2009年02月17日

◆ ハイブリッド減税は?

 ハイブリッド車への減税が推進されている。「環境や省エネのため」で。
 政府もマスコミもこれを「すばらしい」と主導しているが、私は大反対する。 ──

 例によって、主流派に反対する説だ。
 すると、またトンデモマニアが騒ぎそうだ。「省エネに反対するトンデモ野郎!」と。   (^^);

 ともあれ、彼らの誤解を恐れず、話を進めよう。

 ──

 省エネにとって大切なのは、「省エネをします」という姿勢や善意ではない。しかし、多くの人々は、ここを勘違いしている。この件は、前にも述べた。
  → 省エネという自己満足
  → 省エネの指標は努力か?

 では、大切なのは何かというと、「省エネをします」という姿勢や善意とは関係なく、実際にエネルギーを節約することだ。
 具体的に言えば、「これだけエネルギーを節約します」と大宣伝して 1リットルのガソリンを節約することではなくて、何も語らずに2リットルのガソリンを節約することだ。

 これが私の主張だ。しかしながら、世間はそれとまったく正反対のことをやろうとしている。

 ──

 ハイブリッドでも同じだ。
 「ハイブリッド車は省エネだから推進しよう」
 という趣旨で、ハイブリッド減税なんかをやろうとしている。また、マスコミは、
 「ハイブリッド車の減税はすばらしい。どんどんハイブリッド車を買いましょう」
 と推進している。(そういう記事があふれている。)

 しかし、ハイブリッド車は、省エネと等価ではない。全体的に見れば、ハイブリッド車は、非ハイブリッド車よりも省エネだ、という傾向があるが、等価ではない。

 なぜか? 省エネに最も有効なのは、「ハイブリッド」ではないからだ。では何が有効かと言えば、「軽量化」だ。
 この件は、前にも述べた。
  → エコカーの開発
  → 省エネの方法(まとめ)

 ──

 具体的な例で言えば、次の比較をするといい。
  ・ レクサスLS(ハイブリッド)
  ・ マツダのデミオ


 前者はハイブリッドで、後者はただの小型車だ。そこで、省エネを推進するマスコミなどは、
 「レクサスはハイブリッドですばらしい。減税しよう」
 と言い出す。しかし、この両者を比べれば、レクサスの方がずっと悪い。10・15モード走行燃費で言うと、次の通り。
  ・ レクサス LS600h/LS600hL ……  12.2(km/L)
  ・ マツダ・デミオ 1.3 13CV ……  23.0(km/L)

 つまり、ハイブリッドの方が、ガソリンを倍も食う。

 また、かなり前だが、「ベンツのディーゼルの燃費はすばらしい」という記事もさんざん出た。しかし、ベンツのディーゼルはもっと悪い。
  → http://openblog.meblog.biz/article/45391.html#comment
    (コメント欄での加筆)

 なお、他の車のデータは、下記。
  → http://car.jp.msn.com/mileageranking/

 ──

 だから、本当に省エネを目的とするのであれば、「ハイブリッドは省エネだ」なんていうマスコミの宣伝に惑わされずに、「軽量化」を最優先するべきだろう。

 ま、ホンダのインサイトや、トヨタのプリウスは、たしかにすばらしい高燃費だ。これらについては、「ハイブリッドは省エネだ」と言える。
 しかし、それ以外のハイブリッドやディーゼルなど、軽量の小型車よりは省エネになっていないことがほとんどだ。いくらすばらしい先進システムを使おうと、車体が重くては何にもならない。
 なのにマスコミは、それも理解せずに、大型のハイブリッド車やRV車を「省エネだからすばらしい」と推進する。
 また、政府はこれらの大型車を「省エネだから減税します」と言い張って、たっぷりと減税する。
 つまり、うわべの言葉にだまされて、エネルギーを浪費するものを、「省エネだから減税します」というふうに、お金をたっぷり上げるわけだ。

  ────────────

 ただし、……
 話をひるがえすようだが、以上の話は必ずしも正しくはない。
 というのは、マスコミは嘘ばかり書いているが、政府の方針はそれほど愚かではないのだ。つまり、政府の方針は、
 「ハイブリッド車に限らず、省エネであれば減税する」

