・ ベルヌーイの定理で、翼の上方の圧力が低いから。
・ (ボールの)渦の原理で、空気が下方に押し出される反作用。
二つとも読んだ人は多いだろうが、素直に納得できない人が多いようなので、私なりに解説を示す。 ──
まず、二つの説を解説する。
(1) ベルヌーイの定理
翼の上面がふくらんでいて、翼の下面が平らだと、上面を流れる空気の方が高速である。そこで、圧力が低下するので、上向きの力が発生する──というわけ。
(2) コアンダ効果
粘性のある流体が物体にぶつかると、流れを変えられて、流れが下方に変わることがある。その反作用として、物体は上方に向かう。
渦がその例だ。ボールで直球を投げると、前側が上に向かい、後側が下に向かうような、回転が起こる。その結果、粘性のある空気は、ボールの後方で、下方に押し下げられる。その反作用として、ボールは上方に向かう。
出典 http://hitomix.com/taruta/paperplane/Bernoulli.html
( ※ 書籍にも情報はある。竹内 薫・著「99・9%は仮説」など。)
──
どっちが正しいか、と言えば、(2) の方が正しいと思う。
ただし、後者の主張者は、次のように語る。
「形は揚力を決めるうえで最も関係のないことです。もし翼の形が大事だとしたら、逆さ飛行はできないことになりますよね。」
解説文では、こうある。
「翼の形は揚力には無関係だというのが、アンダーソンの考えだ。大事なのは迎え角 (気流が翼に当たるときの角度) だという。迎え角が増えたり、速く飛んだりすると、より多くの空気が下に押され揚力が増すという。」
しかし、これは眉唾だ。「関係ない」ということを言うには、「まったく関係ない」ということを示すことが必要だ。
しかるに、上記の実例からわかることは、「あまり大きな要素ではない」というだけのことであり、「まったく関係ない」とまでは言えない。
つまり、「関係ない」というのは、言い過ぎ。
では、正しくは?
──
私なりに説明しよう。
(2) の結論は正しいが、根拠が正しくない。正しい根拠は、次の通り。
最も重要なのは、次のことだ。
「力と仕事とは異なる」
これは物理学の基本原則だ。たとえば、開かないドアに力をかけて、ものすごい力をかけても、ドアが動かなければ、仕事をしたことにはならない。
力をかけるということと、仕事をするということは、別のことである。
同様に、シーソーがある。右側には 30キログラムの重みかかかり、左側には 60キログラムの重みがかかったとする。左側には、倍の力がかかっている。では、左側の力によって、シーソーは傾くか? 否。てこの原理があるので、支点との距離しだいでは、両方が釣り合うこともある。
60kg 30kg
■■ ■
△
力をかけるということと、仕事をするということは、別のことである。
では、翼の場合は?
ベルヌーイの定理では、「翼の上側の圧力が低いので、上向きの力がかかる」とされる。なるほど、そうだろう。
しかし、「上向きの力がかかる」からといって、飛行機が落ちないということにはならない。落ちないというのは、「落ちているのと同時に上昇している」ということだから、「上昇している」という仕事がなされているのだが、力と仕事とは別のことだから、「力がかかる」ことを説明しても、「仕事がなされる」ことを説明しない。
↑ ●
| ●
| ●
| ●
| ● 飛行機は、実際は、落下している。
| ● 同時に、矢印で示した垂直量の分、
| ● 上昇している(仕事をしている)。
● 差し引きすると、相殺する。
──
では、「仕事がなされる」ことを説明するには? それには、次のことを言えばいい。
「空気が全体として下方に押し下げられる」
この仕事の逆作用として、次のことが起こる。
「飛行機が上方に押し上げられる」
系の全体としては、仕事がなされないようにするには、空気と飛行機の全体で、重心が変化しなければいい。とすれば、空気が押し下げられた分、飛行機が押し上げられればいい。
以上のようにして「仕事」という概念で、「飛行機は落ちない」(落ちているのと同時に上昇している)ということが説明される。
ここでは、「力」よりも「仕事」が重要なのだ。
したがって、(2) の発想はだいたい妥当であるが、「力」で説明している点がちょっとピンボケだ、ということになる。
──
もう少し説明しよう。
(1) と (2) のどちらが妥当であるかは、翼の上方と下方の空気を見ればわかるのではなくて、翼の後方にある空気がどう流れているかを見ればわかる。
翼の後方にある空気は、そのまままっすぐ後方に流れているか? もしそうであれば、ベルヌーイの定理で説明されることになる。しかし現実には、そうではない。
翼の後方にある空気は、そのまままっすぐ後方に流れているか? いや、そうではなく、空気は下方に押し下げられる。そのことゆえに、(空気の下降の反作用で)翼には大きな上昇力がかかる。
誤
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- - - - ━━ - - - - -
- - - - - - - - - - - -
正
- - - - - - - - - - -
- - - - ━━ \
- - - - - - - \ \
これを理解するには、蛇口からこぼれる水道水にスプーンを当てるといい。スプーンにはかなり大きな力がかかる。ベルヌーの定理による圧力差は、たいしたことがないのに、かなり大きな力がかかる。なぜか?
よく見ると、スプーンを伝わる水は、まっすぐ下方に落ちるのではなく、スプーンによって流れの向きを変えられている。凸面とは逆の方に水が飛ばされている。これは大きな力だ。(水の質量が大きいから、力も大きくなる。)だから、その反作用としての力で、スプーンにはかなり大きな力がかかる。……ここでは、圧力差よりも、水の質量が重要である。
結局、「流体の流れを変えること」というのが、力ないし仕事の源泉だ。
[ 補足 ]
( ※ スプーンの場合、圧力差はほとんどない。なぜか? 大きな水流のなかにスプーンがおかれているわけではなくて、スプーンの凸面の側だけに、小量の水が流れているだけだからだ。この場合、水の流れの速度はずっとほぼ一定である。圧力はどこもかも、ほぼ1気圧である。だから、圧力差というものは、ほとんどない。ただし、凸面の側を伝わった水は、方向を変えられる。そういう水の噴射力のような力は、確実にある。)
( ※ スプーンの場合、スプーンがわずかに傾くと、力がもはや生じなくなる。なぜか? (1) のベルヌーイの定理では、説明ができない。しかし、(2) ならば、説明がつく。スプーンがわずかに傾くと、水の流れは垂直になる[真下に流れる]からだ。……こうして、(2) によってうまく説明がつく。)
──
「流体の流れを変えること」というのが、力ないし仕事の源泉だ。
では、なぜ、流体の流れは変えられるのか? それが問題だ。
そこで、いろいろと理由が考えられる。
翼なら、次のようになる。
・ 翼の上面にあるふくらみで、翼の上面にある空気の流れが変わる。
(スプーンを伝わる水と同様)
・ 翼の下面にぶつかって、翼による反発力で空気の流れが変わる。
この両方があるだろう。
前者の分は、ベルヌーイの定理にかなり似ているものだ。
後者の分は、(2) の論者であるアンダーソンの主張だ。
私としては、その双方がある、と考える。アンダーソンが後者ばかりを認めて、前者を無視するのは、妥当ではない、と考える。
──
なお、(2) のように考えると、自動車のスポイラー(トランクの上に付ける小さな翼)が、なぜ有効であるかもわかる。
ここにスポイラーを付けても付けなくても、ベルヌーイの定理の効果は、ほとんどない。しかし、コアンダ効果の効果は、非常に大きい。
スポイラーがなければ、空気は(凸形の車体の)曲面に沿って流れてから、自動車の背後でさらに下方へと押し下げられるだろう。その結果、空気が下げられる反作用で、自動車は押し上げられるだろう。
スポイラーがあれば、空気は(凸形の車体の)曲面に沿って流れてから、スポイラーのところで流れを変えられる。本来ならば、さらに下方へと押し下げられるはずったが、そうならずに、空気の流れはほとんど水平(または上向き)になる。
だから、スポイラーは、水平でも構わない。「空気が下向きに流れる」というのを防止する効果があればよく、「空気が上向きに流れる」という効果は特に必要ない。
こうして、水平状のスポイラーが有効である理由がわかる。このことは、ベルヌーイの定理からは、説明できないことだ。
( ※ 水平のスポイラーを付けることは、非常に有効である。自動車が高速で運転する場合には、かなりのダウンフォース[下方力]を得ることができる。スポイラーがないと、車体がいくらか浮き上がるようになることが多い。通常、時速百キロをかなり超えた走行では、自動車の車体は5センチぐらい浮き上がる。スポイラーがあれば、その浮き上がりの効果を抑止できるので、車体が安定する。)
──
もう一つ、飛行機の翼の「フラップ」の問題がある。
飛行機が離陸するとき、フラップを使う。このことによって、非常に大きな揚力が発生する。
ではなぜ、フラップを使うのか?
