2008年07月01日

◆ 3人乗り自転車 1

 3人乗り自転車が解禁されそうだという。大人1名と幼児2名が乗れるような、子育てママ向けの自転車。(自動車ではなくて 自転車です!)

 ( ※ 本項には続編があります。 → 3人乗り自転車 23人乗り自転車 3 ──

 まず、3人乗り自転車が解禁されそうだというニュースがある。(各社報道。)
 これに対して、日本の自転車メーカーは、どうしたらいいか戸惑っているようだ。
   → J-CAST

 そこで、私がどうあるべきかを、具体的に示そう。
 ( ※ 自転車マニア向けの話です。マニアっぽいので、普通の人向けの話ではないかも。)

 ──

 まず、現状では、次のものがある。

 (1) 普通タイプ

 既存の自転車で、前輪上のカゴと、後輪上の荷台に、子供を乗せるだけ。

 (2) 小型車輪

 同様にするが、車輪を小さくすることで、安定性を高める。

 (3) ロングホイールベース

 ホイールベースを長くして、前輪と座席とのあいだに、大型のカゴを低い位置に置く。前輪の車輪もごく小さくする。写真を見るとわかりやすい。
   → イギリスの例原典(英文)

 (4) 三輪車・四輪車

 車輪数を増やすことで安定性を増し、かつ、車輪を小形化する。ただし、カーブで曲がるのが難しくなるので、複雑な構造が必要となる。
 これはもう、自転車ではないですね。人力自動車と呼ぶべきもの。
  → 紹介サイト

 ──

 評価しよう。
 (1) (2) は、ほとんど現状のまま。ろくに意味がない。

 (4) は面白いが、複雑すぎる。車輪も多いし、構造も複雑だ。価格が非常に高くなりそうだ。50万円ぐらいになるかも。となると、実用化しても、普及することはないだろう。そんな高額の自転車なんて、誰も買うはずがない。

 (3) は、最も実現性が高い。とりあえずは、これが基本となる。とはいえ、これは十分ではない。

 ──
 
 私の考えを言おう。
 まず、私の考えは、上記の (1)〜(4)を見る以前に、独立的に構想された。
 最初に参考としたのは、ゴーカートみたいに低い姿勢で漕ぐタイプの自転車だ。後輪の上でなく後輪の前に座席があり、二つの車輪のあいだに身を沈み込ませるタイプ。これだと、重心の位置を低くすることができるので、安定性が高まる。

 実は、「重心の位置を低くする」ということが、3人乗り自転車では決定的に重要だ。さもないと、倒れやすくて、危険だからだ。安全性が最優先される。

 そして、この「重心の位置を低くする」ということを基本に据えて、次のタイプを構想した。
  ・ 幼児二人は、前輪と後輪の間に置く。そのことで重心位置を下げる。
   (上の (3) と同様。すでに実現しているのを見てびっくり。)
  ・ 大人もまた、前輪と後輪の間に来るようにして、重心位置を下げる。
   (ただし、ちょっと下げるだけでいい。)
  ・ 重心位置を下げると、足が地面にくっついてしまう。だから、
   ペダルは座席よりも少し前方に置くようにする。
  ・ ペダルを押す反力を受け止めるために、座席には少し背面が必要。
   (普通のサドルのように水平の座面だけでは駄目。)


 このタイプでは、次のメリットも生じる。
 「足を下げたとき、自然に地面に足が着く。だから、自転車が倒れそうになったときに、自転車が倒れるのを防ぐことが可能」


 こうして、安全性が非常に高まる。
 ひるがえって、前出の (1)〜(4)は、いずれも危険である。(1)は倒れやすい。(2)〜(4)は、「やや倒れにくい」ということは言えても、実際に倒れかかったとき、阻止することができない。しかるに、私の提案では、自分の足によって、倒れるのを阻止することができる。
 そして、その理由は、大人の腰掛けている座面が低い、ということだ。このことが最大のポイントになるだろう。
 したがって、規格としては、次のことが必要とされる。
 「サドルに比べてペダルの位置が、かなり大幅に前方にあること」
 通常の自転車では、ペダルは 20センチぐらい前方にあるが、60センチぐらい前方にあることを要求するべきだ。そのことで結果的に、サドルの位置が30センチぐらい低下する。こうして「倒れない自転車」というものができる。

