2008年01月29日

◇[補説] ミツバチの利他的行動 7

 前項の続きとなる話を、後日あらためて記した。下記。
  → ミツバチの本質は女王バチ ── 

 上記項目から一部抜粋すると、次の通り。

 「ミツバチの行動(妹育てなど)を、『利他的行動』と見なすのは不適当である。なぜなら、そこでは、働きバチは他の働きバチや女王バチと競合しているわけではないからだ。競合しているのは、あるコロニーと、他のコロニーである」

 ここでは、「コロニー」のかわりに「コロニーの遺伝子集団」と呼び換えてもいい。とにかく、コロニー単位で競合がある。そして、一つのコロニー内の個体同士では、競合はない。なぜなら、いずれの働きバチも、自分では子を残さないからだ。どれもが子を残さない以上、「子をたくさん残す競争」は初めから存在しない。コロニー内の働きバチ同士の間では、自然淘汰はもともと働いていないのだ。とすれば、そこでは、「利己的行動が利他的行動よりも有利だ」ということは成立していないのである。

 要するに、血縁淘汰説や利己的遺伝子説が前提としている、「利己的な行動ほど、自分の遺伝子を多く残す」ということは、初めから成立していないのだ。いずれも自分では子を残さないのだから。
 だから、血縁淘汰説や利己的遺伝子説が解明しようとした、「なぜ利他的行動をするのか?」という問題は、初めから問題が間違っていたことになる。なぜなら、「利己的行動が利他的行動よりも有利だ」という自然淘汰の原理(競争原理)が、コロニー内では成立していないからだ。




    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2012年08月03日 です。)
posted by 管理人 at 23:38 | Comment(0) |  生命とは何か | 更新情報をチェックする
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