2009年01月30日

◆ タミフルと夢遊病

 タミフルと異常行動は関係があるらしい。(前にも述べた。)
 では、タミフルによる異常行動とは? それは「夢遊病」であろう。
 タミフルは夢遊病を引き起こす。── そう考えると、うまく説明できる。 ──

 タミフルと異常行動の関係については、前に述べた。
   → タミフルと異常行動統計の嘘(タミフル)
 一部抜粋すると、次の通り。
 異常行動とは何か? 
 通常のインフルエンザで、子供が熱に浮かされて、妙にごろごろと転がることがある。これを「異常行動」と呼ぶ。こういうのは、従来のインフルエンザ治療薬に見られる「異常行動」だ。
 一方、タミフルの場合は、二階から飛び降りるというような、途方もない異常行動が見られる。しかも、頻発する。
 この両者は、まったく別のことだ。
 ──

 ここでは、「異常行動」というものを二種類に区別している。では、タミフルの独自の「異常行動」とは、何か? それが問題だ。

 本項では、次のように主張したい。(仮説ふう)
 「タミフルの異常行動とは、夢遊病であろう」


 これは、(推論としての)結論だ。この結論を出すに至った理由を、以下で説明する。
  
 ──

 (1) 症状

 症状は明らかに、夢遊病(睡眠時遊行症)である。本人が意識しないまま、勝手に行動するからだ。
  → 夢遊病の症例
 タミフルによる異常行動というのは、夢遊病だと見なしていいだろう。それは「寝返りを打つ」というような他の「異常行動」とは、まったく異なる。
 この両者をひっくるめて「異常行動」を認識して、「タミフルによる異常行動の頻度は変わらない」と認識するのは、妥当ではない。両者をはっきりと区別するべきだ。
 このことは、先の項目でも述べた。一部抜粋すると、次の通り。
 統計調査の「量と質」という問題になる。調査対象の「頻度」だけを見てもダメで、「質」を見る必要がある。「何がどのくらい起こったか」ということを見るとき、「どのくらい」を見るだけでなく「何が」を見る必要がある。
 要するに、病気については、ちゃんと区別するべきだ。少なくとも医者ならば、区別するべきだ。病気の違いも区別しないで、単にどれもこれも同じく「病人」という同じ名前を与えるのでは、それはもはや医学ではない。

 (2) 夢遊病の発現メカニズム

 では、夢遊病はなぜ起こるか?
 実は、夢遊病の発現のメカニズムは、よくわかっていないらしい。ただし私としては、次のように考えたい。
 「大脳の前頭前野が眠ったまま、大脳の側頭葉(右脳や左脳)が覚醒している。そのせいで、本人による意識的な制御を離れて、身体を動かす脳だけが勝手に作用する」

 これについては、前にも述べたことがある。
 大脳の前頭前野の抑制は停止しているが、左脳・右脳などは停止していない。そこで脳の働きが解放されて、おかしな微小想像が起こる。夢を見ているのと同様である。ただし、夢を見ている間は、体はマヒ状態になっているようなもので、体は動かない。ところがタミフルの場合には、体が動く。……つまり、前頭前野だけがマヒして、他がマヒしていない。非常に特殊な異常行動であり、最も危険なタイプである。
( → 統計の嘘(タミフル)
 これが夢遊病の発現メカニズムであろう。そして、そのことが、タミフルを飲んだときに起こりやすい、と考えられる。

 (3) 夢遊病の原因

 では、何が夢遊病を引き起こすか? その原因は? 特に、医学的な原因は?
 これについては、犯人となる容疑者が見出されている。ドーパミンだ。
 「タミフルを飲むとドーパミンが増える」
 という報告がなされている。
   → Google 検索「タミフル ドーパミン」
   → 紹介記事毎日新聞の記事
 一部引用:
 「タミフルを高濃度に投与されたラットで実験。ラットはドーパミンの量が約1.5倍に増えていた。セロトニンの量は、タミフルを投与してもほとんど変化しなかった。」


 なお、これについては異論もあり、次の解釈もある。
 タミフルの服用によって、実際にはインフルエンザ・ウイルスの数が減少していない為に身体の中では「免疫反応」による戦争が起きているのに熱を下げて動き回れる状態にしてしまった為に、結果としてインフルエンザ感染によってなんらかの異常を生じている段階の脳が作り出している異常な行動が、より多く表に出ている、というものです。(学説の紹介。→ 出典
 これはこれで、一つの学説となる。
 しかし私は、これは妥当ではない、と思う。これで説明されるのは、「タミフルによる異常行動」ではなくて、「解熱剤による異常行動」であるからだ。(アスピリンを飲んだときの副作用、というのであれば、まだわかる。)
 というわけで、解熱効果よりは、ドーパミンの方がはるかに疑わしい。

