2008年10月22日

◆ 海洋緑化計画

 前に「地球緑化計画」という項目を立てた。それに準じて、「海洋緑化計画」というものが考えられる。
 ( 海に鉄を投入することで環境改善する、という方針。)

 ──

 地球環境を考えるなら、炭酸ガスがどうのこうのという数値よりも、生態系の維持を大切にするべきだ、というのが私の立場だ。( → 生態系の維持
 この方針のもとで、「地球緑化計画」という項目を前に記した。これは、地球全体を緑化する(砂漠緑化など)という、遠大な計画だ。(実現性はさておき、長期的な目標。)

 さて。それに準じて、「海洋緑化計画」というものを新たに考えた。次の趣旨。
 「炭酸ガスを吸収するのであれば、陸地で個別に植物を植えるのではコストがかかりすぎて、大変だ。それよりは、海で植物プランクトンを増やす方が、コストが低くて済む。また、植物プランクトンが増えれば、動物プランクトンも増え、魚類も増えるので、一石二鳥だ」


 これは、うまい発想だと思って、いろいろと考えていたのだが、書きまとめる前に、朝日に同種の記事が出てしまった。  (^^);
 私が考えるまでもなく、同じことを考えている人が他にもいるんですね。

 なお、私のアイデアは、「海洋で栄養を散布すればいい」というものだったが、専門家の指摘によると、もっといいアイデアがあるという。それは「鉄分の散布」だ。
 炭水化物や肥料のような栄養素でなくて、鉄分だけを散布すればいいという。

 ──

 朝日の記事(半月ほど前の 2008-10-09 )の趣旨は、次の通り。
 「海洋で植物プランクトンを増やすと、炭酸ガスを容易に吸収することが可能になる。そのためには、海洋で栄養素を散布すればいいだろう。ただし、現実の海では、栄養素不足になっているわけでもないのに漁業資源が少ないところがある。そこを調べると、栄養素のうち、鉄分だけが不足している。他の栄養素はあっても、鉄分だけが足りないから、植物プランクトンが増えない。そこで、鉄分だけを散布する、という実験が試みられている」

 これはなかなか頭のいいアイデアだ。脱帽しました。シャッポを脱ぎました。
( ※ 発案者は外国の海洋科学者。)

 なお、記事は、さらに続く。
 「そこで、鉄分を散布する実験をしようとしたら、各国などの関係者が反対している。というのは、海洋での廃棄物投棄を禁じる条約があるからだ。たとえ好ましい栄養素である鉄分の散布であっても、廃棄物の投棄と見なされて、禁じられる。環境保護団体も『不当投棄だ』と騒いで、各国政府に働きかけているらしい」


 ──

 以上の要旨(引用ふう)は、手元に記事がないので、うろ覚えふうである。部分的に不正確な点があるかもしれない。正確を期する場合には、原典の記事に当たってほしい。
 なお、ネット上にも、情報はいくらかある。
  → Google 検索

( ※ 検索してみると、否定的な見解が多い。「実際よりも4%ぐらい効果が少ない」とか、「鉄分はほこりからも得られる」とか、「動物プランクトンに食われてしまう」とか。……よく考えれば、全然理屈になっていないのだが、そういう屁理屈で反対している人が多い。科学音痴だからわからないのか、屁理屈だとわかっていてあえて政治的に嘘を語っているんだか。……どっちでしょうね?)

 ──

 上記の引用記事で、「鉄分散布に反対」と騒いでいる環境保護団体というのは、悪名高きグリーンピースなのかもね。ま、違うとしても、同類だろう。  (^^);

 ただ、これほどではないにせよ、他の環境保護運動者というのは、皆、似たり寄ったりである。
 前項の朝日新聞もそうだが、とにかく、「自分は環境保護運動をしています」と得意がるのが第一目的であって、現実に地球環境を改善することは目的ではない。
 もう少し正確に言えば、「環境保護運動」という名称(名目・建前)が優先されるのであって、「環境を保護する」という現実(実態)は優先されない。