「ベルヌーイの定理」の発想では、理由を説明できない。
「コアンダ効果」の発想なら、まさしく理由を説明できる。(フラップによって)気流を下に向けることこそ、揚力を得る原理だからだ。
※ 飛行中には、フラップを使わない。速度が高くなると、フラップの後方で、空気が剥離してしまうので、ひどい減速をもたらす抵抗になるからだ。ここでは、揚力ではなく、水平方向の速度の面で、フラップを使わないことになる。これはこれで、別の話。
結論。
「百トンもある重い飛行機がなぜ飛ぶのか?」
という疑問には、次のように答えればいい。
「百トンの空気を下方に押し下げるから、その反作用で飛行機は浮き上がる」
これは、ロケットと同様の原理である。ロケットは噴流を下方に飛ばすから、その反作用で、ロケット本体が上昇する。飛行機もまた、同様の原理による。
ベルヌーイの定理だの揚力だの、そんな言葉は必要ないし、見当違いだ。単に、「百トンの空気が下方に下がるから」と答えればいい。
百トンの空気というと、大変なように見える。だが、飛行機が高速で進行すれば、ぶつかる空気の量だって大量になる。逆に言えば、それだからこそ、飛行機は高速で進行する必要がある。多くの空気とぶつかるために。多くの空気を押し下げるために。
ここで大事なのは、次のことだ。
「空気は目には見えないので、百トンもあるとは思えない。しかし、莫大な空気を見れば、百トン分ぐらいの効果はあるのだ。見えない空気の重みを理解することが大事だ」
( ※ なお、空気の「百トン」という数字は、あやふやなところがある。量は少しでも高速で吹き飛ばせば、同様の効果は得られるからだ。ともあれ、「百トン」という数字自体は、あまり意味はないが、イメージ的に理解してほしい。……初心者向けの直感的な話として。)
教訓。
「力と仕事の区別をすることは大切だ」
ということは、物理学の初歩で学ぶことだ。
しかるに、その初歩的な知識をおろそかにして、高度な数式ばかりを追っていて、物事の本質を見失ってしまう人が多い。
物理の専門家ですら、こういうふうに錯覚しがちなのだ。数字として目に見えやすい「力」ばかりを追っていて、ちょっと抽象的な「仕事」の方を見失いがちだ。
ともあれ、人々は、目に見えるものばかりを追いすぎる。そういう難点がある。
( ※ なお、その典型は、「観測されたものだけが存在する」という、量子力学における妄想だ。この狂気の妄想については、前日分で説明した。)
【 追記1 】
なお、流体力学のシミュレーションでは、飛行機が上昇するのをうまくシミュレーションすることができないことが多い。(誤差が増える。)
これは当然の話で、翼のそばの空気ばかりを見て、圧力計算なんかをやっているからだ。(ベルヌーイの定理ふう。)
本当は、翼のそばではなく、翼の後方の空気こそが重要だ。翼の後方で、空気がどれほど下方に押し下げられているか、ということこそが、揚力の源泉となる。そこをちゃんと計算することが必要だ。
ダメ: (翼付近だけを考える)
|
OK: (後方を広く考える)
|
【 補注 】
この考え方が妥当であることは、次のことからわかる。
上記の翼(主翼)は、少し仰角がある。だから、主翼の背後で、下向きの空気の流れがある。
さて。ここで、主翼の背後で、少し離れたところに、水平の補助翼があるとしよう。(離陸時の補助翼[フラップ]は、仰角が非常に大きいが、それとは逆に、仰角がゼロで水平になっている補助翼。)
─ ━
主翼 補助翼
水平の補助翼は、上記の「下向きの空気の流れ」を阻害する。すると、どうなるか? 翼は揚力を失ってしまう。
水平の補助翼は、揚力を打ち消す。このことは、上記の理論からは説明できるが、ベルヌーイの定理からは説明できない。ベルヌーイの定理によれば、翼の背後に、水平の補助翼があってもなくても、翼の上面と仮面の圧力差には影響しないはずだからだ。
しかし現実には、水平の補助翼があれば、主翼の揚力は打ち消される。そのことは、実験的に調べることもできる。また、自動車の「水平スポイラー」でも、同じ効果が見られる。(自動車の背後には、下向きの空気の流れがある。水平スポイラーがあれば、下向きの空気の流れは、水平の空気の流れになる。すると、下向きの空気の流れの反作用としての揚力は、車体から消える。)
【 追記2 】
結論。
まとめふうに結論を述べよう。
「飛行機はなぜ飛ぶのか?」
という問題は、次のように書き換えられる。
「飛行機はなぜ落下しないか?」
その問題に対する解答は、次の通り。
飛行機は実は落下している。ただし、落下するのと同時に上昇しているので、落下していないように見えるだけだ。
ではなぜ、飛行機は上昇しているのか? 飛行機が上昇するのと同じ分、空気が下降しているからだ。
これは、エアコン暖房の原理と同じである。エアコン暖房では、室内の空気を暖め、室外の空気を下げる。差し引きして、トントンだ。エアコンのエネルギーは、室内と室外で熱を移動させるために消費される。こうすると、少ないエネルギーで、室温をたくさん温めることができる。
飛行機も同様だ。飛行機をそれ単独で上昇させるには、多くのエネルギーが必要となる。しかし、空気を押し下げて、飛行機を上昇させるのであれば、少なめのエネルギー消費で済む。そこで、飛行機は、そのためにエネルギーを使う。
「空気を下降させて、飛行機を上昇させる」
という目的のために。
かくて、飛行機によるエネルギー消費によって、二種類の質量は反対方向に飛ばされる。空気は下方へ。飛行機は上方へ。……かくて、飛行機は、上昇する。
飛行機の翼は、「空気を下方に押し下げる」という目的のために、最適化されている。もう少し正確に言えば、こうだ。
「『飛行機が前方に移動する』ということを、『二つの質量が反対方向に移動する』ということに転換するために、飛行機はエネルギーを消費する。そのエネルギー消費が最も効率的になされるように、翼は最適化される」
【 追記3 】
最適化の話題のついでに、エンジン配置の最適化についても述べておこう。
飛行機のジェットエンジンは、翼の下に付けるべきか翼の上に付けるべきか? 原理によって、結論が異なるはずだ。
(1) ベルヌーイの定理
ベルヌーイの定理に従うなら、翼の下の圧力を高めればいい。したがって、エンジンは、翼の下で、翼の少し前に置くといい。(噴気の分だけ圧力が高まる。)
( ※ 別案で、「翼の上で、翼の少し前」という案もある。高速の噴流のせいで、その部分ではベルヌーイの定理により圧力が低下する、というわけ。)
(2) コアンダ効果
コアンダ効果に従うなら、翼の上の流速を高めればいい。従って、エンジンは、翼の上で、翼の少し後方におくといい。コアンダ効果によって翼の後方の空気は稀薄になっているから、そこに噴気を押し込む形で、コアンダ効果をいっそう高めるわけだ。
──
航空力学の常識では、エンジンは「翼の下」である。たとえば開発中の、ボーイング787 がそうだ。
しかし最新型のホンダジェット は、翼の上にエンジンを置いている。このことであれこれと実用的な利点もあるということだが、燃費効率がとても改善しているらしい。「画期的な新発想」ということで、何かの航空学会賞をもらった、という話を聞いたこともある。(うろ覚え。)
ホンダジェットの発想は、従来の理論からは「常識破り」であるが、本項における私の理屈からすれば、ホンダジェットの発想はごく自然だ、というふうになる。
現代の飛行機は、燃費を非常に重視しているのだから、エンジンは翼の上に付けるのが妥当だと思いますがね。将来的には、そうなるんじゃないでしょうか。
【 追記4 】
従来の説と本項の説で、大きく違いが出る例を示す。
それは、三菱の小型ジェット機 MRJ のデザインだ。下記の画像を参照。
→ http://bit.ly/dK9tx3
この小型ジェット機は、尻のあたりが「尻上がり」になっている。
しかし、「尻上がり」になるということは、本項の立場からすると、非常に具合が悪い。空気の流れが尾部で上向きになってしまうからだ。むしろ、「尻下がり」にするべきだ。
ただ、「尻下がり」にすると、水平尾翼の取り付け方が難しくなる。そこで、水平尾翼は、胴体の最後尾にはせずに、最後尾よりも十メートルぐらい前に付けることにする。また、垂直尾翼は、尻下がりの胴体から上に伸びるので、やや大きめの垂直尾翼となる。
とにかく、「尻上がり」は絶対にダメだ。それが本項の説による結論だ。
現状のように「尻上がり」にすると、必要な揚力を得にくくなるので、燃費がかなり悪くなると思う。デザインの変更をして、改めて空力計算をしてみた方がいい。
また、エンジンも、主翼の下から主翼の上に位置を変えて、改めて空力計算をしてみた方がいい。
また、鼻先も、下向きにするよりは、単純に真ん中でとんがっている形にするべきだ。(下向きだと、揚力にとって不利だから。)できれば、空気を上下よりも左右に分けるようなデザインにするといい。
本項の立場からすると、この三菱の小型ジェット機は、あまりにも無駄が多すぎて、燃費が良くないはずだ。時代錯誤の古臭いデザインである。
【 追記5 】
「ベルヌーイの定理」による説明には、次の三つの難点がある。
(1) 飛行機が飛んでいるとき、翼にわずかな仰角があること。
(2) 飛行機が飛び立つとき、翼に大きな仰角があること。
