ヘリコプターの墜落事故についての判決がった。事故そのものは以前のものだが、その責任について、「電力会社に責任あり」という判決が下った。これを受けて、電力会社は反省をしているのかと思ったら、全然反省をしていない。反省なんかするものか、対策なんかするものか、という態度である。(後述の引用記事を参照。)
この問題については、すでに国が電力会社に対処を指示している。しかしながら、国の指導も不十分だし、電力会社も対処を渋りがちだ。記事を引用しよう。
国土交通省は、標識設置の指導を強化しているが、送電線ではなく鉄塔に標識が付けられるなど、問題も残る。──
(改正後の)規則では、送電線そのものではなく、両端の鉄塔に目印を付ければ良くなった。事故現場でも、鉄塔に標識灯が付けられ、送電線には標識がついていない。
中部電力は「送電線に標識を付けると鉄塔にかかる重みが増し、強度の面から難しい。現状でも安全は確保できている」としている。
( → 読売・夕刊・社会面 2008-07-31 )
最後のコメント部分(着色部)に着目しよう。「現状でも安全は確保できている」と強弁している。
しかし、それで事故が起こったのだ。いったい、何を言っていることやら。こんな強弁をする企業が社会的に存続できる、ということが信じられないね。つぶれてもいいぐらいだ。
──
さて。本項の意図は、中部電力を批判することではない。誰かを批判するのは、本サイトの意図ではない。本サイトの意図は、建設的な提案だ。
まず、着色部に着目しよう。次の文句があった。
「送電線に標識を付けると鉄塔にかかる重みが増し、強度の面から難しい。」
これは事実だ。
そして、そこから得られる結論は、こうだ。
「送電線に標識を付けるべきではない」
一方、中部電力は、次のように結論している。
「何もしないでいい。現状のままでいい」
これは論理の飛躍というものだ。
では、正しくは? こうだ。
「送電線に標識を付けるかわりに、別の対策をする」
では、別の対策とは?
──
ここまで来れば、あとの結論は容易だ。通常のハイテク技術(ローテク技術?)を使えばいい。軍事オタクの技術知識を使うまでもない。誰でも簡単にわかる。こうだ。
「電波標識を付ける」
つまり、鉄塔に電波発信機(電波標識)を付けておいて、警報電波を発する。ヘリコプターは、鉄塔に近づいたら、電波を検出して、「あ、近づいたぞ、危ないな」と理解する。通常、自動的に警報が鳴り、自動的に高度が上がるようにする。
なお、電波は、長い距離を伝わらないように、波長がかなり短い電波を使う。PHS の電波と同じぐらいの周波数になりそうだ。で、500メートルぐらいまで近づいたら、自動的に鉄塔と高圧線の存在を検知するわけだ。(目視できなくとも、とりあえずは高度を上昇させる。)
──
現状では、どこに高圧線があるか、さっぱりわからない。黒っぽい鉄塔が多くて、草木にまぎれて見つかりにくい、ということだ。「罠(トラップ)をかけられているようなものだ」という声も紹介されていた。( → 朝日・夕刊 2008-07-31 )
そこで、このような電波技術を使うことで、事故をなくすことが可能になる。……それにしても、このようなローテクの電波技術が、どうして実用化されないのだろう? 不思議。(皮肉ですけど。 (^^); )
[ 付記 ]
ついでだが、電波発信機を付ける位置は、鉄塔のてっぺんではなくて、かなり低い位置である。間違えないように注意。なぜなら、低い位置に付ければ、電波の届く範囲が限定されるからだ。逆に、鉄塔のてっぺんに付けると、電波が遠くまで届きすぎて、混信の恐れが生じる。
また、周辺の最低安全高度も表記されており
その高度を保つことにより地上建物をクリア
出来るようになっていますので、パイロットエラーです。ちなみにFAA法規上パイロットはそのフライトを安全にこなすため、飛行路やその近辺に関するすべての情報を事前に把握していることとされています。
ほとんどの事故はヒューマン・エラーが理由です。そこでヒューマン・エラーをなくすために事故防止の自動装置を付ける、というのが本項の趣旨。しかもコストは少額です。事故一回の損失額で、全国に対策ができるはずです。