2009年01月15日

◆ 量子論の二つの立場

 量子論には、二つの立場がある。
  ・ 古典論の拡張
  ・ 場の理論 ──

 本項では使うのは、「量子化」という言葉の意味だ。(古典論から量子論への「量子化」)

 古典的な物理学では、「物理量」というものがある。そして、それを拡張することで、量子力学が得られる。その拡張の過程が「量子化」だ。
 ここでは、「拡張」という方法が使われていることに注意しよう。

 一方、まったく別の地点から生じる理論もある。それが「場の量子論」だ。古典的な物理量を拡張するのではなく、空間そのものから物理量を生み出すようにする。これは、「場」という発想が根源にある。

 ──

 物理学の歴史を見よう。すると常に、「古典的な認識」から「場の認識」へという発展があった。次のように。
 (1) 電磁気は、クーロン力ふうの認識から、電磁場の発想へ。
 (2) 重力は、ニュートン力学から、一般相対論へ。

 電磁気で言えば、二つの電荷がたがいに作用するのではなくて、電磁場という空間が二つの電荷に作用するのだ。(ただし電荷は空間に作用する。)
 重力で言えば、二つの質量がたがいに作用するのではなくて、重力場という空間が二つの質量に作用するのだ。(ただし質量は空間に作用する。)

 このような空間が「場」と呼ばれる。現代の物理学はほとんどが「場」の理論となっている。もちろん量子論の数式的な理論もすべてが「場」の理論だ。

 ──

 ところが、例外がある。それは量子論のモデルだ。つまり「量子とは何か?」という認識だ。そこではどういうわけか、「場」という発想は排除され、古典的な認識になっている。「量子は粒子だ」というふうに。(空間が量子を生み出す、という発想はない。)
 ただし、単に「量子は粒子だ」というふうに認識すると、いろいろと問題が起こる。そこで、「量子は粒子だ」というふうに認識したまま、いろいろと拡張しようとする。……その拡張のための概念が、「重ね合わせ」や「多世界宇宙」である。また、その拡張のための方法が「量子化」である。

 しかし、そんなことをするよりは、場のモデル(場の認識)をゼロから作り上げるべきだ。比喩的に言えば、古典論のまま「ローレンツ変換」を導入するよりは、相対論をゼロから作り上げるべきだ。
 こうしてゼロから作り上げられたモデルが「超球理論」というモデルだ。それは「場の理論」のモデルである。(空間から量子が飛び出すこともある。)

 ──

 まとめ。

 物理学には、二つの立場がある。
  ・ 古典論の拡張
  ・ 場の理論
 当然ながら、数式レベルでは、後者を取るべきだ。そして、数式レベルで後者を取るからには、発想や認識レベルでも、後者のモデルを取るべきだ。そういうモデルが「超球理論」というモデルだ。
 逆に言えば、「古典論の拡張」という立場を取るべきではない。基本を古典論としたまま、それを拡張することで修正しよう、という立場を取るべきではない。そういう近似主義では、真実には到達できない。
 真実に到達するためには、不正確な認識を少しずつ修正すればいいのではなく、もともと根源的に正しい認識を取るべきなのだ。

 それが、ここまで続いたシリーズの結論となる。



 【 補足 】

 ここで、裏話を語ろう。舞台裏の話。
 「超球理論」は、いかにして生まれたか? ただのヒラメキか? 違う。その背後には、厳密な推論がある。

 いくら考えたって、ヒラメキなんか急に生じるわけがない。それよりは、一つ一つ考える必要がある。そのためには、方針が必要だ。私の方針は、こうだった。
 「物事の本質を根源的に考える」
 この方針のもとで、次のことをなした。
 「量子論の数式の意味をモデル化する」

 これは、ファインマンに教えられて、私が努めて採用している方針だ。何事であれ、単に数式を数式レベルでいじるのではなく、数式の意味をモデル化して考える。数式を代数で考えるだけでなく、幾何学的な形状で考える。
 この方針で発想すると、量子論の数式は徹底的に「波」である。「波動方程式」という言葉からもわかるように、「波」なのだ。ただし、その波は、普通の波(古典論の波)とは異なる。では、どう異なるか?
 それを考えながら、条件に当てはまるモデルを想定する。ここでは、単にヒラメキを待つのではなくて、いくつかの条件に合致するモデルだけが生き残る。……そうして誕生したのが、超球理論のモデルだ。
 つまり、超球理論とは、
 「量子論の数式の意味をモデル化する」
 という条件を満たすために生まれたモデルなのだ。だから、それが、量子論の数式の意味をモデル化しているのは、当然なのだ。もともとそうなることを狙って作ったものなのだから。
 超球理論の独自性がどこにあるかというと、「ゼロから作り上げた」という点だ。従来の発想は、「既存の粒子モデルを改良する」というものだった。しかし超球理論は、「ゼロから作り上げる」という方針で構築された。
 逆に言えば、従来の発想は、「既存の粒子モデルを改良する」という方針から抜け出せなかったから、いつまでたっても、おかしなこと(矛盾ふうのこと)に縛られてしまうのだ。