 鉄分散布も同様で、「それで炭酸ガスが吸収される」ということは同様でもよくて、「鉄分を投棄するから環境汚染だ」という発想になる。
 サロベツも同様で、「湿地を増やす」というのは環境保護運動だから優先されるが、「乾燥化をやめさせる」というのは環境保護運動ではないから無視される。

 今の環境保護ブームなんて、こんなものである。
 地球や海洋を緑化するよりも、環境保護を信じる人々の頭を緑化……じゃなくて「健全化」することの方が、よほど大事であるようだ。彼らの頭は、何やら宗教めいたもので洗脳されてしまっている。洗脳というか、汚染されているというか。
 間違った発想による思考の汚染こそ、地球の汚染よりも恐ろしいのかもしれない。




 [ 付記1 ]
 上記では、鉄分の投棄という案を紹介した。
 一方、私の発想では、鉄分の投棄だけでなく、「残飯類の投棄」も考えた。レストランなどの食い残りや、食品工場の賞味期限切れ食品など、出自のはっきりしたきれいなもの(食べても大丈夫なもの)を、海洋投棄する。
 しかしまあ、こう提案すると、環境保護論者から、文句が押し寄せそうだ。実現は難しいかも。……でもまあ、とりあえずは提案しておこう。どうせ無理だろうけど。

 [ 付記2 ]
 なお、どうせやるなら、場所は沖縄の沖のあたりがいいだろう。そこから、黒潮に乗った植物プランクトンがどんどん繁殖して、黒潮でたくさんの魚類が獲れるようになる。マグロもカツオもいっぱい食べられるようになると、国民は嬉しくなる。
 ……けれど、これも夢想。環境保護論者が反対するから。彼らは環境を向上させることには、何ら重みを置かない。単に「変えること」に反対する。
 一見、改革派のように見えるが、実は、超保守派なのだ。こちこちの保守派。(頭が固すぎ。)

 [ 付記3 ]
 効果で考えると、「海洋緑化計画」ならば、まさしく効果がある。次の順で。
  ・ 植物プランクトンの増加
  ・ 動物プランクトンの増加
  ・ プランクトンの一部は魚類に食われるが、残りは海底に沈殿する。
  ・ 魚も、死骸が、海底に沈殿する。
  ・ 海底に沈殿した分は、浮上しないで、蓄積される。

 比喩的に言えば、「海底にふたたび石油の原料であるプランクトンを溜め込む」ということだ。
 といっても、莫大な効果にはならないだろうが、それでも、「鉄分の散布」という手間に比べれば、費用対効果は十分にある。

 [ 付記4 ]
 一方、効果の点では、地球温暖化阻止を唱える論者の主張は、完全に破綻している。というのは、いくら彼らの狙いを実行しても、地球温暖化阻止は不可能だからだ。
 そもそも日本が炭酸ガスの排出量を半減するという目標もナンセンスだが、たとえその目標が実現しても、何の意味もない。なぜなら、途上国がどんどん排出するからだ。
 大切なのは、日本の排出量を減らすことではなくて、世界全体の排出量を減らすことだ。そのためには、次のいずれかしかない。
  ・ 世界全体の化石燃料使用量を削減する。
  ・ 世界全体の炭酸ガス吸収量を増やす。

 現実には、そのいずれもやっていない。単に「各国目標の設定」だけだ。そして、その設定が実現した場合でさえ、炭酸ガスの排出量は削減されない。(せいぜい増加ペースを下げるだけ。)

