トヨタ iQ が発表された。その評価をしよう。
一言で言えば、「エンジンが駄目だ」となる。 ──
この車のコンセプトはいい。
・ 小さくて軽いボディ
・ 新しいレイアウトで広い空間
・ おしゃれなデザイン
・ 価格は高い (その分、安物でない?)
いずれも支持できる。価格が高いのは残念だが、その分、作りが良くて、ボディ剛性が高いと思えば、我慢もできる。(軽自動車や、現行日産マーチは、作りが安っぽすぎ。)
──
ただし、難点がある。それは、エンジンだ。
(パッソにも使われる)ダイハツ製3気筒エンジン(ボア×ストローク 71×83.9 mm)をそのまま流用している。
せっかくボディはオール・ニューにしたのに、肝心のエンジンは使い回し。
結果として、燃費は、あまり良くない。とても軽いくせに、23km/L というから、マツダのデミオのミラーエンジン車と同じだ。
他のリッターカーに比べれば比較的マシな方だが、デミオよりもかなり小さくて軽いくせに、デミオ並みの燃費だとすると、燃費についてはあまり評価できない。
「こんなことならデミオを買う方がマシだ」
と思う人が多いだろう。私もそう思う。燃費は同じで、デミオよりも狭く、デミオよりも高価で、デミオよりもカッコ悪い。何かいいところがあるんですかね? 何もないでしょう。たぶん。
そして、その理由は、ただ一つ。エンジンが平凡であることだ。そのせいで、他のすべての長所を帳消しにしてしまっている。
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では、どうすればいいか? エンジンをミラーサイクルにすればいい。マツダのデミオと同様に。
ま、ミラーサイクルにすると、出力が足りなくなるかもしれないから、エンジンの排気量を少し増やしてもいいだろう。ともかく、ミラーサイクルにすることが、とても大切だ。
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ミラーサイクルが大切だということは、私が前にも指摘した。
→ ミラーサイクル
ところが、iQ は、この肝心なことを無視して、ボディだけで燃費を向上しようとした。そのせいで、画竜点睛を欠くことになり、全体が駄目になってしまった。たった一つ、目を描けなかったせいで、竜の全体が死んでしまったも同然だ。
今からでも遅くはないので、エンジンをミラーサイクルにするべきだろう。
[ 付記1 ]
ミラーサイクルエンジンは、原理的には、コストは増えない。作り方の設定をほんのちょっと変えるだけだ。最初に金型を変えるための費用がかかる程度。コストアップ要因はゼロ。
( ※ その点、ゴルフターボは、ターボチャージャーとインタークーラーで 20万円ぐらいのコストアップ。エンジン自体は小形化で数万円のコストダウン。)
( ※ ディーゼルは、本体とターボチャージャーとインタークーラーとコモンレールで 50万円ぐらいのコストアップ。)
[ 付記2 ]
ミラーサイクルがなぜ燃費向上効果をもつかというと、点火後の膨張比を高めることで、物理学的な熱効率(仕事率)を向上させるからだ。
単純に言えば、普通のエンジンでは、空気が 10倍に膨張して、そのときに仕事をする。ミラーサイクルエンジンでは、空気が 14倍ぐらいに膨張して、そのときに仕事をする。倍率が高いと、熱効率が高まる。(無駄に逃げる熱が少なくなる。)
普通のエンジンの発想で言えば、「圧縮率を高めると熱効率が高まる」というのに似ている。ただし、通常のエンジンでは「圧縮率 = 膨張率」だが、ミラーサイクルでは「圧縮率 < 膨張率」となる。
結果的に、熱効率は高まるのだが、出力は低下する。とはいえ、最高出力よりは、トルクの方が実用性に影響するから、最高出力がいくらか低下しても、あまり影響はないようだ。少なくとも、デミオではそうだ。
[ 付記3 ]
ミラーサイクルエンジンでは、膨張率が 14倍ぐらい。この値は、普通のガソリン車(10)とディーゼルエンジン車(22)の、中間に当たる。
とすれば、ディーゼルエンジン車をいくらか増やすよりは、既存のガソリンエンジン車をすべてミラーサイクルエンジン車に置き換える方が、よほど効果がある。
ガソリンエンジンから、ディーゼルエンジンに代えると、エンジンのコストアップが 20〜50万円ぐらいになる。(エンジン本体では 20万円ぐらいのアップ。コモンレールとターボとインタークーラーを追加すると、さらに 30万円が追加される。たとえば、エクストレイル。)
だから、50万円もかけてディーゼルを普及させるよりは、コストアップなしでミラーサイクルを普及させる方が、よほど賢明である。(マスコミはディーゼルを持ち上げるが。)
