Vista の Aero に「Flip 3D」という機能がある。これが便利だから Aero を使うべきだ、という見解がある。一方、これは Mac の「エクスポゼ」という機能の下手な真似だ、という見解もある。他方、エクスポゼの機能を Windows 上で実現できる、ということもある。 ──
元ネタは、「がんばれゲイツ君」
http://www.asahi-net.or.jp/~FV6N-TNSK/gates/column272.html
ここで話題になっているのを読んで、「エクスポゼとは何か?」と思って調べた。すると、次の解説があった。
http://webdog.be/archives/06601_064039.php
つまり、マウスポインタを画面の四隅に移すと、開いているウィンドウがすべてサムネイル化される。そのうちの一つをクリックすると、該当のウィンドウがアクティブになって開く。
つまり、たくさんあるウィンドウを切り替えて使うのに便利だ、というわけだ。
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私の感想は、「タスクバーによる切替の方が便利なんじゃないか?」ということ。Flip3Dも、エクスポゼも、タスクバーよりも劣る、という気がした。なぜなら、「サムネイル化」と「選択」という、二つの操作が必要だからだ。タスクバーから該当のアプリを選ぶのならば、一発でできる。
それでも、非常にたくさんのウィンドウを開いているときには便利かも、という気もした。「ものすごく便利だ」という評価のブログもいくつかあるので、「そうなのかなあ」とも思った。
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では、Windows では、実現できるか? 似た機能を実現するシェアウェア(外国製、10ドル)もある。エクスポゼとはちょっと違う。やたらと余計な動作があるので、オモチャみたいで、使い勝手が悪そうだ。
他に、999円のソフトもある。これはエクスポゼにそっくりで、なめらかな縮小・拡大の動きもある。(上記のエクスポゼの紹介サイトにリンクがある。)
だが、マイクロソフト製のマウスを使っている人ならば、ネットから(ほぼ)同等のソフトウェアをダウンロードできる。IntelliPoint というソフトウェアに含まれる、「インスタント・ビューア」という機能だ。
これも、エクスポゼとそっくりだ。デザイン的には、アップルみたいなセンスはないが、素朴な感じで、いかにもサムネイルを作っている。なお、なめらかな縮小・拡大の動きもないし、画面四隅にマウスポインタを動かすことでもできないが、機能を任意のキーに割り当てることができる。また、マウスのスクロールボタンを押すことでも可能だ。(標準ではそうなっている。)
「窓の杜」の解説
http://www.forest.impress.co.jp/article/2006/11/22/intellipoint602.html
マイクロソフトのダウンロードサイト
http://www.microsoft.com/japan/hardware/download.mspx
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で、私はマイクロソフトのマウスをもっているので、さっそくダウンロードしてみた。インストールしてみると、マイクロソフトのマウスに限らず、あらゆるマウスでこの機能が実現できる。(つまり、インストールの際にはMSマウスのユーザー限定という制限があるが、機能においては制限はない。)
というわけで、めでたく、Windows 上でエクスポゼの機能を実現できたのでした。

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では、それで、便利になったか? そうでもない。

私が思うに、画像をいっぱい開いている人には、便利なのだろうと思う。画像を開いたアプリのサムネイルをクリックすることで、該当の画像を選べるからだ。(ただし、同一アプリ上ではなくて、複数の画像アプリを使っている場合。)
一方、私はどうか? 文書のアプリばかりを使っている。ワープロとか、エディタを何種類とか。……で、そういう文書を複数開いて、目的のウィンドウはどれかと探すと……さっぱりわからない。みんな文書のウィンドウなので、区別がつかないんですよね。
ま、目を凝らしてサムネイル化された文書を読めば、かろうじてわかるが、それでは労多くして益少なしだ。
なお、従来通り、タスクバーで切り替えれば、そんな問題はない。アプリのアイコン(秀丸とか何とか)のアイコンをクリックするだけで、目的のアプリをアクティブにできる。
私の場合、通常のエディタ(QXエディタ)では、エディタ自身が自分のなかで文書ごとにタブをもっているから、そのタブで文書をあっさりと切り替えることができる。
要するに、次の方が便利だ。
・ アプリは、タスクバーで切り替える
・ エディタ内の文書は、タブで切り替える
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結論。
アプリをサムネイル化するというのは、画像を扱う人には便利なのだろうが、文書を扱う私にとっては、ほとんど便利ではない、とわかった。
ま、たまに使うことはあるかもしれないが、サムネイル化されたもののなかから、目的のウィンドウを探す苦労を思うと、あまり使う気になれないですね。
この文章を書きながらも、試しに使ってみたが、うんざりする。タスクバーなら一発でアプリを切り替えられるのに。
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なお、以上の話は、エクスポゼを批判しているわけではない。エクスポゼも Flip 3D も、まとめて批判している。ま、批判というほどではないかも。これを便利に使う人も、いることはいるのだろう。しかし、画像を主に使う人はともかく、私のように文書を主に使う人には、ちっとも役立たない機能だ、と思う。
マスコミあたりには、「 Flip 3D はすばらしいから、Aero を使おう。そのためには、メモリを 2GB 搭載しよう」という記事が多いが、そんなのを信じる必要はさらさらない。
Vista なら、Aero なしでも十分だ、と私は思う。ま、あって困るわけではないだろうが、あったからといってたいして便利になるわけでもない。
なお、どうしても同等の機能を使いたいのなら、 Flip 3D よりは、上記のインスタントビューアの方が、はるかにマシだ、と思う。 Flip 3D は、有害な面もあるが、インスタントビューアなら、特に有害ということもない。使いたくないときは、使わなければいい、というだけの話。
(私はたいして使わないが、世の中には使いたい人もいるでしょう。そういう人には、それなりに役立つと思います。特に、画像を主に使う人には。)
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教訓。
「これは便利だ、すごく便利だ」という話を、むやみやたらと信じて、金を払うべからず。
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【 追記 】
タスクバーの使い方については、次項を参照。
→ http://openblog.meblog.biz/article/75936.html
「そんなのショートカットでやらせろ」と言われればそうなんだけど、それだと自分の様な初心者は使い難いし、デザイン以外の面ももうちょっと頑張って欲しいです。