(3) 飛行機が飛び立つとき、補助翼(フラップ)を下げること。
(1)
飛行機が飛んでいるとき、翼にわずかな仰角がある。──このことは、ベルヌーイの定理からは、説明されない。(コアンダ効果からは説明される。)
(2)
飛行機が飛び立つとき、機首を上げるので、翼に大きな仰角が生じる。このことで、大きな揚力が生じる。──このことは、ベルヌーイの定理からは、説明されない。(コアンダ効果からは説明される。)
(3)
飛行機が飛び立つとき、フラップを下げて、大きな揚力を得る。──このことは、ベルヌーイの定理からは、説明されない。(コアンダ効果からは説明される。)
以上の (1)(2)(3) を見ればわかるとおり、飛行機が飛んでいるとき、または、飛び立つときには、主翼の仰角や、フラップを下げることが、揚力にとって重要な要素となる。
しかるに、ベルヌーイの定理からは、このことが説明されない。仮に説明するとしたら、こうなる。
「飛行機は揚力を高めるために、(翼に仰角を与えるかわりに)翼を厚くするべきだ。板のように平べったくするかわりに、かまぼこののように分厚くするべきだ」
しかし現実には、そんなことはしない。翼を厚くするかわりに、仰角を与える。(翼を厚くすると、空気の剥離が起こりやすく、減速要因となるので。)
というわけで、ベルヌーイの定理で説明するのは、不適切なのである。「主翼の仰角」や「フラップの役割」を説明するには、コアンダ効果の概念が必要となる。
※ 「コアンダ効果」というのは、ここでは、「空気を押し下げることにより、飛行機が上昇する」ということを意味する。
【 追記6 】
ベルヌーイの定理では、「主翼に仰角がある」ことが説明できない。なぜなら、「主翼に仰角がある」よりも、次のことの方が取られるはずだからだ。
・ 主翼の上面を丸っこくする。
・ 主翼の下面をざらざらにする。
前者は、主翼を厚くすることで、可能になる。
後者は、ゴルフボールのディンプルのように、ざらざらした感じにすれば、可能になる。
この両者はいずれも、ベルヌーイの定理の効果を高める。だから、ベルヌーイの定理に従うのであれば、この両者を取るべきだ。
現実には、そうしないで、主翼に仰角を付ける。そのことで揚力を得る。にもかかわらず、ベルヌーイの定理で説明する人は、仰角による揚力について言及しない。
実を言うと、仰角による揚力だけでも、かなり多くの揚力を得る。そのことは紙飛行機を見てもわかる。また、飛行機が上下反転しても飛べる(逆さま飛行ができる)ことからも、はっきりとわかる。仮に、ベルヌーイの定理だけで飛行機が飛んでいるとすれば、飛行機は逆さま飛行ができないはずだ。
結局、ベルヌーイの定理よりは、仰角の効果の方が、はるかに大事なのだ。
( ※ そもそも、ベルヌーイの定理は、液体の定理であって、気体の定理ではない。液体ならば「体積が一定である」という要件が成立するが、気体ではそれが成立しない。)
【 追記7 】
飛行機が飛ぶ理由を「空気を押し下げるから」と説明するのは、「作用・反作用の法則」で説明することに相当する。
これが妥当であることを理解するには、次の質問を考えるといい。
「ロケットはなぜ上昇するのか?」
この質問に、次の二通りで答えることができる。
・ ロケットの(噴出口の)下では圧力が高いからだ。
・ ロケットは噴気と周辺空気を押し下げるから、その反作用で。
このどちらでも説明できる。どちらが正しいとか間違っているとかいうことはあるまい。ただし、どちらが妥当かと言えば、後者が妥当だ。
後者ならば、作用・反作用の法則に還元しているので、説明になっている。
前者ならば、「下方では圧力が高い」というのは、「上向きの力がある」ということであり、「上に移動する」ということである。つまり、単に(論理的な)置き換えをしているだけであって、説明にはなっていないのだ。これは、説明というよりは、言い換えにすぎない。それゆえ、説明としての妥当性がない。
というわけで、「ロケットはなぜ上昇するのか?」という質問については、「噴気と周辺空気を押し下げるから」というふうに答えるのが妥当である。
そして、飛行機についても、ほぼ同様となる。
【 追記8 】
ベルヌーイの定理による説明が間違いであることは、簡単に説明できる。「ベルヌーイの定理」だけがあって、「コアンダ効果」がない、という場合を、検証すればいいのだ。
(1) 通常
まずは、通常の場合を測定する。かまぼこ型の翼を水平に置いて、そこにかかる揚力を測定する。(これはごく普通の場合。)
この場合、「ベルヌーイの定理」と「コアンダ効果」は、どちらも働いていると見なせる。
(2) コアンダ効果の削除
次に、コアンダ効果の削除された場合を計測する。それには、どうするか? かまぼこ型の翼を水平に置いて、さらに、その最後尾から水平状に板を延ばせばいい。横から見ると、
♭
を左右反転させてから、右に 90度回転させた形。
または
∩
のような形。
この場合、風は、左から来て、右へ去っていく。ただし、翼の最後で、水平の板によって整流される。そのせいで、風は、翼の下方(つまり右下)に押し下げられることがない。単に右方向に流れていくだけだ。
この場合、「コアンダ効果」はないし、「作用反作用の効果」もない。それでも、「ベルヌーイの定理」の効果はある。
では、この場合、 (1) と同じだけの揚力は生じるか? ……それを計測すればいいだろう。
( ※ 私の予想では、 (2) の場合の揚力は、 (1) に比べて非常に小さい、と思う。形状しだいでは、揚力の値がマイナスになる可能性すらある、と思う。理由は、翼の先端で負の揚力を受けるからだ。)
( ※ 翼の尾部にある水平状の板は、揚力を減らすはずだ。その効果を、現実に利用したのが、自動車の水平スポイラーだ。水平スポイラーは、ただの水平状の板だ。それでも、かなり強力なダウン・フォースを発生する。なぜか? 自動車の尾部で、空気が下方に流れることを阻止するからだ。……ここでは、空気が下方に流れるのを阻止するだけで、かなり強力なダウン・フォースを発生する。これは、すぐ上に述べたことを、実証する。)
【 追記9 】
本項について「トンデモだ」と批判する記事があった。
→ Yahoo 知恵袋
これは、「トンデモだ」と批判する声の常に漏れず、これ自身がトンデモである。そこで、初心者向けに、説明しておこう。
(1)
第1に、上記の見解は、内容が空っぽである。本項を「トンデモだ」と批判しているが、単に悪口を書いているだけで、「これこれの理由でトンデモだ」または「これこれの理由で間違いだ」という説明が一切欠落している。
このような態度は、あまりにも非科学的だ。「論拠を示さずに悪口だけを書いてはならない」という基本常識が欠落している。(その点、私は、ここで理由を列挙しているので、上記のトンデモ氏とは違う。)
(2)
第2に、私の意見と他人の意見とを、混同している。本項は、基本的には、私の独自の意見は何もない。コアンダ効果であれ、作用・反作用であれ、私の見解ではない。以前からある見解だ。私はそれを紹介して、わかりやすく説明しているにすぎない。
私の意見が何もないのに、私の話を「トンデモだ」と批判するとは、これいかに? 滅茶苦茶の極みだ。「説明が不適切だ」という文章非難ならば、まだわかる。しかし、もともと独自の説がないのに、「トンデモだ」と批判するのは、あまりにも滅茶苦茶である。
( ※ 一般に、「トンデモだ」と批判される人は、それ自体の独自の説がある。私は独自の説を何も示さず、単に他人の説を説明しているだけだ。どうせ「トンデモだ」と批判するのであれば、コアンダ効果や作用・反作用の法則を批判すればいい。私を批判するのは、ほとんど言いがかり。……こういう言いがかりをするところからして、上記の人がトンデモふうであることがわかる。)
(3)
第3に、これが大事なのだが、「渦理論で説明できる」というのは、まったく説明になっていない。文章読解力がゼロだ、と言われても仕方ない。
ここでで話題になっているのは、「飛行機が飛ぶことを数値計算できるか否か」ではない。なるほど、数値計算できるか否かならば、「渦理論で計算できる」と言える。しかし、いくら計算できても、それでは「なぜ飛ぶのか」を説明したことにはならないのだ。
なぜか? 「渦理論」は、原理ではないからだ。ただの計算法にすぎないからだ。ここのところを、彼は根本的に勘違いしているようだ。(だから、文章読解力がゼロ。)
作用・反作用ならば、物理学の基本原理であり、さまざまなこととに共通して使える一般理論となる。しかし、渦理論なんて、流体中の物体の圧力計算をするための、専用の理論である。そんな「専用の理論」では、計算することはできたとしても、「なぜ?」ということに解答を与えたことにならない。ここでは、計算はできても、原理の説明はできていないのだ。
つまり、質問者は「Why?」という質問をしているのだが、それに対して、「How much?」への答えを与えてしまっている。これでは全然、解答になっていない。
