cf. → 第二次案──
MSN産経には、字体の一覧がある。これが一番役立つ。
【新常用漢字表に入る可能性がある候補220字】
■候補漢字S(42字)
藤 誰 俺 岡 阪 奈 鹿 熊 頃 韓 弥 斬 虎 狙
脇 尻 叩 闇 籠 呂 亀 頬 膝 鶴 匂 嘘 須 噂
濡 笠 嬉 股 眉 朋 覗 鎌 凄 撫 溜 謎 稽 曾
■候補漢字A(150字)
鷹 拭 揃 頷 貌 塞 蹴 鍵 膳 掴 翔 喋 噛 袖
洩 潰 駒 剥 鍋 湧 葛 禄 栗 馴 梨 駕 鴨 淵
駿 賭 貼 蘭 胡 枕 蘇 狼 顎 蝶 掻 苛 蓋 裾
惚 腫 蒼 爪 嵐 鬱 妖 藍 捉 腿 宛 菩 崖 叱
吊 瓦 拳 雀 樽 乞 呪 勃 壺 昧 唾 祀 卿 艶
痕 諦 餅 歪 瞳 隙 淫 錦 棲 箸 戚 蒙 釜 蔑
蜜 戴 痩 磯 怨 醒 詣 窟 巾 蜂 骸 弄 罵 樋
阜 靴 埼 餌 爽 詮 柿 芯 肘 麓 憧 頓 牙 嘲
臆 挫 溺 丼 瘍 僅 柵 腎 梗 羨 酎 畿 闇 鷲
畏 瞭 栃 蔽 茨 慄 傲 虹 捻 臼 喩 萎 腺 桁
玩 冶 羞 媚 寵 秤 遡 舷 貪 套
■候補漢字B(27字)
采 堆 煎 斑 冥 遜 麺 醤 串 填 疼 箋 賤 顛
脊 緻 糊 辣 汎 毀 哨 媛 彙 誼 聘 截 沃
■候補漢字C(1字)
綬
( ※字体は今後検討するとのこと。)
→ http://sankei.jp.msn.com/life/education/080513/edc0805131055003-n2.htm
[ 付記1 ]
「俺」という言葉について、「公の文書には使わないから不要だ」という見解を出す委員もいるという。
おやおや。だとすると、常用漢字とは、「公の文書の規格」なのか? まさか。「社会生活のための基本」としてのものである。特に、中学や高校で学ぶものだ。(小学校は教育漢字。)
とすれば、今回の委員は、「常用漢字とは何か」を根本的に誤解していることになる。そこで、今回の委員は、「常用漢字とは何か」を基礎から勉強し直した方がいい。
漢字ばかりを勉強しても、日本語の文章をまともに理解できないような委員では、どうしようもない。まずは、こういう頭の歪んだ委員を委員から追放することから、始めた方がよさそうだ。
( ※ 一般に、この手の委員は、官僚が「自分に都合のいい委員」というのを選ぶ。「こいつは役所の言うことをよく聞きそうだな」というのを選んで、「委員に選ぶとはくがつきますよ」と誘って、丸め込む。……だから、変なのばかりが、集まるようになる。その典型が、JIS漢字の規格委員会だ。まともな人もいたが、変な人がかなり混じっていた。だから、変な規格ができてしまった。……常用漢字も、その二の舞かも。)
[ 付記2 ]
今度の追加分は、「常用漢字第二水準」という形で、追加することにして、既存の常用漢字とは分けることが好ましい。
両方使いたいときには「両方」にもできるし、分けて考えたいときには「従来の分だけ」というふうにして使うこともできる。
一般に、規格というものは、やたらと変更するものではないのだ。「上位互換」のような形にすることが好ましい。
[ 付記3 ]
あとで調べたところでは、「準常用漢字」というのも考慮されているという。
→ http://sankei.jp.msn.com/life/education/080110/edc0801100201000-n1.htm
この通りになればいいのだが、不明である。いったん考慮されても、ボツになったのかもしれない。「民間から良い案が提案されたら、必ずボツにする」というのが、役所の常だからだ。
なぜか? 彼らの方針は、「国民にとって役立つこと」ではなくて、「役人にとってやりやすいこと」なのである。
そのことが、「俺」についての発言からもわかる。委員はみんな、役所べったり。
[ 付記4 ]
マーフィーの法則にしたがって、未来の予測をしておこう。
「人は必ず最悪の道を取る」
という皮肉がマーフィーの法則だ。(たぶん)
で、これにならうと、次のようになるはずだ。
「国語審議会が『印刷標準字体』というのを答申して、『常用漢字以外は正字を使うべし』と国民に指導した。それを受けて、パソコン業界は 2007年、パソコンの字体を略字体から正字体に変えた。すると 2010年、文化審議会は『新常用漢字』というのを答申して、『変えたばかりの正字を略字に戻せ』と答申する」
