酸化炭素を排出する。だから、二酸化炭素の吸収量は差し引きしてゼロである」
同じ趣旨のことは、次にも見られる。
( → MSN相談箱 ,oshiete )
つまり、二酸化炭素の吸収量なんかにとらわれている限り、森林も草地もどっちも同じで、どっちも意味がない。どちらにしても、二酸化炭素の吸収量はゼロだからだ。(貯蓄量はあるが、新たな吸収量はゼロ。)
そこに意味があるとしたら、「二酸化炭素を排出しないで熱源を得ることができる」ということだけだ。(化石燃料では熱源を得る際に二酸化炭素を排出する。それに比べればマシ、ということ。しかし、二酸化炭素の吸収量が増えるわけではない。)
森林や草地が大切なのは、二酸化炭素を吸収するからではなく、そこにおいて保水量があるからだ。保水量を通じて、水分の蒸発をもたらし、雲を増やし、降雨を増やし、気温の温暖化を防ぐ。一言で言えば、
「森林や草地は、地球の砂漠化を防ぐ」
のである。これこそが最も重要なことだ。
なのに、そのことを無視して、二酸化炭素のことばかりを考えているから、地球はあちこちで、傷だらけになる。北海道には宇宙から見てもわかる大きな傷があるし、オーストラリアにいたっては傷ばかりという状況だ。
大切なのは、緑の維持なのだ。そこを理解しないで気温ばかりに着目するのは、本質を見失っている。気温は環境破壊の指針の一つにすぎない。気温だけを下げようとしても無意味なのだ。気温を含めたすべての環境を保全するべきなのだ。
二酸化炭素にとらわれた人類の愚かさを、衛星写真は見事に教えてくれる。そこで示されるのは、傷の大きさではなくて、その傷の大きさに気づかない人類の鈍感さだ。
[ 付記1 ]
「森林消失」と似た例で、「干潟消失」という話題もある。朝日新聞(朝刊・声欄 2009-02-15 )で指摘されていた。そこで、ちょっと調べたら、次のことがあった。
→ 泡瀬干潟の干拓。
干潟が干拓されることで、干潟が消失しつつあるという。
干潟というのは実に大切なものだ。それは潮干狩りをするためにあるのではない。海の浄化のためにある。干潟があれば、栄養分の多い(富栄養化した)水が浄化されて、湾内では魚がたくさん獲れるようになる。しかるに、干潟がなくなると、赤潮などが発生して、海が死んでしまう。……東京湾はそういう傾向にある。(わずかに干潟が残っているが。 → 三番瀬 )
[ 付記2 ]
人類は、森林消失という形で陸地を破壊し、干潟消失という形で内海を破壊しつつある。陸地も海も破壊しつつある。
こういう愚かなことをしているから、温暖化という形で、環境破壊のしっぺ返しを受けているのだ。
にもかかわらず、人類は、環境破壊というおのれの愚行に気づかない。「炭酸ガス増加が悪いんだ」とだけ考えて、それを直そうとするだけだ。何という愚かさ。
[ 付記3 ]
たとえ話。
喫煙者がいた。彼は喫煙をしているせいで、他人にさんざん批判された。そのあと、彼は自宅のまわりの樹木を、次々と伐採した。それを燃やして、煙が出て、家が煙りだらけになった。自宅の環境はひどく悪化した。彼は反省して、こう言った。
「私の喫煙が悪いんだな。喫煙が状況を悪化させたんだ。だからこれからは喫煙をやめよう」
そこへヒゲもじゃの変人が登場した。
「あなたが悪いのは、喫煙じゃない。樹木を伐採して、樹木の煙を出していることだ。反省するなら、喫煙をやめるんじゃなくて、樹木の伐採をやめてなさい。煙草一本に火をつける喫煙をやめるのでなく、樹木に火をつける環境破壊をやめなさい」
すると喫煙者は、反論した。
「何だと! おまえはおれの禁煙を邪魔するのか? 人がせっかく空気をきれいにする善行をしようとしているのに、おまえは善行を邪魔するのか? このトンデモめ!」
そして彼は頭に来て、「こいつはトンデモだ!」とあちこちで落書きを書いた。
[ 付記4 ]
森林の保水力(保水量)については、「針葉樹林よりも広葉樹林の方が優れている」という説がある。
これに対して、「どっちも似たようなものだ」という反論もある。
「専門家の測定結果によると、1時間あたり、スギ・ヒノキなどの針葉樹が生息する土壌に浸透できる水は260.6mm、広葉樹の天然林では、271.6mmとなっており、両者の水を貯える力にはほとんど違いはないといえます。」この手の話は、私も前に聞いていたが、どうにも実感に合わないと感じていた。そこでネットを調べたところ、もっと実態に合うデータが見つかった。
( → http://digi-mori.xsrv.jp/dmr/moriyama/sato/mori_mizu.htm )
「時間の経過とともに、いずれの土もほぼ同じように水分が失われていくが、7日後に、最大保水力の何%の水分が残っているか。専門家の調べた数値というのが、かえっていかがわしい数値であるとわかったわけだ。
7日後の水分保持率 …… ブナ土(11%),杉土(0%)」
「植林されているスギ林の表土は、ブナ林の表土に較べて、最大保水力、水分保持率ともに低く、ブナ林より乾きやすい土であるといえる」
( → ブナ林の表土の保水力を調べる )
理由は二点。
(1) 降雨の当初の数値だけを見て、数日後の数値を見なかった。
(2) 土だけを調べて、落ち葉を含めなかった。(実験するときに、
土だけを調べたので、実際にある落ち葉を意図的に除去した。
世の中の専門家というのは、やたらと厳密に調査しようとして、条件をそろえて簡単化して実験したがるが、条件をそろえて簡単化する時点で、かえって現実から離れてしまい、実態からズレた結果を出してしまうわけだ。
【 関連項目 】
→ 陸地温暖化説
→ 陸地温暖化への対策
→ 生態系の維持
※ ここからわかるように、大切なのは「保水量」という概念だ。
したがって「草地(牧草地)よりも 森林が大切だ」と言える。

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特に太陽活動や森林破壊は要因として大きな項目なのに、注目度が低いし....更に森林破壊に関しては人間が制御できる範囲なのに...何故?
何か大きな意図(目的)が有るのでしょうかね?
例えば、アメリカが他国の産業を衰退させようとしているとかね。
妄想ないし錯覚だ、というのが私の考えです。この件は、近日中に論じる予定。前にも同じことは軽く述べたが。
これは、私なりの皮肉です(笑)。
まともな意見は、管理人さんが以前書かれた、「宗教的な」「妄想ないし錯覚」が最も適した考えと思います。
でも、管理人さんが「エコの欧米崇拝」で書かれた「欧州人が威張れなくなる」(当然、皮肉でしょうが...)なども考えられ(笑)、段々と皮肉に聞こえなくなってしまいますね。