 (4) 間接的な証明

 上の (3) で述べた「ドーパミン」は、あくまで容疑者だ。タミフルを飲むとドーパミンが異常に増えるということはわかったが、それはタミフルが夢遊病を引き起こすということの、直接の証明にはならない。
 ただし、間接的な証明ならば、可能だ。次のことが言える。
 「ドーパミンが増えると、夢遊病が起こりやすい」
 …… (*
 これは、もし事実だとすれば、ほとんど決定的な証拠だ。
 「タミフル → ドーパミン → 夢遊病」

 というメカニズムが証明されたことになるからだ。つまり、タミフルが夢遊病を引き起こすということは、そのメカニズムが十分に証明されたことになる。

 そこで、あとは、上の (*) のことをきちんと示すだけでいい。これは、「ドーパミンと夢遊病の関係」だから、この関係をネットで調べればいい。
  → Google 検索「ドーパミン 夢遊病」
  → Google 検索「ドーパミン 睡眠時遊行症」
  → Google 英語検索

 とりあえず一つ取ると、次のページがある。
  → あるブログ
 以下、引用。
 夢遊病の原因は脳内ホルモンであるセロトニン不足。セロトニンというのは、興奮時に出るドーパミンや不快時に出るノルアドレナリンなど、を鎮めてリラックスさせるホルモンなのですが、体調不良や精神的ストレスによって減ってしまいます。
 これは断定の形で書かれているが、さまざまな医学論文を見ればわかるとおり、この説はいまだ「仮定」の話である。まだ完全に証明されたわけではない。とはいえ、きわめて有力であろう。

 なお、タミフルとの関係で言うと、上述の通り、
 「セロトニンの量は、タミフルを投与してもほとんど変化しなかった。」
 ということである。だから、次の区別ができる。
  ・ 通常の夢遊病  …… セロトニン不足でドーパミン増加
  ・ タミフルの効果 …… 単純にドーパミン増加

 
 ともあれ、どっちみち、ドーパミン増加のせいで、「夢遊病」という同じ症状が出ることになる。違いは、ドーパミン増加の理由だけだ。(ここは推定。)

 こうして、「タミフルと夢遊病」という関係については、事情がほぼはっきり推定されたことになる。
( ※ ただし、断定や証明はまだだ。……なお、まだ示されていないのは、タミフルによるドーパミン増加ではなくて、ドーパミン増加による夢遊病発現だ。)

 ──

 なお、以上のことから、次の結論が得られる。
 「タミフルと異常行動の関係をいくら調べても、それは統計的に意味をもたない。統計的に意味をもつのは、タミフルと異常行動の関係ではなく、タミフルと夢遊病の関係だ」

 これは、「タミフルと異常行動に特別な関係は見られなかった」という厚労省の調査の意義を否定している。また、そこから得られる、「だからタミフルは危険ではなさそうだ」という結論をも否定している。そこから得られるのは、「その調査は無意味だった」ということだけであって、「タミフルが安全だろう」ということではない。
 無意味な調査からは無意味な結論が得られる。その無意味な結論を「危険性がない」というふうに誤って解釈してはならない。
 そして、このことは、かつて最初に述べたことと同じである。



 [ 付記1 ]
 夢遊病ないし異常行動の、具体的な症例はこちら。
  → インフルエンザによる子供の異常行動(小児科医)
 高熱による うわごと などは、タミフルがなくても起こるようだ。また、手足を ばたつかせるようなこともあるようだ。これは、夢遊病というよりは、コントロール不能な状態である。
 しかし、夢遊病ふうに、統一的な行動を取ること(道を走ったり柵を越えたり)は、タミフルを服用した場合が圧倒的に多いようだ。これは、コントロールはなされているのだが、間違った方向にコントロールされている状況だ。これが最も危険である。(いわば狂人状態)