 というふうになっている。(賢明な方針)

 もう少し正確に言うと、政府の方針は、次の通り。
  ・ ハイブリッド車や新型ディーゼルは、免税。
  ・ ガソリン車でも、省エネであれば、減税。

 このうち、前者については、先に指摘したことは正しい。ハイブリッド車や新型ディーゼルであれば、いくらエネルギーを浪費しても、免税となる。(ガス食いのくせに、たっぷり減税)
 一方、後者のこともある。ハイブリッド車や新型ディーゼルでなくても、実際に省エネになれば、かなり大幅に減税になる。程度に応じて、50% 〜 75%の減税だ。

 詳細は下記。
   → 減税額一覧
   ( ※ データはちょっと古い。未確認。実は、制度が未定。)

 ──

 とすれば、結論は次のようになるだろう。
 「大型のハイブリッドなんかはやめて、小型の省エネガソリン車に乗るべし。それでも、75%の減税になるし、実際の燃費は2倍ぐらい良好。」


 なお、具体的にはどの車種にすればいいかは、下記。
  → 対象車種
  http://www.mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpikouhyou/03/03-1.html

 また、基準がどのくらいかは、下記。
  → 低燃費車の基準値
  http://www.honda.co.jp/environmental-report/2007/000019.html
   ※ 見ればわかるとおり、大甘である。容易に基準を達成できる。

 ──

 なお、次の選択肢もある。
 「プリウスまたはインサイトのような、やや小型のハイブリッドを買う」

 これはこれで、全然、悪くない。ただし、一人一人がこれをわざわざ買っても、全然省エネにはならないと思う。
 というのは、生産台数はどうせ同じだからだ。つまり、販売台数が、生産台数の上限に貼りついてしまいそうだからだ。……つまり、全量が売れてしまうはずなので、生産台数は一定となる。とすれば、あなたがこれらの自動車を買っても、省エネ効果はほとんどない。買う人があなたになるか、別の人になるか、という違いが起こるだけだ。

 ま、買いたければ買ってもいいが、その場合も、「自分は省エネをしている」という実感が得られるだけだろう。つまり、
 「省エネをしているのは、他人ではなくて自分だから、自分は偉い」
 という自己満足。社会的には、何の意味もないのだが。

 ──

 ついでだが、プリウスとインサイトはどっちがいいか? これも、省エネの観点では、どっちにしたって同じことだ。どちらも全量が売れるのだから。
 ただ、それとは別に、技術的な観点から言えば、「どっちもそれなりに意味がある」と言える。
  ・ プリウス …… 完全なハイブリッド。高価だが、高性能。
  ・ インサイト …… セミ・ハイブリッド。安価だが、低性能。

 ま、そんな感じですね。「高性能/低性能」というのは、省エネ性を主として評価するが、他の点もあわせて評価している。

 「価格と比べての性能」
 という観点から言えば、
 「どっちも不合格」
 となる。価格の大幅な上昇の分を、省エネでまかなうことができない。省エネでまかなうとしたら、ストリートビュー・カーみたいに、毎日一日中走っている場合だろう。
 しかし、そんなことをすれば、ものすごくガソリンを食う。  (^^);

( ※ それでも、「どっちもどっち」というような返答では満足できずに、「プリウスとインサイトのどっちがいいか? どっちか選べ」と強引に問い詰めてくる人もいるだろう。……ううむ。まるで二人の愛人に「どっちか選んで!」と問い詰められているような気分だ。 (^^); …… その場合には、私は、次のように答えたい。「現行型のプリウスがいい。これは継続生産されて、やや安価だから、これがいい。古くて人気はないだろうが」と。ま、「古女房がいい」というような妥協案。  (^^); )
( ※ この案には、別の意味もある。現行型プリウスは、あまり売れないかもしれないので、その場合は生産台数に余力が出る。とすれば、あなたが買った分、エコの効果が増す。……とにかく、人々はファッションでハイブリッドを買っているから、古いタイプはあまり売れないだろう。だからあなたは、古いタイプを買って貢献してもいい。……しかし、あなただって、ハイブリッドを買うのならば、ファッションで買うはずだ。やっぱり、古いタイプなんか、買いたくないでしょうね。中古車だと思われてカッコ悪いし。誰だって、エコよりはファッションが優先ですよね。そもそもエコというのがファッションにすぎないんだし。  (^^); )

