「これからは太陽電池の時代だ」と言われているが、実はその逆になりそうだ。つまり、太陽電池は時代遅れのものとなり、あげくはただのゴミになりそうだ。 ──
本項では、太陽電池というものを否定する。(未来への予測として。)
ただし、そこで否定される太陽電池とは、「現在主流の太陽電池」つまり「シリコン型の太陽電池」である。これが将来的には消失してしまうだろう、と予測する。そして、かわりに、別のタイプの太陽電池(たぶん有機薄膜型)が主流になるだろう、と予測する。なぜかというと、その理由は「コスト」だ。
──
現在では、「太陽電池」と言えば、シリコン型の太陽電池のことを指す。それ以外は実用段階に達していないようだ。
そこで、「未来は現在の延長上にある」という発想のもとで、マスコミはシリコン型の太陽電池を推奨する。
「補助金を出して、大量生産によりコストダウンを狙え。こうして補助金によって、太陽電池を普及せよ」
と。ここで言うのは、「補助金による大量生産」を狙っているのだから、当然、シリコン型の太陽電池である。
一方、私は、これを否定して、次のように主張してきた。
「どうせ金をかけるなら、補助金による大量生産を狙うのではなくて、画期的な技術を求めて技術開発援助をせよ。大量生産よりも技術開発に金を使え」
と。そして、ここで言うのは、「技術開発」一般である。特に、現在の技術のすぐ先にあるようなものではない。
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さて。ここで、現実の価格を見ることにしよう。シリコン型の太陽電池の価格は、現在、次の通りである。(ネットでの販売価格)
・ シリコン単結晶タイプ …… 1m2 あたり 20万円
・ シリコン多結晶タイプ …… 1m2 あたり 8万円
・ コントローラー …… 2〜5万円
・ インバーター …… (2)〜5万円
いろいろとあるが、安物はどうも使いもにならないものが多いようだ。
シリコン多結晶タイプは、寿命が短くて、劣化しやすい。(なお、アモルファス[非結晶]タイプは、もっと劣化がひどい。)
インバーターで安いのは、正弦波ではなくて、疑似正弦波を作るだけである。
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以上のことからすると、太陽光発電が実用化するには、次のことが必要だ、と思える。
「現在のコストの3分の1以下の価格になること」
しかしながら、コストを下げるということは、現在までの技術開発の歴史を見る限り、とても難しそうだ。5年ぐらい前から、「コスト半減をめざす」と言われてきたが、いつまでたっても、たいしてコストは下がっていない。(まるでオオカミ少年みたいに、同じ嘘を繰り返している。)
シャープでは「薄膜シリコン型を使ってコストを半減する」と表明している。( → 該当サイト )
しかし、半減したとしても、3分の1という要求水準をクリアせず、まだまだコストが高いので、普及は難しそうだ。また、薄膜シリコン型というのは、ちょっと見た感じでは、寿命が短そうだ。いくらコストが半減しても、寿命まで半減と言うことにはなりませんかね?
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あれこれ考えてみると、シリコン型というのは、単結晶タイプであれ、多結晶タイプであれ、薄膜タイプであれ、いずれもコストが高すぎる。この先の画期的なコストダウンも見込めない。これらはいずれも、現在技術の延長上にあるから、画期的な技術革新は見込めないのだ。
とすれば、これらについては、あっさり将来性を切り捨てた方がいいだろう。
そのかわりに、次の画期的な新技術が開発中だ。( → Wikipedia )
・ 色素増感型
・ 有機薄膜型
これらはいずれも研究開発途上であり、実用化されているわけでもない。また、たとえ成功したとしても、有機系という構造から、寿命はあまり長くない。10年ももたないだろう。5年ぐらいかもしれない。しかしながら、コストは大幅に安くなることが予想されている。1割以下になるかもしれない。そして、寿命が従来の3割だとしても、コストが1割以下なら、十分にペイする。また、すでにほとんど限界に近づきつつあるシリコン系に比べて、限界ははるかに先にあるので、希望が持てる。
ともあれ、これらは「海のものとも山のものともしれない」わけで、確実さはないのだが、少なくともシリコン系のように、「見通し真っ暗なことがほぼ確実である」のに比べれば、ずっとマシだ。
──
以上のことから、私としては、次のことを予想する。
「シリコン系の太陽電池は、現在も将来も、高コストのままである。とうてい原子力発電の代替とはならない。いくらかはコストダウンをするとしても、そのコストダウンの低下の割合はとてもゆるやかであり、限界も見えている。というわけで、将来、シリコン系の太陽電池は、(高コストゆえに)生産されなくなる」
比喩的に言えば、「時代遅れの高コストの機械」である。次のように。
・ 白黒のブラウン管テレビ
・ テープレコーダー
・ ベータマックス
