2007年06月08日

◆ 生態系の維持

 地球温暖化を防ぐために、二酸化炭素の増加を防げ、ということがサミット(首脳会議)でも話題になったようだ。
 しかしこういうのは、人間のエゴからの発想にすぎない、という面もある。自分に不都合だないから改善しよう、という欲得ずくの発想だ。しかしむしろ、全生物の立場から、生態系を維持することこそ最重要だ、と思う。 ──

 先に「バイオ燃料の問題」という話題を取り上げた。
http://openblog.meblog.biz/article/85866.html

 ここでは、アマゾンの森林の開発について否定的に述べたが、アマゾンの森林の二酸化炭素吸収量はあまり多くない、という反論が来た。それはそうなのだが、たとえ少なくてもないよりはマシだ、と私は思っていた。
 ただ、そういう発想では済まないようだ。一般に、アマゾンに限らず、成熟した森林では、二酸化炭素の吸収量は少ない。(森林の成長中には二酸化炭素の吸収量が大きいが、いったん成熟すると、二酸化炭素の吸収量は少ない。)
 では、成熟した森林は、伐採してしまえばいいのか? 屋久杉のあるような環境や、(世界遺産に登録された)白神山地のブナ林は、伐採して、新たな森林にしてしまえばいいのか? アマゾンも根こそぎ伐採して、新たな植生にすればいいのか? ── いや、とてもそうは思えない。
 では、なぜ? 

 その理由は、こうだ。
 「二酸化炭素の吸収だけがすべてではない」

 では、それ以外に、何があるか? こうだ。
 「豊かな保水量」
 これがあるから、森林から多大な水蒸気が発生して、雲を生む。そのおかげで、内陸の各地にまで雨が降るようになる。
 生態系の維持にとって一番大切なのは、降水量である。降水量のためには、森林が必要だ。草地では絶対に足りない。森林こそが降水量の維持の源泉であり、これこそが地球各地の生態系の源泉だ。

 これを破壊すると、どうなるか? 次のようになる。
 「森林の伐採 → 草地・牧草地 → 荒地 → 砂漠」
 その典型が、サハラ砂漠だ。かつては豊かな森林があったのに、今では森林が消失して、砂漠になってしまった。(理由は人類の伐採や放牧のせいらしい。歴史としては古すぎるが。有史以前。)
 だから、下手をすると、アマゾンもまたそのうちサハラ砂漠のようになってしまうかもしれない。

 ここでは、危険なのは、二酸化炭素の増加ではない。砂漠化だ。そして、砂漠化の対極にあるのが、森林の維持だ。(二酸化炭素の吸収ではない。)

 アマゾンには非常に豊かな生態系がある。さまざまな動物や植物があり、微生物や昆虫があり、未知の薬剤を生み出す宝庫かもしれないともいわれる。とにかく、いったん失われた生態系は、元に戻すことができない。サハラ砂漠を元に戻すことができないように。

 ──

 結論。
 二酸化炭素の削減がいわれているが、それは人類の勝手な都合にすぎない。むしろ、生態系の維持こそ、最優先の課題にするべきだ。「美しい地球」とは、「二酸化炭素を吸収する地球」のことではなく、「緑豊かな水のある地球」である。いくら二酸化炭素を吸収しても、この地球から森林が消えてしまったら、地球は砂漠化する。いくら草地があっても、草地に降る雨がなくなるからだ。
 ある狭い領域だけを単独で見れば、森林よりも草地や畑の方が効率的だ、という見解も生じる。しかし、地球は全体として調和した生態系だ。そのなかで森林は重要な役割を果たす。森林は、森林自体のためにあるのではなく、地球全体のためにある。その森林を「数字の上では無効だ」というふうに削除してしまったら、すべては元も子もなくなる。
 人間の視野は狭すぎる。広い視野を持ち、地球全体を見ることが必要だ。
 