で、このあと、同じことが繰り返される。
「国語審議会が再び『正字に戻せ』と主張する」
「文化審議会が再び『略字に戻せ』と主張する」
こうして、4年ごとぐらいに、パソコンの字体は略字と正字を交互に繰り返す。
そのたびに、マイクロソフトは「新しい漢字に対応した 新OS です」と称して、ユーザーに自社商品を売りつける。
( ※ 政府とマイクロソフトとの結託。)
【 追記 】
漢字候補の 220字について、細かな論評を加える。
(1) 基本方針
最重要の約 50字については、そのまま常用漢字に追加するといいだろう。
それ以外の文字については、「準常用漢字」として、「読めるだけでかけなくてもいい」というふうにするといいだろう。つまり、オプション扱いにする。……というのは、これをすべて追加すると、一般人の負担になりそうだからだ。新聞社などのマスコミでは、準常用漢字は使わないのを原則とした方がいいだろう。
( ※ 私個人としては、準常用漢字を強制的に使わせて、その数も 500字ぐらい追加してほしいところだ。だが、近年の大衆の言語水準の低下を思うと、とうてい無理な望みであろう。そうわきまえているので。)
(2) 詳細
(i)基本の約 50字
「候補漢字S(42字)」を見ると、おおむね妥当だが、次の漢字は、はずした方がいいだろう。
弥 朋 曾
これらがどうして絶対必要なのか、私にはわからない。用途としては、人名以外には、あまり思い浮かばないからだ。
ま、「弥生」という単語はあるが、これは現代語ではない。「朋友」とか「曾祖父」とかもあるが、めったに使う漢字ではない。こんなのに比べれば、もっと重要な漢字は、いくらでもある。
(ii)基本以外の文字
候補中、次の文字は、是非とも採用してほしい。( 128字 )
拭 揃 頷 貌 蹴 鍵 掴 翔 噛 袖 潰 駒 剥
鍋 湧 葛 栗 馴 梨 鴨 淵 賭 枕 蘇 狼 顎
蝶 掻 苛 蓋 裾 惚 爪 嵐 鬱 妖 捉 腿 宛
崖 叱 吊 瓦 拳 樽 乞 呪 壺 昧 唾 艶 痕
諦 餅 歪 瞳 隙 淫 棲 箸 戚 釜 蔑 蜜 戴
痩 磯 怨 醒 詣 巾 蜂 骸 弄 罵 樋 阜 靴
埼 餌 爽 詮 柿 芯 肘 麓 憧 頓 牙 嘲 臆
挫 溺 丼 僅 柵 腎 羨 酎 畿 闇 畏 瞭 栃
蔽 茨 慄 傲 虹 捻 臼 喩 萎 腺 桁 羞 媚
遡 貪
冥 遜 麺 串 箋 糊 汎 媛 彙
(iii)候補から漏れた文字
候補に掲げられた 220字以外にも、重要な文字はある。
炒 菫 雫 雀 穿 猥 蝕 癪 濤 漲 溢
嘩 慄 曖 堵 塵
文例は次の通り。
「よく炒った豆を食べながら、庭を見ると、菫の花からは雫が垂れている。雀もいた。ふと気づくと、穿たれたような穴から、猥褻な目を向けてくるやつがいる。なんだか蝕まれる感じだ。癪に触った。怒りが怒濤のように込み上げた。力が漲り溢れ、喧嘩をふっかけた。相手は慄然として、逃げ去った。安堵したが、曖昧な気分が残った。そばには塵が残っていた。」この例文では、普通に漢字が使われているが、そのほとんどは、常用漢字にも新常用漢字にも含まれていない。
【 補足 】
どうして重要な漢字が漏れているのか? これについて考察したのだが、たぶん、次のことだろう。
「単純に頻度順で選んだため、人名に使われる文字を大量に入れてしまった」
これは 2004JIS の場合と同様だ。人名用の文字ばかりをやたらと重視するから、「朋」というような漢字がやたらと重視される。その分、日常語の漢字は軽視される。
ま、文字の使用としては、本末転倒であろう。それが今回の漢字候補一覧から判明したわけだ。つまり、今回の漢字候補一覧の意味は、「駄目な委員が担当している」ということだ。
委員の名を見ると、はっきり言って、「漢字オタク」ばかりである。国語的な見識が欠けている。オタクって、いやですねえ。常識がないんだから。……こういう人々が、日本人の使う漢字を規定する。困ったことだ。
なお、「常用漢字をどうするか」というのは、漢字の問題ではなく、国語の問題である。これを「漢字の専門家」が担当するということ自体が、根本的におかしい。
むしろ、国語審議会あたりに任せる方が、よほど妥当だろう。委員の顔ぶれを見ても、こちらの方がはるかに言語センスがある。
【 関連項目 】
→ 新常用漢字
→ 新常用漢字3(第二次案)
→ 文字用例の検索