2008年08月11日

◆ 医薬調査と資金援助(高血圧)

 医薬の効能を調べる調査に、医薬品会社が資金援助している。そのことで調査結果が左右されている、ということがはっきりわかったようだ。(高血圧の薬で。) ──

 《 本項は、私の意見ではなく、読売新聞の記事( 2008-08-11 朝刊・コラム)をまとめる形で、整理して述べる。》


 高血圧の薬には、何がいいか? 通常、次の選択肢がある。
  ・ 安価な利尿薬
  ・ 高価な最新の薬(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬など)


 「後者の(高価な最新の薬)のおかげで、治療効果が急激に向上したから、後者の方がいい」というのが、従来の常識であった。実際、日本の高血圧治療では、そういうガイドラインがある。( → ガイドライン
 しかし、最近の米国の調査によると、「どちらも差はない」という結果が得られている。こちらが新しい常識となっている。( → 該当サイト ,Wikipedia

 ではなぜ、「最近の薬の方がいい」というガイドラインが取られているか? それは、「最近の薬の方がいい」という統計調査(疫学調査)が得られているからだ。
 しかし、これは奇妙である。米国のように「どちらも差がない」という調査結果があちこちに出ているのに、日本ではどういうわけかまったく矛盾する調査結果が出ている。事実は一つのはずなのに、まったく異なる結果が出ている。

 そこで、読売新聞社が調べた見たところ、次のことが判明した。
 「最近の薬の方がいい」という統計調査を出した研究者の資金を調べてみると、そこには該当の製薬会社から資金援助が出ていた。改めてあちこちを調べると、製薬会社から資金援助をしてもらった研究者ほど、「最近の薬の方がいい」という統計調査を出している。金と調査結果とが関連している。

 つまり、「調査を金で買収している(歪めている)」というわけだ。実際には「差はない」という結果が得られるのだが、それでは製薬会社に顔向けができない。そんな結果を出したら、翌年の資金援助を切られてしまう。それではまずい。そこで、うまく統計をいじくって、他の薬と組み合わせたりして、「最近の薬の方がずっと効果がある」という歪んだ結果を出すわけだ。(データの捏造に近いですね、これは。)

 ──

 実は、この件は、前にも「タミフル」をめぐる話題でも、言及したことがある。次のように。
  新聞続報によると、この統計調査をしたチームの主任教授は、薬剤会社から金をもらっていたらしい。つまり、グルである。これじゃ、まともな統計調査をする前提すら満たされていないことになる。……これほどひどいとは思ってもいなかった。口あんぐり。
( → 統計の嘘(タミフル)
 この項目では、読者からのコメントもいろいろとある。(「金」という語で検索するといい。)

 ともあれ、「金で研究が左右される」ということについて、上記項目で懸念を表明していた。そして、まさしくその懸念どおりに、研究者は製薬会社に買収されていた、ということが判明したわけだ。高血圧の薬で。

( ※ 買収は「あうん」の呼吸だろう。はっきりと買収を明示せず、「下手をすると来年の研究費は出しませんよ」という形での暗黙の了解。)
 


 [ 付記1 ]
 細かな話は、ここでは記さない。本項はあくまで、「金で研究が買収された」ということのみを指摘する。具体的な医学的な内容は、読者が読売の記事を読んでほしい。
 なお、ネットにはありません。ネットにあるのは、よそでも得られる平凡な情報だけ。価値のある情報は、金を払わなくては得られません。

 [ 付記2 ]
 本項で述べたのは、高血圧の薬のことだが、タミフルについても次のことが判明している。
  ・ タミフルについて「異常行動はない」という報告が出た。
  ・ その報告を出した研究者は、タミフルの製薬会社から金をもらっている。
  ・ その報告は、統計的に間違っている。統計数値を歪めて処理して、
   異常行動の数値を実際よりもずっと低く見積もっている。(

 ここでも、金で調査が歪められているわけだ。

 ( ※ タミフルの統計の件については、「タミフルと異常行動」で述べた。)
 ( ※  の件については、私ではなくて別の人が説明している。すぐ上の項目にもリンクを示したが、改めて示せば次のサイト。
   → http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080117 )
posted by 管理人 at 16:46| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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