2007年08月13日

◆ ホモ・ハビリスの共存

 現生人類 ホモ・サピエンスの 先祖にあたる原人は、ホモ・エレクトスであるが、その前に、ホモ・ハビリスという原人がいた。ところが、新たに発見された化石では、両者の共存期間がかなり長いという。
(朝日新聞・朝刊 2007-08-09 ) ──

 記事によると、新たな化石が発見され、その結果、両者の共存期間が非常に長いことが判明した。

 ホモ・ハビリス     ■■■■■■■■■
 ホモ・エレクトス        □□□□□□□□□□

 上図では、■ は十万年分に相当する。
 これまでは、共存期間は ■ 三つ分だった。(30万年間)
 新たに化石が発見されたことで、ホモ・ハビリスの存続期間は 二つ分、延長された。(20万年間)
 その結果、両者の共存期間は、 ■ 三つ分と 二つ分の合計五つ分に増えた。(50万年間)
 つまり、両者の共存期間は、これまでは 30万年だけだったのに、新たな発見により、50万年間もたがいに共存していたことが判明した。

( ※ 数字は概数である。なお、新たに発見された化石の年代は、144万年前。)
( ※ さらに新たな発見が続くと、50万年よりもさらに延びる可能性がある。なお、延びる可能性はあっても、縮まる可能性はない。)

 ──

 以上は、化石的事実である。

 さて。この化石的事実は、次の理論に反する。
 「小進化の蓄積と優勝劣敗によって大進化が起こる」

 なぜなら、「旧種と新種との間で優勝劣敗が起こって、自然になだらかに旧種から新種に変化した」というのが、上の理論(つまり標準的な進化学説)だからだ。

 図式的に言えば、「黒 → 白」という変化が、途中のなめらかな灰色の変化を含めて、なだらかに少しずつ進んだはずだ。(それが「小進化の蓄積)
 なるほど、単純に考えると、それはそれで納得できそうだ。というのは、「一挙に急激に変化する」ということは、あり得そうにない、と思えるからだ。

 しかしながら、今回の発見によると、次の図式があったことになる。( ■ は 10万年分ではない。もっと多い。)

 旧種  ■■■■■■■■■
 新種         □□□□□□□□□


 この図式では、次の二点がポイントだ。
  ・ 共存期間がある。(50万年間)
  ・ 連続的変化はない。(黒または白であり、中間的な灰色はない)

 こういう化石的事実が判明したことになる。今回の発見で。

 ──

 実を言うと、今回の発見は、不思議ではない。「旧種と新種の共存」ということは、あらゆる化石種で成立するはずだからだ。

 たとえば、人類で言えば、新人(クロマニョン人)と旧人(ネアンデルタール人)との間でも、同様のことが成立した。
  ・ 共存期間がある。(かなり長い)
  ・ 連続的変化はない。(黒または白であり、中間的な灰色はない)

 こういうことは、あらゆる大進化において成立する。
 (ただし、小進化においては、成立しないことが多い。小進化においては、なだらかに連続的に変化することが多い。共存期間は、あるとしても、ごく短いことが多い。)

 ──

 では、以上のことから、何が結論されれるか? 次のことだ。
 「小進化の蓄積によって大進化が起こる、という学説は、成立しない」


 もはやこれは決定的な真実だと言える。だが、それにもかかわらず、進化論学者は、この誤った説を信じている。
 詳しい話は、以下を参照。



 さらに詳しく述べよう。

 今回の朝日の記事も、共存期間があったということを見て、「ホモ・ハビリスと、ホモ・エレクトスは、共通の祖先から生じた兄弟種なのかもしれない」と述べている。
 しかしこれは、ありえないことだ。だったら、ホモ・エレクトスは、共通の祖先からものすごい跳躍をして急激に進化した(超大進化をした)ことになる。……それはもはや、進化論というよりは、創造説に近い。「あるとき突然、無から新種ができた」という発想に近い。
 現実には、そんなことはあり得ない。いきなりホモ・エレクトスが生じたということはありえず、その前にホモ・ハビリスを経由していたはずだ。(あるいは、それと同等の進化レベルの原人でもいいが。)
 では、正しくは? 



