2008年10月14日

◆ 質量とは何か?

 質量とは何か? この問題に対して、一定の結論を下す。
 「ヒッグス粒子が質量をもたらす」という発想の問題点を指摘する。

 ( ※ 本項は、前項 「ヒッグス粒子」 の続きです。) ──
        (この項目は、実際の掲載日は 11月02日です。)


 質量とは何か? ── これは、現代物理学の課題である。詳しいことはまだ判明していない。
 ヒッグス粒子が関係しているらしい、ということは推定されているが、たとえヒッグス粒子が実験的に存在を明かされたとしても、その役割はまだよくわかっていない。「わかっている」と思っている人もいるが、それは過大な思い込みであり、実は、「ちょっとだけわかっているが、大半はわかっていない」というのが正しい。( → 前項「ヒッグス粒子」)

 ただし、超球理論からは、次のことも推定されている。
 「ヒッグス粒子は、慣性質量には作用するが、物質の発生・消滅には作用しない」
 「慣性質量の由来は、超球理論から説明されるが、物質の発生・消滅にともなう質量の発生・消滅については、まだ十分に説明されていない」


 そこで、「質量とは何か?」について、新たに結論を下す。

 ──

 まず、あらかじめ超球理論の説明を理解しておくことが必要だ。つまり、こうだ。
 「波と粒子は、相互に転換する」
 「波と粒子は、超球の回転と停止に相当する」
 「超球の回転と停止ともなって、物質(そして質量)の消滅と発生が起こる」


 これを踏まえた上で、次のように結論する。
  ・ 質量は、エネルギーと相互に転換する。(等価である。)
  ・ 質量は、超球が波から粒子に転じるときに、生じる。
  ・ 物質が発生するとき、量子の種類ごとに、単位エネルギーがある。
   これが質量だ。(たとえば、陽子なら陽子の単位エネルギー。)


 具体的に示そう。
  ・ 中間子と、真空中の波(電磁波など)とは、相互に転換する。
  ・ 真空中の波波が中間子に転じるときに、中間子の質量が生じる。
  ・ 中間子が発生するときに、中間子に固有の単位エネルギーがある。
   これが中間子の質量だ。


 ──

 イメージ的(比喩的)に言おう。
  ・ 水と氷は、相互に転換する。
  ・ 水が氷になるとき、氷は固体状態になる。
  ・ 水が氷になるときには、特定の単位はない。


 このうち、三番目の点は、量子とは異なる。
 ただし、製氷器などをつかって、氷になるときに単位を取ることにすれば、氷には特有の単位があることになる。(ちょっと苦しい比喩だが、勘弁してほしい。)
 ともあれ、ここでは、その単位エネルギーを区切りとして、一つ一つの氷が生じるわけだ。発生のときに中間的な値になることはない。 (これが量子の特質である。量子力学の歴史を見ればわかるとおり。黒体放射など。) 



 【 解説 】
 わかりやすく解説しておこう。本項のポイントは、次のことだ。
 「質量とエネルギーは、別々のものではない」


 通常、質量とエネルギーは別々のものだ思われている。本質的に別々のものでありながら、相互に転換することがあると思われている。(一種の比例関係。アインシュタインの方程式に従う関係。)

 しかし、質量とエネルギーは、本質的には同じものなのだ。というか、もう少し正確に言えば、次のようになる。
 「質量も、エネルギーも、超球の状態にすぎない」

 つまり、どちらも超球の状態だ。ただし、その状態が違うだけだ。
  ・ 質量     …… 超球は停止している。エネルギーは一つの量子に凝結する。
  ・ エネルギー …… 超球は回転する。エネルギーは広く分布する。

 このように、状態が異なる。とはいえ、その本質は、同じなのだ。目に見える形が異なるだけで、その奥にある本質は一つのものなのだ。

 このことから、次のように結論することもできる。
 「物質や質量は、無から生じるものではない」

 通常、真空中に粒子と反粒子が発生するとき、「物質や質量が無から生じる」というふうに認識しがちだ。しかし、違う。量子は無から生じるのではない。もともとそこにあったエネルギーが、空間に分布するエネルギーから、一箇所に凝結するエネルギーへと、分布の仕方を変えるだけなのだ。そして、それには、「(回転する)超球の停止」ということがともなうのだ。

 以上の発想は、超球理論の基礎を踏まえれば、ごく自然に得られることだ。
 「粒子と波は相互に転換する」

 この発想さえあれば、「質量とは何か」ということも、自然に判明する。
 一方、この発想を取らずに、次の発想を取ることもある。
 「量子は、粒子と波の性質をともにもつ」
 (つまり、二つの性質の同時共存)
 この発想に頼る限り、「質量とは何か」ということは、永遠に理解されないままだろう。質量について、どんなに正確に数式で表示できても、「質量とは何か」という核心は、いつまでたっても理解されないままだろう。

