2008年05月14日

◆ 新常用漢字4 (9月修正案)

 新常用漢字の9月修正案(2008-09-23)が出た。これについて解説する。 ──
     ( ※ 本項の実際の掲載日は 2008-09-26 です。)

 新常用漢字については、前項までにいろいろと示した。今回は新たに、5字の修正があった。4字の追加と1字の削除。
 報道は、次の通り。
 文化審議会国語分科会の漢字小委員会は22日、常用漢字表に新たに入れる可能性が高い字種候補に、「刹」「椎」「賭」「遡」の4字を加えることを承認した。また、7月に追加候補とした漢字188字のうち、「蒙」は削除する方向になった。
 この日は191字の字種候補の音訓を決める作業に入った。常用漢字表の音訓の一部改定も議題となり、表外訓とされている「育(はぐく)む」「応(こた)える」「関(かか)わる」などを追加する方向で議論が進められた。
 → http://www.asahi.com/culture/update/0922/TKY200809220251.html

 文化庁文化部国語課の担当者の話によれば、今回新たに加わった「刹」は「刹那(せつな)」など熟語に使われる頻度が高いことが理由だという。「椎」は今回音読みの「ツイ」のみの使用となり、「腰椎(ようつい)」や「脊椎(せきつい)」など医療用語でよく使われていることから追加された。また、「賭」は「賭博(とばく)」などに使われ印象は悪いが、新聞用語でもあり使用頻度が高いことが理由となった。「遡」は「遡及(そきゅう)」といった熟語に使用されており、重要漢字であるという同委員会委員の意見もあり追加されたという。
 新常用漢字表の答申時期は2010年2月を目標にしており、試案の発表は来年の2月となるとのこと。
 → http://journal.mycom.co.jp/news/2008/09/22/031/
──

 つまり、次の通り。
 刹 椎 賭 遡 …… 追加(4字)
          …… 削除(1字)
 その他 …… 7月の追加候補のまま(188字)

   ※ この188字については、前項(新常用漢字3)を参照。

 ──

 私なりに評価すれば、次の通り。
 「この4字は、『賭』という1字を除けば、たいして重要ではないので、追加しようが追加するまいが、たいして意味がない」
 「その一方で、必要なのに追加されなかった文字が、たくさんある」


 本来ならば、追加される文字が、(この4字以外にも)たくさんあった。それについては、前項(新常用漢字3)で示したとおり。

 改めて列挙すると、前項で指摘したのは、次の文字だ。

嘘 噂 濡 嬉 覗 溜 噛 馴 
賭 掻 惚 吊 靴 糊    哺


( ※ 最後の「哺」は候補になかった字。)
( ※ それ以外は候補からはずれた字。ただし、「賭」だけは、今回の4字に含まれる。)

 ともあれ、これらの文字は、重要性が高いにもかかわらず、今回の修正案では導入されなかった。かくて日本の漢字政策は(というより国語政策は)、メチャクチャな結果となる。  (^^);

 なお、なぜこれらの文字が候補から はずれたかというと、これらの文字は「日本語で使われる文字」だからである。
 今回の案では、「日本語で使われる文字」は重視されず、「中国語で使われる文字」ばかりが重視されている。
 → 新常用漢字の基準は中国語か



 【 関連項目 】
 → 新常用漢字3 (前項)
 → 新常用漢字の基準は中国語か (次項)
posted by 管理人 at 19:52 | Comment(1) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「嘘」という字が必要だ、ということ。これを、コラム「CM天気図」で天野祐吉が大々的に指摘している。( 朝日新聞・朝刊・生活面・コラム 2008-11-04 )
 なお、本項では、すでに指摘済み。
Posted by 管理人 at 2008年11月04日 09:06
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