新型インフルエンザ(パンデミック)への対策として、ワクチンの接種が推進されている。ただし、日本製のワクチンは効果があまりなく、英国製のワクチンは効果が高いという。 ──
新型インフルエンザ(パンデミック)への対策として、ワクチンの接種が推進されている。特に、医療関係者への接種を先行して実行しよう、という動きがある。そのための予備的な接種を実行して、効果を高めよう、という動きがある。
しかしながら、日本製のワクチンは効果があまりなく、英国製のワクチンは効果が高い。抗体ができる割合は、日本製は 17%で、英国製は 84%である。また、同じ材料からできるワクチンの量は、日本製に比べて英国製は4倍もあるという。
( 以上、新聞記事より。朝日・朝刊・特集面 2008-08-12 )
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面白い内容なので、さらに調べてみた。すると、次のことが判明した。
・ 英国製というのは、グラクソ社のもの。( → 公式発表 )
・ 効果が高いのは、独自のアジュバント(免疫増強剤)を入れたから。
・ そのおかげで、少量の抗原で高い免疫応答を得られる。( → 資料 )
・ 少量の抗原で済むから、同等の効果のために、材料は少なくていい。
こんなにいいのだったら、「これを使えばいい」と思うはずだ。しかしながら日本では、グラクソ社のワクチンには許可が下りなかったらしい。引用すると、
「グラクソ社のワクチンは、日本での販売許可が下りなかった と聞いている。」
とのことだ。( → 出典。訳者は 小樽保健所所長。)
( ※ その後、ようやく認可されることになった。
コメント欄の 2008-08-27, 28 の箇所を参照。)
「なぜ?」と思うかもしれないが、不思議ではない。グラクソ社のワクチンが導入されたら、日本のワクチン会社は倒産してしまう。そうしたら、厚労省からワクチン会社へ、天下りができなくなる。ワクチン会社と厚労省とは、持ちつ持たれつ。天下り先の確保が最優先。
で、そのせいで、日本人の生命が大量に失われたら? 「そんなの関係ねえ! オッパッピー」と叫ぶだけ。海パンで。
暑いから、海パンがいいんでしょう。 (^^);
なお、これはただの冗談ではないので、念のため。上記の朝日の記事によると、厚労省は「日本のワクチンの効果が低いということは、はっきりとしていない」という立場を取る。「比較の仕方が違う」という理由で。
こりゃまあ、こじつけですね。 (^^);
仮に、厚労省の言い分が通るとしても、その結論は「グラクソ社のワクチンを認可しない」ということにはならないはずだ。認可した上で、使うかどうかを決めればいい。はっきりとしなくても、グラクソ社の方がいいらしい、となったら、使っていいはずだ。「駄目だ」と決まっていない限りは。……なのに、現実には「駄目だ」と決めつけて、認可しない。
なぜ? もちろん、利権のためです。
( ※ なお、国内の4大ワクチンメーカーは、北里研究所、デンカ生研、阪大微研、化血研です。このうち、北里研究所、デンカ生研の2社が特に有力らしい。)
結論。
調査の数字が金で歪められるだけではない。調査の数字が出たあとで、その数字の解釈で「そんなのどうでもいい」というふうに無視してしまうことができる。真実を無視することで、虚偽を信じることができる。
こうして、国民の生命を犠牲にして、官僚と企業ばかりが金儲けに励む。……で、国民は、蚊帳の外だ。
[ 付記 ]
この点では、マスコミの責任も重大だが、医者だって声を上げてほしいものだ。ブログで発言することもできるはずだし。……しかしまあ、たいていの医者は、「医療の真実を訴える」なんてことはしていない。「目先の患者を助けて、診察料を受け取る」ということはするが、「国民全体の命を救うために、金をもらわずに訴える」なんていうことはしないものだ。
で、(たいていの)医者がやらないから、仕方なく私がやっているわけだ。
【 関連サイト 】
→ インフルエンザについての基礎知識のまとめ
このサイトには、基礎知識が紹介されている。初心者向け。
2008年08月12日
過去ログ
国内ではまだ申請されていません。想像ですけど、海外臨床試験では有効性が明らかなのにもかかわらず、日本人ではどうなんだと訳のわからないことをいう役人がいるのでしょう。ご指摘のような天下りのためというのも理由の一つなんだと想像します。
そんな役人に対しては「有効性が低い日本のワクチンを承認するなんて何考えてんだ」と言いたくもなります。豊富なデータがあるけど「実際には効かない国産のワクチン」よりも、日本人でのデータはなくとも「有効性が外国で確立している」外国ワクチンのほうが良いにきまってる。
そんな効かないワクチンが国内で大量に備蓄されているみたいなんだけど、どこかのオンブズマンが国家予算の無駄遣いを指摘してくれませんかね。
外国製ワクチンの治験、9月開始 新型インフル、備蓄用目指す
英製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発した新型インフルエンザのプレパンデミック(大流行前)ワクチンの臨床試験(治験)が、来月から国内で始まることになった。同社日本法人が28日明らかにした。
来年にも厚生労働省に承認申請し、国家備蓄用に採用されることを目指すという。現在政府が備蓄している大流行前ワクチンはすべて国産で、外国製ワクチンが承認されれば初めて。
グラクソ社のワクチンは、アジアなどでまん延し死者も出ている鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を基に製造した点は日本のワクチンと共通だが、独自開発の免疫増強剤が特徴。
抗原となるウイルスの量が少なくても効果が期待できる上、さまざまな国で採取されたウイルスに効果が確認されたとしている。既に欧州連合で承認を得ており、新型インフルエンザ対策としてこのワクチンの備蓄を進めている国もある。
厚労省の薬事・食品衛生審議会の部会は27日、このワクチンについて、優先審査や開発費補助の対象となる「希少疾病用医薬品」として指定することを了承した。
2008/08/28 06:15 【共同通信】
「新型インフルエンザ対策」では、プレパンデミックワクチン備蓄経費として66億3900万円を計上し、新たなウイルス株で製造したワクチンの購入に充てる。
これは、効かない可能性が極めて高いワクチンがさらに1000万人分も増えるということを意味しています。パンデミックが起きた時には、多くの日本人が効かないという事実を知らされないまま、接種することになるんです。恐ろしい。
このままでは"日本ではワクチンを接種した人が効果不十分で死亡したのに対し、ヨーロッパではワクチンが奏功して死亡者数が少なかった"というようなことになりかねません。もし、そんなことになれば厚生労働省の役人は責任を問われてしかるべきでしょう。
日本政府は国家存亡の危機に備えるべく国産・外国産を問わず、より高い効果が期待されるワクチンを備蓄すべきです。