 子供の重心位置を低くすることは、「倒れにくい」ということのために必要だ。一方、大人の重心位置を低くすることは、「実際に倒れかかったときに倒れるのを阻止する(自分の足で)」ということのために必要だ。
 このような形で安全規格を定めることが必要だろう。



 [ 付記1 ]
 もう一つ、別のタイプもある。
   → 補助輪つきミニサイクル写真
 これは、次のようなもの。
  ・ 基本はミニサイクル。(本体はやや低い重心)
  ・ 後部の荷台の上にカゴがある。(子供はやや低い重心)
  ・ 前部のハンドルの上にもカゴがある。(子供は高い重心)

 
 これは、二つの難点がある。
 後部の荷台の上に子供を乗せるのならば、普通のミニサイクルとほとんど変わらない。どうせなら普通の三輪車タイプにして、後ろの二輪のあいだに子供を置く方がずっとマシだ。
 また、前部の「ハンドルの上のカゴ」は、ここに子供を乗せるとしたら、危険であろう。どうしても、倒れやすい。

 なお、補助輪があるということだが、この機種では可動式だということだから、転倒防止効果は弱まっている。
 ただ、既存のミニサイクルをそのまま転用できるから、コストはきわめて安い。普通のミニサイクルに比べて、補助輪の費用が追加されるぐらいだ。
 とはいえ、効果もまた少ない。通常のミニサイクルと比べて、どれほどのメリットがあるのか? 低重心化という見地から見ると、子供の重心位置が変わらず、メリットはほとんどないだろう。単に補助輪の分、ちょっと倒れにくいだけだ。だったら足をつけるように、ミニサイクルでサドルの位置を下げても同様になる。……というわけで、ほとんど効果はないと思う。気休め程度か。

 [ 付記2 ]
 上の補助輪つきのタイプは、四輪車だが、三輪車タイプというのは「あり」かもしれない。
 つまり、通常の「三輪自転車」の荷台部分に子供を二人乗せる。
   通常タイプ車体つきアシスト・タイプ車体つき電動タイプ

 [ 付記3 ]
 このような三輪車タイプでは、低重心化のために、次のことが必要だろう。
 (1)「後ろのカゴでは、子供の足を低くぶら下げる」
 つまり、子供を後ろ向きに乗せて、子供の足をブラブラとするように低くする。このことで、足の分だけ、重心を低くする。
 (3) 「前のカゴでは、前輪の左右に垂れ下がる形( 凹 の上下を反転させた形。 冂 みたいな形)にする」
 幼児は、この垂れ下がった部分に、両足を入れる。このことで、からだ全体の位置を下げ、重心を低くする。

 [ 付記4 ]
 とにかく、重心を低くすることが大切だ。逆に、重心の位置の高い3人乗りは、危険きわまりない。たとえば、こんな例は、見るからに危なっかしい。
   → 普通の3人乗りの写真
 この例に、前から自転車がぶつかって正面衝突したら、3人乗りの方は停止したとたんに転倒するので、子供二人は大ケガをするだろう。(3人乗りでなければ、大人がちょっと軽い怪我をするだけで済みそうだが。)
 だから3人乗りでは、重心の位置を下げることを、徹底的に追究するべきだろう。子供の命を守るために。

 [ 付記5 ]
 実は、子供が被害に遭うだけでなく、歩行者が被害に遭うこともあるようだ。以下、引用。
 小生は昨年9月に通勤途上、信号待ちで横断歩道の処で立っていたら、横あいから母子3人乗りの自転車に轢かれて肋骨をやられたました。目撃した近所の人話では、その3人乗りは歩道を走ってきてそのまま、横断歩道へ斜めに突っ込まれたようです。
( → 該当ブログのコメント欄
 [ 付記6 ]
 コストはどうか? どれにしても、コストはかなり高くなりそうだ。
 とはいえ、途上国で手作りふうにすれば、かなりコストを下げられるだろう。先進国での生産は、最初から諦めた方がいいだろう。少量生産品であるからだ。月産数百台で、手作りする感じにした方がいい。技術開発は日本でいいが、製造は途上国でやるべき。日本でやっても、ペイしないし、価格も馬鹿高値になる。
 途上国製ならば、10万円以下にすることは十分に可能だろう。


