では、オタクと異常殺人事件とは、どんな関係にあるのか? ──
まず、犯人はロリコンのアニメオタクだった。
→ zakzak
また、似た事件は他にもあった。オタクが今年3月、8人殺傷事件を起こした。こちらは本格的なオタクで、ゲーム大会で準優勝した経験もあるそうだ。
( → 読売新聞・朝刊・1面・コラム 2008-06-11 )
( → Google 検索 )
以上は事実だが、こういう事実を私が指摘すると、さっそく反論がくる。
「オタクだから殺人をするというのか? それは論理が短絡しすぎている。すべてのオタクが殺人をするわけじゃない。殺人をしないオタクの方がずっと多い」
いかにもオタクらしい反発である。私は別にそんなことは言ってはいないのだが、そう言ったと思って、被害妄想にとらわれて、反発する。
そこで、もうちょっと厳密に考えてみよう。
──
まず、「オタクだから殺人事件をする」ということは、ない。私はそんなことは言っていない。また、そんなことがあるはずもない。
これはどういうことかというと、次のことだ。
「オタクと異常殺人との間には、因果関係はない」
しかし、である。因果関係はないとしても、まったく無関係と言えるのか? 今のところその関係は示されていないから、厳密には何とも言えない。しかし、人々が漠然と感じているところでは、「何らかの関係がありそうだ」となる。
とはいえ、それは、漠然と感じられているだけであって、はっきりと示されたわけではない。
──
そこで、私の出番だ。
「人々が漠然と考えているだけで、真実がつかめていない」
というときに、とりあえず原理を推定してみる。仮説として。
その方針のもとで、次のように推定したい。
「今回のような事件では、オタクと異常殺人とのあいだに、因果関係はないが、何らかの関係がある。そして、その関係は、フィードバック的な増幅回路である」
わかりやすく図式で言おう。
「因果関係」とは、次のことだ。
オタク → 異常性
ここには一方的な関係がある。
さて。逆関係として、次の関係も想定できる。
オタク ← 異常性
ここでは矢印が逆方向になっている。
さて。「フィードバック的な増幅回路」とは、次のことを言う。
→
オタク 異常性
←
ここでは、先の二つの方向が、どちらも成立している。すると、どうなるか? 次の循環が生じる。
オタク → 異常性 → オタク → 異常性 → ……
こうして、次々と無限に進む。そして、その過程で、オタクの度合いと異常性の度合いが、ともに高まっていく。
( ※ 一番最初が何かは、考えなくていい。それは「ニワトリが先か、卵が先か」というような論争で、あまり意味がない。大事なのは、このような循環的な過程がある、ということだけだ。)
これが「フィードバック的な増幅回路」だ。ここには、循環的な過程がある。
そしてこれは、ただの「因果関係」とはまったく異なる。
──
フィードバック的な増幅回路は、ただの循環的な過程ではない。そこには、スパイラル的に増大していく過程がある。そして、そのことゆえ、物事がどんどん加速度的に進行していく。
そして、この進行を止めるには、過程の一箇所を止めればいい。今回の事例で言えば、「異常」を止めるには、「異常」そのものを止めるというより、「オタク」を止めればいい。そうすれば、「異常」がなくなるわけではないが、「異常」が増幅されることはなくなる。
(つまり、因果関係を断ち切るのではなく、増幅過程を断ち切る。)
──
以上のように考えると、物事をすっきり理解できるだろう。
オタクであることは、殺人の原因であるわけではない。たいていの人は、オタクであっても、殺人をしない。
ただし、もともと異常性格の度合いのある人は、オタク化することで、その異常性格が増幅してしまう。そのあげく、異常殺人をすることもある。おのれの異常性が暴走してしまうのだ。怪物のように。
