「水を大量に飲む」 ──
夏バテ防止法には、いろいろとある。
高校球児には、「梅干しを食べる」という方法があり、 2007-08-10 の夕刊(朝日か読売)で紹介されていた。
なるほど、大量の汗でミネラル分が失われるのを、補給するわけだ。高校球児みたいに大量の汗をかく場合には、確かに有効だろう。(スポーツドリンクよりもずっと有効だった、という体験談がある。)
しかし、高校生みたいに若い人とは違って、中年になると、高血圧が気になる。塩分の取りすぎ。(正確に言えば、たぶん、内臓機能の衰弱によって、ミネラル分を排出する能力が低下している。たぶんね。)
そこで、中高年には「水飲み健康法」という血圧低下の方法が知られている。これを援用して、「夏には大量の水を飲む」という方法がある。
私の場合、高血圧気味ということもあって、これを実行した。
で、結果は? 血圧がどうかは調べてないのでわからないが、「夏バテ」が大幅に低下したのは事実だ。
つまり、次の図式。
「暑い、暑い、だるい、ひーひー」と言っている状態。
↓
大量の水を飲む。最低でも、コップ二杯。できればもっと。
(喉が渇いたから飲むのではなく、これ以上飲めない、という
ほど飲む。無理やり飲む。)
↓
だるさが消える。頭も体もすっきり。
今までのだるさが急に消えてなくなる。
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これは、理屈から言うと、「水分の低下による血圧低下を補う」ということなのでしょう。たぶん。
あと、「血液の水分が少なくなって、血液が濃くなって、血のめぐりが悪くなる」という効果も減じる。
また、「皮膚の発汗量が増えて、体感温度が低下する」という効果もある。
あれやこれやで、とにかく、だるさが消える。
というか、だるいというのは、もともと体の状態がおかしかったからだ。その理由は、水分が蒸発して、水分不足になっているからだ。それを直すことで、半病人の状態を直すわけだ。ホメオスタシス。
「だるい、だるい」と感じるのは、体の防御作用である。「これ以上動くと体が壊れますよ。休みなさい」という危険信号を体が発している。だから、そのときには、無理に動けばいいのではなく、体の危険状態を正常化すればいいわけだ。その方法が、「水分不足を補う」ということだ。
「喉の渇きを根性で我慢する」なんて思っては駄目だ。
ついでに言うと、中年以上は、喉の渇きの検知器が低下している。「喉が渇いたから飲もう」というのでは、駄目なのだ。
自動車のガソリンで言うと、若い人は、ガソリンが少しなくなっただけでも「ガソリン不足」の検知器が働くが、中高年は、ガソリンが空になる寸前にならないと、「ガソリン不足」の検知器が働かない。つまり、体の「水分不足」の検知器が働かない。だから、検知器が作動する前に(喉が渇く前に)水を飲む必要がある。
中高年は「自分は中古車だ」と理解しておく必要がある。
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なお、夏期における水分の発汗量は、ものすごいものだ。見えないから気がつかないが、一日に何リットルにもなる。我慢すれば少なくなるが、放っておけばどんどん蒸発するものだ。
その証拠に、私は大量に水を飲むが、夏期にはトイレにはあまり行かない。つまり、ほとんどが汗になっている。(秋に同量の水を飲むと、ほとんどが小水になるが。)
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なお、水分の取り方について。
「ミネラルウォーターを飲む」
というのは、絶対にお勧めできない。理由は、
・ コストが多大にかかる
・ 運搬のために石油を無駄にする(レジ袋以上)
ミネラルウォーターの価格は、石油の価格(税抜き価格)と同じぐらいだ。このことからして、ミネラルウォーターを飲むというのは、石油を無駄に飲んでいる(浪費している)ようなものかもしれない。馬鹿げている。
そこで、かわりに、どうすればいいか? 「水道水を飲む」というのは、しゃれっ気がない。そこでお勧めは、
「水出し麦茶を飲む」または「水出しウーロン茶を飲む」
である。
どちらにせよ、袋は一袋5円程度。それで1リットルか2リットルの麦茶かウーロン茶ができる。そいつを大量に飲めばよい。
もっと大事なのは、味がするから、無理なく飲める、ということ。ミネラルウォーターを大量に飲むのは難しい。麦茶やウーロン茶なら、がぶがぶ飲める。これがお勧め。
どこで売っているかと言えば、コンビニじゃなくて、スーパーです。ドラッグストアでも(高値で)売っている。高級品がほしければ、お茶売場で。
( ※ なお、麦茶の味に飽きたら、コーヒーを混ぜてもいい。麦茶とコーヒーは味が似ていて、相性がいいので、混ぜても変な味にはならない。かえっておいしくなる。即席コーヒーを少量、お湯で溶かしてから、麦茶に混ぜる。これで気付薬にもなるし、頭も冴える。)
【 追記 】
劇作家の三谷幸喜は、水飲み健康法を実施した。夏期でもないのに、一日に三リットル(!)。
その結果、一時間ごとにトイレに行くことになったが、別に問題はない。体調はすこぶる好調になり、お肌がピチピチになったという。(妻が驚く。)