 正しくは、どうなのか? 次のように言えるはずだ。
 「共通の祖先から跳躍してホモ・エレクトスが誕生した」のではなく、「ホモ・ハビリスから跳躍してホモ・エレクトスが誕生した」のである。

 そして、その進化は、「ホモ・ハビリスの変化」(主を保ったままの変化)ではなくて、「旧種に対する新種の追加」という形で、ホモ・エレクトスが追加されたのだ。
( ※ 「分岐」とは違う。「分岐」では、両者がともにほぼ同量の進化をなす。しかし「新種の追加」の場合には、旧種はその後ほとんど進化せず、新種ばかりが急激に進化する。)

 つまり、進化とは、「小進化の蓄積による、なだらかな変化」のことではなくて、「新種の追加」(突発的な追加)のことなのである。

 たとえば、次のように。
 (誤)「ネアンデルタール人がなだらかに進化して、クロマニョン人へと進化した。両者はシームレス(つなぎめなし)の変化である。中間種は存在する。ただし化石が見つかっていないだけだ。」
 (誤)「ネアンデルタール人とクロマニョン人は、共通の祖先から進化した二つの種であり、どちらも進化の量は同じぐらいである。環境による差があるだけだ。」
 (正)「ネアンデルタール人を元にして、新たにクロマニョン人が出現した。後者の方が大幅に進化している。」

 同様のことは、ホモ・ハビリスと、ホモ・エレクトスについても、当てはまる。



 進化とは「なだらかな種の変化」のことではなく、「新種の追加」のことである。このことをわかりやすく説明するために、比喩的に例示しよう。

 旧型カローラと新型カローラがある。これらは、どういう関係にあるか?

 (1) 従来説     (なめらかな変化)
 旧型カローラの部品を一つずつ優秀な部品に置き換えることによって、少しずつ変化させることで、新型カローラができる。その変化はなだらかな変化である。新型が増えるにつれて、旧型は売れなくなるので、自然消滅する。最終的には、旧型から新型に、すっかり入れ替わる。途中段階のもの(中間種)は、必ず存在するのだが、たまたま見つかっていないだけだ。

 (2) クラス進化論 (新型の追加)
 新型カローラは、設計段階からして、全面的に異なる。一つ一つの部品を優秀なものに置き換えるのではなくて、新たな設計図に従って新たな部品を全面的に採用し直す。こうして突発的に、新型カローラが誕生する。これは車種の追加に相当する。つまり、新型が誕生したあとも、旧型がなくなるとは限らない。たとえば、在庫分は明らかに販売され続ける。また、(途上国にある)一部の工場では、旧型が生産され続ける。しかし、2年か3年ぐらいたつと、それらの旧型も販売・生産されなくなり、新型だけに統一される。

 ──

 上の (1)(2)のうち、現実に起こっているのは、(2)である。
 しかし、たいていの進化論学者は、(1)にこだわる。なぜか? 現実よりも、自説に従うからだ。
 たいていの進化論学者にとって大事なのは、現実の証拠ではなく、頭のなかの自説である。たとえ自説が現実に矛盾していても、あくまで「自説は真実だ」「他の説はトンデモだ」と言い張ることが、進化論学者の仕事なのだ。

( ※ 別に、進化論学者とは限らない。あらゆる学者がそうだし、あらゆる官僚がそうだ。誰もが自説による保身に熱中する。そして新たな学説に対しては、弾圧の溜めに、攻撃する。)
posted by 管理人 at 19:41| Comment(12) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>進化論学者は、この誤った説を信じている。

どういう説であるかに関わらず、その説を信じている学者なんているんですかね。
(言い方の違いで何とでも言えそうですが)
学説(仮説)というものは信じるという性質のものではないと思ってます。


"小進化の蓄積によって大進化が起こる" Googleで3件ヒット
"小進化の蓄積" Googleで8件ヒット

この結果をどう解釈すればいいのか、正直分かりません。
Posted by 琥珀 at 2007年08月13日 20:32
すみません。
「信じる、という言葉が気に食わない」
「書き方が気に食わない」
「態度が気に食わない」
というよりは、もうちょっと建設的なコメントにしてくださるとありがたいのですが。(つまり、生物学的もしくは進化論的な議論。私の文章についての議論ではなくて、この世界の事実についての議論。)

 私の雑文の文章がまずいとしても、そんなことをいちいち指摘していったら、それだけでコメント欄がすべて埋まってしまいますので。
Posted by 管理人 at 2007年08月13日 21:04
小進化の蓄積ということがわかりにくいようでしたら、Wikipedia の「進化」の項目から、次の箇所を抜き書きします。

──

§進化
現在の総合学説の元では、進化とは
集団中の遺伝子頻度の変化であり、
それが積み重なって種分化が起きると見る。
    ^^^^^^^^^^^^

§ 小進化
小進化は、数世代の間に現れるような
個体群内の遺伝子頻度の小規模変化
のことである。
Posted by 管理人 at 2007年08月13日 21:13
>「信じる、という言葉が気に食わない」
>「書き方が気に食わない」
>「態度が気に食わない」