比喩的に言おう。ベンツの自動車は、値段が高い。これに対して、「どうして?」と理由を尋ねた客がいた。彼は「こういう性能や装備があるからです」という理由を期待した。ところが、お馬鹿なセールスマンは、そういう説明を一切せずに、「××万円です」という価格だけを伝えた。「これが最も正確な数値です。数値は正確に判明しています。数値がわかっていないということはありません」と答えた。客は頭に来て、「なぜ高いかを聞いているんだよ!」と再質問した。すると、お馬鹿なセールスマンはふたたび、「××万円です。間違いありません。ほら、このカタログに書いてあるでしょう?」とカタログを示した。客は頭に来て、「いくらじゃなくて、なぜかを聞いているんだよ!」と怒鳴った。お馬鹿なセールスマンは得意げに答えた。「だから、このカタログにこの値段が書いてあるから、そうなんですよ。カタログの値段が理由です。わかりましたか?」……客は、それを聞いて、呆れはてた。
ここで、いかにトンチンカンな食い違いがあるか、よくわかるだろう。「なぜ?」という質問に、「これだけ」という量を告げても、答えになっていないのだ。
(4)
本質的に言えば、こうなる。
「飛行機にかかる圧力はどうなるか?」
という問題については、渦理論で一応、定量的に計算できる。しかし、なぜそういうふうになるのかは、原理的に説明されていない。「なぜ」ということはよくわからないまま、仮説ふうに渦理論を採用して、計算してみたら、どういうわけか、計算と現実とがかなり一致した、というだけのことだ。
そして、「渦理論ではどうしてそうなるか?」という原理については、何も説明されていない。つまり、問題を一つ先送りしているだけのことだ。「飛行機はなぜ飛ぶのか?」という問題が、「渦理論ではなぜそうなるのか?」という形に先送りされただけだ。
結局、「なぜ?」という疑問には、渦理論そのものは何も答えていない。問題を先送りして、隠蔽することで、問題がなくなったかのように見せかけているだけのことだ。渦理論そのものは、「なぜ渦理論ではそうなるのか?」ということに答えていないからだ。
( ※ 簡単に言えば、「飛行機はなぜ飛ぶのか?」という質問に、「渦理論で説明できます」と答えるのは、「コンピュータのシミュレーションで計算できます」と答えるのと大差ない。全然、答えになっていないのだ。トンチンカン。)
(5)
さらに言えば、渦理論は十分に正しい理論だとは見なされない。今日では、シミュレーションによる数値解析が主流であり、渦理論はその近似的なモデル理論にすぎない。
また、シミュレーションによる数値解析すら、厳密には正しいとは言えない。だから、空力計算だけで済ませずに、風洞モデルが絶対的に必要となる。
ロケットの軌道ならば、数値計算だけで十分なのだが、飛行機の空力については風洞実験が不可避なのだ。「理論的にすべてが解明されています」と述べる上記の Yahoo知恵袋の回答者は、航空力学のことを何も知らない素人だ、と批判されても仕方あるまい。
( ※ 学校の勉強だけをして、航空の実務のことを何も知らないから、こういうふうに「理論ですべて解明されている」というふうに威張り散らすようになる。困った半可通ですね。)
(6)
渦理論というのは、簡略化した近似モデルの理論であるにすぎない。簡略化した近似モデルを使うと、現実にかなりよく一致する数値結果を得ることができることもある。そういう有益な点はある。
しかし、だからといって、現実そのものが簡略化した近似モデルのようになっていると思い込むとしたら、ひどい勘違いだ。
工学系の研究者は、しばしばこの落とし穴に はまる。
(7)
とにかく、真実を知るには、結果としての数値だけでなく、奥にひそむ原理を知ることが大切だ。この両者を勘違いしないようにしよう。
例示的に言おう。iPS 細胞を作る方法はわかっているが、「なぜ iPS 細胞ができるのか?」「なぜ遺伝子が初期化されるのか?」という原理は、わかっていない。ここで、「iPS 細胞を作る方法はちゃんとわかっているのだから、理論的にすべて解明されているのだ」と威張り散らしても、何にもならない。実用的な操作法がわかっているということと、物事の奥にひそむ真理が解明されたということとは、まったく別のことなのだ。
一般に、工学系の人には、その違いがわからないようだ。彼らは「Why」を考えず、「How」ばかりを考える。
( 参考 → Why と How many )
【 関連項目 】
→ エクリプスECJ
→ 小翼(ウィングレット)と省燃費
タイムスタンプは下記。↓
また、途中に、[ 補足 ]を加筆しました。(スプーンの話。)
タイムスタンプは、下記。↓
自分は学生時代に流体力学をやっており、ベルヌーイの定理の数式上では理解はしておりましたが、実感できませんでした。勝手に水遁の術みたいに「落ちる前に前方に進む」的なイメージを持っておりました。
管理人様のご説明で一つ疑問がありましたので、質問させてください。
後方流が下方へ向かう反作用により翼に揚力が発生するとのことですが、力が掛かる点と物体重心のバランスがずれているかも知れず、回転運動も始めてしまうのではないかと思いました。
例えば、F1などフォーミュラ・カーのグランドエフェクトを考えると、リア・エンドのディフューザにより上方の力が掛かると考えられますが、フロントが持ち上がること(ピッチング)はないようです。確かにフロント側にも翼がついていますが、近年グランドエフェクト効果を制限され続けたにもかかわらず、フロントの翼形状は大して変更がありませんでした。
F1よりも大きなグランドエフェクトを発生するINDYカーなどは、フロント翼は整流程度の非常に小さいものです。
これらを考察すると、流れの経路変更による力は、その場所から前方にあるその物体の重心付近に与えられていると考えられます。
この力の発生原理を説明する場所と実際の力点とのズレは、どのように説明できるのかご教授ください。
そこまでは私も考えていませんでしたが、改めて考えると。……
(1) 巡航状態
巡航状態では、揚力中心と重心が一致するようにすればいいでしょう。重心は飛行機の中央。揚力中心は翼の内部のどこか。で、翼を前の方に動かしたり、翼を後ろの方に動かしたりすれば、うまく一致する位置が見つかるでしょう。
絶対に回転しないということはありません。紙飛行機だって、重心と揚力中心がずれてしまうことはあります。もちろん、回転運動してしまいます。
ちょうどうまく行った場合だけ、回転運動をしません。
(2) 離陸・着陸時
離陸・着陸時には、(1) とは違った状態に揚力中心が来ます。当然、回転運動をしてしまいます。ですから、尾翼で調整しないと、ダメですね。
グライダーならば、巡航状態の延長でそのまま続くので、大丈夫でしょう。
まとめ。
回転運動をすることはあるが、そうならないように、うまく調整しているだけ。調整に失敗すれば、墜落するだけのこと。
左に進行しているときには、
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のようにフロントスポイラーがあると、スポイラーの後ろで空気圧が低下し、真空っぽくなります。トリチェリの真空みたいな効果です。
フロントスポイラーの効果は、スポイラーと地面とが接近している場合にのみ成立する効果です。(グラウンドエフェクト)
これは、流れの変更による効果とは、違います。
フロントスポイラーが、地面からずっと離れた位置にあれば、流れの変更による効果になります。しかしその力は、グラウンドエフェクトの効果よりも、かなり小さめです。
「空飛ぶ自動車」または「道路を走る飛行機」というものが考案された。
名前を付けるなら、「流星号」にしてほしいですね。
URLは長いので記しません。
かわりに、次の検索語で検索してください。
「路面走行可能な飛行機」
タイムスタンプは下記。↓
【 追記2B 】を加筆しました。(タイムスタンプは下記 ↓ )
要旨は:
二つの説のどちらが正しいかを、実験的に確認する方法を示す。
「空気のかわりに、水素または窒素を用いて、違いを検出する」
これによって、「水素中の飛行機は落下してしまう」とわかるので、ベルヌーイの定理による説明は間違いだ、とわかる。
1.水素の中で飛行機を飛ばそうとしたら、エンジンをかけた瞬間に水素に引火した爆発し、飛行機は木っ端微塵に飛び散ると思います。
2.窒素のなかで飛行機を飛ばそうとしても、酸素がないのでエンジンすら回らないので、離陸すらできないと思います。
ですから、答えは1でも2でもなく、飛行機はどちらの気体中でも飛ばないと思います。
飛んでいる飛行機が水素と窒素の中に突入した場合と言う仮定を見過ごしていました。
1.水素の中に突入した場合は、水素にエンジンの火が引火して大爆発しますので、飛行機は落下する前に、空中で木っ端微塵になり、四方八方に飛び散ると思います。
2.窒素の中に突入した場合は、エンジンが停止してしまうので、飛行機は落下すると思います。
やはり、答えは1でも2でもなく、どちらの場合も飛行機は飛び続けることはできないと思います。
ジョークにまともに答えるのも気が引けるのですが。。。。
「その飛行機はエンジン停止後の飛行機、または、グライダーだったので、爆発もしないし、エンジンストップによる墜落もしない」
が答えです。(なぞなぞ の)
気体の圧力は、(理想気体の仮定であれば)分子量には依存しないと思います。
PV=nRT
P(圧力),V(体積),T(温度)が同じならば、
n(モル数)も同じ、
ですよね?