 [ 付記2 ]
 いずれにせよ、次の発想は、まったくおかしい。
 「タミフルと異常行動との関係は、まだよくわかっていない。だから、タミフルは安全と見なしてよい。したがって、どんどんタミフルを飲もう」
 これは、ほとんど滅茶苦茶である。
 比喩。
 「このコップに入っている液体は、毒物だとは証明されていない。毒物だと証明されていないのだから、この液体は、安全である。さあ、こいつを飲もう」
 と言って、農薬入りジュースを飲んでしまうようなものだ。
 こういう感じの滅茶苦茶なことを言う人が、本サイトにはいっぱい来た。
   → 統計の嘘(タミフル)「コメント欄」
 つまり、「毒が入っていると証明されていないに、その危険性を指摘するのは、トンデモだ!」と。

 はっきり言おう。
 科学者( or 医学者)のなすべきことは、
 「危険性が証明されていないから安全なのだ」
 と言って、わけもわからないものを飲ませることではなく、
 「危険性が証明されていないものは、なるべく利用しない」
 と言って、危険なものをなるべく取らせないようにすることだ。特に、それで得られる利益が、「病気で寝ている日数が一日か二日減るだけ」という程度の利益にすぎないのであれば、命を失いかねない危険な賭けをするべきではあるまい。
( ※ これが、前に述べたことだ。とはいえ、これには、「トンデモだ!」という批判がいっぱい来た。世の中、狂った連中[特に医者]が多すぎる。「人々を殺すことが医者の使命だ」と思っているようなものだ。ドクター・キリコ。彼が憎むのは、学界の主流派の外にいる、ブラック・ジャックである。……だから、私が罵られる。  (^^); ) 

 [ 付記3 ]
 あと、残る問題は、
 「どうしてタミフルによる夢遊病は、子供に多いのか」
 ということだ。
 
 これについては、次の二つの説が考えられる。
 「子供ではタミフルによってドーパミンが多く出る」
 「ドーパミンが多いとき、子供では夢遊病が多くなる」

 どちらかというと、後者が有力だ。というのは、夢遊病は、もともと子供に多いからだ。脳が未発達であるせいかもしれない。別の研究で明らかなように脳の関門が未熟なせいかもしれない。あるいは、前頭前野と側頭葉との関係がまだ十分に発達していないで、勝手に暴走することがあるのかもしれない。

 なお、次のことは言えそうにない。
 「ドーパミンが増えると、それ単独で、夢遊病が発現する」
 これはありえそうにない。ドーパミンは誰もが脳内にもつが、そのせいで夢遊病が小規模に発現する、ということはないからだ。
 ドーパミンが増えることは一因にはなるが、それ単独で夢遊病を発現させることはあるまい。脳の関門のような、別の何かが影響しているはずだ。それについては、まだよくわかっていない。
 


 【 参考 】

 タミフルと夢遊病との関係については、それとなく関連性が言及されていることもある。ネット上にチラホラと散見する。(そのうち二つは私のページだ。  (^^); )
  → Google 検索「タミフル 夢遊病」

 ──

 なお、直接の関係はないが、面白いページも見つかった。
  → タミフルならぬ睡眠薬で異常行動
 睡眠薬を飲んで、夢遊病のような行動を取ることがあるという。普通の夢遊病よりもはるかにひどい例があるという。次のように。
 「睡眠中に起きあがって車を運転する、夜中に過食する、電話をかける、インターネットで買い物する……など。いずれも本人には全く記憶がない」
 
 ま、こういう異常行動を見ても、例の連中は、「そんなのは当り前だ。高熱を出せば、そのくらいのことは誰にだってある。薬のせいじゃない」と主張するんでしょうね。
 薬というものの副作用を無視するのは、医学関係者ばかりに多い。彼らはとにかく、副作用を無視したがるのだ。こういう人々に限って、「タミフルは安全だ! 副作用を指摘するやつはトンデモだ!」と騒ぐ。まったく、困ったことだ。
 


 【 追記 】
 余談だが、厚労省の統計調査には、別の問題がある。「統計操作のインチキ」をして、嘘の統計数値を作り出しているのだ。
 この件については、浜六郎 氏が指摘した(→ サイト)。わかりやすい説明は下記にある。
  → http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2330

 比喩。
 フロリダの大統領選挙投票では、「ブッシュの支持率が高く、ゴアの支持率は低い」という統計数値が出ました。(なぜか? 投票結果が出たあと、数値の操作をして、ゴアへの投票を「無効票」に数えたので。……厚労省の統計調査は、これと大同小異。いや、ゴアの得票をブッシュの得票に付け替えたようなもので、もっと悪い。)

( ※ この件は、前にも述べたことがある。タミフルと異常行動のコメント欄。2008年02月13日 19:23 の箇所。)
( ※ もっと細かい専門情報は  → 参考情報