・ 16ビットパソコン(PC9801)
これらのものは、まったく無意味だとは言わないが、こんなものを作っても、コストがかかるばかりで性能が悪すぎるから、誰も購入しない。こういうものを製造する工場があっても、ただのゴミでしかない。
したがって、シャープあたりが莫大な金をかけて、シリコン系の太陽電池の工場を建設するとしても、ただのゴミを建設しているにすぎないのだ。……将来的には、たぶんそうなるだろう。(ちょうど、ブルーレイに対抗して HD の工場を無駄に建設した東芝のように。あるいは、もはや時代遅れとなった SED にいつまでもこだわっているキヤノンのように。)
とにかく、技術というものには、賞味期限がある。古臭い技術は、次の世代の技術が登場したあとでは、ただのゴミになってしまうのだ。そう理解するべきだ。そして、シリコン系の太陽電池もまた、それと同様だろう。(……これは私の予測。)
──
では、かわりに、どうなるか? 私なりに未来を予想しよう。
・ 有機系の太陽電池が主流になる。
・ それは、低コストで、寿命が短い。
・ コントローラーとインバーターは、太陽電池パネルとほぼ
一体化される。(いっしょに購入していっしょに廃棄する。)
・ コントローラーとインバーターは、規格化される。
(パソコンの部品が規格化されたのと同様である。)
・ 有機系のために規格化された使い捨ての装置は、安価だが、
それは、シリコン系には転用できない。
・ 市場では、安価な有機系と、高価なシリコン系があるが、
前者ばかりが売れる。後者は売れなくなり、生産中止。
こうなった時点で、シリコン型の太陽電池は、もはや時代遅れの品物となる。屋根にシリコン型の太陽電池を付けている家もあるだろうが、PC9801 をいつまでも使っている企業のようなもので、ただの時代錯誤にすぎなくなる。
「あの家の屋根にはゴミが乗っかっているね」
と言われるようになる。 (^^);
そこで、恥ずかしくなった当の家では、屋根に付いているシリコン型の太陽電池をはずして、有機系の太陽電池に置き換える。この時点で、廃棄されたシリコン型の太陽電池は、まさしく粗大ゴミになる。 (^^);
結局、シリコン型の太陽電池については、次のようになる。
・ それを生産する工場では、生産設備がゴミになる。
・ それを屋根に乗せている家でも、それがゴミになる。
かくて、現在の太陽電池は、みんなゴミになる。 (^^);
[ 付記 ]
以上は、私の個人的な予想である。未来への予想であるから、主観的な発想であり、客観的な事実ではない。当たるかどうかは、未来にならないとわからない。
また、語り口には、冗談半分の箇所もあるので、言葉尻をとらえて、怒ったりしないでほしい。おもしろければいいのだ。 (^^);
ただし、このような見通しを知っておくことは、とても大切だ。
一例として、「燃料電池」の話題がある。以前は「燃料電池車こそ次世代の自動車の主流だ」と言われて、自動車会社は燃料電池車の開発に熱中していた。しかし私は、「燃料電池車は駄目だ、むしろ電気自動車がいい」と言い続けてきた。
そういう独自の見解を言っていた私はトンデモ扱いだったが、それから2〜3年を経た今となっては、私の見解が主流になりつつある。つまり、「燃料電池車よりも電気自動車」だ。あくまでも燃料電池車にこだわっていた米国の自動車会社は、あわてふためいている始末だ。
また、ロボットも同様である。かつて「アシモだ、AIBO だ、次世代はロボット産業の時代だ」と世間が大騒ぎしていたときに、私は否定的な見解を示していた。「人工知能をもつ自立型のロボットなどはできない。あくまで人間が操作するものである必要がある。つまり、パワースーツないしサイボーグだ」と述べていた。この見解は、当時ではまったくの異端であったが、現在ではほぼ主流の見解になっている。ソニーに至っては、はしゃぎ過ぎてロボット事業を拡張したあとで、それを売り払ってしまった。( → トヨタへのロボット事業売却 )
このように、私の見解は、時流とは異なるが、数年後には私の見解が正しいと判明することが多い。
太陽電池も、たぶん、同様だろう。シャープを含めて、たいていのメーカーはシリコン系の太陽電池の生産ばかりに熱中しているが、結局は、それらの工場はゴミになるはずだ。ソニーが事業を売り払って撤退したように、シャープも同じことをするハメになりそうだ。(むしろ、倒産の可能性が高い。他社は事業を買ってくれそうにないので。)
( ※ なお、以上の私の見通しが実現するのは、近未来ではない。有機系の太陽電池が普及するとしたら、たぶん5年以上先のことだろう。それがいつになるかは、まったく見通しがつかない。)
【 追記 】
薄膜式の太陽電池については、すでに低コストのものが開発されている。
→ 該当記事
これによると、シリコンを使うかわりに、銅とインジウムなどを使うことで、発電コストは通常の半額以下になるそうだ。
( ※ ただし、「一カ月で元を取れます」という試算は、どう考えてもおかしい。コストが半分なら償却期間も半分のはずなのに、償却期間が数十分の1になる、という試算。嘘つきですかね?)