 思考の基盤が間違っている限り、その上に立つすべては砂上の楼閣にすぎないのだ。
 逆にまた、思考の基盤が正しければ、その上にはすばらしくエレガントな体系を構築できるのだ。
 
 結論。
 (i)  ヒッグス粒子は、質量が発生することには関与せず、質量が発現することにのみ関与する。(「発現」とは、慣性質量が加速に対して抵抗力を持つこと。それは定量的に計測される。)
 (ii)「ヒッグス粒子が質量を生み出す」という解釈は、正しくない。もしそういう解釈を取るとしたら、「質量とは何か」を理解していないことになる。
 (iii)「質量とは何か」は、超球理論によって説明される。質量はエネルギーと同種のものである。ただし、質量に力が作用するときは、ヒッグス粒子が介在する。




 [ 付記1 ]
 「ヒッグス粒子が質量を生み出す」ということはない。(標準理論の俗流解釈は否定される。)
 では、ヒッグス粒子は、どういう働きをなしているのか? それを考えてみよう。
 簡単に言えば、物質は、ヒッグス粒子によって「質量そのもの」を得るのではなく、ヒッグス粒子によって「質量による力」を得るのである。それは慣性質量に相当する力だ。
 つまり、ヒッグス粒子は、もともとある質量に対して、質量に比例する抵抗力を生み出す。
 この抵抗力は、質量そのものではない。質量そのものはエネルギーの同類として与えられる。そして、それに比例する形で、慣性質量に比例する抵抗力が与えられる。この抵抗力は、質量が加速すときにのみ作用する。

 直感的に言おう。手の上にある金属の質量は、金属を加速させたときに感じられる。しかし、それが手に感じられるということと、金属が質量そのものをもつということとは、別のことである。それが手に感じられるときには、ヒッグス粒子が作用しているが、それがそういう性質をもつということは、その金属が誕生した時点において決まっている。この両者は別々のことだ。(たとえば、自由落下している物体には、慣性質量が感じられないが、だからといってその物体に質量がないわけではない。)
( ※ 慣性質量と重力質量は、等価である。このことは、一般相対論でも、超球理論でも、結論は同じ。)

 [ 付記2 ]
 要するに、質量が「ある」ことと、質量が「発現する」こととは、別のことなのである。
 比喩的に言えば、次の差がある。
 「お金を貯めること/お金を使うこと」
 百万円をもっていることと、百万円を払って買い物することとは、別のことである。お金を貯めることと、お金を使うことは、別のことだ。お金を貯めるには、せっせと働く必要がある。働くという代償が必要だ。(エネルギーが必要だ。)
 いったん貯めたを金を使うときには、銀行にある無形の数字を形にあるものにするために、貨幣や紙幣を使う。貨幣や紙幣は、お金そのものというよりは、お金を意味する記号としての物質にすぎないが、それらがお金を体現する。そういう媒介物がある。(これがヒッグス粒子に似ている。)
 お金を使うことと、貨幣や紙幣を手渡すことは、よく似ているが、別のことである。貨幣や紙幣を手渡さなくても、電子的な口座の数字だけで取引することも可能だ。貨幣や紙幣は、お金の取引には媒介物として使われるが、お金そのものとは異なる。ここを勘違いしてはならない。
 質量が発現するとき(力が感じられるとき)には、ヒッグス粒子が介在するが、ヒッグス粒子が質量そのものを生み出すわけではない。ここを勘違いしてはならない。

 [ 付記3 ]
 特に、「ヒッグス粒子がない場合」を考えてもいいだろう。
 標準理論では、「ヒッグス粒子がない場合には、量子は質量をもたない」となる。
 超球理論では、「ヒッグス粒子がない場合には、量子は質量の力が発現しない」となる。ここでは、質量がないのではなく、質量はあるのに質量の力が発現しないだけだ。
 比喩的に言うと、「銀行の預金口座に、自分の金はあるのに、銀行に紙幣がないせいで、自分の預金を現金化できない」ということだ。
( ※ これは不思議でも何でもない。銀行の支点には普通、1億円ぐらいの現金しかないから、いきなり「2億円を現金化してくれ」と頼んでも、まず無理だ。「本店から取り寄せますので、しばらくお待ち下さい」と言われる。つまり、自分は金をもっているのに、自分の金を現金化できない。銀行に金がないせいで。)
 超球理論では、「ヒッグス粒子がない場合にも、量子は質量をもつ」となる。なぜかというと、たとえ(ヒッグス粒子がないせいで)質量の作用が発現しなくても、質量にともなうエネルギーはあるからだ。それはアインシュタインの式に従うエネルギーだ。
   E = mc2
 この式に従って、質量は常に存在する。ヒッグス粒子があろうがなかろうが、エネルギーは消えないし、エネルギーと同類の質量も消えない。質量とエネルギーとのあいだで相互転換を起こすことはあるが、質量とエネルギーが全体として消滅してしまうことはないし、質量とエネルギーが無から発生することもない。(エネルギー保存則)
 ヒッグス粒子があろうがなかろうが、質量とエネルギーは存在しているのだ。ただ、ヒッグス粒子がないと、質量があっても質量の作用が発現しないのである。── 自分の預金残高はあっても、銀行に紙幣がない場合のように。