 ────────────

 
 [ 余談 ]

 実を言うと、自転車というのは、最もエコである。何しろ、ガソリンも電気も食わない人力車なんだから。  (^^)
 「いや、食料を食うぞ、食費がかかる!」
 という意見もあるかもしれない。それはそうだ。
 だが実は、現代人は飽食だから、かえって「ダイエットになる」「メタボ予防になる」というのが正しい。 \(^^)/



 【 参考サイト 】


  ・ 読売・社説

  ・ 法的問題
   (現行法でもリヤカーふうに三人乗りは可能だが、そうすると歩道を走るのが違法になってしまう。)



  【 後日記 】 ( 2008-07-09 )
 
 自転車メーカー各社(など)から、十件以上の提案が寄せられた。補助金がもらえるということだ。次の主宰者サイトで、提案が公開されている。
  → 自転車産業振興協会

  ※ ここにある PDF ファイル(右上の方)が該当。1.6MB。



 【 関連項目 】
  → 3人乗り自転車 2

   …… 2009年08月29日 に執筆した項目。
 
  → 3人乗り自転車 3


   …… 2011年03月09日 に執筆した項目。
posted by 管理人 at 18:36 | Comment(5) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 後日記 を加筆しました。情報あり。
Posted by 管理人 at 2008年07月09日 17:01
補足ふうの説明。

 「後ろに凭れるようにして乗車する自転車」
 は、「リカンベント」というそうだ。
 同タイプで3輪あるものは、「リカンベントトライク」というそうだ。

 それぞれ、その後で検索すると、いろいろと情報を得られる。なお、値段は相当高い。5〜20万円程度。
Posted by 管理人 at 2008年08月19日 22:51
職場の近くに住んでいる外国人の方・・。
自転車の後ろに連結(車軸に)するタイプ(小さいリヤカーのような)のものにお子さんを乗せています。たぶんヨーロッパかアメリカの製品でしょうが、とても安全そうな製品です。雨でも濡れないように出来ています。
会社の友人は欲しがっていますが、日本では販売されていないようです。
日本では道交法で販売出来ない製品かもしれません。
日本の技術なら出来ないとは思えませんが・・。

何度か危うい場面を目撃しましたが、走っている時より、停止、停止前後が危ないですね。

是非、安全な自転車を開発して欲しいものです。
Posted by maz at 2008年08月25日 20:22
うちも家内が3人のりをしておりまして、危ないから車の運転の練習をしろといっているのですが、なかなか。。

ただ、私の心配は転倒よりもむしろ車道で車にはねられることの心配が大きいです。

田舎では、歩道のない車道がたくさんあり、また、田舎ほど車社会なので、自転車が安心して通れるような歩道が整備された道が少ないです。(歩道は自転車は本当は通っちゃいけないそうですが)

ですから、安全な自転車もさることながら、自転車道の整備を進めてもらいたいものです。

なお、安全な3人乗りといういみでは、個人的には現行の3輪タイプの自転車の後ろかごに子供を二人乗せられて、電動アシストがついているモノが私はほしいです。

リカンベントは、実は、私、通勤に使っています。
実に気持ちのいい乗り物ですが、難点があります。

@重心の低さゆえに車から視認されにくい。
A上り坂が苦手。(いわゆるダンシングができない)
B発進時若干ふらつきやすい。

一人乗りでも坂道は相当厳しいので、3人乗りはちょっと厳しいです。

でも、自転車社会を推進するという方向性は大いに賛成です。

自転車レーンの整備、やっぱり金がかかるからむずかしいですかね。。
Posted by マッシュ at 2008年08月29日 13:02
上り坂では、リカンベントであってもなくても、自転車から降りて、歩いて(押して)坂を上るのがよさそうです。特に子供を乗せているときは。
Posted by 管理人 at 2008年08月29日 14:26
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