( ※ なお、他の人々が超球理論に達せなかったのは、達する能力がなかったというよりは、もともと達しようとする気がなかったからだ。……「モデルなんか考えなくたっていい。本質なんか考えなくたっていい。数式さえわかっていればそれでいいのさ。表面的な数式さえわかれば、物事の本質なんかわからなくたっていいんだ」……こういう発想でいたから、超球理論に達せなかった。逆に言えば、「本質にたどりつこう」という意識さえあれば、いつかは超球理論にたどり着くのが当然なのだ。私がやらなければ、必ず、他の誰かがやったはずだ。なぜなら、真実は一つしかないからだ。)
 


 [ 余談 ] (特に読まなくてもよい。)
 「量子化」の際には、「質量」よりも「運動量」を重視する。それどころか物理学一般で、「質量よりも運動量が大事」と言われる。では、どうしてか?
 これは、経験則みたいなものらしいのだが、私なりに理由を説明すれば、次のように言える。
 質量というのは、「静止質量」なのである。しかしながら、物体が高速に運動すると、相対論の効果で、物体の質量が増えてしまう(ようにふるまう)。動的質量の値は、静止質量の値とは異なる。他にも、運動する物体には、「縦質量」「横質量」なんてものがある。
 この意味で、質量は一定の値ではないし、基本的な量でもない。あまり当てにならない量なのだ。基本的な量というよりは、「ヒッグス機構で作用する力として変動する値」と見なした方がいいだろう。
 だから、そんな値よりは、もっとまともなものとして、「運動量」を取る。どうしてこっちの方がまともなのか? それは、波については「質量」はともなく、「運動量」というものがあるからだ。(もっと詳しい話は省略。ごめんね。)



 【 関連項目 】
 → 量子論の根源問題
   http://openblog.meblog.biz/article/1362060.html
    ※ ここでは、最初の問題提起をしている。
posted by 管理人 at 19:21| Comment(5) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
道具主義的にはどうなんでしょうね。
どんなに珍妙なオカルトモデルでも、実際の現象を説明しやすければ問題ないんじゃないですか?
Posted by 黒猫 at 2009年01月27日 23:30
「本質なんかどうでもいい。表面的な つじつま さえ合っていればいい」
 という主義ですね。これについては、私はしばしば論じています。
 ま、そういう態度を取りたければ、勝手にそうしてください。

 なお、「オッカムの剃刀」という話もあるので、Wikipedia などを見るといいでしょう。
 歴史上、つじつま合わせの概念は、一時的には役立っても、最終的にはたいてい「虚偽だ」と否定されます。天動説みたいなものでしょう。
 ま、当面の処世上の利益としては、多数に合わせる方が「得」をします。真実よりも利益をめざすのであれば、おっしゃるとおりにした方がいいでしょう。
 あとはまあ、人生観のようなものの違いですね。

 ──

 ついでですが、本項の後半に 【 補足 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2009年01月28日 20:20
いえ、決して世間に迎合するつもりはないのです。
私が言いたいのは、例えば天動説の考え方で言えば、天動説は否定されていますが、「天球」という考え方自体は未だに有用なのではないでしょうか、ということです。
Posted by 黒猫屋 at 2009年01月28日 22:43
それが真実ではない(ただの便宜的な比喩みたいなものだ)、とわかってのことならば、そこそこ有用でしょう。
 ただし、それを「真実だ」と科学的に主張するのは、困りもの。
Posted by 管理人 at 2009年01月28日 22:51
こんにちは、南堂さん
>>ゼロから作り上げた
無が有になることはないと考えています(但し“ゼロ”という意味を“無”としている場合)というのは南堂さんの論じた超球理論の存在が“無”を否定しているからと思われます。なぜならば宇宙は超球が非常に揺らいでビックバン(火の玉)ができる、つまり宇宙の外は超球で満たされていると考えられるからです。
Posted by もりさいそく at 2013年05月11日 23:55
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