そんなことは誰も言っていません。
どこからその文章が出てきたのですか?
被害者意識を持ちすぎのようですね。
言いたかったことは読めば分かることなので二度は書きません。

内容に関して議論するつもりはありませんし、
正直、この方面のことは分かりません。
Posted by 琥珀 at 2007年08月13日 22:31
確かに琥珀さんのおっしゃる通り、学説は「信じる」類いのものではないと思います。少なくとも研究者にとっては。ま、確かに「固執する」タイプの人はいるかもしれませんが。

南堂さんがいつも書かれている、
>進化論学者は、この誤った説を信じている。
という状況は、むしろ引用されている新聞記事のような科学“的”な文章の中でよく見られると思います。科学を啓蒙する立場の人が、今ひとつ進化説を上手く理解できていないのではないかと思います。
南堂さんの「クラス進化」のような考え方は、生化学や分子生物学を基礎にした生物学の研究者にとってはむしろ自然で、違和感のないものです。大抵の分子生物系の研究者は、漠然とであれこのような捉え方をしているのではないかと思います。
もっとも、私は進化学の専門家ではありませんが、「クラス進化論」のようにきちんと文章でまとめられているものは他では読んだ覚えがありませんので、南堂さんの洞察には敬意をもっています。
Posted by 猪口雅彦 at 2007年08月14日 00:17
コメントありがとうございました。

「信じる」という言葉について注釈すると、次の通り。

 進化についての通常の学説(小進化の蓄積による大進化)は、証拠が何一つ見つかっていない。「小進化があった」ということの証拠ならばたくさんあるが、「小進化ゆえに大進化」ということの証拠はただの一つも見つかっていない。

 それどころか、逆の証拠ならば、たくさん見つかっている。つまり、「大進化は小進化の蓄積によって生じたのではない」という証拠はたくさんある。その一例が、今回の化石だ。

 一般に、科学というものは、仮説があり、仮説に対する証拠となる事実がある。(実験や観測で判明する。)
 ところが、ある仮説Aに対して、実験や観測が仮説Aに反する結果が出たならば、ある仮説Aを取るためには、「実証する」かわりに、「信じる」ということしかできない。

 虚偽については、「実証する」ことはできないから、「信じる」ことしかできないんです。

 例。「神は存在する」ことを科学的に実証できないから、「信じる」しかない。

 例。「地球は回転する」(地動説)という証拠が発見されたあとも、「天動説が正しい」という仮説を採るならば、天動説を「信じる」しかない。

 例。「ホモ・ハビルスからホモ・エレクトスに、なだらかに進化していって、中間種が存在する」という仮説。これは、化石から実証できないから、その仮説(つまり虚構)を「信じる」ことしかできない。

 これらと同じく、たいていの進化論の学者は、「(事実に反する)進化論を信じる」というふうになっている。

 現在の進化論は、科学というよりは、宗教みたいなものなんです。「神が創造した」と主張する創造説と同様です。だから、「実証する」かわりに、「信じる」ことしかできない。

 ────────

 余談。
 これを読んでいるあなたが、「自分はキムタクよりもトムクルーズよりもハンサムだ」ということは、事実ではないので、「実証する」ことはできない。それでも、そのことをどうしても主張したければ(主張しなければ給料をもらえなくなるのであれば)、それを「信じる」しかない。(または、嘘だと自覚しながら嘘を主張するしかない。)
Posted by 管理人 at 2007年08月14日 09:12
大変興味深く拝読しました。
そうすると現在の自然界においても進化が停滞している旧種とそれと並存し、突発的進化を遂げた新種があるのでしょうね。突発的進化と言うのはイメージしにくいのですが、始祖鳥から鳥に進化するとか、象の祖先からジュゴンに進化する場合にどのくらいの期間をかけて何(十?百?千?万?)回の突発的進化が起きているものなのでしょうか?それと旧種はもう突発的進化は起きないのでしょうか?
Posted by 永井弘明 at 2007年08月14日 11:43
表現の問題なら、学説は「信じる」ではなく「支持する」が正しい表現だと思います。

>「大進化は小進化の蓄積によって生じたのではない」という証拠はたくさんある。その一例が、今回の化石だ。
とのことですが、今回の化石が証拠であることの根拠は何でしょうか?
共存期間が長いこと、中間の化石が見つかっていないことは「小進化の蓄積による大進化」を否定はしていないと思いますが。また「連続的変化」が無いことも否定していません。中間の化石が見つかっていないだけの可能性を否定していないからです。
一般的に何かが「存在しないこと」の証明は非常に困難です(悪魔の証明、と言われるものですね)。たとえば現在の科学では神が存在しないことの証明は不可能です。
Posted by M&S at 2007年08月14日 15:07
>> (正)「ネアンデルタール人を元にして、新たにクロマニョン人が出現した。後者の方が大幅に進化している。」