( ※ 細かな話は、コメント欄の 2007年06月09日 22:41 の箇所に記してある。)



 【 参考 】
 森林と海の関係についても述べておく。
 森林は滋養分を川にもたらし、その川が海に注ぐ。こうして森林は海に滋養分を与え、プランクトンが繁殖する。かくて、森林のそばを流れる川の河口の先では、海が好漁場となる。
 逆に、森林が伐採されると、その川の河口の先では、好漁場が消える。

 このことは、現在、世界規模で進んでいるようだ。ウナギも激減しているというが、それだけではない。全体的に魚の量が減少している。
 生態系はまさしく破壊されつつある。しかも、人類は、まだそのことに気づいていない。ようやく二酸化炭素について考えはじめたぐらいだ。



 【 関連項目 】
 本項で述べたことは、次の項目で発展的に述べてある。
    → 陸地温暖化説
 ここでは、より体系的に大々的に論じている。ぜひ読んでほしい。
 (本項で述べたことだけでは、まだ不十分なので。)

posted by 管理人 at 19:37 | Comment(10) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
槌田敦先生とかですか
http://env01.cool.ne.jp/ss02/ss023/ss0231.htm
Posted by kom at 2007年06月08日 20:01
上記のサイトはなかなか面白いのですが、次の二点で難があります。

 (1)
 森林の重要性を述べているのはいいが、なぜ重要なのかを述べていない。結論があるだけ。理由は「農地の有用性」であって、「森林の有用性」ではない。(私の本項では、森林の有用性が降水量との関係で述べてあるが、上記のサイトにはそういうことはない。)

 (2)
 二酸化炭素と地球温暖化との相関関係を否定しているが、科学的でない。理由は、本文の「追記」に記した。
Posted by 管理人 at 2007年06月08日 20:48
熱帯雨林は二酸化炭素の吸収源である以上に、遺伝子の宝庫であるという考え方があります。林冠が30〜50mになり、生物の通行自体が難しくなるため100mも離れると違う遺伝子をもつ生物が存在しているという専門家のお話を聞きました。

言い方を変えれば熱帯雨林が人間のまだ知らない遺伝子バンクになっているので、ガンの特効薬が発見されるかもしれないしエボラウィルスのような対策が0の伝染病がまき散らされるかもしれない。

熱帯雨林の生態系の観察自体、木々を傷つけないように飛行船をとばしたり、巨大なクレーンをつくったり、林冠のうえに通路をつくって定点的な観測を行うことが実行され始め10年程度のようですから。

二酸化炭素以上に温暖化を招く物質は水蒸気です。水蒸気により雲が生じれば惑星アルベドが大きくなり太陽熱での気温上昇は起こりにくくなります。雲を生じること自体は地表から熱を奪う働き(蒸発熱)ということでネガティブフィードバックとしてはたらくのではないかという説は否定しきれません。

モントリール議定書でオゾン層破壊を招く特定フロンの生産・使用禁止は効果を示しつつあります。しかし、オゾン層破壊を避けるための代替フロンの地球温暖化に寄与する性能が高く二酸化炭素の数万倍。まだ余り問題視されていません。

日本の森をみて自然だという人が多いでしょうが、多くは戦後の植林により単一生物の杉ばかりです。そこにあるものは自然ですが、天然ではありません。単一生物でおおわれた土地はその生物を害する何かがやってきたときすべてが死に絶えます。遺伝子の多様性が必要視されるのは、この逆の見方なのでしょう。
Posted by kks at 2007年06月08日 21:40
同じ質問ですが、こっちにも書いておきます。
私は熱帯雨林が二酸化炭素を吸収しているという考えに疑問を持っています。
熱帯雨林が継続的に二酸化炭素を吸収し続けていると考えている方は、その吸収された二酸化炭素中の炭素がどこへ行くと考えておられるのでしょう?
・森林の樹木がどんどん増えている?
・森林の下に大量の腐葉土や石炭がどんどん貯まっている?
・アマゾン川から大量の有機物が流れ出し、最終的に海底にメタンハイドレートがどんどん貯まっている?
Posted by はる2 at 2007年06月09日 22:32
本文中に書いてあるとおりです。
熱帯雨林自体ではあまり吸収しなくても、周囲の草地に雨を降らせ、海に植物プランクトンを発生させ、地球規模で炭酸ガスを吸収します。