また、このことは、多かれ少なかれ、多くのオタクに当てはまる。もともと健全な人ならば、少しぐらいアニメを見ても、問題はない。特に、子供なら、ポケモンを見たぐらいでは、何も問題はないだろう。
しかし、中学生以降になって、やたらとエロアニメにこだわるようになると、問題だ。特に、フィギュアなどにはまって、アニメの対象を擬人的に愛好するようになると、問題だ。それは「現実と想像との境界が稀薄化してきている」ということになるからだ。
普通の人なら、ガンダムを見たって、「ああ、おもしろかった」というぐらいで済む。見終えたあとは、現実世界に戻って、ガールフレンドと遊ぶ。しかし、オタク化すると、そうではない。現実のガールフレンドと遊ぶかわりに、フィギュアのレイちゃんと遊ぶようになる。
そして、そのこと自体が問題なのではない。こうしてフィギュアのレイちゃんと遊ぶようになることで、現実の人間をガールフレンドにしたいという気持ちが失せていく。「引きこもり」というような現象が現実に発生する。……そのあげく、「2次元アニメの方が現実の女の子よりもかわいい」というふうに、同レベルで比較してしまうようになる。
現実と虚構との混淆。狂人化の一歩手前である。そして、それは、アニメそのものが原因だからではない。「フィードバック的な増幅回路」という蟻地獄のようなものに嵌まってしまって、抜け出せなくなるからだ。
──
そして、だからこそ、彼らを救うためには、蟻地獄から抜け出せるように、ロープを投げてあげる必要がある。彼自身では自発的にはできないから、誰かが外からロープを投げてあげる必要がある。彼の人生を救うために。……そして、それが、私のやっていることだ。
とはいえ、現実のオタクは、それを拒否することも多い。
「おれはこの蟻地獄に嵌まっていると幸福なんだ。外に抜け出したいとは思わない。外に抜け出させようとしないでくれ。余計なおせっかいはしないでくれ。おれは今のままで幸せなんだ。おれを批判するあんたは、おれの敵だ。オタクを批判するあんたは、とんでもない悪党だ!」
と。……ま、そういうものなんですよね。
( ※ 精神科の医師ならば、よくご存じでしょうけど。 (^^); )
[ 付記 ]
繰り返すが、本項はオタクを批判しているわけじゃない。「オタクは殺人をする悪党だ」と非難しているわけじゃない。むしろ、オタクを救ってあげたいだけだ。
被害妄想にとらわれた反論をしないで下さいね。
( ※ 麻薬常習者がひどい目に遭っているときには、麻薬の売人を非難することはあっても、麻薬常習者を非難することはない。「可哀想だな」と思って、「それは有害だからやめましょう」と語って、救ってあげたくなるだけだ。……とはいえ、麻薬常習者は、「おまえはおれを非難する。おまえはおれを殺そうとしている」という妄想をいだいて、治療者に向かって攻撃してしまいがちだ。)
( ※ なお、私に対して、「オタクに対して偏見をいだいている」と見なすのは、勘違い。だいたい、私がどう思うと、オタクの知ったこっちゃないでしょう? 「オタクに対して偏見をいだいている」のは、私じゃなくて、世間の女性なんですよ。女性たちはオタクを見て、「キモイ」と感じるんです。オタクだって腐女子を見て、「キモイ」と感じることがありそうだし。……そういうものなんです。誰かに文句を言うより、現実を理解してください。)(まあ、オタクに「現実を知れ」と言うこと自体が、無理な要求だとは思うんですけどね。)
( ※ 現実の女性に相手にされないから、オタクになる。オタクになるから、ますます現実の女性に相手にされなくなる。……ここにも悪循環がある。だからこそ、悪循環から抜け出すことが必要なんだが。)
【 対策 】
原理を示すだけでなく、対策も示そう。
いったいどうすれば、この蟻地獄のような悪循環から脱せるのか?
