2008年07月20日

◆ バイオ軽油

 バイオ技術を使って、藻類の微生物から軽油を取り出す、という技術が開発されている。
 微生物が繁殖して、体内に軽油を溜め込む。その軽油を、取り出して利用する。 ──

 まず、新聞報道を引用しよう。
 トヨタ自動車グループの部品メーカー、デンソーは、水中で光を浴びると軽油を生成する藻を大量に培養し、13年までに軽油の量産に乗り出す。
 大量培養されるのは、温泉などに生息する微細な緑藻「シュードコリシスチス」。光合成を通じて、水と二酸化炭素(CO2)を吸収し、バイオディーゼル燃料の元になる中性脂肪や軽油を細胞内に蓄積する特徴を持つ。
 重量の最大3割が軽油などになり、残りかすからバイオエタノール燃料も抽出できる。
( → 朝日新聞 2008-07-09 )
 概要はここに記してあるとおりだが、この記事には難点がある。一番肝心の「誰が」という情報が欠けているのだ。「いつ・どこで・誰が・何を・どうした」のうち、「誰が」の部分の情報が欠けている。
 この記事を読むと、「デンソーが」と読める。しかし、それは誤り。デンソー副主人公であり、主人公は慶大である。
 鶴岡市の慶応大先端生命科学研究所(冨田勝所長)は24日、デンソー(愛知県刈谷市、深谷紘一社長)とバイオ燃料の原料として期待される微細藻の共同研究を開始したと発表した。微細藻が細胞内に油を蓄積する仕組みを解析して生産効率を高め、実用化を目指す。
( → 山形新聞 2008年04月24日 )
 つまり、この技術は、デンソーの技術ではなく、慶大の技術だ。デンソーは、自力で開発したのではなく、慶大の技術を利用して、単に量産するだけだ。
( ※ 記事では「量産する」と述べているので、その意味では「間違い」ではない。しかし、「開発」が主題なのだし、その「開発」の主語は慶大である。ここでは、主語だけでなく、述語もおかしいわけだ。ニュースそのものが歪んでいる、と言える。デンソーは、主人公ではなくて、下請けみたいなものである。) 
( ※ ま、朝日のデタラメさを指摘すると、キリがないから、この話題はここでおしまい。あとは本題に戻る。)

 ──

 この慶大の技術(≠ デンソーの技術)は、非常に有望である。
太陽光発電や燃料電池のような(コスト面での)夢物語とは違って、実現性が非常に高い。しかも、第二世代バイオエタノールのように筋の悪い技術でなく、筋が非常にいい。本質的に優れているのだ。
 以下ではそのことを示す。

 ──

 (1) 太陽光発電との比較

 バイオ軽油は、太陽のエネルギーを利用するという点では、太陽光発電と同様だ。
 ただし、エネルギーの利用効率という点では、太陽光発電よりもずっと劣る。(太陽光発電ならば太陽エネルギーの20%ぐらいを電気エネルギーに転換できるが、バイオ技術でははるかに低い。)
 では、バイオ技術は太陽光発電よりも劣るか? いや、むしろ優れている。なぜなら、「コストが圧倒的に低い」からだ。
 太陽光発電では、太陽電池という馬鹿高いコストのものを必要とする。これのコスト低下が課題だが、1〜2割ならともかく、現在の4分の1以下の価格にすることは、およそ簡単ではない。これまでの技術進歩のペースからすると、あと何十年もかかる。ほとんど無意味。
 また、たとえコスト低下が実現しても、それでまかなえるのは「晴れの日の電力」だけだ。曇りや夜間には電力不足。ま、それでもないよりはマシだが、とにかく、コストの面では問題がありすぎて、実用化のメドは見通せない。
 一方、バイオ軽油ならば、この問題がない。特にコストは、低いコストで済む。どういうコストがあるかは、このあとで示す。

 (2) 他のバイオ技術との比較

 この方式(バイオ軽油)は、他のバイオ技術と比べると、とても優れている。
 通常の農産物を使うバイオエタノールなどの技術では、次の難点がある。

  ・ 広大な土地が必要。(他の農産物と競合する。)
  ・ 生産の手間が大変。(人手や肥料がかかりコストアップ。)
  ・ 生産効率が低い。(太陽光エネルギーの利用効率が低い。)
  ・ 天候によって凶作の危険がある。(大赤字のリスク。)


 一方、バイオの軽油では、これらの問題がない。

  ・ 培養タンクがあればいい。(広大な土地は不要。)
  ・ 生産の手間が簡単。(人手や肥料がほとんどいらない。)
  ・ 生産効率が低くない。(太陽光エネルギーの利用効率が低くない。)
  ・ 天候によって凶作の危険がない。(リスクがない。)