 [ 付記5 ]
 とにかく、炭酸ガス吸収という「純減」があるのは、これくらいしかない。あとは炭酸ガスの固化という方法ぐらいか。世間でなされている「先進国の省エネ」というのは、増加のペースを下げるだけであり、純減の効果はない。
 特に笑止千万なのは、朝日新聞だ。OPEC が石油カルテルで生産削減をしたり、ロシアなどがガス版OPEC で天然ガス・カルテルを結ぼうとしたりすると、「価格高騰で大変だ」と騒ぐ。馬鹿じゃなかろうか? 一方では「化石燃料の削減の推進」を主張して、他方では「化石燃料の削減に反対」と語る。自分が矛盾したことを言っていると理解できないらしい。
 前にも述べたが、化石燃料の削減をするには、総量の削減が必要だ。需要削減だけでなく、供給削減が必要だ。そして、供給削減 or 総量削減にともなって異常な価格高騰が起こるのは必然だ。(昨今の石油高騰もそうだ。)
 化石燃料の削減を推進したいのであれば、自分が何を言っているかぐらい、わきまえてほしいものだ。
( ※ 下記も参照。
    http://openblog.meblog.biz/article/1189534.html
    http://openblog.meblog.biz/article/1180500.html
    http://openblog.meblog.biz/article/1176615.html
  これらでも、化石燃料削減について、ほぼ同趣旨のことが書いてある。)
 
 ──

 [ 余談 ]
 なお、話は変わるが、「鹿の食害」という話題がある。環境保護運動で鹿の保護をしたら、鹿が増えすぎて、樹皮や草を食べるすぎるせいで、これらの植物がどんどん枯れてしまう、という話題。
 これもまた、環境保護運動が偏っているせいでかえって環境を悪化させてしまう、という馬鹿げた例。
 しかも、そのことを指摘されても、改めようとしない、というのも同じである。……アメリカのイエローストーン公園では、「オオカミの再導入」という方針を取って成功しているのだが、日本では反対論が強くて実現されない。
  → Wikipedia 「オオカミの再導入」
 日本でやっているのは、ハンターによる狩猟だが、ハンターの数が不足していて、全然無効。また、ハンターにしたって、手間暇かける割に、面倒だ。鹿を倒しても、麓まで運ぶのも難儀だし。実際、鹿肉はすごく高価なのに、出回っているのは牧場で取った鹿が大部分であるらしい。
 要するに、「ハンターによる狩猟」という無効なことばかりをやって、「正しいことをしています」と言い張って、お茶を濁しているだけ。それが現状だ。
 とにかく、これもそうだが、あちこちで似た事例が起こっているようだ。

 最後に皮肉を効かせれば、次の通り。
 「鹿が食害で植物環境を破壊してしまう、というのは、人間のしていることを真似ただけだ」

 人間は、鹿のやっていることを直せないのは、当然か。自分でやっていることすら直せないんだし。
 最近はお馬鹿タレントが話題だが、それというのも人類がみんなお馬鹿になってきているので、親近感を覚えるのだろう。「お仲間だ」と。  (^^)
  ま、お馬鹿な人々には鹿が半分混じっているんだし。 (^^)
posted by 管理人 at 18:57 | Comment(4) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この件については、似たような話があるので参考に紹介しておきたい。

*

“ホンダワラが日本を救う”
http://219.121.16.30/blog/archives/001091.html

*

でも、私はかかわりたくないな。

だって、世界で一番安いバイオマスだって、こんななんだよ。

http://www.fuji-ft.co.jp/chart/soto/main_m.htm
Posted by 香耳又義重 at 2008年10月22日 23:01
こんにちは。
同じような考え方をするかたがおられて嬉しいです。
「海洋緑化」で検索して、こちらに来ました。
というのも「海洋の緑化」で検索すると私のページが上位に来ます。
確か10年以上前に アップしたものです。未だこの位置をキープしているのは、この分野への日本人の無関心を表していますね。
もっと多くの人に知ってもらいたいです。
Posted by バッシー at 2010年10月18日 08:03
これですね。
 http://www.asahi-net.or.jp/~zw9n-sb/ponnpu2.html

 なかなかいいアイデアだと思います。ただし、規模が小さすぎるので、効果はスズメの涙かな。海の水をバケツで汲むようなものかも。

 むしろ、海底に人口の山脈を作り、潮流により、深層流を上に移す、という案の方が大規模だ。これは自然破壊の危険もあるが。
Posted by 管理人 at 2010年10月18日 19:23
この話題を扱った著作がある。
  → http://j.mp/1VVS2SO

 積極的に研究や啓蒙を進めているようだ。
Posted by 管理人 at 2015年10月16日 19:48
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