 ──

 そもそも、「タミフルと異常行動」という統計調査そのものが根源的におかしい、ということもある。統計調査で、結果の操作をするかどうか、という問題以前に、このような調査が根源的におかしいのだ。この件は、前に詳しく述べた。
  → タミフルと異常行動
 要旨: 薬物と生理的反応の関係ならば、医学的調査の意味がある。しかし、薬物と人間行動との関係ならば、医学調査の対象とならない。(人間意思が関与するので。)
 例。「酒を飲むと酔っ払うか」という生理反応ならば医学的調査の対象になるが、「酒を飲むと酔っ払い運転をするか」という人間行動ならば医学的調査の対象にならない。(被験者が運転できないこともあるからだ。)

 じゃ、どうすればいいか? 「タミフル → 異常行動(夢遊病)」という関係を、単に「因果関係」ととらえて統計を取ればいいのではない。夢遊病をもたらすような具体的なメカニズムを探ればいい。具体的には、「(側頭葉の)神経の興奮」と「(前頭前野の)意識の麻痺」という、双方の過程が起こる原理を探ればいい。そういう生理現象のメカニズムを探ることが大切なのだ。
 ここでは、統計は、たいして意味はもたない。統計は、何らかの参考情報に留めるだけにする。統計データから安易に「安全だ」「危険だ」という結論を出すべきではない。そういう単純な結論はあまりに粗雑すぎる。(物事を1対1の因果関係で考えているからだ。発想が単細胞。)
posted by 管理人 at 19:19 | Comment(3) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参考情報。(ネット上の情報の紹介)

「夢遊病と似ていますが、もっと激しい症状に夜驚症というのがあります。これが発症するのは2歳から10歳ぐらいと、夢遊病より幼いのですが、こちらでは絶叫とともに立ち上がり、走り回ったり、怖いものから逃れようとする行動をとることがあります。」
「夢遊病や夜驚症は大人になると自然に消えていきます。意識と無意識をつなぐことのできる非常用の道が、子供の睡眠中の脳にはまだ発達していない、と考えてもいいかもしれません。」
→ http://influenza-japan.seesaa.net/article/34744755.html

「夜驚症とは、睡眠中に突然起き出し、叫び声をあげるなどの恐怖様症状を示す症状のことである。……睡眠中枢が未成熟なために起こる症状であると考えられている。」
→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E9%A9%9A%E7%97%87
Posted by 管理人 at 2009年01月30日 23:39
本文では、

> 残る問題は、「どうしてタミフルによる夢遊病は、子供に多いのか」
> ということだ。

と述べて、

> 脳の関門のような、別の何かが影響しているはずだ。

と推定したが、改めて思うに、次の仮説が考えられる。

「十代の子供は、成長期にある。成長期にあると、細胞の間隔がゆるみやすい。そのせいで、脳の関門がゆるゆるになりやすい。そのせいで、タミフルが脳に入ってしまう。」

ここで、「ゆるゆる」というのは、ちょっと比喩的な表現だ。ただし、とにかく、急成長する子供では、脳の関門みたいな「きちんとした」組織は、ルーズになりがちだと思う。……ま、妥当性はともかく、そういう仮説は考えられるだろう。一応は。
( ※ 成長期には脳の容量が急激に拡大していく。そのスピードに、脳の関門の成長速度が一致するとは限らない。もし不足すれば、脳の関門は「ゆるゆる」になりがちだろう。)

参考サイト。脳の関門の詳細。
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi14/mm14-45.html

生理学的な話は、Wikipedia にも見られる。
Posted by 管理人 at 2009年04月21日 23:09
夢遊病について詳しく解説してありとても興味深いです。
32才の大人ですが、昔から夢遊病行動してます。
朝、起きたら消して寝たはずの電気が点いていたりが今でも月に1〜2度あります。
当然自覚無しです。
夢遊病行動中の自分を見た人は目は開いてるのに暗い部屋をグルグルと円を書くように歩いていてとても怖かったと(笑)
その時は、行動中に声を掛けてもらって我にかえったのですが自分でも、アレ?なんで今歩いていたんだろう…ってな感じ

そして昨晩、危ない行動をしてしまいました。
湯沸かし器のスイッチを入れて風呂の湯張りしてるんですよ
お湯は湯沸かし器の安全装置が働いている状態でお湯ではなく水が風呂から溢れてる状態
朝、起きてドン引きしました。
いつか無意識に天ぷらを作り出したりしないかととても怖いです。
あとタバコも…
Posted by すなお at 2010年03月06日 00:36
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