2007年12月07日

◆ 電子投票の問題


 国政選挙に電子投票を導入する、という方針がほぼ決まった。近いうちに法制化されるそうだ。(各紙報道 2007-12-06 )
 しかし、電子投票には、問題がある。 ──

 まず、メリットは、政府や新聞が報道しているとおり。
  ・ 迅速だ。
  ・ 人件費が節約できる。
  ・ 人間によるエラーが起こらない。

 しかし、デメリットはあまり報道されていない。次のことがある。
  ・ 迅速でも結果は同じ。(デメリットではないがメリットなし。)
  ・ 機械の費用が非常に高額だ。
  ・ 機械によるエラーが起こることもある。

 最後の「機械によるエラー」については、次の事例がある。

 「2003年7月の市議選で、投票所に電子投票機を置き、画面に示された候補者名を有権者が触れて投票する電子投票を初めて導入したが、投票時に機器のトラブルがあり、最高裁が05年7月に選挙無効を決定。」
( → 朝日のサイト

 また、米国の大統領選挙では、ソフトの会社がソフトをいじって、票を電子的に操作した疑いがもたれている。こういうのは犯罪だが、犯罪をしてもなかなかバレない。また、バレたころには、任期の大半が終了しているかもしれない。

 ──

 ま、いろいろあるが、本項では特に、本質的問題を指摘したい。
 そもそも、目的は何か? 「投票のIT化」であろう。では、それは、大事なことなのか? 

 ここで、私なりに対案を出して、比較してみよう。
 「電子投票を行なうが、そのための危機は、専用の機器ではなく、汎用のコンピュータを使う」

 この対案の理由は、コストの節約だ。
 読売新聞(朝刊 2007-12-06 )によると、専用の機器は、1台 150万円もかかる。これを投票所ごとにたくさん設置するので、莫大な費用がかかる。
 一方、私の対案では、学校の汎用コンピュータを使う。そこにソフトをインストールして、適当にデータを蓄積したあとで、データをサーバーにまとめて送る。(10分ごとでもいいし、一日の最後にまとめて送るのでもいい。そのあたりは任意。)……この場合、汎用のコンピュータは設置費用が無償。ソフト代はかかるが、日本中で同じソフトを使えるので、費用は無視できる。
 
 この対案だと、次の問題が起こる。
 「ハッカー(クラッカー)にコンピュータを乗っ取られて、票を操作される」
 この問題が考えられる。これを避けるには、いろいろと適当にアイデアを練るといいだろう。危険を皆無にはできないが、何とかなるはずだ。

 なお、絶対的に必要なのは、OSを Windows でなくリナックスにすることだ。全国の学校のコンピュータをリナックスに統一してしまえばいい。それで別に不都合はないのだから。
(ま、部分的に、少しだけ Windows を残しておいてもいいが、それは、ネットには接続しないようにする。MS-Office などの操作の練習用だけに使う。)

 ──

 さて。以上の案で、話は片付くか? 実は、片付かない。なぜかというと、日本中の学校にコンピュータはそんなにたくさん設置されていないからだ。一つの学校に最低でも1台はあるはずだし、「1学級分(40台)」という学校も結構あるだろうが、すべての学校でそうなっているわけでもない。
 ちょっと古いが、 2004年のデータでは、次の通り。
 「小学校で27.7台、中学校で44.1台、高等学校で101.4台、盲・ろう・養護学校で26.2台」
 ( → 文科省のサイト

 現状ではこれよりはいくらか改善しているだろうが、大幅に改善しているとは思えない。というのは、コンピュータが普及しかけたのは 1995年であり、それからすでに 10年たってもこのありさまだからだ。
 そもそも、上記の台数には、すごく古いパソコンも含まれていそうだ。Windows98 とか、Windows3.1 とか。まさか、MS-DOS や PC9800 はないだろうが。

 ──

 で、何が言いたいか? 「古いパソコンでは電子投票ができない」ということか? ま、それもある。だが、私が言いたいのは、次のことだ。
 「教育のIT化のために金をかけずに、選挙のIT化のために大金をかけるのは、本末転倒だ」

 未来をになう子供の教育のためには、毎年、ごく小額の金しか出さない。
 なのに、国会議員は、自分たちの選挙のために、莫大な金を支出しようとする。それも、二年にいっぺんぐらいの国政選挙のために。

 莫大な浪費とは、このことだろう。年間のうちのほとんどすべての期間にわたって眠っている機械のために、莫大な金を払う。そして、5年ぐらいたったら、「償却期間が過ぎました」と言って、捨ててしまう。
 その一方、年間のうちのほとんどすべての期間にわたって必要な教育用のパソコンには、まともに金を払わない。生徒はいまだに古いパソコンを使って、「あ、フリーズして、落ちちゃった」とか「メモリが足りなくて重たいなあ」などと困っている。下手をすると、「フリーズしたあとでうまく直せないので、パソコンはみんな眠っています」というふうになる。

 狂っているんじゃないですかね? 
 まずは人間の頭をまともにすることから始めた方がよさそうだ。



 参考情報。

 「電子投票の問題は、精度とセキュリティだけではない。11月2日の大統領選、人々は投票のために3〜4時間行列することになった。どんなに投票所が混んでいても、存在しない投票機を追加することはできないのだ。」
 → http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0411/04/news019.html
  ( ITmedia の記事。)

 ──

 本質的に言えば、次のことが言える。
  ・ 大量かつ反復の多い定型業務は、機械化が適している。
  ・ 厳密な物的証拠が必要な業務は、電子化は適さない。
  ・ ごくたまにだけ行なわれる業務は、人間が適している。(コストで)
  ・ その場で状況が変化する業務も、人間が適している。(可変性で)

 開票業務は、機械化・電子化には向いていませんね。本質的に。

 ──

 なお、一つだけ有効性があるとしたら、次のことだ。
 「投票を操作して、独裁体制を築くこと」

 プーチンや中国共産党なら、電子化が必要でしょう。ブッシュもそう。
 だから日本も?
posted by 管理人 at 18:01 | Comment(3) | コンピュータ_01 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私が電子化に関して考えていたことなのですが、銀行のATMを利用するというのはどうでしょう?これだとメーカーは数社しかなく、機種も多くないのでソフト開発は少なくて済みそうです。(どの銀行のソフトも基本的には同じものを銀行ごとにカスタマイズしているといった感じです)
選挙が公示されるとキャッシュカードと同じ規格の投票用カードが送られてきて、ATMでは投票日にいらっしゃい画面に「選挙」のボタンがあり、投票カードを入れると1回だけ投票できます。
どの銀行も全銀連に繋がっているので、集計はそこでやれば良い(ソフトの開発は必要)です。
銀行のネットワークだとクラッカーの心配も少ないでしょうから、南堂様が心配されているようなことも起こらないと思います。

などといったことを考えておりました。
Posted by うみうみ at 2007年12月07日 19:57
そうですね。私も前にそういうふうに書いていたのを思い出しました。下記。
http://www009.upp.so-net.ne.jp/izumi/96k_news.htm#id1

( ※ 本項を書く途中でも思い出していたのですが、書き落としてしまったのでした。おかげで、思い出しました。)
Posted by 管理人 at 2007年12月07日 20:29
銀行のネット利用はいいアイデアですね。
銀行には大量の税金が投入されているのだから、それぐらいやらせても、ばちは当たりません。

そんなアイデアが政府の中からでないのは、やはり電子投票は投票特需を狙う電機メーカーからの提案だからなのでしょう。
Posted by at 2007年12月07日 22:19
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