たとえば、砂漠化を阻止して、地球の温暖化を防ぎ、気温を下げることで、海水中の炭酸ガス吸収量を高めます。

要は、熱帯雨林の役割は、熱帯雨林だけを見ていてもわからない、ということ。……本文中にちゃんと書いてありますよね? いちいち繰り返すまでもないことですが。
Posted by 管理人 at 2007年06月09日 22:41
石炭はできません。地質時代の石炭紀には分解を司る細菌がまだ発生していませんでした。ですから、古代のシダ植物が倒れ、地質のかなで編成し化石・石炭となっていったのでしょう。

光合成により空気中の二酸化炭素(400ppm弱)と水と太陽の光をうけ、適当な温度が存在している場所ならば植物は生育していきます。生長の過程では二酸化炭素を取り入れるし、呼吸のための酸素も取り入れて植物体を大きくしていきます。十分に大きくなり、成長が止まった時には倒れたり山火事にあったり、伐採されたりするでしょう。倒れたものは微生物によりエネルギーを取られ、腐る時に二酸化炭素と水を発生します。燃えれば、セルロースの燃焼ですから空気中に二酸化炭素と水を発生します。一番炭素循環からして望ましいコースは、木を木としてつかう、家や家具に使うということです。炭素循環の際集団が炭素固定として安定に残りやすいからです。

木々が増えていくといっても、林冠をしめる早く伸びた大きな木が有利であり、下の方は水も光も輪幹部ほど潤沢に落ちてこないので暗い世界になっていることでしょう。

ただ、大木が倒れたところには倒れた木を養分として空いた空間から雨と太陽の光を得て、また小さな木が育ち始めます。その繰り返しでしょう。
Posted by kks at 2007年06月09日 22:50
管理人の返答は何の答にもなっていません、
周囲の草地に雨を降らせ、海に植物プランクトンを発生させることが、なぜ地球規模で炭酸ガスを吸収することになるのか、全く説明されていません。
Posted by はる2 at 2007年06月10日 18:33
もうちょっと説明(一度で書けず、すみません)。
海の植物プランクトンは他の生物の餌になってしまい、二酸化炭素に戻りますし、草地の植物も動物の餌になって二酸化炭素に戻ります。
多様な生態系を支えるという意味では熱帯雨林は重要でしょう。しかし、それと二酸化炭素の継続的な吸収とは話が別です。
二酸化炭素を継続的に吸収している場所がないとは言いません。たとえば尾瀬では植物が完全に分解されずに泥炭層になって積もっていきます。こういうところでは二酸化炭素が継続的に吸収されるでしょう。しかし、尾瀬は熱帯雨林よりはるかに狭い!
あとは海底のメタンハイドレート。これが植物が起源であって、なおかつ毎年増えているなら、その分二酸化炭素は吸収されているでしょうが、まだよくわかっていないのではないでしょうか。
Posted by はる2 at 2007年06月10日 18:48
ちょっと考えたのですが、生物として保持される二酸化炭素(というより炭素)のバッファー量を増やせば大気中の二酸化炭素は減るのでは?
だから、植物を増やすこと減らさないことは、植物自体が二酸化炭素をバッファーすることと、植物を食べる動物にバッファーされることで、二重の意味がある。
Posted by T.M. at 2007年06月11日 19:22
熱帯雨林の二酸化炭素吸収力を試すために
いちど熱帯雨林を枯れ葉剤で全て消し去るの
が良いでしょう
Posted by mugu at 2007年06月13日 20:43
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