「オタクをやめよ」と言っても、そう簡単にやめることはできないだろう。となると、方法は、ただ一つ。循環しても拡大しないように、増幅の度合いを弱めることだ。
といっても、放置すれば、どんどん増幅する。だから、何らかの「緩衝材」が必要となる。(音を弱めるフィルターのようなもの。それがあれば、こだまが弱まる。)
では、具体的には? それは「結婚」だ。 (^^);
「現実の女よりも、二次元の女の方がかわいい」
なんて言っていないで、かわいくなくても、とにかく結婚してしまえばいい。そうすれば、「かわいいかどうか」なんてことはどうでもいい、と気づくはずだ。
まずは、エッチできることの方がずっと大切だ、とわかる。 (^^);
さらに言えば、顔も体もどっちも二の次だ、とわかる。一番大切なのは、自分のそばに妻という大切な女性がいることだ。子供が生まれれば、さらにわかる。「家族こそ何よりも大切なものだ」と。そのことが実感されるはずだ。
そして、このとき、オタク趣味があっても、ちっとも構わない。なぜなら、オタク趣味で、レイちゃんのモデルを楽しんだとしても、それはもはやただの「お人形ごっこ」にすぎない、と感じられるからだ。人形を見て、「かわいいな」と思うとしても、それは、幼い女の子が人形ごっこをして、「リカちゃんかわいいな」と思うのと同様である。あくまで人形として楽しむだけだ。「現実の妻よりこっちの方がいいな」なんて思うことは絶対にありえない。「現実の娘よりもこの子の方をかわいがりたい」なんて思うことも絶対にありえない。(例外的に思う人もいるが、それは完全な狂人である。)
ここではもはや、モデルのレイちゃんは、妻や娘と並ぶべき存在ではなくなる。あくまで人形にすぎないのだ。そして、そうであれば、もはやオタクであることはちっとも問題ではない。
そして、このようになれば、もはやオタク殺人は起こらないのだ。── ここが肝心だ。
結婚してしまえば、いくらオタクになっても、異常の度合いは増幅しない。なぜなら、虚構世界にひたろうとすれば、妻がその足を引っ張って、オタクを現実世界に引き戻すからだ。
「ああ、レイちゃんかわいいなあ、抱きしめたいなあ」
なんて思っている横へ、妻が口を挟む。
「ねえ、ちょっと。今晩のおかず何がいい?」
とたんにオタクは目が覚める。虚構世界から現実世界に引き戻される。……こうなれば、もはや、「おれは疎外されているから秋葉原で大量殺人してやろう」なんていう妄想にふけることもできなくなる。妄想が消えるので、妄想殺人もなくなる。
女房というものは、常に現実的なんです。オタクにとってこれほど強力な治療薬はない。それが結論。
単純に言えば、愛は強力なんです。


[ 補足 ]
「どうやって結婚すればいいんだ!」という声も上がるだろう。
だが、そこはよくしたもので、オタク男性のためには、オタク女性がいる。(腐女子も?)
だから、オタク同士で結婚すればいいんですよ。オタクの程度が同じぐらいで結婚すれば、きっとうまく行きます。同病相憐れむ、というようなもので。 (^^);
[ 参考 : → オタクと結婚 ]
( ※ 蛇足。以上を読んだオタクが、「なるほど、これで結婚できるぞ。教えてくれてありがとう」と思うのであれば、その人はまだ異常ではない。一方、「頼んでもいないのに結婚の仕方なんか教えるな。おれは2次元の女性から離れたくないんだ。なのに、引き離そうとするあんたは、悪魔だ。オタク批判はもうやめてくれ」と思うようであれば、……手遅れです。私としても、もう何も言いません。このまま2次元世界で生きてください。)
【 関連項目 】
(1)
本項と似た趣旨では、次の項目もある。
→ オタクの定義と本質
( 「悪循環」について言及している。)
本ブログのオタク関係の項目は、下記を参照。
→ 《 オタク項目一覧 》
(2)
「結婚すればいい」と上に書いた。だが、結婚することができるには、どうすればいいか?