分子の質量が効いてくるのは、別の効果ではないでしょうか?
(a)「飛行機がベルヌーイの定理によって飛んでいるというのは完全に間違いだ」
(b)「飛行機はベルヌーイの定理によって飛んでいるというのは全体のごく一部にすぎず適切な表現ではない」
(c)「飛行機はベルヌーイの定理によってのみ飛んでいる訳ではないので他の実例を示す」
のどれかでしょうか?
どこにもそのようにはっきり書かれているわけでもないのに何となく(a)と主張されていらっしゃるように思えてしまうので是非お答え頂きたいのですがよろしいでしょうか?
あと【 追記2B 】の【 訂正 】についてですが
温度を変えても水素粒子ひとつあたりの運動量変化が大きくなるだけでコアンダ効果の量は変わらないのではないでしょうか?
──
この件は、crant さんのご指摘の通りです。私の勘違いでした。
( ※ 量子力学の式ばかり見ていて、誤解したまま、古典力学の式を忘れるという迂闊さ。間抜けでした。「自分は間違っているんじゃないのか」と思って訂正したら、訂正したことが間違いだった、というお粗末。最初の話が正しかった。)
──
やじうまさんへの回答。
>温度を変えても水素粒子ひとつあたりの運動量変化が大きくなるだけで
>コアンダ効果の量は変わらないのではないでしょうか?
上記の理由により、温度変化の件は無視してください。
単純に質量変化のことだけを考えればよい。(温度変化の話は面倒なので言及外と言うことにしてください。何も述べないでおきます。)
> 管理人様の言いたいことがよくわかりません。
正しくは三つのいずれでもなく、次のことです。
「飛行機が飛ぶ理由を説明するのに、ベルヌーイの定理を用いるのは不適切であり、コアンダ効果を用いるのが正しい」
──
お言葉の三つの選択肢は、いずれも「ベルヌーイの定理」への評価です。しかし、本項で示すのは、ベルヌーイの定理を評価すること(否定すること)ではなくて、別の説を提出することです。
よくある文句ですが、私が何かを主張すると、「それは既存の学説への批判としては不十分だ」という文句が来ます。何を誤解していることやら。
私が言いたいことは、誰かに対して「おまえは間違っている」と文句を言うことではなく、真実を追究することです。
比喩的に言うとこうです。
従来の説が「赤だ」と主張しています。
私が新たに「青だ」と主張しています。
すると人々は文句を言います。「『青だ』といくら主張しても、『赤だ』ということを否定したことにはならない。赤への否定としては不十分だ。不十分な根拠で他人の説を否定するのはトンデモだ。ゆえにおまえはトンデモだ」
これは勘違いです。私が「青だ」と主張したからといって、それは「赤だ」ということを否定したいのではありません。ここでは、「どちらが妥当であるか」を考えればいいのであって、別に他人の何かを否定したいわけではありません。
ま、ついでにどこかを否定することもありますが、否定することが狙いではありません。目的は真実の探求です。真実の探求の際に、二つの説が食い違いを見せることがあるので、その食い違いの部分を際立たせることはあります。
興味深く読まさせていただきました。
本筋から外れるかもしれませんが、
追記3、4を見てちょっとコメントがあります。
ホンダジェットの翼の上にエンジンがあるのは、ホンダの独創的な新発想ではなく、過去に機体例があります(ドイツのVFW 614という機体の焼き直しです) 。この設計が広まらなかった理由は、多分失速時の特性がよくないからだと思います。おそらくホンダジェットも失速特性がよくないのではと推測します。
それと時代錯誤の古いデザインとありますが、今飛んでいる旅客機や開発中の機体の機体形状がなぜそうなっているかを考えると、それが一番合理的であるからです(将来にわたりベストという意味ではありません)。飛行機が飛ぶのに必要な条件(機体の釣り合い等)を考えると逆に一番無駄がない洗練された形状だと思います。
あと、飛行機の燃費は別に揚力だけで決まるのではなく空気抵抗もありますね。揚力が高ければ高いほど燃費がよい訳ではないと思います。抵抗を増やさない設計をすると、ああいうオーソドックスな胴体形状になるのでしょう。
でも、現代の航空機において、敢えてそれにチャレンジしたところが独創的なのです。
航空界の常識では「絶対やってはいけない設計」となっていたわけですから。理由は単純に、これまで試された設計ではすべて空力特性が良くなかったから。
揚力の発生している翼の上下面には圧力差が発生しているのですから、流速はそれに応じて違っていて、それが「ベルヌーイの定理」に一致するのは当たり前です。大体ベルヌーイの定理はニュートンの式をある条件下で積分しただけですからニュートン力学の適用範囲で成立しないわけが無い。
気体を水素に変えたときに流れの様子が変わらなければ(非線形である流体の世界では無条件に期待できる条件ではないが殆ど変わらないとみなせる局面も少なくない)勿論揚力は密度分だけ下がりますが、「ベルヌーイ」の式は陽に密度を含みますから当然過ぎることです。水素中での揚力低下は端から「ベルヌーイ」の否定にはなるはずもありません。
では「ベルヌーイ」で揚力が発生するかというと、プロ(日本中なら万人単位で居るでしょう)は絶対そんなことと言わない(あの式を幾ら眺めても揚力の計算なんて出来っこない)。そのかわりに「クッタ=ジューコフスキー」と言います。それ以上簡単に(でも定量的に)揚力を説明しようが無いからです。
南堂さんが誤ってケンカを売っている相手は「翼」のプロではなくて勘違いした理科の先生とかマニアにすぎません。
まあ、素人に説明を求められたときに窮して多少の後ろめたさは覚えつつ「ベルヌーイ」を口にしてケムにまいたプロというのも少なからず居るでしょうが。
ごもっともな点もありますが、私の主張は、「揚力が上がること」ではなくて、「揚力が上がりやすいから空力特性がよい(燃費がよい)」ということです。
で、その見解が正しいかどうかを調べるために、「空力計算をしてごらんなさい」と勧告しています。
一般に、二つの翼があって、揚力が上がりやすい形状とそうでない形状がある場合、揚力が上がりやすい形状は、仰角が少なくて済むので、空力特性が良くなります。
なるほど、そういう見解もあるのですね。ただし、「クッタ=ジューコフスキー」があるのならば、それを主張するといいでしょう。その場合、「ベルヌーイ」でもなく、「コアンダ効果」でもなく、第三のものが提案されたことになります。それはそれで一案。
本項は、「クッタ=ジューコフスキー」を否定しているわけではなくて、「ベルヌーイよりはコアンダ効果の方が妥当だ」ということです。
また、これは、原理の話です。空力計算の話ではありません。空力計算は、それはそれで、別にやればいいでしょう。原理の話と空力計算の話は、別の話題です。
ただし、
> 水素中での揚力低下は端から「ベルヌーイ」の否定にはなるはずもありません。
という点は、考慮いたします。そういう反論があるという形で、読者がよく考えればいいでしょう。
なお、次のコメントを参照。
ここまで述べたことについて、最後に解説を一言。
私が本項で述べたことは、
「Aが正しくなくてBが正しい」
という評価ではありません。
「Aだ」
という説があるところに、
「Bだ」
という新たな説を登場させることが目的です。(新説の提唱)
そのあと、「Aか、Bか」というふうに、《 評価 》をするのは、読者の一人一人です。一人一人が自分の頭で考えてください。他人に頼らず、自分で考えてください。
本項は、別に、「Aだ」という発想を否定する評価を下していません。反論を出してはいますが、評価はしません。
二つの異なる説が対立しているとき、評価をするのは、第三者です。当事者が評価をすることはできません。
裁判で言えば、原告側と被告側がそれぞれの主張をすればよく、第三者たる裁判官が評価を下します。
本項ではあくまで、新たな説を提出することが目的です。その評価や是非については、本項自体には求めないでください。
「クッタ=ジューコフスキー」は、揚力の発生の理由を、ベルヌーイとはちょっとだけ違った形で説明しているだけです。
一方、私が本論で述べたのは、「揚力」という「力」ではなくて「仕事」が大事だ、ということです。
論点を読み間違えないでください。副次的な話題にとらわれて、主題を見失わないでください。
とにかく、本項のテーマは、「飛行機はなぜ飛ぶのか」であって、「揚力はいかにして生じるか」ではありません。誤解なきように。
「クッタ=ジューコフスキー」であれ、「ベルヌーイの定理」であれ、そこでは、定常的な気流のなかに翼があることが前提となっています。(失速状態ではないことが前提となっています。)──この前提に注意してください。
この前提に基づいて、
「これこれのように揚力は発生する」
というふうに説明しています。
その意味は、こうです。
「飛行機が飛んでいるとすれば、飛行機の揚力はこれこれである」
