2016年の五輪を東京に開催しよう、という運動がある。この方針について全国世論調査をしたら、「賛成」が 74%だったという。
( → 読売・朝刊 2009-02-14 )
一方、東京都の発表によると、この東京五輪は「エコ」を重視したものになるという。次の通り。
日程は7月 29日からの 17日間。開会式などを行う 10万人収容のメーンスタジアムの屋根に、一般家庭 1000世帯の1日の消費量に相当する1万1000キロ・ワット・アワーの太陽光発電パネルを設置。大会関係者らの使用車両は、電気自動車や燃料電池車などにする。では、このことから、「エコだ」と言えるのか?
( → 読売・朝刊 2009-02-14 )
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私は否定的である。以下、理由を列挙。
(1) 電気自動車や燃料電池車
電気自動車や燃料電池車を使ったからといって、それでエコになるとは言えない。一時的に使って、そのあと廃棄してしまうのでは、かえって資源の浪費だ。
とすれば、1カ月だけでなく、十年ぐらいは使う必要がある。とすれば、十年間の効果が大事であり、たった1カ月だけの利用で「エコだ」と語るのは、ほとんど詐欺に近い。
さらに言えば、たいして走らない大会用の自動車のために電気自動車や燃料電池車を使っても、効果はほとんどない。せっかくの省エネ機能が眠ることになる。
どうせならば、バンバン走り回るタクシーや物流運搬車や郵便用の自動車などを、電気自動車や燃料電池車にした方がいい。そのことで、大幅なエコ効果が出る。そして、大会用の車両は、ほとんど走らないのだから、そこには燃費の悪い車両を使うべきなのだ。
・ いっぱい走る車 …… 省エネ性の高いもの
・ あまり走らない車 …… 省エネ性の低いもの
こうすることで、全体としては、省エネになる。( → 「比較優位」という経済学の観念からわかる。全体最適化の方法。)
こういうことを理解できない阿呆が、せっかくの高性能な省エネ車を、駐車場に無駄に停車させておくことで、省エネを悪化させる。
にもかかわらず、「これで省エネです」という嘘をつく。そして愚民はそれにだまされて、「省エネの五輪だな」と信じ込む。
(2) 太陽光発電パネル
「太陽光発電をするからエコだ」と言えるか?
これも同様だ。太陽光発電パネルは、1カ月だけでなく、十年ぐらいは使う必要がある。とすれば、十年間の効果が大事であり、たった1カ月だけの利用で「エコだ」と語るのは、ほとんど詐欺に近い。
さらに、もっと重要なことがある。たしかに、太陽光発電パネルは、やらないよりは、やった方が省エネになるだろう。しかし、五輪そのものはどうか?
時期は夏の盛りである。甲子園の決勝が近づくにつれて、クーラーとテレビの電力消費が急増する時期だ。電力逼迫の時期。
そのとき、人々が海や山に行かずに(オタク化して?)、室内でクーラーとテレビに向かうようになったら、どうなるか? 電力消費は急増して、ものすごい電力不足になりかねない。
つまり、五輪自体は省エネになったとしても、国全体で莫大な電力消費が発生する。それのどこが省エネなのか?
試算では、莫大な経済効果があると述べている。だとすれば、莫大な経済効果にともなって、莫大な電力消費があるはずだ。(当り前でしょうが。現代は石器時代ではないのだから、何かをすれば、電力を食う。)
つまり、東京五輪の意図は、エコではなくて、次のことだ。
「莫大な経済効果をもたらし、莫大な電力消費をもたらします。国中で猛烈に石油を消費します。ただし、会場だけは、太陽光発電と電気自動車などで、省エネです。会場では省エネ効果が1だけあり、日本中ではエネルギー浪費が 1000ぐらいあります。差し引きして、どうなるか? ……そんなの関係ねえ!」
東京五輪とは、エコではなくて、計算できないアホのことである。
[ 付記1 ]
似た例があった。
「太陽光発電のグリーン証書を買うことで、ライトアップするから、エコである」
という話。しかし、いくら太陽光発電を推進しても、それをライトアップに使うのでは、ただの電力浪費にすぎない。「悪くなってはいない」と言えるかもしれないが、「エコだから善」とは言えないのだ。
人々は「エコ」「太陽光発電」という言葉にだまされやすい。
[ 付記2 ]
東京都は、築地の移転であれ、東京五輪であれ、莫大な浪費ばかりをしている。救急医療や育児の問題など、緊急の必要性のあることはまったくやらないで、下らない浪費ばかりをしている。
これはいわば、「慎太郎が自分を記念するピラミッドを構築している」というのに等しい。そして、こういう馬鹿げた浪費を見て、
「公共事業の経済効果がある。すばらしい経済効果だ」
と浮かれているのが、アホ連中である。
[ 付記3 ]
東京の愚行と似たことは、過去にもあった。それは、大阪の関西空港だ。莫大な浪費をしたあげく、赤字の山が大阪府に残った。歴史に残る愚行と言える。その後、大阪府は破綻寸前になった。
ところが、である。大阪では、事情が変わった。救世主が現れたのだ。橋下 知事である。彼は、巨額の赤字を出す大阪府の財政を見事に建て直した。
→ 大阪府が、10年ぶりに赤字を脱却
→ 2ちゃんねるで称賛
つまり、慎太郎がさんざん浪費するのとは逆に、橋下はダム建設などの出費をどんどん切り詰めていった。ただし、医療などは、慎太郎とは逆に充実させた。
東京と大阪。これほどにも、知事は正反対のことをしている。
ただし、民衆の支持は、どちらも高い。倹約をして真面目に働くことを称賛する大阪府民。お祭り騒ぎで浮かれて浪費することを「エコだ」と称賛する東京都民。
では、どっちが賢明で、どっちがアホか?
「アホやねん」
という言葉は、どっちがどっちに向けたのか?
( ※ ただ、五輪については、東京都民だけの問題ではない。五輪支持率は、全国世論調査だからだ。……つまり、アホは全国規模。)

そこにあるのは、前時代的な発想しかできない関係者各位のエゴだけ
「エゴ五輪」なら納得します
「エコ」を目指すならば、3Rで考えてみるのも一つの手段かと。
1. Reduce (リデュース:減らす)
2. Reuse (リユース:再び使う)
3. Recycle (リサイクル:再資源化)
以上の順で優先順序がつきます。
※ http://ja.wikipedia.org/wiki/3R より出典
Reduce:
もっとも優先順序の高い「Reduce」の観点からすれば、一時的にしろ人やモノを集めて「増やす」オリンピック開催そのものがエコに反していると考えます。(人がたくさんくるので必然、ゴミも当然たくさん「増える」でしょう)
Reuse:
太陽光発電パネル、大会関係者らの使用する自動車や燃料電池車などは、大会終了後、どのようにReuseされるのか?Reuseされなければ管理人さんの言う通り無駄になります。
(無駄になるだけでなく、台数を「増やした」ので最初の「Reduce」の原則にも反します)
Recycle:
3Rの中でもっとも優先順位の低い(エコ効果の薄い?)Recycleですが、これについても読売の記事を見る限りあまり考えられてないようですね。
(もっとも下手な「Recycle」されるより、上記2つのRを東京都だけでなく全国的にもっと考慮してもらいたいです)