2008年10月10日

◆ ノーベル賞の教訓

 ノーベル賞から得られる教訓をいくつか。 ──

 (1) 国籍

 南部陽一郎は、日本人ではなく、米国人である。米国籍を得たからだ。……これは重要だ。
  頭脳流出組、相次ぐ受賞…南部氏は「米国人」報道まで (読売)
 と言って驚いている新聞もあるし、
  日本が誇る素粒子論の学者3人 (朝日)
  ノーベル物理学賞は日本人研究者3人が一挙に受賞する快挙だった (日経)
  日本人のノーベル賞受賞者は、……15人となった。3人とも、 (読売)
 と述べている社説もあるが、いずれも間違いだ。「日本は優秀な人材から見捨てられた」と理解するの正しい。そして、その理由は、「日本の研究環境は貧弱だから」である。  (^^);

 これに対して、「当時(数十年前)は、日本は貧困だったから」と釈明する記事もあるが、何言っているんですか、今の日本だってそうでしょう。公共事業だけは富裕だが、研究環境は貧困である。
 先の項目(ノーベル物理学賞)の最後でも述べたが、土木関係のためには数千億円でも支払うが、実際の研究のためには数十万円の書籍代さえも惜しむ。さらには、学会誌さえ廃刊の危機にある。
  → 伝統の学術誌が赤字で廃刊危機  (読売)
 これが日本の現状だ。情けない。

 その結果は? 今の日本ができる対策は、ただ一つ。
 「流出した日本人を、本当は米国人なのに、日本人だと見なして、日本人のノーベル賞受賞者数に数えること」
 ということだけだ。
 これはもう、ペテンも同様である。ひどいものだ。

 (2) 実験

 ノーベル化学賞を受賞した下村脩についての記事。(引用)
 「下村さんは“神の手”とも言うべき実験技術を持った人。理論と実験の両方の能力を兼ね備えた人で、平田先生も下村さんのことを『実験もうまく、物事をよく見ている』と評価していた」
 ( → 読売新聞 2008-10-09 )
 
 これで思い出すのは、青色LEDを開発した中村修二だ。彼もまた、開発装置を(業者任せでなく)自作することで、他人にはできない業績を上げた。
 ついでに言えば、欧州の量子衝突実験装置でも、研究者が自分で装置を開発したり変更したりしている。「業者任せじゃ遅くなりすぎる」というわけ。
 実験分野では、かくあるべし。そうできた人だけが、画期的な業績を上げることができる。他人任せじゃ駄目なんですね。

 さて。このことは、普通の工業系の会社(自動車会社や電器製品会社)にも、当てはまりそうだ。技術開発をするなら、設計図をいじるだけでなく、自分で部品を操作する必要がありそうだ。自分の指を使うまでは行かなくとも、現場で直接見ながら支持する指示がありそうだ。
 思えば、自動車でも、レースではこの方式だ。また、日産 GT-R も、この方式だった。だからこそ、世界的な成果を挙げることができた。
 ひるがえって、日本のケータイは? NTT などがメーカーに仕様を与えて、メーカーはその仕様に従って開発する。人間レベルで間接的であるに留まらず、会社レベルで間接的だ。……これじゃ、ひどすぎ。勝負になるわけないですね。
 考えてみれば、ケータイに限らず、他のハイテク商品でも、日本ではこの傾向にある。設計者は設計するばかりで、作ることは作る人任せ。これじゃ、駄目なんですけどね。
 その一方で、Google は、やるべきことをやっている。ネットでの検索やら何やらのために、ケータイのOSまで開発している。直結の度合いが高い。ちょっと日産の GT-R の開発に似ている。

 戦後数十年を経て、日本の開発能力は、成人病ないし高齢者病にかかりつつあるようだ。技術者の熱気は衰え、若々しい気力は失われている。……で、何をしているか? …… 萌え趣味でしょう。これに嵌まっているんじゃないの? 日本の理系の若者たちは。  (^^);

( ※ 冗談じゃないぞ。本当に、この傾向は、ものすごく高い。アニメオタクが多い。せめて、リアルな女性のファンになってほしいものだが。……せいぜい、オタク化した中川翔子のファンになる程度。ああ、先が思いやられる。この先にあるのは、脳 減る 賞 だけか。)

 [ 付記 ]
 話を真面目に戻すと、日本にもホープはいる。
 iPS 細胞の山中伸弥・京都大教授だ。このたび新たに業績を上げた。iPS細胞を、ウイルスを使わずに作ったという。
  → http://www.asahi.com/science/update/1009/OSK200810090125.html
  → http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20081010-OYO1T00146.htm?from=top   
posted by 管理人 at 19:40| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
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