2007年05月20日

◆ バーチャル軍事

 北朝鮮の発射したミサイルを迎撃するという、ミサイル迎撃システムがある。これで、米国向けのミサイルをも迎撃しよう、という提案がある。しかし、それは可能か? ──

 これは、自国が戦争に巻き込まれる危険を冒しても、米国を守らねば、という発想である。米国の部下である日本としては、忠誠心を発揮したい、というわけだろう。自国を犠牲にしてもご主人様を守らなくては、と。まことに見上げた根性だ。(あとで骨をしゃぶらせてやろう。)
 ま、それはそれとして、問題は、その技術的可能性だ。そんなことは可能なのか? 

 実を言うと、それが可能だという証拠は、何一つない。実験すら行われていないからだ。
 ミサイル迎撃システムで可能なのは、自国に向かってくるミサイルを迎撃することだ。つまり、放物線を描くミサイルに対して、同じ放物線の上で、反対側からミサイルを発射することで、放物線を重ねる。

 しかしながら、米国向けのミサイルを日本が撃墜するためには、放物線とは異なる軌道から撃墜することが必要だ。つまり、軌道の横から当てることが必要だ。

 ──

 たとえて言おう。
 遠くからこちらにライフルを発射する人がいる。そこで、同時にこちらからも、ライフルを発射する。すると、うまく行けば、弾丸と弾丸がぶつかって、相手の弾丸をたたき落とせる。こちらが千発ぐらいの弾丸をまとめて自動発射すれば、何とかうまく行くかもしれない。
(似たシステムはある。イージス艦には自動銃弾発射装置が付いていて、こちらに向かってくるミサイルを何万発もの銃弾でたたき落とそうとする。)

 さて。問題は、このあとだ。正面からライフルの弾丸を撃つのなら、かろうじて可能かもしれない。だが、横から撃つことは? 

 図で書くと、

   ──────→  ←────── 


 は可能かもしれないが、しかし、

   ─────────→
             ↑
             |
             |
             |
             

 というのは、ものすごく困難だ。そんなことができるとは、とうてい信じられない。ウルトラ級の高精度が必要だ。なにしろ、ほんのちょっとタイミングがズレただけで、すれ違ってしまうのだから。
 たとえば、風の風速がちょっとズレただけで、それでもう失敗である。としたら、上空の風の様子も、あらかじめ知っておかないとならない。

           _
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   北朝鮮   日本       米国

 ──

 結論。
 米国向けのミサイルを日本が撃墜するというのは、とうていあり得ない仮想の話だ。夢物語のSFに近い。
 こんなものの実現性を考えるとしたら、ほとんど犬並みの頭しかもっていないことになる。まともに考えているとしたら、狂気的。

 ──

( ※ ただし、本当の狙いは、そうではない。ミサイル防衛網の目的は、そもそも、防衛効果ではなくて、政府予算で米国の兵器を調達することである。だからこそ、軍事的には無効なミサイル防衛網をせっせと配備する。……そこのところを理解しておきましょう。)
( ※ 説明しておこう。相手が何十発も同時に撃ってきたら、すべてを撃墜することはしょせん不可能。半分を打ち落とせても、半分は来る。)



  【 追記 】
 シミュレーションしてみる。(シナリオふう)

 《 ケース1 》
 報告「横から発射したら、すべて敵のミサイルをかすめてしまいました。的中率ゼロです」(前述)

 《 ケース2 》
 報告「かすめたあとで、日本のミサイルが北朝鮮の都市に墜落して、たくさんの市民が死亡しました。国際的に大々的な非難が予想されます。」

 《 ケース3 》
 提案「ケース2にならないように、あらかじめ宣戦布告しておいた方がいいのでは? 真珠湾のときみたいに非難されないように。先に戦争をしかけましょう。……米国を守るために!」
 
 《 ケース4 》
 報告「超高速ミサイルで、敵のミサイルを後方から追尾します。照準にとらえました。ロックオン! ぶつかるために、加速しました! ……あれ? 加速したら、敵のミサイルの上方を通り過ぎてしまいました。どうしてでしょう? 物理学の勉強をやり直します」

 《 ケース5 》
 報告「物理学の勉強をやり直したので、ミサイルに超高速計算機と翼を付けて、途中で下方に方向転換できるようにしました。これで撃墜可能です。加速開始! あれ? はずれてしまいました。……はずれた日本のミサイルが、米国に墜落します! 日本のミサイルのせいで、米国を攻撃してしまいました!」

 《 ケース6 》
 「精度を上げました。追いかけて、うまくぶつけました。……しかし、ぶつかったまま、両方とも米国に墜落してしまいました!」
 
 《 ケース7 》
 「最高の研究をしたので、最高のミサイルができました。すべて発射しました。……おや、北朝鮮から連絡が来ました。あのミサイルはすべてダミーだったそうです。本物はまだたくさん残っているそうです。降伏せよといってきています。……困った。日本にはもう迎撃ミサイルがありません。米国を守るために発射し尽くしてしまったので、自国を守る分がありません!」
 
 《 ケース8 》
 「日本のGDPの9割を軍事予算につぎこんだので、高性能のミサイルをたくさん配備しました。これで安全です。……だけど、軍事予算が多すぎて、日本の経済は崩壊してしまいました! 日本は崩壊したソ連と同じになってしまいました! 自分で自分を崩壊させてしまいました!」
posted by 管理人 at 13:13| Comment(1) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
後半に「追記」を加筆しました。タイムスタンプは ↓
Posted by 管理人 at 2007年05月20日 19:02
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