取りあえず、これもほぼ間違いなく(誤)でしょう。ネアンデルタール人というのは主にヨーロッパ、ひょっとするとちょいとだけ中近東で発生&進化した種であり、恐らく一度も足を踏み入れることのなかったアフリカ大陸で発生した現生人類がそれを元にした種というのは、現在のあらゆる考古学的証拠に相反する仮説ですよ。


>>(誤)「ネアンデルタール人とクロマニョン人は、共通の祖先から進化した二つの種であり、どちらも進化の量は同じぐらいである。環境による差があるだけだ。」

共通の祖先から進化する場合進化の量が同じくらいである、というのはそれこそ「なだらかな種の変化」をベースとした考え。でも、そうである必要はなく、どちらか一方がより早いペースで進化していくというシチュエーションは幾らでも考えられるし、実際にその生き証人が幾らでも存在する(シーラカンスなどいわゆる「生きた化石」は大体全部そう)。だから、現時点でもっとも正解に近い考えは

(正)「ネアンデルタール人とクロマニョン人は、共通の祖先から進化した二つの種であるが、その二種の進化のベクトル(i.e., ベロシティだけではなく方向も)は異なっていた。

とするのが一般的でしょう。

ついでに言うと、クロマニョン人の方がネアンデルタール人より大幅に「進化した」(つまり「優秀な」)種という見方も20年くらいは遅れた見識ですね。
Posted by RawheaD at 2007年08月14日 15:54
>「ネアンデルタール人とクロマニョン人は、共通の祖先から進化した二つの種であるが、

 というのは、あり得ない、と私は考えます。
 そもそも「共通の祖先」とは、何でしょうか? それはまさしく、ネアンデルタール人(正確には、ネアンデルタール人を含む旧人:こちらに読み替えてください)でしょう。

 「共通の祖先」というのは、いかにも便利に使われますが、実はただの「旧種」にすぎない、というのが、私の見解です。
 
 つまり、
   猿人 → 旧人 → 新人 (※)
 という順があったはずであり、
   猿人 → 共通の祖先たる猿人 → 旧人  or  新人  (*)
 ということはない、と思います。

 ──

 ただし、以上のことは、絶対的なことではなく、もしかしたら、(*) のことがあったかもしれません。
 ただし、ここでは、通常の説に従って、(※)があったと想定しています。

 本項では、細かな実証を示したいわけではなくて、とりあえず、旧種と新種の例として、旧人と新人を取り上げているわけです。
 あくまで話を説明するための例として考えてください。

 ──

 どうしても気になるようであれば、「旧人」と「新人」という言葉を「原人」と「新人」に置き換えてください。
 それならば、「旧種」と「新種」の説明として、十分でしょう。ね? 

 ──

 ──

> クロマニョン人の方がネアンデルタール人より大幅に「進化した」(つまり「優秀な」)種という見方

 私の考え方では、進化と優劣とは、必ずしも一致しません。
 クロマニョン人の方が、明らかにネアンデルタール人よりも、進化した種です。
 とはいえ、「クロマニョン人の方がネアンデルタール人よりも優れている」ということは、必ずしも成立しません。
 進化と優劣とは、別のことです。(同等と見なす立場もありますが、私は否定します。関係はあるが、同等ではない。)
Posted by 管理人 at 2007年08月14日 16:21
> 今回の化石が証拠であることの根拠は何でしょうか? 共存期間が長いこと、中間の化石が見つかっていないことは「小進化の蓄積による大進化」を否定はしていないと思いますが。また「連続的変化」が無いことも否定していません。中間の化石が見つかっていないだけの可能性を否定していないからです。

 ──

 確率計算という考え方を知っていれば、すぐにわかることです。「絶対にない」というよりは、確率的にゼロ同然、ということです。

 ごく単純に考えても、はっきりとした階段状の段差が見出されて説きに、「これはなだらかな斜面だ」と主張することは、おかしいでしょう。
 
 このことを論証するのは、統計・論理学の問題ですので、ここでは示しません。わからない人にいちいち説明しません。
 実験結果を統計的にどう処理して、どういう結論を得るか、という、統計計算の問題です。実験屋ならば誰でも知っていることです。
 ただし、素人には、わかりません。私も素人向けに説明はしません。
Posted by 管理人 at 2007年08月14日 16:40
中間種については、次項で説明しました。
→ ◆ 小進化の蓄積
http://openblog.meblog.biz/article/111837.html
Posted by 管理人 at 2007年08月14日 17:32
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