9月07日に関東地方であった雷雨は、8月29日にあった集中豪雨とは違う。その違いを解説する。
( cf. 前回の集中豪雨は → 豪雨対策 ) ──
( ※ 順序の都合上、本項の日付をずらしました。
8月31日になっていますが、実際の日付は9月07日です。)
9月07日の夕方に、関東地方で雷雨があった。大きな雷鳴が響き、雷光が空を照らした。いかにも物々しいが、これは8月29日にあった集中豪雨とは違う。
前回は暗黒の雨雲、今回は全天が灰色の雲。
前回は降水量が多大、今回は降水量は普通。
前回は南風、今回は北風。
前回は温風、今回は冷風。
以上の違いがある。その核心を言えば、こうなる。
「前回の集中豪雨は 温暖前線 によるもの。今回の雷雨は 寒冷前線 によるもの」
温暖前線では、暖気団が南方から寄せるので、湿った空気が大量に寄せてきて、大量の雨を降らせる。湿気は次々と補充される。
寒冷前線では、寒気団が北方から寄せて、既存の暖気団が寒気団の上に載せられることで、そこそこの雨を降らせる。湿気は補充されない。
結局、前回の豪雨は降水量が多大であり、被害をもたらしたが、今回の雷雨は降水量がそこそこであり、被害をあまりもたらさない。
なるほど、一時的には、今回の雷雨も大量の降水量があった。しかしそれはあくまで一時的だ。そこにある湿気が雨になってしまえば、そのあとはもう湿気は補充されないから、やがては種切れになる。そもそも、灰色の雲があるだけだし、水分の量も大したことがない。(真っ黒な雲がある場合とは違う。)
──
結論。
温暖前線のせいで集中豪雨が起こるときは、降水量が多大で、被害も生じるので、対処の必要がある。
寒冷前線のせいで雷雨が起こるときは、ただの夕立のようなもので、降水量もたいしたことはないから、(たとえ雷がピカピカ光ったとしても)特に対処の必要はない。対処するとしたら、降水量への対処よりは、落雷への対処だろう。
【 注記 】
本項の趣旨は何か?
気象のお勉強である。特に目新しい情報があるわけではない。
小さな科学的な疑問について、既存の知識を使って、解説しただけ。私の独自の意見などは、まったくない。
どちらかというと、前回の「豪雨対策」についての関連的な補足、みたいな意味合いである。
気象のプロにとっては物足りないだろうが、普通の人には豆知識みたいな意味合いがある。
【 追記 】
言うまでもないが、本項はほんのちょっとした豆知識にすぎない。気象の本格的な教科書ではない。比喩的に言えば、微積分の高度な話(ルベーグ積分)を、たったの一項目だけで、簡単に紹介したようなものだ。正確さの点では、全然不足している。本格的に詳しいことを知りたければ、ちゃんと気象の勉強をしてほしい。
また、本項で述べた現象は、きわめて珍しい現象だ。したがって、通常の「低気圧」「前線」「積乱雲」というような用語で、きちんと説明しきれるものではない。ありきたりの現象はありきたりの用語で説明できるが、めったにない現象はありきたりの用語では説明できない。
気象については、「説明できないことがたくさんある」と理解することが、何より大切だ。気象庁あたりの説明を聞いて、「あ、これで全部わかったぞ」などと自惚れてはならない。
【 参考サイト 】
→ 実況天気図
天気図の動的な変化。
※ 今回は、北西から高気圧が近づいた。寒冷前線は日本列島に沿って、北東から南西に連なった。これにコリオリの力が働くので、風は北風となった。
( 高気圧 ) 前線
/
↓ /
/
/ ↓
/ 風
前線
※ 前線についてもっと基礎知識を学びたければ、Wikipedia を参照。
【 関連項目 】
→ 豪雨対策
2008年08月31日
過去ログ

普通の中学教科書などでは、温暖前線や寒冷前線は、次のタイプのものである。
「温帯低気圧の中心から、温暖前線と寒冷前線がともに伸びる」
この場合は、二つの前線は一点で交差して、 ∧ 状になる。その二つの前線に挟まれた領域では、しだいに領域の幅が狭まっていく。
これは、概念的には、基本的な場合だ。
一方、本項で述べたのは、そういう場合とは異なる。高気圧と低気圧が別の領域にあって、別々の広い領域をなす。ここでは前線は ∧ 状ではなく、直線状になる。
このような違いについては、Wikipedia の該当項目にも少し記してあるから、そちらを参照。
( ※ 要するに、本項で述べたことは、普通の中学教科書などに記してある場合とは異なる場合だ、ということ。普通の中学教科書レベルよりは、ちょっとだけ上です。)
( ※ どうしてかというと、集中豪雨を起こすような前線は、普通の温帯低気圧の前線とは違って、かなり特殊なものだから。年にいっぺんぐらいの現象です。)