2007年12月19日

◆ウナギの減少と環境悪化

 近年ではウナギが減少している、ということがしばしば報道されている。
 これに対して、「生態を明らかにして、ウナギの養殖に結びつけよう」という立場がある。(朝日・夕刊 2007-12-19 )
 しかし、そういう短絡的な「金儲け」よりも、もっと根源を見るべきだろう。それは「ウナギの繁殖を阻害する環境悪化」だ。 ──

 前項ではエチゼンクラゲについて述べた。すると、「ウナギの繁殖地もよくわかっていない」というコメントが寄せられた。それに触発されて、こう思いついた。

 「ウナギの漁獲量の減少が起こっている。このことは、稚魚の取りすぎのせいだ、というふうに説明されることが多い。しかし本当は、産卵する親の減少だろう」

 ウナギの漁獲量の減少が起こっていることについて、「稚魚の減少のせいだ」という推論は間違いないだろう。
 ただし、稚魚の減少は、「稚魚の取りすぎ」のせいというよりは、「稚魚そのものが減少しているからだ」と見なす方が妥当だろう。そして、その理由は、「成魚の減少」である。
 では、その意味は? ここでは、「取りすぎ」のせいで稚魚が減少するというよりは、「環境悪化のせいで稚魚が減少する」というふうになる。

 ──

 一般に、ウナギは、川を遡上して成魚が成長する。( → Wikipedia )
 ところが、川の環境がダムなどで破壊されると、ウナギは「川を遡上してから産卵地に戻る」ということが不可能になる。
 だから、「稚魚の取りすぎ」というよりは、「環境悪化のせいで産卵数そのものが減っているからだ」と考える方が、妥当であろう。

 ──

 以上の推論のもとで、ネットを調べてみたら、私が考えるまでもなく、すでにあちこちで指摘されていた。次に紹介しよう。
 
 まず、総括的な書籍がある。(岩波新書)
  → Amazon「ウナギ―地球環境を語る魚」

 その他、環境悪化を指摘するサイトもある。
  → http://www.kochinews.co.jp/0611/061104evening01.htm
  → http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/osf/06_03_osf_eel.html
   (これはダイオキシンによる稚魚の発育障害。)

 ──

 さて。
 本項では、何が言いたいか? ウナギの養殖法か? いや、そんなことではない。
 「物事の本質を探れ」
 「対症療法よりも根源を考えよ」
 ということだ。
 そもそも、現状は、こうだ。
 「ウナギの稚魚が減ったから、稚魚が減っても大丈夫なように養殖しよう。これでウナギの数が増える」
 これは「儲かりまっせ」という金儲けの方法だ。換言すれば「漁業」という産業振興の方法だ。
 しかし、それよりは、「なぜウナギが減っているか」を考えるべきなのだ。

 前項と対比しよう。
  ・ 前項 「なぜクラゲは急増したのか? その本質を探れ」
  ・ 前項 「なぜウナギは急減したのか? その本質を探れ」


 急増と急減という違いはあるが、それはどうでもいい。大事なのは、その変化に対して、対処法を知ることではなく、原因を知ることだ。それこそが本質を探るということだ。

 人々はやたらと金儲けのことばかりを考えやすい。「どうすれば儲かるか」ということばかりを考えやすい。そのせいで、「対症療法」を取りたがる。それが手っ取り早いからだ。
 しかし、手っ取り早くはないとしても(手間暇や時間がかかるとしても)、物事の本質を探り、本質に向かって対処するべきなのだ。……それが、常日頃、私の主張していることだ。

( ※ 別にウナギを安く食べたいからではありません。 レストラン  …… というのは嘘かも。 (^^); )

 ──

 なぜ根源が大事か? 
 実は、減少しているのは、ウナギだけではないからだ。人間もまた同様。日本人は人間が減少している。その理由は、経済不況による少子化が主因だろうが、同時に、精子の減少という問題もある。……人間もまた環境汚染にさらされているのだ。だからこそ、根源を見る必要がある。
 「人間が足りなければ、人間を養殖しよう」
 というわけには行かないからだ。
posted by 管理人 at 19:15| Comment(2) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ダム一つできるごとに漁獲量が14・8%も減る (利根川系)
 → http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-20/2013012015_01_1.html

ダム撤去とウナギの増加
 → http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-9ed3.html
Posted by 管理人 at 2013年04月20日 17:48
河川改修によってウナギなどの生息環境が悪化する・・これはその通り。

>一般に、ウナギは、川を遡上して成魚が成長する

ウナギの観察(というより釣り)をやらない方の議論は単純すぎます。

上流淡水域への俎上が絶対欠かせない鮎(エサの為)、サクラマス(産卵の為)とは違い、ウナギは淡水域、汽水域のいずれでも棲息可能で、汽水域の殆ど海といえる河口でも釣れます。
実際にはもっと複雑で、上流下流への移動を繰返して成長するものも確認されており、河川環境の悪化には比較的強い魚種です。

  水産総合研究センター ウナギ総合プロジェクトチーム
   http://www.fra.affrc.go.jp/unagi/unagi_shigen.pdf
Posted by 釣り人 at 2013年08月04日 23:43
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