しかし、ここでは、「飛行機が飛んでいる」ということが前提となっています。これでは、その前提が満たされることが、説明されていません。
比喩的に言うと、
「人間が飛んでいるとすれば、人間の揚力はこれこれである」
というようなものですが、「人間が飛んでいる」という前提が満たされませんから、無意味です。たとえば、スーパーマンの揚力を計算して、「これこれの姿勢を取れば、揚力が重力を上回る」と計算しても、スーパーマンに推進力を与えるものが不明ですから、無意味です。
とにかく、
「飛行機はなぜ飛ぶのか」
という質問に対して、
「飛行機が飛んでいるという前提のもとで、これこれである」
と答えるのは、答えになっていません。これで答えたつもりになっている専門家がいるとしたら、頭がどうかしているとしか思えません。
要するに、「飛行機はなぜ飛ぶのか」という疑問には、まず「これこれの理由で飛ぶ」という原理を示すのが先決です。
そして、その原理を示したあとで、ようやく、揚力や圧力の計算が登場します。つまり、空力計算が。
いきなり空力計算や揚力が登場するのでは、本末転倒です。
にたいするもっとも謙虚な答えは、
【飛ぶように作ったから飛ぶんです】
だと思います。理屈はいりません。
常識です。
残念ながら、それは、なぞなぞの答えとしてはペケです。理由は:
「飛ぶように作っても飛ばないことがある」
からです。たとえば、ライト兄弟以前の飛行機(試作機)。また、4ちゃんねるの「鳥人間コンテスト」に出てくる人力飛行機。
飛ぶように作ったのに、ぼちゃんと水面に落ちるものが続出しています。
基本的に、管理人の意見に反対する意図はなく、本田の独創性に対する補足をしただけです。
余計なおせっかいで混乱させたようで申し訳ないです。
このまま去るのも中途半端なのでさらに補足。
今まで、常識的には飛行特性が悪くなるはずの設計(エンジンを翼の上につける)をして常識を覆したわけですから、失速特性が悪いと決め付けるのは早計かと。高速時の特性の良さが売りではあるようですが、低速時でも極端に悪くは無い(もしかしたら良いかも)と考えるのが自然です。実際、デザインを見て最初失笑していた業界人が実験データ見て驚愕したらしいです。今後、設計の1つのスタンダードになる可能性は高いです。
その他
現在主流の翼下部前方に取り付けた場合、エンジン排気が垂れ下がったフラップと地面の間にぶつかる事で、大きな揚力を生む配置だと思います。
翼上面配置は、巡航中の効果が有るということでは?
翼下に配置する理由として、メンテナンス時のエンジンの載せ降しが容易、というのは理由の1つでしょうし、大型機に関しては絶対的な理由にもなるでしょうが、小型機に関しては翼上の方がメリットが大きいです(だからこそ本田は翼上に配置した)。実際、ボーイング社では一時期かなり真剣に設計を検討したらしいですが、飛行特性がどうしてもよくならなかったため諦めたと聞いてます。だからこそ「翼上にエンジンを配置した場合、飛行特性は良くならない」が常識になっていたわけです。
形状を極端に変えれば可能なのか、ホンダの影響か、今では
http://www.gizmodo.jp/2007/03/post_1149.html
こんなデザインも考えられてるようですが。
実際、(上記のような特殊な設計は分かりませんが)翼上ジェットにした設計で飛行特性が良くなるのは特定の配置にした時だけらしく、設計は非常にデリケートになります。その意味で、翼下が古いデザインで翼上がこれからの新しいデザイン、とまでなるかはまだ分かりません。
ただ、このデザイン、というより、ホンダジェットがアメリカを席巻することになるのは、ほぼ確定的です。車感覚で乗れるジェット機として。
「空のシビック」というキャッチフレーズは伊達ではないのです。
自家用ジェットが流行ることが、環境に良いかどうかというと、良いとは思えないんですけどね(^^;
あと、失速性能が問題になるのは着陸時でしょうから、ジェット噴射を止めた状態での特性が問題なのでは。だから、翼上ジェットであることが特性の悪さになるとは思えない。
まぁ、翼上ジェットの設計にもなんらかのデメリットはあるのでしょうが、従来考えられていた決定的なデメリット(飛行特性の悪さ)を完全に払拭して登場したのがホンダジェットであることは確かです。
実は、このデザイン、私が本項の続きで提案しようと思っていたんですよね。 (^^);
先にやられてしまったか。悔しい。 (^^);
でも、情報をありがとうございました。
私のアイデアは:
・ エンジンは上方配置(既述)
・ 三角翼にする
・ 翼と胴体の一体化
・ 主翼よりも中央付近にエンジンを置く
をポイントに主張しようとしていたら、そのまんま、上記のデザインになってしまっていました。
理想は誰が考えても同じになる、ということなのかも。
という件ですが、私は理由を次のように推定します。
「飛行機の後方に、空気の稀薄な(低圧力の)空間が生じる。そこに、ジェット噴流が当たれば埋められるが、ジェット噴流が当たらないと、埋められない。かくて、圧力の分布に乱れが生じて、空気が乱れる」
たとえば、エンジンが二つあるとして、エンジンのすぐ後ろには噴流が入るが、エンジンから離れたところ(主翼の末端や、機体の中央の、後方)では、噴流が入らないので、気圧が低いままだ。こうして、圧力差が生じる。そのせいで、空気の乱れが生じて、飛行特性が悪くなる。
これを解決するには:
(1) 小さなエンジンをたくさん付ける。
(2) すぐ上のリンクで紹介されたボーイングのように、三角翼ふうにする。
(3) 主翼の横断面に変化を付ける。厚い主翼部や薄い主翼部。
エンジンがあるあたりでのみ、厚い主翼部にする。
などが考えられます。……相当、飛行機オタクふうの話ですが。
http://www.techamok.com/?pid=1794
さて、「飛行機が飛ぶのは翼が空気を押し下げるからである」は100%正しいです。では、なぜ押し下げられるかというと、「クッタ=ジューコフスキー」という人と「コアンダ」という人が居て、前者への一言として「計算上のテクニックにすぎない」、後者に対して「間違ってはいないが根本原理ではない」、というのがネット上で見つかりましたが、ここまでの範囲では「一言」も含めてどれも間違いではない。まあ、趣味とか美意識とかが入ってきます。南堂さんは「仕事」を主張されてますが、力×距離のデメンジョンを持つだけですのでどちらで言っても違いはないと私は思っています。さらにもう一度「計算上のテクニック」と言われてしまうかもしれません。
ベルヌーイの定理はニートン力学そのものみたいなものなので、翼周辺の流速分布と圧力分布の正しい関係を与えます。但しそれぞれの分布が発生する理由は何も述べていません。翼周辺でベルヌーイの定理は成立します(ので水素中の揚力を実測してもベルヌーイの定理は痛くも痒くもない)が、揚力の原因をベルヌーイの定理に求めるのは不適切です。ましてや「翼上面が長いのでその分流速が上がる必要があるので上面の圧力が下がる」とまで行くと堂々たるトンデモさんです。元々ベルヌーイが発見したのはそんなことではありません。
専門家が「飛行機はベルヌーイの定理で飛ぶ」と主張している、と南堂さんが誤認する状況も分かりましたが、流体力学の本物の専門家は決してそんなタコではありませんし、水素中揚力実験にも何の意味も無いので「科学主義と実験」のエントリーでの南堂さんの主張にはどうにも困ってしまうのです。
私としては「猫」にも進化論にも異論ないので、なおのこと明らかに拳の振り上げ方を間違えていると思われる揚力の話を一緒にして欲しくないのです。
私はそこまで強くは言っていないんですよね。私の主張は「おまえたちは間違っている」ではなくて、「真実をつかむ話を理解していない」ということです。
水素中の話は、専門家向けへの批判というよりは、半専門家向けの話だと思ってください。
とにかく、私の言いたいことは、誰かを批判すること自体ではありません。前記の通り。「赤は間違いだ」と主張したいのではなく、「青が正しい」と主張したいだけ。ま、細かなところで異論があるとしても、コメント欄の話などを読んで、いろいろと考えてください。いまさら本文中の話を書き直すのも面倒なので。
タイムスタンプは下記。 ↓
例えば、キャブレターの解説では、流れが狭くなるところが負圧になり、ガソリンが噴出します。コアンダ理論でこれは説明できるでしょうか。
ベルヌーイ定理では翼上面は負圧、下面は正圧が発生する。下面の正圧が気流を下に向ける力を生み、同時に翼を上に動かす力を生むというふうに説明できます。
コアンダ理論はものごとの一端だけを、異なった方向からの解釈をしているのではと思いますが。
ケーキの作り方を論じているわけではないので、「こんな説明ではケーキの作り方がわからない」とイチャモンをつけられても、お答えできません。
ただ、ここの管理人さんの言いたいことを理解せずに自分の博識を主張されている方が多いみたいです。もっと主義主張を理解して話し合いに持ち込んだほうがよいのではないでしょうか?