そして、それ(ミラーサイクルの採用)ができなかった iQ は、賢明ではない。たぶん、IQ (知能指数)が劣っているのだろう。
トヨタの iQ のという車名は、頭の文字が大文字でなく小文字の i であるが、これはたぶん「知能指数 IQ が足りない車」という意味なのであろう。(オチが付きました。 (^^); )
[ 余談 ]
その点、デミオは知能指数が高い。立派。
(だけど、マツダって、フォードから「 for sale 」にされちゃったんですよね。デンソーがマツダの株を買う、という新聞報道もある。かわいそう。泣ける。)
【 後日記・訂正 】 ( 2008-10-21 )
記述に不正確なところがあったので、修正と加筆をする。
(1) 修正
ミラーサイクルの膨張比を「16」と記していたが、この値は大きすぎるので、「14」に修正しておいた。プリウスの膨張比は 13.5 である。
(3) 加筆
マツダのデミオについては、もうちょっと正確な情報を書くべきだと判明した。
デミオの燃費は、実は、あまり向上していない。通常型でも 21km/L であり、しかもこれは CVT なしだ。デミオのミラーサイクル車は、23km/L だから、あまり向上していないことになる。特に、CVT だけでもかなりの効果があることを思うと、ミラーサイクルはあまり貢献していないことになる。
「変だな」
と思って、調べてみたら、事実が判明した。デミオのミラーサイクル車のエンジンは、本当のミラーサイクルではなくて、「半ミラーサイクル」または「セミ・ミラーサイクル」と呼ぶべきものなのだ。というのは、膨張比が 11 だからだ。
一般に、ミラーサイクル車の膨張比は、カタログデータでは「圧縮比」で表示される。これは「圧縮膨張比」の略なのだが、とにかく、「圧縮比」という形で「膨張比」が示される。現実の圧縮比は、「遅閉じ」または「早閉じ」によって、これより小さな値になる。
ともあれ、膨張比がたったの 11でしかない。通常のエンジンの 10と比べても、1割のアップでしかない。これではとても(膨張比 14の)ミラーサイクルとは呼べない。……とすれば、これは、本当のミラーサイクルではなくて、「半ミラーサイクル」または「セミ・ミラーサイクル」であるにすぎない。
そして、それだからこそ、馬力の低下も少なくて済み、その一方、燃費向上効果は少ないのだろう。
で、これは良いか悪いか? ううむ。表示はちょっと詐欺的ではあるが、まったくの嘘でもない。また、半分だけでも、ないよりはマシだ。馬力の低下が少ないことを思えば、特に悪いと言うほどでもない。
だから、性能的には、悪くはないと思う。ただし本当は「 CVT で燃費向上」が理由なのだから、そういう理由で宣伝するべきだと思いますね。「ミラーサイクル」で宣伝したんじゃ、ミラーサイクルの名が泣ける。
私としては、もっと馬力を落として、もっと燃費を向上させたモデルも、併売してほしいですね。「デミオはきびきびと動く」という評判だが、そんなにきびきびしなくてもいいから、燃費をあと1割近く向上させてほしいものだ。本当のミラーサイクルにすれば、それも可能だろう。
( 省エネタイヤを使えば、さらに燃費向上効果が上がる。……ただ、もしかして、すでに使っている? 何だか、不信感。だまされたくない感じ。)
( とはいえ、省エネの原理についての宣伝でだまされたとしても、現実のデミオの燃費は、とても良いようだ。その点だけは、ゴマ化し なし。いくらか嘘はついても、結果は詐欺になっていない。)
( ただし、上記で「デミオの IQ が高い」と述べたのは、取り消します。だまされた。 (^^); )
2008年10月18日
過去ログ

思うと隔世の感があります。
今見たら、200円台だったので、
月曜にでも注文しておきます。
日本市場まるごとセール中のようです。
実際台湾や中国のバイクのスペックを見るとその重量に驚きます。iQはうちは使い回しのエンジンでも低燃費にできますよというトヨタの自慢でしょうか。個人的にはIQの低そうな御面相にまず感心しませんが(笑)。
http://www.nihoncar.com/jp/news_pics/624/news.jpg
ダイハツのエンジンとは?まあそれでも個人的には許します。
肝心の燃費なんですが、1年乗ってみて非常に気に入っております。
街乗り19〜20km/L,高速 25.5km/L(一昨日 山陽道・しまなみ海道・松山・高松自動車道・瀬戸中央道・山陽道と走破し車載平均燃費計での実測データ)とカタログデータ(jc08モード)通りで非常に満足しております。