2007年12月17日

◆ 情報漏洩への対策


 自衛官がイージス艦の重要な機密情報を流出させた、という問題が起こった。
 これは「情報漏洩」の問題である。では、どう対処するべきか? ──

 読売新聞(朝刊・特集面 2007-12-17 )では、あれこれと事情を説明したあとで、こう結論する。
 「情報漏洩が起こらないような体制を構築する必要がある」


 しかし、そのような体制を築くことは、容易ではない。なぜなら、情報漏洩を起こすのは、人間だからだ。人間そのものを変えることは、非常に難しい。
 まず不可能だ、と私は断言しておこう。

 ──

 むしろ、知恵を働かせて、次のようにするべきだ。
 「情報漏洩が起こったら、それを自動検知する体制を構築する」


 つまり、「情報漏洩を起こさない」のではなく、「情報漏洩が起こったら検知する」わけだ。
 換言すれば、「犯罪を起こさない」のではなく、「犯罪が起こったら検知する」わけだ。
 そのことで、情報漏洩ないし犯罪を抑止する。……これは、人間の心理に作用する方法だ。「悪いことをやるとバレるから、悪いことをやめよう」というふうに。(「悪いことができなくなるように、物理的に阻止する」という読売の方針とは異なる。人の心に作用させて、悪いことを起こす気持ちそのものをなくす。)

 ──

 では、「情報漏洩が起こったら検知する」ようにするには、どうすればいいか? 
 具体的には、次のような方法がある。
 「ファイルを HTML ファイルにして、そこに1ドットの画像を埋め込む。その画像は、自衛隊のサーバーに置かれている。ファイルが開かれるたびに、画像の表示のために、サーバーに接続する。するとサーバーの側から、《 どこそこの IP アドレスから接続された 》 と判明する。その IP アドレスが不正なものであれば、不正なファイル読み込みが判定される」

 たとえば、該当の機密ファイルは自衛隊の東京本部だけで、見ることが許可されているとする。そのファイルが、どういうわけか、埼玉の支部の平隊員のパソコンで読み込まれた、とわかった。あるいは、まったくの部外のパソコンで読み込まれた、とわかった。こうして、機密情報の漏洩が判明した。

 ──

 上記のような方法は、ハッカー(など)にかかれば、あっさりと回避されるだろう。とはいえ、ほとんどの人は、パソコン技術のことなんか、何も知らない。実際、現在の自衛隊では、上記の対策さえも取られていない。パソコン音痴の連中ばかりだ。とすれば、高度な対策をするまでもなく、ごく低レベルの対策をするだけで、ほとんどの情報漏洩は防げる。
 また、相手が高度なハッカー(など)であれば、どっちみち、ネット経由の別経路で、情報を盗むだろう。物理的な情報漏洩(CD-ROMの受け渡し)などは、しないはずだ。(面が割れてしまうので。ネットオタクは顔を知られるのを極端に嫌がる。)

 だから、上記のような方法を取れば、情報漏洩は大幅に減らすことができる。
 ここに、その方法を提案しておいた。

( ※ 新聞報道によると、自衛隊は隊員に「不正なファイルを持っていれば自主申告させる」という対処を取っていたという。で、今回の場合は、自主申告しなかったから、見逃されていた。……呆れたね。「自主申告」という最も馬鹿な方法を「対策」と称していたわけだ。ここまで愚かな方法を取っているのが、現実である。)




 [ 付記1 ]
 上記は、あくまで「原理」である。HTML ファイルを使うことを必須としているわけではない。
 できれば、専用のファイル形式を使って、「ファイルを開くたびにサーバーにつながる」というような仕組みを作るといい。
 そういうファイル形式って、ないのかな? PDF にそういう機能があるといいんですけどね。 PDF のアドインでもいいが。

 [ 付記2 ]
 私としては、次の方式(パソコン管理方式)も提案しておく。
 「パソコン全体を機密保護する。パソコンを起動したときに、パスワードの入力を求められる。(以後、2時間おきにも。別人が使っている可能性があるので。)……パスワードを入力すると、以後のファイル管理が自動記録されて、記録内容が自衛隊の本部に送信される。ファイル名だけでなく、ファイルサイズとファイル形式が送信される。そのうちのいくつかが、機密情報のファイルと一致したら、サーバーからの連絡を受けて、そのファイルをサーバーに送信する。そのファイルが機密ファイルだと判明した時点で、不適正な資格者によるファイル読み込みが判明する」
 たとえば、東京本部に限られているマル秘情報が、埼玉支部の事務職員のパソコンこで読み込まれた、と判明する。
 このシステムの場合、先の方法とほとんど同様となる。ただし、個別のファイルごとに検知がなされるのではなく、パソコンが丸ごと検知される、という点が異なる。
 以上、二つの方法を示したが、どちらも使うと、いっそういいかも。

( ※ なお、隊員のメールソフトはすべて共通化するといい。そして、そのメールソフトの利用を義務づける。このことによって、隊員全員の IPアドレスを管理できる。たとえば、「このメールに返信しなさい。」というメールを送り、返信させる。メールアドレスと IPアドレスを照合することで、隊員のパソコンの所在すべてを最低1回は管理できる。あとはときどき、メールソフトが自動的に所在をサーバーに通知すればよい。……機密維持をする企業も、やるとよさそうですね。)


 [ 参考 ]
 情報漏洩を「起こさない」のではなく「起こりにくくする」方法もある。
 たとえば、ファイルの暗号化をする。暗号を解読するには、パスワードが必要だから、パスワードを管理している限りは、情報は漏れにくい。
 とりあえずは、ファイルの暗号化を、徹底することをお勧めする。PDF であれ、MS-Wordであれ、暗号化は容易である。もともとその機能があるのだから。
(でも、暗号化の機能があっても、使わない人がほとんどなんですよね。……ついでに言えば、メールでも公開鍵の暗号方式が普及しているが、いくら普及しても、実際にその機能を使う人は、非常に少ないようだ。)

 [ 余談 ]
 情報漏洩をあった場合、次のようなエラーメッセージが出るのもいい。
 「このファイルは不正な処理がなされたので、処理を停止します。
  処理についての詳しい情報は、管理者に通報されます」
  
 Windows にそういうエラーメッセージが出る仕組みがあるといいですね。 わーい(嬉しい顔)
posted by 管理人 at 19:42 | Comment(2) | コンピュータ_01 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
将来国産ステルス戦闘機の開発に携わりたい、なんて考えてる学生の私としては、
「やったラプターが輸入されづらくなった!」
なんて考えたんですが、まぁ置いておいて。

いつだったかの日記に、
「ステルス戦闘機は無用の長物」
と書かれてましたが、文を読んで納得してしまいました。ただ刀鍛冶と同じ心持でしょうか、未だに開発はしてほしい、と思うばかりです。有用性に疑問を感じながら開発に携わる、道楽に税金を用いるというのは、やはり悪行でしょうか?

まそんな簡単に入れるチームではないでしょうが(笑)
Posted by necktie at 2007年12月18日 01:56
トム・クルーズ主演でヒットしたミッション・インポッシブルという映画で同じようなアイデアを使ってましたね。
確かCIA諜報員のリストファイルを間違ったパスワードで開くと監視機関に通知される、という設定でした。
Posted by 良寛 at 2007年12月18日 03:41
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