( ※ とはいえ、薄膜式の太陽電池については、他にもあれこれと研究開発が進んでいるから、かなり有望である。)
※ 太陽電池の償却について詳しくは、すぐ下のリンクを参照。 ↓
[ 余談 ]
シャープは嘘をついて、人々をだましている。( → 太陽光発電の嘘(シャープ) )
その嘘で、他人をだますだけでなく、自分もまた自分にだまされてしまったわけだ。他人を罠にかけようとして、自分が罠にかかってしまうわけだ。……哀れな詐欺師の末路。
そして、そういうハメになりたくなければ、嘘をつくのをやめればいい。「太陽光発電はものすごいバラ色の夢にあふれています」という大嘘をつくのをやめればいい。大きなホラを吹けば吹くほど、自分がその夢に酔って、自分で自分にだまされるハメになる。
嘘をつく宣伝サイト( → ここ )は、さっさと閉鎖するべし。それが自分を救う唯一の道だ。
※ 嘘の典型を示す。
「自動車の屋根にそれをはりつけて利用すればガソリンも不用で排気ガスの心配もない。」
しかし、自動車の屋根に降りかかる太陽光なんて、たとえ効率 100%で利用できても、1トンもある重たい自動車を動かすには足りない。ホラも休み休みにしてほしい。
2008年08月07日
過去ログ
タイムスタンプは下記 ↓
シリコンを使った太陽光電池は正直限界がみえています、なぜならシリコンは太陽光の40%を占める赤外線を吸収できません
日本国外では非シリコンの太陽光発電研究にシフトしています、特にアメリカ。非シリコン系なら夜間も発電できかつ超低コストです
日本の研究は現在主流のシリコン系が圧倒的に多く、このまま行ったら将来は暗いと思いますよ
設置費の半分以上は工事費です寿命が短いと工事費が、その都度かかって、長い目で見るとどうせすか?
住宅の屋根や壁に組み込み式のパネル型が主流になるでしょう。
私は化学専攻である。今後、太陽電池の分野で有機系が主流となる事は決してない。何故なら、有機系の材料は、太陽光で簡単に痛んでしまうからだ。
また、書き込みの中で、”赤外線の利用効率”が書かれていたが、あれもウソ。赤外線の利用効率が最も高いのがシリコンである。(波長1μmが最大感度)このおかげで、曇りの日でも発電量が多いのが特徴である。
現在、自宅で太陽光発電中(シリコン系)。既に4年が経つが、劣化どころか、3%程度上昇している。(サンヨーHITの特徴らしい)10年で元が取れる。20年持てば、100万円儲かり、30年持てば、200万円儲かる。
何年もつかな? 落雷が来ない事を祈る(笑)
ちなみに、世界で販売量を伸ばしている中国製だが、劣化が早い。どちらが得かな?
これについては本文で、
「有機系という構造から、寿命はあまり長くない。10年ももたないだろう。5年ぐらいかもしれない。」
「寿命が従来の3割だとしても、コストが1割以下なら、十分にペイする。」
と書いてあります。
実際、この方向で、どんどん技術開発が進んでいます。少なくとも、可能性はあります。
http://japanese.engadget.com/2015/12/03/low-loss-organic-photovoltaics/
一方、シリコンの方は、限界が見えている。
→ http://www.matsuo-lab.net/research/solar_cell.html
フラーレンは高額だが、カーボンナノチューブを安価に大量生産する技術が開発されたので、将来的にはカーボンナノチューブが普及するかもしれない。
どちらも、ダイヤモンドに類似した物質で、化学的にはかなり安定しているので、将来的には耐久性も高まるだろう。
勘違いしているようですが、それはシリコン太陽電池の優秀さを示しているのではなく、単に国からたっぷりと補助金をもらっていることを意味するだけです。乞食みたいなものです。恥じるべきではあっても、得意になることではない。自分がゴミみたいなシリコン太陽電池を使うせいで、他の人々の金を奪っていることを理解して下さい。