全然関係ないことを言ってしまい申し訳ありません。
管理人氏の解説は致命的なところで間違いがあります。
コアンダ効果って、流れが凸面に付着する現象ではなく、
”噴流において”、乱流境界層が凸面に付着する現象なのです。
この一点で、既にこの論は破綻しています。
翼周りの流れは一様流ですからね。
流れが物体に沿うのは、コアンダ効果で説明されるのではなく、
それが流体(連続体)の性質だからです。
真空が出来ないように、物体周りに流れが沿うのです。
翼まわりの流れの可視化をすると分かりますが、
翼の前方で、既に流れは曲がり始めています。
このことを、コアンダ効果では説明が出来ません。
主翼周りの流れを説明するには、粘性・循環・
出発渦・束縛渦といった説明が必要です。
あまりそこまで詳しく説明してくれる人はいないのですが。
コアンダ効果を利用して、揚力を増やそうという試みはあります。
しかし、揚力発生の主要因ではないのです。
だったら、結論は同じでしょ。何という言葉で呼ぶかが違うだけで。
私が「コアンダ効果」と呼んでいるものを、あなたは「そういう性質」というふうに名無しで呼んでいるだけです。
ま、人の文章を「間違いだ」と呼ぶけなす前に、まずは「そういう性質」というような名無し概念に名称を付けることから始めて下さい。
ま、用語の定義の仕方が異なる、ということは、学問分野ではしばしばあります。で、他人の定義法が気に食わない人は、いきなり「おまえは間違いだ」と喧嘩を売りたがるものです。
うんざり。
読解に致命的な間違いがあります。
コアンダ効果による解説は、私の主張ではありません。他の人の主張です。
これを私の見解だと見なして下さることは光栄に存じますが、私はそれほどの独創性はありません。
学界でも多くの人がコアンダ効果という用語で説明していますから、それらの専門的な大学教授たちに喧嘩を売って下さい。私を批判するのは、お門違い。
航空機は安全性が最優先させる必要があり、革新的、独創的なデザイン、設計でも、その安全性、信頼性が確認されるまでは、車と違い誰も手を出しません。そのため、どうしてもオーソドックスなデザイン、設計になるものと思われます。旅客機ならなおさらです。
また、利益を追求する企業であるならば売れることが第一目標となります。趣味や実権で開発費用を無駄にする訳にもいかず、リスク回避のためにも市場で受け入れられるような配慮をせざるを得ないのではないでしょうか。
そういうことは、まったくありません。まったく。
ここで対比されているのは、機体後部の下半分の形状ではなくて、上半分の形状のことだからです。
下半分は、今と同じでいいんです。上半分を、下半分と対称になるよう、削るべきだ、というのが新しい発想。
図形で示すと、 フ を否定しているが、だからといって、 匚 にしろと言っているわけではないし、 ∠ にしろといっているのでもない。 < にしろ、といっているだけだ。
で、その場合、下半分を見れば、従来と何も変わらない、というわけ。
現実に、最新型のエアバスやロッキードでは、 < 型の後部になっています。何だかんだ言っても、最新の航空機デザインはそうなっているんですよ。三菱が知らないだけで。
機体尾部の形状はMRJもA380も大きくは違わないでしょう。元々揚力の発生にはあまり関係ないですし。
「飛行機はなぜ飛ぶのか?」という問いに対しては、管理人さんの「翼で空気を下向きに流した時の反動」が適切ですね。
ベルヌーイの定理では説明になりませんよ。上側で流れが速くなることが説明できませんから。
それは見方に寄りますね。私は根本的に違うと思います。
確かに、どちらも「尻上がり」という点では共通しますが、
・MRJ …… 極端な尻上がりだけ。
・A380 …… 基本は流線型で、そこに尻上がりを少し加味しただけ。
という違いがあります。
たとえば、次の写真。(A380)
http://feel.g.hatena.ne.jp/keyword/A380
> 上側で流れが速くなることが説明できませんから。
いや、それは説明できます。「上側とした側が最後に一点で交わる」という、例の説明です。通常、「そのことは説明できない」といわれますが、説明できます。次のように。
「上側と下側では、空気は流れていなくて、(水平方向に)停止している。移動しているのは、飛行機であって、空気ではない。飛行機が通っても、空気は横方向には移動しないで、単に上下方向に移動するだけである。上側の空気で言えば、飛行機が通ったときに、少し上に移動して、飛行機が通り過ぎたときに、下に移動するだけだ。どっちみち、水平方向には移動しない。したがって、飛行機が来る前も、飛行機が通ったあとも、上側の空気も下側の空気も、左右方向には移動しないまま、一点でぶつかる」
これで説明OK。(ただし、厳密に言えば、わずかに摩擦抵抗の分だけ、ほんの少しだけ差が出る。しかし、無視できる程度の誤差。)
明らかに間違いでですね。
論旨の前提として
豆腐を包丁で真横に切ったとき、上下の断面は元通りにひっつく。
のようなことが暗黙の内に仮定されています。空気の振る舞いには全く触れず、豆腐のようなものだと決めつけているので「同時到着」になるだけで、空気の説明にはなっていません。
「通常は説明できない」のはそれなりの理由があるからですが、それを「私にはできる」と主張するのは、些か危ない考えです。
機体の尾部の形状ですが
極端な尻上がり
尻上がりを少し加味した流線型
流体力学的にはどちらもアップウォッシュが生じますので、根本的には同じでしょう。離着陸時の姿勢を考えると尻上がりは不可欠です。違いがあるとすればその大きさですが、水平尾翼で調節できる範囲であれば問題ないでしょう。
揚力を下向きの空気流による作用・反作用で説明しようとする説は、たしか10年くらい前に「航空情報」に異説(珍説とは言いませんが)的な位置づけで紹介されたのを読んだ記憶があります。 そこでは、ここまで多くの方がコメントされている如くに説明がなされたうえで、そうした力は翼が発生している揚力にたいし絶対量として一桁小さく揚力を説明できないと明快に否定されていたと記憶しています。
補記1)尾部の形状における「ロッキードの最新型」とは何でしょうか? F-35? F-22?? L-1011???