 もう少し説明しよう。
 「培養タンク」……小麦やトウモロコシを作るための広大な土地は不要。また、太陽光発電のような高価なパネルも不要。単にタンクがあればいい。タンクを作るぐらいはコストがかからない。(コンクリートのプールで十分。自然の池や沼を利用してもいい。)
 「生産の手間」……タンク培養ならば機械化されるので、人手はかからない。肥料は必要だが、安価に入手することが可能だ。(後述。)
 「生産効率」……太陽光発電よりは効率は低いが、農作物よりは効率が高い。生物は下等生物になるほど、エネルギーの利用効率が高い。最も下位の生物である植物プランクトンが、最も効率が高い。それを利用するのがバイオ軽油だ。
 「天候」……タンクならばもちろん天候の影響を受けない。

 ──

 では、バイオ軽油は、今すぐにも実用化できるか? 実は、そうではない。まだ問題がある。それはコスト面の問題だ。特に、次の二点が問題となる。
  ・ 肥料のコスト
  ・ 乾燥のコスト

 特に、後者(乾燥のコスト)が問題だ。微生物は、濡れていて、水気を含む。この水気を抜くには、乾燥させる必要があるが、そのためには熱エネルギーを必要とする。そこにコストをかけていたら、コスト的に割に合わない。さあ、困った! 

 しかしながら、ここで、うまい方法があるのだ。それは次のことだ。
 「バイオ軽油に、ゴミの処理工場を組み合わせる」

 ゴミの処理工場では、大量の排熱が生じる。だから、その排熱エネルギーを使って、微生物を乾燥させればいいのだ。しかも、この排熱は、低い温度の排熱で十分だ。だから、ゴミ発電をしたあとの余熱を使うだけでいい。
 また、ゴミの処理工場では、生ゴミを受け付けているが、その生ゴミを、肥料にすることもできる。
 さらにまた、バイオ軽油を作ったあとの残りかすや、生ゴミなどは、乾燥させてから、ゴミ発電で燃やすことができる。

 こうして、「バイオ軽油生産とゴミ処理の一体化」によって、きわめて無駄なく軽油を生産することができる。バイオ軽油それだけでは高コストになるかもしれないが、ゴミ処理と組み合わせることで大幅にコストダウンを招くことができる。しかも、自治体からは、「ゴミ処理代」という副次的な収入を受け取ることもできる。
 この意味で、「生物的にエネルギーを生産すること」と、「よその廃棄物を処理すること」との二点が同時になされるわけだから、非常に筋がいいのだ。「環境を汚さない」だけでなく、「環境を汚す他の物を処理する」ということをなすからだ。「悪をなさない」だけでなく、「善をなす」からだ。
 しかも、そのためのコストはかからない。太陽光発電のような金食い虫ではなく、逆に、事業をして、利益を生み、税金を国庫に納付してくれる。朝日新聞はやたらと「国の金を与えよ」ということを主張するが、それとは逆に、「国に金を与えてくれる」という方法なのだ。
 比喩的に言えば、太陽光発電は、(人の金を奪うから)口のうまい詐欺師だが、バイオ軽油は、(人に金を贈るから)誠実な慈善家である。やることは正反対だ。

( ※ ま、そんなことは、考えればすぐにわかるのだが、朝日みたいな詐欺師の手下がいるから、国民は金を奪われて、詐欺師に金を渡すことになる。……ま、朝日だけじゃなくて、環境保護団体というのはみな同類だが。)

 ──

 まとめ。

 バイオ軽油はとても筋がいい。非常に有望である。コストはかからず、安定的に軽油を生産できる。しかも、環境保護団体の嫌いな「炭酸ガス」をどんどん食ってくれる。(太陽光発電はそうではない。)
 無意味な太陽光発電の補助金に莫大な金を投じるぐらいなら、バイオ軽油の技術開発に大金を注ぐべきだ。金を浪費するための技術に金を投じるぐらいなら、金を節約する技術開発に大金を注ぐべきだ。
( ※ 「当り前だろ」と言われそうだが、当り前のことをわかっている人は非常に少ない。たいていの人はその逆を主張する。朝日みたいに。……なぜなら、善意はあるが、合理的な知恵がないから。)



 [ 付記 ]
 実を言うと、どうせバイオ燃料を作るなら、バイオ・エタノールよりも、バイオ軽油の方がいい。
 バイオ・エタノールはガソリンの代替だが、バイオ軽油はディーゼル用軽油の代替だ。後者の方がいい。なぜなら、後者の方が環境改善効果は高いからだ。というのは、今のディーゼル車は排ガスが汚いからだ。この問題を、バイオ軽油で軽減できる。詳しくは、下記。

   → バイオ燃料の問題
   → バイオエタノール
    「もともときれいなものを、さらにきれいにしても、効果はあまりない。もともと汚いものをきれいにしてこそ、意義があるのだ。」
posted by 管理人 at 18:58 | Comment(0) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
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