 [ 付記4 ]
 別の比喩で示そう。
 ヒッグス粒子がない状態とは、いわば、光のない状態(= 闇の状態)だ。
 闇のなかでは、ただ暗黒しか見えない。物は何も見えないので、物は存在しないように思える。「すべては無だ」と感じられる。
 そこへ光が射し、光が満ちる。さまざまな物体が目に見えるようになる。室内にある時計や、イスや、箱や、壁などが見え、窓の向こうの戸外には、草原や、花々や、緑の樹々が見える。すばらしい明るい世界が見える。「世界は今、誕生したのだ」と感じられる。
 だが、そうではない。世界はもともと存在していたのだ。ただ、光がないせいで、世界は見えなかったのだ。世界は、存在していても、発現していなかったのだ。── そして、存在していたものが人間に感じられるようにすること(発現すること)のために、光が作用したのだ。
 光は世界を生み出したのではない。光は世界を感じられるようにしたのだ。
 ただし、愚かな人間たちは、その区別ができなかった。「光が生まれたとき、世界もまた生まれた」と思った。

( ※ 聖書の言葉を思い出せばいい。神が「光あれ!」と語ったとき、世界が生まれた。……これが人間の発想だ。)

( ※ ではなぜ、人々は、馬鹿げた発想を取るのか? それはコペンハーゲン解釈という発想を取るせいだ。そこでは「存在が観測をもたらす」とは考えず、「観測が存在をもたらす」と考える。そういう本末転倒的な発想を取るから、「存在が先にある」という真実に到達することができないのだ。……何事であれ、発想の基盤が間違っていると、その上にある理論はすべて砂上の楼閣となる。それが現代の量子論だ。)



  【 注記 】
 通常の説明は、
 「ヒッグス粒子が量子に質量をもたらす」
 というものだ。
 この説明だと、質量の発生と発現は区別されないことになる。すると、
 「質量の発生のとき、質量とエネルギーはどういう関係にあるのか」
 という問題にうまく答えられなくなる。
 質量の発生と発現を区別すれば、この難点がなくなる。

 しかし、従来の理論だと、質量の発生と発現をうまく区別できない。というのも、そもそも「粒子と波の相互変換」という発想がないからだ。
 超球理論は、ここをうまく説明することができる。



 《 参考 》

 本項で説明したのは、「エネルギーと相互転換する質量」であり、質量の本質だ。
 一方、質量そのものが存在する状況で、「質量はいかにして慣性質量として発現するか」という問題もある。これについては、ヒッグス粒子が作用するので、前項の「ヒッグス粒子」を参照。


 なお、質量発生(粒子発生)の過程については、「対称性の破れ」が関係する。これについては、別項で示したので、そちらを参照。
  → 対称性の自発的な破れ
  → CP対称性の破れ

 《 重要 》
 「質量とは何か」をいっそうよく理解するには、質量と電荷を対称的にとらえるといい。この件は、次項で示した。
  → 「重力と電磁力の対称性」 (次項)
posted by 管理人 at 16:53| Comment(6) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
NANDO先生

何のコメントがないのは、さみしいと思いメール致しました。

(1)超球理論
正準交換、行列力学、ハミルトニアン、ラグランジアン、粒子反粒子運動と良く解りました。
所で、アメリカのLarry Springさんをご存じですか?
1985年にMagnespheres論を公開されました。
http://www.larryspring.com/magnespheres.htm
で見ていただければ解ります。Nextを押すことにより次々と説明があります。

(2)「光あれ!」の新解釈
宇宙には4つの力「電磁気力」、「重力」、「強い力」、「弱い力」がありますが、これがゲージ「光子」を通して統一されることを示しています。
詳細は私の本、新「力・エネルギー論」をご参照ください。
Posted by ヤマネ マコト at 2011年09月11日 21:46
ひゃまは悩んだら南堂先生のHPを訪れお世話になっています。
先生のHPを見ると現代物理学の問題点が良くわかるからです。