補記2)昨年末に終了したテレビドラマ「ガリレオ」の最終回では主人公福山が研究室でこの説を説明するシーンがありました。
済みません。間違えました。ボーイングです。ロッキードは戦闘機ですね。本項は民間旅客機の話です。
>揚力を説明できないと明快に否定されていた
この否定は誤りですね。
記事を読んだことはありませんが、おそらく間違ったモデルに基づく計算をして、それを否定しているだけだと思います。モデルが間違っていれば、明解に否定できて当然ですね。
流れを曲げた力の反作用が揚力であることを否定することは、クッタ・ジューコフスキーの定理を否定することと同じです。
揚力として与えられるρUΓですが、これは物理的には流れに対して垂直な方向に発生する流体の運動量を表しています。ニュートンの運動の法則によれば、流体に運動量を与えることはその方向に力を作用させることになります。その反作用が翼に働く揚力になります。
流体力学の教科書では循環Γを「渦」と関連付けて教えているので、なかなか正しい理解に到達できない状況になっていますね。
全翼機の場合通常の飛行機より、後縁から重心がより離れていますし、そもそもS字キャンバーと言う翼型の後縁が上に持ち上がった形状をしています。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~FlyWing/WhatFlyingWing(2).html
「ρUΓが物理的には流れに対して垂直な方向に発生する流体の運動量を表す」というところを補足願えないでしょうか。
循環ΓがあるところρUΓなる揚力が発生するというのは揚力発生の原理としてもっともなんですが、そこから先、そうして求まる揚力は流体に与えた運動量と等価であるという証明というか説明を読んだ記憶がありません。(もうかれこれ20年前の学生時代ですが・・・)
「これを読め!」という教科書、文献があれば教えてください。
翼に発生する揚力は上下面の圧力差によるものであって流体に与えた運動量によるものではないよ、というのが私の理解だったんですが・・・
飛行機の空中でのバランスの話です。
飛行機をとばすには、流体力学だけでなくて、航空力学も必要なんですよ。
尻上がりは、理屈どおりですよ。多分…。
ただ、翼の上面から引き上げられるとしたら、翼の上面は板を張っただけの構造だと思うので、何故、剥離しないのか不思議に思っていました。
ベルヌーイの定理だけでは、飛行機の構造からして、説明しきるには無理があるんですね。
という質問があったので、答えておこう。
「その厚みは、翼の厚みの何十倍にもなる」
と。これは当り前の話で、スプーンの凸面に当たる水の流れを見ても、すぐにわかる。流れを変えられる水の流量の厚みは、スプーンの厚みの何倍にもなる。
また、スプーンの内側に当たった水は、強く跳ね飛ばされるので、スプーンの厚みの何倍もの水が跳ね飛ばされる。
これは、普通の速度の水だが、速度が増せば、速度に応じて、何倍どころか何十倍にもなる。つまり、スプーンにぶつかった水だけが方向を変えられるのではなく、スプーンにぶつかった水に押されて、まわりの水がたくさん方向を変えられるからだ。
同様のことは、翼にも当てはまる。
「翼に直接ぶつかった空気だけが、方向を変えられる」
と思うのは、早計である。直接的に方向を変えられる空気だけでなく、間接的に方向を変えられる空気もあるのだ。つまり、翼のまわりの空気がたくさん、いっせいに方向を変えられるのだ。(そのことは、本文中にある水色の図でも明らかだろう。)
ともあれ、
「翼に直接ぶつかった空気だけが、方向を変えられる」
と思ってはならない。勘違いしないようにしてほしい。(ま、普通に読めば、そういう誤解は起こらないだろうが、なかには誤解する人もいるので。)
タイムスタンプは 下記。 ↓
タイムスタンプは 下記。 ↓
10メートル前に付けて節約できる燃費と、少なくなったお客さんの料金、バランスとれるんでしょうかね?
一人言でした。承認しなくても良いですよ
787を見たら、普通に最後尾に水平尾翼を付けていて、しかも尻下がりではない。787と同じにすればいいでしょう。
ところで一つ質問と言うか、考えてみて頂きたいのですが、失速について、説明して貰えませんか?
現在の航空機において、迎え角を大きく取ると失速を起こす事は実験で明らかですし、これに関しては現状、疑いようもないと思います。
しかし、仰るように翼が押し下げた分の空気の質量分の揚力が発生すると仮定して考えると、迎え角を大きく取った方が揚力が大きくなります。
例えば、迎え角を進行方向に対して45゜に取ると、感覚的に空気を押し下げる量と方向が最適な様に思うのですが、実際の航空機では失速、墜落してしまいます。
自分で考えてもそこに対する答えが出なかったので、時間があれば考えてみて貰えないですか?
よろしくお願いします。
その発想が間違い。その発想に寄れば、89度にすれば揚力はもっと大きくなるはずだし、90度近くにすれば、揚力は無限大になりそうです。しかし現実には、ただの壁になるだけです。
前提が狂っていますね。
どこが問題かというと、上下方向ばかりを考えていて、前後方向の抵抗を考えていないことです。
気流が剥離してしまえば、空気を押し下げることができなくなる、つまり気流を押し下げるのは、翼の下面だけでなく上面の働きも重要だ、で説明になるのでは。
いくつか思うところがあったのでコメントさせていただきます.
ベルヌーイの定理は流線に対するエネルギー保存の話ですが,その主張するものの内に運動量変化の話も含まれていると思います.それはベルヌーイの定理が流体の運動方程式から導かれているからです.(運動方程式は運動量変化と力の関係式)
したがってベルヌーイの定理による説明も運動量変化による説明も主張していることは同じことだと思われます.
もちろんベルヌーイの定理は単なるエネルギー保存の式ですので実際の流速,その他の物理量を決定できるものではありません.なので結局ちゃんと説明するには流体の運動方程式・連続の式・エネルギー式・圧力方程式の4つを解くしか無いと思われます.
>>乗用車のトランクの上のスポイラー
これはほとんどダウンフォースを得られません.
それは仮にスポイラー下面の圧力が陰圧になったとして,車体がその陰圧によって持ち上げられるために力が相殺してしまうからです.
これは計算でも実験でも分かっていることです.
ではなぜ,スポイラーが取り付けられているかですが,それは後部気流の整流によって高速走行時の車体の安定性向上と,ドラッグの低減を目的としたものです.もちろん単なる飾り羽であるものも中にはあります.本当にダウンフォースが必要なレーシングカーのリアスポイラーは車体後部から離して設置されています.
>>MRJの尻上がり.
MRJは一般の旅客機とくらべても胴体幅が細いため,そこまで後部形状に敏感ではないと思われます.
離着陸時の迎え角の取り方も考えて今の形状に落ち着いたのでしょう.
>>エンジンは翼の上に付けるのが妥当
一般的な旅客機のエンジンは整備性を考えて翼の下に取り付けられています.近年のターボファンエンジンはバイパス比の向上のために直径が拡大する傾向にありますので,エンジンに大革新でも起きない限りエンジンは下付けのままでしょう.
>>水平尾翼は最後尾よりも十メートルぐらい前に付けることにする
モーメント安定性を考えるとこの案は危険です.
操縦者の入力に対する制御力が激減してしまいます.大まかな機体形状が50年たってもそれほど変わらないのにはそれなりの理由があるのです.
>>そもそも、ベルヌーイの定理は、液体の定理であって、気体の定理ではない。液体ならば「体積が一定である」という要件が成立するが、気体ではそれが成立しない。
物質の圧縮性を考えてもベルヌーイの定理は成り立ちます.(非圧縮性のそれと表式は変わりますが)
必要なのは渦なしの条件だけです.
なにより、作用・反作用説ならば以下の諸々の現象を
(翼の上面と下面の流れの速さに恣意的な仮定を持ち込むことなく)
全て無理なく説明できます。
・揚力が速度の2乗に比例すること
・揚力が空気の密度に比例すること
・迎角と揚力の関係がおおよそ正弦関数になること
・誘導抵抗の発生
・迎角と誘導抵抗の関係がおおよそ余弦関数になること
・翼端渦の発生
・誘導抵抗の大きと翼端渦の大きさが比例すること
・戦闘機、ライトフライヤー、紙飛行機などにみられる薄板翼、
また帆船やヨットの三角帆などでも揚力が発生すること
・流れのある面で圧力が低下すること、
その値がベルヌーイの法則で計算した値に一致すること
一方、ベルヌーイの法則により上に挙げた様々な現象を説明することは困難です。
むしろ、ベルヌーイの法則は、作用・反作用説から得られる帰結の一つと
考えるのが自然です。