 ──

 結論。

 「ハイブリッドは省エネだ」ということはない。重たいハイブリッドよりは、軽量のガソリン車の方が省エネになることが多い。
 また、一番の省エネは、ハイブリッドとか何とかではなく、自動車をなるべく運転しないことだ。これが原則。
( ※ 高速道路の無料化・低価格化、なんて最悪だ。)



 【 追記 】 ( 2009-03-19 )
 新たに情報を二つ加える。

(1) トヨタの現行プリウスは、大幅に値下げ。40万円も安くなる。インサイトとほぼ同額。

  → 産経ニュース

( ※ 他にもあちこちのニュースサイトで報道されている。)

(2) ハイブリッドは、電池劣化があり、電池交換が必要となる。しかし、特に問題がないようだ。

  → http://plaza.rakuten.co.jp/doriki/diary/200606140000/

(少なくともトヨタについては。ホンダもだいたい同様だろう。ホンダの方が電池は小さいから問題はもっと少ない。)



 [ 付記1 ]
 本当に「省エネ」をめざすのであれば、燃費のいい車に減税するより、燃費の悪い車に増税するのが筋なのだが。どうも今回のは、「エコ」に名を借りた「自動車産業育成策」にすぎないようだ。
 昔は、自動車に(消費税以外の)税金がすごくかかっていたし、月収2万円の時代にガソリンはリッター 100円だった。昔に比べて今の自動車は、税金その他がタダみたいに安くなっている。それでいて「省エネ」しようなんて、ちょっと狂っている感じ。

 [ 付記2 ]
 というわけで、
 「燃費のいい車に減税する」
 というのはまだわかるが、
 「燃費の悪い車に減税する」
 という減税措置は、やめてもらいたいものだ。
 具体的には、次の二種類。
  ・ 燃費の悪い大型ハイブリッド車(レクサス)
  ・ 燃費の悪い軽自動車(重たいRVタイプ)

 いずれも、燃費は悪い。
 前者は、カローラやアリオンやシビックよりもずっと燃費が悪い。それでいて、ハイブリッド車として軽減税率を受けている。(この件は前述。)
 後者は、軽自動車とはいえ、デミオやシティよりもずっと燃費が悪い。そのくせ、軽自動車として軽減税率を受けている。

 低燃費車に軽減税率を適用するなら、その分、燃費の悪い車には、大幅に課税するべきだろう。両者がトントンになるようにするべきだ。
 特に、燃費の悪い軽自動車は、軽自動車の特典を廃止するべきだ。何のためにあんなものを優遇するのか、わけがわからない。(ガソリンを浪費する車を優遇するという矛盾。)

 [ 付記3 ]
 最後に、一番省エネになる方法を教えよう。
 「自動車を運転しない」
 これが一番!

 具体的には、次の代替案がある。
  ・ 自転車
  ・ 電動自転車
  ・ リカンベント (座席つきの自転車)


( ※ これはいわば、あらゆる女から逃れて独身に戻るような気分。……ひもじすぎる?)



 【 追記 】 ( 2009-04-10 )

 (1) 減税額
 減税額は、取得時の減税と、毎年の課税の減税との、双方がある。全部合わせていくらかというと、次の額らしい。
  ・ インサイト …… 36万円 (車両価格 190万円)
  ・ プリウス   …… 40万円 (車両価格 230万円)

 あとで調べたところ、この数値は、新車登録からの年数である「車齢」が13年を超える保有車両を廃車にして環境対応車に買い替える場合の 25万円を含む。それ以外の場合は 15万円だけ。
 なお、自動車雑誌によると、セルシオ・ハイブリッドでは、総額 100万円程度の減税となるそうだ。金持ち減税は巨額ですね。

