2008年05月18日

◆ 新常用漢字と2点しんにょう

 新常用漢字で2点しんにょう(しんにゅう)の扱いが問題になっている。2点しんにょうにするか、1点しんにょうにするか、という問題。 ──
      ( ※ この項目の実際の掲載日は 2009-01-08 です。)


 文字を示すと、次の5字だ。
     遡 遜 謎 餅 餌

 これらを、2点しんにょうにするか、1点しんにょうにするか、という問題だ。
 次の対立。
 「常用漢字内の字体は統一するべきだ」
 「統一なんて無意味。それより、情報機器の字体がまた変更されて大混乱」

 記事には、後者の見解として、次の指摘もあった。
 「実際には、常用漢字だけ使われているわけではなく、常用漢字外の文字も日常的に併用されている。常用漢字内だけで統一しても無意味だ。常用漢字外の文字を人々から隔離するなら別だが、そんなことはありえない」

 ──

 私は? もちろん、後者の立場だ。つまり、前者を否定する。この件は、前にも述べた通り。こうだ。
 「もともと常用漢字内で統一されていない」(たとえば 仏 と 沸 )

 ──

 さて。上記は、ただの「是非の判断」だが、それとは別に、私なりに提案しておこう。こうだ。
 「上記の5字を、新常用漢字からはずす。そのことで、字体の不統一という問題を避ける」


 この5字は、旧字体(正字体)である上に、もともと使用頻度はあまり高くない。こんな文字は使えなくても差し支えない。小学校の教科書が書けなくなる(交ぜ書きになる)わけではないのだから。
  ・ 遡 …… 訓読みで「さかのぼる」。熟語で「遡行」
  ・ 遜 …… 訓読みで「へりくだる」。熟語で「謙遜」
  ・ 謎 …… 訓読みで「なぞ」
  ・ 餅 …… 訓読みで「もち」。熟語で「画餅」
  ・ 餌 …… 訓読みで「え、えさ」

 このうち、「遡、遜」は、少学・中学レベルでは使えなくても問題ない。
 「謎、餅、餌」は、使えた方がいいが、「餅、餌」は、頻度は高くない。「謎」だけは日常的によく使うが、それだけだろう。
 だから、「遡、遜、餅、餌」の4字は、新常用漢字からはずしてしまって差し支えない。
 「謎」だけは、あった方がいいが、これについては、次のようにするといいだろう。
 「2点しんにょうを原則とするが、1点しんにょうも許容する。(簡易慣用字体)」
 つまり、「1点しんにょうでも国語の漢字書き取りで×にしない」ということだ。これでOK。しかも例外は、この1字だけ。

 ──

 新常用漢字には、もっと必要度の高い文字を入れるべきだ。次の文字。
   嘘 噂 濡 嬉 覗 溜 噛 馴 
   賭 掻 惚 吊 靴 糊    哺

 この件は、先に述べた。
   → 新常用漢字4 (9月修正案)

 こっちの文字を入れてほしいですね。
 特に、「嘘」「噛」「掻」は、印刷標準字体と情報機器の字体が異なる。これは不便だ。そこで、「印刷標準字体の方を、情報機器に合わせる」ということを、この際、あえて行なうといいだろう。そうすれば、不統一がなくなる。

( ※ 「印刷標準字体の方を、情報機器に合わせる」ということは、原則として、なすべきではないのだが、例外的に、少数の文字については、そのことをなさざるを得なかった。というのは、もともと情報機器内部に正字があったので、もし「字体の変更」を行なうと、同じ文字が二つのコードポイントに共存してしまい、大変な混乱が起こるからだ。この件は、情報機器の技術的な制約による。……そういうことが、例外的に、少数の文字で起こった。「嘘」「噛」「掻」は、その少数の例外にあたる。……だから、この際あえて、統一してしまえばいいのだ。そうすれば、混乱がなくなる。)

( ※ ところで、「頬」の字体はどうなるんでしょうね? こっちはちっとも話題にならないが。「しんにょう」ばかりを気にする連中の気が知れない。……私の見解は、すぐ上に述べたとおりだが。)

 ──

 結論。

 今回の新常用漢字は、てんでなっていない。
 特に、文字の採取基準が、全然ダメだ。このような「新常用漢字表」は、やめた方がいい。廃止するのがベスト。新たに一から考え直す方がいい。理由は、下記にもある。
   → 新常用漢字の基準は中国語か

( ※ なお、「鬱」のような文字を入れて、高校生にも「書けるようにしろ」というのは、乱暴すぎる。簡易慣用字の「欝」にするか、常用漢字からはずすか、どちらかにするべきだろう。私としては、はずした方がいい、と思う。どうせパソコンこでは、字画が多すぎて、まともに表示できないし。使いたい人が使えばいいだけで、普通は「うつ」「ウツ」とひらがな・カタカナで書くだけでいい。)
 


 [ 付記 ]
 「哺乳類」の「哺」もそうだが、小学校の教科書に掲載される単語のための漢字ぐらいは、常用漢字に入れてほしいものだ。
 その点、「遡 遜 鬱」なんて、全然、必要性は高くない。
 審議会の委員は、中国語ばかりを重視しないで、日本語のことも考えてほしいものだ。

 [ 余談 ]
 道を歩いていたら、いきなりデカい文字が飛び込んできた。


     マソ毛


 とデカデカと看板に記してある。すぐに人影に隠れた。
 びっくりした。ともあれ、人影が去ったあとで、もう一度よく見たら、ゴシック体で、
     マツ毛
     パーマ
 であった。なあんだ。そうだったのか。  (^^);
 こういうふうに人を脅かすのはよくないですね。そのために、「睫毛」の「睫」という字は、是非、常用漢字にほしいですね。小学生だって使う単語だし。あって当然。「眉」や「頬」があるなら、「睫毛」もあって当然。
 

( ※ しかし、このお店、わざとやっているな。人目を引くために。 がく〜(落胆した顔)
    「ツ」 の点がひとつ落ちたのに、わざと直さない店もあるそうだ。)
posted by 管理人 at 17:55| Comment(0) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
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