個人の努力も大切だが、何よりも政府の経済政策が重要だ。(これは政治・経済の問題だが。)
→ nando ブログ 「オタク殺人の防止法」
(3)
今回の殺人事件を、オタクという視点でなく、単にワーキングプアの問題として見たいのであれば、次の項目も参照。
→ ワーキングプアの問題
そこで最近、「やけっぱち」という方法が提案されることもある。「自暴自棄」とも言える。それは、主としてフリーターから提案されるもので、「どうせ苦しむなら、全員が苦しんだ方がいい。自分たちだけ苦しむのは嫌だ」というものだ。つまり、「死ぬなら他人を道連れにして死にたい」というものだ。この引用文からもわかるように、今回の殺人事件と、かなり似たところがある。
( ※ とはいえ、今回の事件を単に「ワーキングプアのせい」と見なすのは、行き過ぎだろう。ワーキングプアの人々がみんな殺人事件を起こすわけじゃないからだ。)
タイムスタンプは下記 ↓
>何故昔の日が暮れるまで外で遊んでいた子供たち。人出が足りず職に溢れる人が居なかった時代の方が遥かに多くの犯罪者、異常・猟奇殺人犯、強姦犯などが多かったのでしょうか?
オタクの存在は間違いなく犯罪を減らしています。
なお、殺人が増えていると誤解される原因は「殺人の増加」ではなく「殺人報道の増加」です。
殺人発生数は昭和30年代の2/5まで減少してますが、
殺人報道は10倍以上になってるわけです。
昔は殺人でも特殊な事件しか報道されてませんでしたが現代では
全ての殺人事件が報道対象になっているわけです。
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20080201/p1
http://news.livedoor.com/article/detail/3635940/
2007年は殺人認知件数最低を記録しました。
http://blog.livedoor.jp/kangaeru2001/archives/51518805.html
このブログを読んでおいてください。
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/515564/
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/516278/
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/519211/
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/636922/
昔の方がよほど、わけわかんない殺人が多かったです。
昭和30年(1955).3.6〔17歳女子が弟を毒殺〕
昭和30年(1955).3.17〔17歳通り魔が9人の女性を襲う〕
昭和30年(1955).3.20〔21歳が少年殺害
昭和30年(1955).5.6〔17歳ニートが幼女を誘拐レイプ殺人 三枝子ちゃん殺し〕
昭和30年(1955).5.14〔高1が幼女をいたずら殺人 芳子ちゃん殺し〕
昭和31年(1956).1.23〔17歳のアルサロ新世紀強盗2人殺人事件〕
昭和31年(1956).3.9〔19歳女子が結婚に邪魔な家族4人を皆殺し〕
昭和31年(1956).8.14〔高2が継母など2人殺人未遂〕
昭和31年(1956).11.12〔17歳が幼女をレイプ殺害〕
昭和31年(1956).12.26〔中3が電車で女性ばかり7人の腿切り〕
昭和32年(1957).1.13〔19歳女が美空ひばりに塩酸かける〕
昭和32年(1957).3.4〔18歳ニートが一家7人皆殺し〕
昭和32年(1957).4.2〔26歳が同性愛から中1を殺害してばらばら〕
昭和32年(1957).5.22〔5歳と6歳が殺人〕
昭和32年(1957).11.21〔中1が勇気を得るため幼女を殺害〕
昭和33年(1958).1.26〔16才少年の理由なき殺人事犯〕
昭和33年(1958).2.18〔18歳がレイプ殺人してさらに強盗殺人〕
昭和33年(1958).2.27〔中3が女子生徒をリンチ〕
昭和33年(1958).3.18〔高3が小学校時代の教師を刺殺〕
昭和33年(1958).3.24〔22歳少年愛好者が小6絞殺〕
昭和33年(1958).5.12〔中2がカッとして幼児殺人〕
昭和33年(1958).5.21〔18歳が甥を誘拐殺人〕
昭和33年(1958).5.22〔少年の幼女強姦事犯〕
昭和33年(1958).6.〔ギャング映画に刺戟された17才少年の殺人事犯〕
昭和33年(1958).7.3〔19歳が通り魔殺人〕
昭和33年(1958).10.2〔17歳が片想いの幼なじみを駅で惨殺〕
昭和34年(1959).1.27〔荒川通り魔・女性21人殺傷〕