時空とエネルギーの関係からエネルギーである時点で抵抗になっているのに、E=mc^2
質量に抵抗をさらに与えないといけない理由がないからです。
これは時空と光子を混同して光子に質量がないといった時点で辻褄あわせの世界に入らないといけない宿命なのでしょう。
時空発展しエネルギーが変化すれば必然的に抵抗や重力場は生じる方が自然ですね。
消費電力P=RI^2のように

先生も最近はヒグズ機構を容認されてるようですが、いかがでしょうか?
Posted by ひゃま at 2012年08月04日 01:45
ヒグズ機構を否定してはいません。
Posted by 管理人 at 2012年08月04日 05:40
ほんと、先生は多岐に渡る記事を書かれますね。
またそれが本質的なことを突くからびっくりです。
たまには、物理の記事も書いてください。

質量について量子の粒子性と波動性の二重性の転化というより、時空の抵抗として定義を見直しが必要なのではないでしょうか?

現行物理学では質量は動かしにくさっていう定義になっていますが、悪く言えばインチキ、良く言っても狭義だからです。

たとえば、電車に電気を加えて電車が動く電車の重さによって動かしにくさが決まる。 これは確かにそうかもしれませんが、それはエネルギーの仕事の一要因であって、電気の働きには電気を加えてお湯を沸かす、携帯電話で話す、エネルギーの働きはいろいろです。 したがって質量はエネルギーの抵抗であって、その一要因として動かしにくさがあります。

この質量が抵抗であるのと、物体が重心を持って加減速が必要(抵抗の種類)なのを混同しているからヒッグスなどというわけのわからない辻褄合わせしています。 場っていうのは便利で、何とか場というように言葉を変えれば辻褄合わせを幾らでもすることができます。 物理学はこのように重心も持った物体の塊が力学的に取り扱いやすいので質量として定義して発展してきました。 この古典的な質量の概念のまま時空理論である相対論を組み合わせたから、素粒子物理学の奇妙な辻褄合わせになってます。

質量は時空の抵抗であるから、必然的にm=E/c^2というエネルギーを光速度で割った値で、光速度を不変にみるとエネルギーとは単位の違いです。 質量を本質的な定義に見直すと、E=hν=m(c^2−2GM/r)という関係式が出てくるでしょう。 つまり運動エネルギーも光速度で割ると抵抗であると、これは質量の有るニュートリノといつだって同速な光子も時空から見れば抵抗であるいうことです。

質量という概念の内容や定義は、動力学、力学の歴史とともに推移してきている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%AA%E9%87%8F

大切なのは、電磁気学、力学の垣根なく抵抗とエネルギーと時空の相関関係の固定概念を取り除くことではないでしょうか?
Posted by ひゃま at 2012年09月13日 02:51
こんにちは南堂先生
>>超球の回転と停止ともなって、物質(そして質量)の消滅と発生が起こる
持論ではさらに拡張して、「波が回転することで粒子に凝結し、粒子が発散することによって(エネルギー=ゆらぎは広く分布することによって)波になる、そしてその発散や回転が停止することによって質量を生じる」
さらにホーキング氏の特異点の理論と結びつけるならば「特異点は熱を出して蒸発する、つまりこの中で起こっていることは超球の停止(質量の発現)である」
というのは波動関数の絶対値の 2 乗は 粒子をそこに見出す確率を表すと学校の先生が言っていたからです(ひらめいた理由)
Posted by もりさいそく at 2013年05月12日 00:28
先生は私にとり 参考にさせてりただいた 大いなるかたです
学の無い私にとり 灯台のような方です お世辞は言わない人間です 文章から他の人とモノが違いますから 圧とう し ただ者ではないと14年くらい前から、このような有益な優良な情報に出会えた運を感謝いたします 成る程です ヒツクス粒子の理解。。エネルギー保存則 聖書は科学の本ではないので 盲信し科学と相反し信仰を失う愚行の警鐘に取り上げさせて貰いたい。ご迷惑の及ばぬように細心の注意を払います 仕入れた素材は落ち度はないが 調理をして提供した料理人の責任を読者に前置きして提供したいです 理解の誤りは僕にあると。無からの聖書的解釈は光の照らし行く理解ですね つまり神様と言う=無形の場が存在していた でどうで説いて挑戦してみたい。お付き合い ありがとうございました(^^)
Posted by at 2016年02月17日 23:25
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