これは不思議ではない。お肌がピチピチというのは、皮膚の水分が充填された状態のことである。若い人はそうだが、年寄りはパサパサでシワシワになる。ここに水分が充填されると、細胞がふくらんで、肌がピチピチになる。
実は、女性向けの「お肌がピチピチになります」という化粧品は、「水分を補給する」という化粧品だ。これによって、乾燥を防ぎ、お肌をピチピチにする効果がある。
で、ぴちぴちの効果が10%ぐらいあるとすると、そのために一瓶数千円〜1万円ぐらいの化粧品を買うことになる。
しかし、水飲み健康法ならば、10%どころか100%の効果がある。(外部からでなく内部から水分を補給する。完全に。)……しかも、そのためのコストは1日10円以下だ。
だから、あなたも妻に、本欄のことを教えて上げるといいですよ。「きみをすごく美しくする方法を教えて上げる

で、その魂胆は、…… 化粧品のお金を……



参考
夏バテ防止法
http://openblog.meblog.biz/article/33285.html
猛暑対策
http://openblog.meblog.biz/article/112181.html
ただ、本文に書かれていますが、若者やスポーツ大好きな健康的な中年が斜め読みして実行すると危険ですので、タイトルに「不健康な中年向け」と明記しては如何でしょうか。
不健康な人にはよく効くが、健康な人でも水飲みをした方がいいですよ。どうせ水分不足なんだから。
そのあと、塩分を追加するべきかどうかは、……その人の普段の食事内容しだい。
ま、高校球児なら、梅干しを追加するといいだろうが。ただ、梅干しを追加しなくても、だるいだけで済みます。
だるいときは休めばいい。練習のしすぎで死ぬことはあっても、塩分不足で死ぬことはありません。
夏期に一番効くのは、昼寝です。疲れを取るのに有効です。(そんなことできるか! ……と言われても、そこまで面倒は見きれない。)
いつも興味深く読ませていただいてます。
ROM専ですが気になる文があったのでコメント。
水をただ大量に飲むのは結構危険です。水を飲みすぎると電解質異常で死にますし、塩分不足ももちろん死にます。
参照:http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec12/ch155/ch155k.html
つい最近アメリカで水の飲みすぎで死亡したニュースもありました。もっとも水飲み大会で一度に7リットル飲んだそうですから、特殊なケースですね。
南堂さんがこういう飲み方を意図していないのは本文読めば分かりますが、その後のコメントは無責任な発言に見えます。誤解する人がいないとも限らないので。
それでは長文にて失礼しました。
で、一日に3リットル飲んでも大丈夫です。一日(24時間)に、ですよ。いっぺんに、じゃありません。
ま、一時間ごとにコップ一杯の水、というのなら、何も問題ありません。これで一日2リットルぐらい。いわゆる「水飲み健康法」は、このくらいの水準です。で、健康には有益です。
ただし、二リットルの水をいきなり点滴で注入したら、そりゃまあ、やばいでしょうねえ。
そりゃまあ、なんだって、病気の人にとっては、有害になるものがいろいろとあります。本項は、そういう病人(水分摂取の制限を受ける病人)の話ではなくて、健康な人の話です。
おっしゃられている通り、私も水分補給の重要性を強く感じていますが、さらに効果を上げるには冷たい水分ではなく、暖かいものにすることがより効果的です。大量に取ることが重要なので、暖かいものにするのは簡単ではないかもしれませんが、私の経験上は、冷たいものを大量に飲むのは逆効果になります。想像するに、冷たいものを大量に摂取すると内蔵が冷やされ、体を温めようと自律神経が作用し、本来冷やさなければいけない状況と不整合をきたし、結果として夏バテを促進するのではないでしょうか。
私は運動をしたとき以外は、熱いお茶を大量に飲むようにして以来、夏バテ知らずです。運動をしているとき、もしくは運動後の過熱状態では冷たい水で体を冷やすことは全く問題ないようですが。
それでも、暑いときは冷たいものが大好きなので、次の妥協案もありますね。
ちょっとだけ冷やしたものを、舌で温めながら飲む。これで体温を下げる。胃に入れるときには暖かくなるようにする。
時間を掛けて、ちびりちびりと飲むといいのでしょう。これなら実行できそう。「がぶ飲みは駄目」ということですね。うん。ためになった。
>水の飲みすぎで死ぬような人は、もともと病気です
だから僕が言いたいのは健康な人でも極端に大量に水を摂取すれば健康な人でも死亡する、ということです。参照したサイトでは腎機能に異常がある場合を引き合いに出してますが、健康な人でもやはり同様のことがおきます。亡くなったアメリカの女性は健康だったそうですよ。
まあ、僕は南堂さんの
>水を飲みすぎて死ぬことはありませんから大丈夫
>塩分不足で死ぬことはありません
この二つの発言を問題にしています。普通の人が読む分には問題ないですが、納豆でやせると思うような人たちなら誤解する可能性が高い、ということを指摘したかったわけです。
どんなものでも過剰に摂取すれば有害であり、通常生体内に存在するものは不足すれば欠乏症になるのは医学的には常識です。
根拠のない安全神話の流布は危険です。
それはともかく、夏に水分を多めに摂取するのはとても良いことだと思います。今後は不用意に人に誤解を与えないような文章を心がけてください。