 詳しくは、政府が税制について詳細を記した資料を示している。
  → 制度の詳細

 これを解説したページもある。(ただしやはり、わかりにくい。)
  → 日経の解説

 (2) お勧めの車種
 お勧めの車種は、何か? これはもう、圧倒的に、インサイトよりは新型プリウスの方がいいようだ。現行型(というか旧型になってしまったが)のプリウスは、法人向けということだが、新型に比べてたいして安くないので、あまり意味はないらしい。
 というわけで、結論は簡単に出る。しかし……である。
 実を言うと、耳寄りな情報を得た。ベストカーという自動車雑誌( 2009-04-10 )にある、意外な情報。要約すると、下記。
 「トヨタの初代プリウスは、消耗した電池を途中で無償交換してくれるので、十年落ちぐらいの中古車でも、結構電池は新しい。電池が古くて性能が落ちるということはない。実際、燃費を調べても、新車時に比べての燃費悪化は5%〜10%ぐらいの悪化で収まっている。それでいて、中古車価格は、50〜80万円ぐらい。」
 とすれば、一番エコノミーなのは、初代プリウスの中古車を買うことだ。
 二代目プリウスも、消耗した電池を途中で無償交換してくれそうだ。(未確認なので、自分で調べるといいだろう。価格コムあたりに情報があるかも。)
 
 なお、現行型のインサイトやプリウスは、どうか? 私が思うに、「電池交換は無償で」というのは、もうやらないのかも。ちょうどその分、販売価格が下がっているからだ。
 だから、新型プリウスやインサイトは、「価格が安い」と思って購入しても、あとで別途、「消耗した電池の交換代」を請求されて、「な案だ、ちっとも安くなっていない」と気づくハメになるかも。
 ただし、これは、私の憶測だ。本当は無償で交換してくれるのかもしれない。未確認なので、販売時に、ディーラーで確認するといいだろう。
posted by 管理人 at 18:39 | Comment(5) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
去年、妻が車ぶつけられてまだ当分乗れる車の買い換えを余儀なくされました。

 MT車は既にこの世には殆どなく、AT車になりましたが世間の人はこんなに燃費の悪い車によく平気で乗ってるもんだと思いましたね。もっとも自分の車の燃費を知ってる人って少ないという印象ですが。

 そんなMT車に優遇税制が無いのが不思議です。アメリカ人がもう少しまともならAT車はこれほど普及はしなかったんじゃなかろうか、と思う今日この頃。
Posted by ボッケニャンドリ at 2009年02月18日 09:05
ハイブリッド車減税で喜ぶのはこういう新車を買える人と、自動車メーカーですよね。
何のための減税かというと「環境、省エネ」。本当にそういう目的なら車を持っていない人がなにかしら優遇を受けてもよいはずなのですが、それは置き去りです。
札幌市は以前に融雪溝・融雪槽と灯油などを使って自宅で雪を融かす装置を付ける人に補助金を出していたことがあります。今では市も財政なんで廃止しましたが、車と一緒で税金を優遇する対象がどうも違うのではないかといつも考えています。
北海道は冬期間自転車は乗れませんが、私は昨年自転車買って、車の燃料代が半分になりました。自転車への補助や自転車道の整備をすることが環境にはかなり有効でないかと思います。
Posted by BEM at 2009年02月18日 10:44
本項は「ハイブリッド減税の是非」を論じている。一方、「ハイブリッド減税とは何か?」を知りたくて、検索して、やってくる人もいるようだ。
 その人たちのために一言。

 「ハイブリッド減税とは何か?」は、まだ決まっていません。3月ごろに政府予算案や法案が決まって、そのころ詳細が決まります。実施は4月以降です。今から考えても無駄。

 特に、インサイトならば、今現在では減税はなしです。4月以降には減税がありそうです。だから4月以降に買う方が得。

 ただし、インサイトは、自動車雑誌では評判がいいが、実物に乗った人の評価はすごく悪い。後席が狭すぎて、165センチの人は頭がルーフに触れる。160センチ以下の女性か子供しか乗れない。室内はフィットよりもずっと狭い。また、構造や内装はフィットが元になっている安物。プリウスとは2ランクぐらい違うらしい。(値段もそうだが。)

 ま、「ハイブリッド減税とは何か?」を気にする人には、「まだ買わない方がいい」とだけ言っておきます。
Posted by 管理人 at 2009年02月22日 22:05
なんかズレてますよねー
ハイブリッド減税
Posted by こばさん at 2009年03月04日 21:01
最後のあたりに、【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年03月19日 22:09
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